山本あけみ「緑ゆたかな環境を子どもたちへ」

建築士や生活者として、都市計画・公共施設マネジメント・地球温暖化対策・SDGsなど、独自の視点で日々発信

「久我山駅前広場を展望するパネル展」開催のご報告

2020-08-31 | 活動日誌

杉並区南西部に位置する京王井の頭線久我山駅は、一日当たり4万人を超える、多くの乗降客数がありながらも、駅前広場がありません。

小さいお子さま連れやご高齢者、障害をお持ちの方、病院に行かれる方、そして、通勤通学やお買い物など久我山駅の利用者は様々ですが、どんなに大変であっても、タクシー寄が無く、自家用車も安心して駐車できるスペースが無い為、基本的には徒歩か自転車での移動となります。

駅前広場があったらいいのに、そう願ってきました。

 

今年度、杉並区では「富士見ヶ丘駅前周辺まちづくり」に着手し、駅の利用者の多くの方々からご意見を伺い、どの様な将来像を描いていくか検討が進んでいます。

令和4~6年には、この2つの駅が玄関口となる東京都立高井戸公園の順次開園が予定され、今よりも一層、乗降客数が増える事が予測されています。

 

杉並区では平成8年に

「久我山駅前地区整備構想(案)策定調査」をしました。

報告書には、以下の項目があります。

第1章 地区の概況

久我山の概況、人口等、産業、土地・建物利用、都市計画等、交通、

公共公益施設等の状況、土地・建物所有

 

第2章 地区内地権者の意向把握

アンケート調査の概要、回答者の傾向

 

第3章 交通実態調査

調査の概要、調査結果

 

第4章 地区の問題点と課題

 

第5章 地区整備構想(案)

まちづくりの目標(テーマ)設定、まちづくりの基本コンセプト、

地区整備構想(案)、今後の課題

 

 

そして、

翌年9月には「久我山駅前地区整備総合計画(指針)」を以下の項目の とおり取りまとめました。

 

第1章 杉並区の将来像と関連諸計画

基本構想、実施計画、まちづくり基本方針など

 

第2章 久我山駅周辺地区の整備方針

駅周辺地区の現況、課題と整備の目標、地区整備構想(案)

 

第3章 久我山駅前地区の整備計画

前提条件の整理、駅前公共施設のあり方

 

特に、最後の「駅前公共施設のあり方」には、

・交通施設の方針      ・南北自由通路

駅前の広場計画      ・周辺道路の整備方針

・神田川緑地の整備方針  ・自転車駐車場計画

が、しっかりと含まれていました。

 

その中にある、駅前の広場計画(89P)を抜粋します。

(3)駅前の広場計画

〇北口広場整備

・地下道の整備に伴い、現在の駅舎の再整備も必要となる。駅舎の整備に際しては、北口広場として必要な面積1,000~1,600㎡のうち、現在の駅舎となっている京王帝都所有地(面積約300㎡)を広場として整備する。

・広場には、植栽、ベンチ、情報掲示板等を設置し、うるおいのある 空間創出とともに、身近な生活拠点としての利便性を考慮した  整備を行う。

 

〇南口広場整備

・南口は駅から神田川を挟んで人見街道までの用地を広場として整備し、面積は約2,000㎡を確保する。

・人見街道沿いにバス・タクシー停車帯を設置し、駅前交通機能の向上をはかる。

・都市計画緑地を駅前広場として活用することから、みどり豊かな、親水性のある空間整備を行う。

 

・自由通路の開設に伴い、南口から人見街道への動線確保として神田川に橋を新設する。また、この橋は、南口前のたまり空間としての機能を持たせることから、余裕ある幅員(15m程度)あるいは   久我山橋を南口まで拡幅することで対応する。

・上記新橋を幅員15mとした場合、河川管理用通路の両側と橋部分で、16m×15m=240㎡を確保し、たまり空間としての滞留人口は、1.2人/㎡とすると、240㎡全体では200名の滞留空間が創出される。

 

図3-8 北口広場および南口広場イメージ

※「久我山駅前地区整備構想(案)策定調査」及び「久我山駅前地区整備総合計画(指針)」は、杉並区内図書館で貸し出ししていますので、より詳しくお知りになりたい方はご利用ください。

 

この様に、これまでの経緯を振り返ってみると、

久我山駅前広場はいったん杉並区政において位置づけがされながらも、その後立ち消えとなっている事がわかりました。

そして、大変残念ながら、現在の杉並区政においては課題として位置付けられていません。

これからは、少子高齢社会の本格的な時代を迎え、駅周辺の安全性や利便性がますます必要となって行きます。また、高度成長期に主に建てられた建物の老朽化し、建て替えが進んでいく為、いったん建て替えが進んでしまうと駅前広場の為の用地取得は大変難しくなり、駅前広場は実現していきません。

 

山本あけみは今のこの時期を捉え、久我山駅前広場の整備に向けて、もう一度、杉並区政において重要課題として位置付けて行ってもらいたいと、強く提言を続けています。

本展覧会をご覧いただいた方からいただいた貴重なご意見を、区政へ届けていきたいと思います。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。


杉並区中央図書館改修が終わり、リニューアルオープンします!

2020-08-18 | 活動日誌

広報すぎなみの8月15日号に、嬉しいニュースが掲載されました。長らく改修工事で閉館だった杉並区中央図書館がいよいよ9月5日にリニューアルオープンします!

https://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/061/334/suginami_0815_12.pdf

 

私は2016年、中央図書館改修に当たり、杉並区が当初考えていたような単なる営繕工事に留まらず、今後30年間使い続ける図書館を新たに作り直す姿勢を持って取り組んで行って欲しいと提言を続けてきました。区内建築士団体の皆様からは、現地視察で得た知見をまとめたご提言を多く頂き、区政を動かす大きな原動力となりました。

主に訴えて来たのは以下の3点です。

1、幅広い区民の意見聴取

2、建物の可能性を引き出し、利便性の高いレイアウト変更のみに止まらず省エネ性能も可能な限り追及

3、「杉並区立図書館サービス基本方針」の具現化https://www.library.city.suginami.tokyo.jp/outline/pdf/2305_tosyokansabisu_kihonnhousin.pdf

 

その様子をブログに纏めてあります。↓

◆杉並区立中央図書館改修を契機に未来志向の図書館づくりを!https://blog.goo.ne.jp/akemiyamamoto/e/c6a4689ad76d52be5788a74f931e31ff

平成27年第3定例会の一般質問などで「中央図書館の改修について」というテーマで質疑を行いました。同じテーマで数回にわたり取り組み、本会議場で聞いている区長を始め教育長や部長、そして他会派の議員にも印象に残るようにと繰り返し訴えました。残念ながら、杉並区議会でこの年の録画の公開が終了していて動画はご覧いただけませんが、内容を区政報告に纏めてありますのでご覧ください。

◆区政報告vol.18→ http://yamamotoakemi.com/report/report_2016vol18.pdf

 

また、こういう公共建築物の改修や改築を提案すると、意図せずして、いわゆる賄賂を貰っているのだろうと揶揄される事があります。私は一切そういう金品を頂いたことは無いため困惑しましたが、抗弁をブログに纏めてあります。疑いをかけられるのは本当に嫌な出来事でした。

◆杉並区立中央図書館の改修について https://blog.goo.ne.jp/akemiyamamoto/e/8e280c0434ed6ec48f4032ae30c15c2b

 

 

長く建築士として内装の設計に携わってきたので、空間の活かし方に関して、思うところはあります。デジタル化が進んでいるので、事務室を縮小しその分を区民の利益に資するスペースとして欲しかったなどです。

しかしながら、未来志向で区民が利用しやすく、時間をかけて区民意見を聞き、じっくりと建築物を作り直してくれた事には大変感謝をし、取り組みを評価をしています。

今後、老朽化による区立施設の再編が進んで行きます。建築物はいったん出来上がってしまうと、後戻りが出来ない、そう簡単には使い勝手を変える事は出来ません。だからこそ、プロセスを大切に、特に実際にその建物を使う区民のご意見をしっかりと伺うことは最重要と考えています。

中央図書館を利用される方が居心地の良く、ゆったりと本に囲まれた時間を過ごせるよう願っています。

 

以下、杉並区で纏めて下さった基本計画や意見交換の記録、また、新旧のレイアウトの比較を掲載いたします。

◆杉並区立中央図書館改修基本計画 

https://www.city.suginami.tokyo.jp/kusei/kyoiku/toshokan/1037961.html

◆区民との意見交換の記録

https://www.city.suginami.tokyo.jp/kusei/kyoiku/toshokan/index.html

◆中央図書館の改修工事

https://www.library.city.suginami.tokyo.jp/news/n20190726_02.html


コロナ禍の終戦記念日に思うこと

2020-08-14 | 「あれこれ」のこと
我が家の子供は、お正月に実家に行くと、いつもテレビに映っている箱根駅伝で家族がエキサイトしている姿が不思議だったらしい。
 
何故いつも、実家に行くと駅伝なのか。
 
 
私も小さいころ、夏休みに母のお墓もある、茨城の父の生家に行くと終戦記念日、高校野球が12時になると黙とうに代わり、それまでワイワイと話をしていた親戚が黙ってしまうのが不思議だった。
 
 
黙とうの後は、決まって戦争の話。
 
農家の3男で、大学から東京生活をしていた父。
終戦を13歳で迎えた。
 
 
長兄は戦地で負傷し、鉄砲玉を腹に抱えたまま帰国。
次兄は特攻隊に志願したものの、思いを遂げることなく帰郷。
戦争が終わり家に帰って来た時の様子を、誰かが話し出すと止まらない。
 
その頃、3男は防空壕を掘り、理系ゆえの精密さを誰それに褒められたとか、
農家ゆえ休憩所として軍隊が来た時には炊き出しが大変だったとか、そんな話。
 
戦中戦後を生き抜いてきた力強さと、やるせなさを抱えながら、それぞれの話やしぐさは雄弁に語っていた。
 
私は敗戦から20年後に生まれた。
 
 
 
小学校の頃は腕と足を負傷した傷痍軍人が、まるで戦時中の様な格好で道端で物乞いをしていた。文化住宅(団地)に住んでいた私は、前を通るのが憚られたのを強く覚えている。こちらを見ていた視線を覚えている。
 
戦争は確かに私の身近に今もある。
 
55歳となり、20年間という時間の長さ、そして短さを朧気ながら捉えられるようにもなった。これは、年を重ねていく事で得られる、一番のご褒美。
 
 
今年は、コロナ禍で明日の終戦記念日に、先祖や母のお墓参りに行けずに自宅でのんびり。
 
終戦記念日とお盆が重なっているのは、何故なのだろうとネットで検索しながら、理由はどうであれお盆の墓参りに家族や親せきと終戦記念日を迎える事の重要さを、今年は殊更に感じている人が多くいるのだろうと考えている。
 
私もその一人。