山本あけみ「緑ゆたかな環境を子どもたちへ」

建築士や生活者として、都市計画・公共施設マネジメント・地球温暖化対策・SDGsなど、独自の視点で日々発信

「児童館廃止」関する認識について

2013-10-12 | 活動日誌

現在、杉並区では「杉並区区立施設再編整備計画」の素案が発表され、先日終了した第3定例議会の決算特別委員会でも大きく取り上げられました。

その中の「児童館廃止」という言葉だけが独り歩きし、背景や今後の展開の説明が無い形で区民に伝えられたと思われる事から、十分な理解が得られないまま「児童館という、今まで大切にしてきた居場所が奪われるのではないか。」という区民の方からの不安の声が私の元へ届くようになり、大変心を痛めております。

以上のことから、ここでは「児童館廃止」に関する私の現在の認識について書かせていただきます。

児童館とは、児童福祉法第40条に規程されている児童(児童福祉法上0歳~18歳未満の子ども)に健全な遊びを与え、その健康を増進し、または情操を豊かにすることを目的として設置される屋内型児童厚生施設です。

杉並区では区内で42ケ所あり、その内11ケ所が築40年以上と老朽化が進んでいます。学校施設のように夏休み中に修繕をする事が出来ないまま使用しており、傷みが激しい施設も見受けられますが、児童館の数は23区中3番目に多く、地域偏在も無く充実しています。

現在の児童館では、乳幼児親子が集う場として「ゆうキッズ」事業があり、生後まもない乳児と保護者向けのプログラムがあり、年齢別やテーマ別のミニプログラムや季節のイベント、講座や講演会の企画もあり、自主的な活動も活発なおかげでママ友を作ったり育児の不安や悩みを共感できる場づくりの子育て応援事業として区民に浸透し、ご評価を頂いていると考えています。

また、小学生対象の学童クラブを併設しており、保護者が就労などにより、昼間留守になる家庭のお子さんを対象として下校後の生活の場として安心して楽しく過ごせるよう、遊びや集団活動を中心とした運営を行っています。これまで学童クラブの設置に関して国による根拠法令は無く、設置義務はありませんでした。そのため自治体によっては学童クラブが無いところもありました。これが今後は消費税8%となったことで財源が確保され、平成27年度の「子ども子育て関連3法」の本格施行により基準遵守の義務化されます。杉並区ではこれまで4年生(他自治体は3年生)まで受け入れていましたが、今後は6年生まで拡大され義務化されます。また、今後の保育需要の増大を加味していくと、現在のような児童館での学童クラブ設置では受け入れが難しくなること、また、学童クラブへの行き帰りの子どもの安全性を心配するお声があることから、区では小学校内に学童クラブ併設という方針の転換を図る方向性が示されました。これから計画される小中学校の再編整備計画に併せて学内に取り込み管理体制などの検討がされていく予定です。

それに加えて児童館では、本来でしたら18歳までの児童を受け入れる体制が望まれるところですが、学童クラブの重要増大により居場所が無く、これまでほとんど利用がありませんでした。また、学童クラブの時間帯でも本来は他の小学生や乳幼児を受け入れる余裕があれば良いのですが、需要増大によりこの時間帯はほぼ学童クラブ専用の施設利用となり、課題点として捉えられていました。

区ではこうした背景を踏まえ、全区的な取り組みである「杉並区立施設再編整備計画」に合わせ、児童館においても本来のあり方を改めて見直し、それぞれの利用状況を鑑み、より充実させる方向性で検討を進めています。

今計画はまだ(素案)の形であり、現在は様々な形で利用をしてくださっている方への意見聴取に努めるとしていますが、私としてはまずは説明会の実施をし、区民理解に努め、その上で意見聴取をするよう強く要望をしております。

今後の計画決定までのスケジュールは区議にもまだ明示されていません。区内に有る公有地の売却などの状況により計画は大きく変更される可能性もあると考えていますが、老朽化による施設の更新と人口動態に合わせた今よりも充実したサービスが提供できる体制を作り上げるために、議論を尽くすことを望んでいますし、私も区民のお声を届けるべく尽力して参ります。

ご意見やご質問、ちょっとした心配事でも結構です。お気付きの点があればどうぞお寄せください。

(ご要望があれば、ミニ区政報告会を開催いたします!)

連絡先:yamamoto.akemi1965@gmail.com


一般質問の様子(動画):現在の課題点について質問及び提言を行いました。

「保育所と学童クラブの待機児童対策について」

平成25年 第1回定例会 2月15日

http://www.gikai.city.suginami.tokyo.jp/vod/25-01/250215.htm

 

※「杉並区区立施設再編整備」

区で現在596箇所の施設があり、その多くは人口増加や経済成長を背景に昭和40年代から50年代にかけて整備され、現在はその50%が築30年、約30%は築40年を越えています。今後はこれらの老朽化に伴い次々に更新時期を迎えますが、現在のままの規模を維持するには多大な財政負担となります。一方で、少子高齢化による人口構造の変化等により、多くの施設で設置当初と現在の利用状況が変化しています。小中一貫校整備、児童館のあり方、ゆうゆう館の利用率など、改めて施設ごとに現状と今後を把握しなおし、区民共通の財産である施設の有効利用をはかる必要があります。