
2月13日放送のNHK大河ドラマ「江」第6回は光秀の切腹で終わっていました。この場面で気になったことは光秀の介錯をしたのが斎藤利三だったことです。多分、利三が介錯したというのは史上初めてのことではないでしょうか。
★ 斎藤利三犯人説を斬る!
通説では溝尾勝兵衛(庄兵衛)が介錯したことになっています。これは出鱈目といわれる軍記物『明智軍記』が書いたことですが、司馬遼太郎『国盗り物語』がこれを踏襲し、大河ドラマなどテレビでしばしば放映されて定説化したものです。ただし、司馬遼太郎氏は介錯したとまでは書いておらず、槍に刺された光秀の最期に立ち会ったという書き方になっていますが。
★ 明智軍記:朝倉義景仕官説1
★ 明智軍記:朝倉義景仕官説2
★ 明智軍記:光秀・信長仕官説
★ 明智軍記:濃姫・光秀従兄弟説
ということで、「江」の斎藤利三介錯説は新説か?ということになりますが、それを裏付けるような当時の史料は全くありません。溝尾勝兵衛説も何ら根拠のない話ですので、利三説が出てもおかしくないといえばそうなのですが、「江」では光秀の家臣として出てくるのは利三だけでした(なかなかの好男子でした)。勝兵衛の他には明智秀満もいたし藤田伝五もいたのですが。
それは何故かと考えると、出演料節約が利三説の理由に思えてしまいます。そういえば、小栗栖の竹薮をスタジオに再現するのにもお金がかかります。それで小栗栖の竹薮が「江」に出てこなかったのかと勘ぐりたくもなります。なにしろテレビ放送界も不況の波をかぶって厳しい状況なのです。民放とは違うとはいえNHKも経費節減に努力しています(多分)。
★ 大河ドラマ「江」の歴史捜査6:小栗栖の竹薮
あらためて、歴史小説も歴史ドラマも歴史の真実を伝えようとして作られたものではない!ということをご理解いただきたいと思います。著者・脚本家が自分の主張したいことを歴史に名を借りて投射して作り上げた創作(物語)なのです。このことは一見当然のことで誰でもわかっていることに思えるのですが、実際には史実との見境も無く広まっていってしまう現実があります。江戸時代には軍記物がもてはやされて通説が広まりましたが、現代の歴史小説や歴史ドラマは「現代の軍記物」の役割を見事に果たしているのです。
歴史捜査レポートとは?
歴史捜査レポートの目次
【歴史捜査レポート:大河ドラマ「江」シリーズ】
本能寺の変の通説:今年も「江」で登場
兄・万福丸の処刑の真相
万福丸ショック
父・浅井長政の頭蓋骨
正月の酒宴の出席者
森蘭丸さん?
光秀のきんかん頭
怨恨説踏襲ですね!
『明智軍記』踏襲ですね!
信長の遺体
光秀謀反決意の理由
小栗栖の竹薮
光秀辞世の句
信長の天下太平
>>>トップページ
>>>ブログのご案内
>>>本能寺の変 四二七年目の真実
★ 斎藤利三犯人説を斬る!
通説では溝尾勝兵衛(庄兵衛)が介錯したことになっています。これは出鱈目といわれる軍記物『明智軍記』が書いたことですが、司馬遼太郎『国盗り物語』がこれを踏襲し、大河ドラマなどテレビでしばしば放映されて定説化したものです。ただし、司馬遼太郎氏は介錯したとまでは書いておらず、槍に刺された光秀の最期に立ち会ったという書き方になっていますが。
★ 明智軍記:朝倉義景仕官説1
★ 明智軍記:朝倉義景仕官説2
★ 明智軍記:光秀・信長仕官説
★ 明智軍記:濃姫・光秀従兄弟説
ということで、「江」の斎藤利三介錯説は新説か?ということになりますが、それを裏付けるような当時の史料は全くありません。溝尾勝兵衛説も何ら根拠のない話ですので、利三説が出てもおかしくないといえばそうなのですが、「江」では光秀の家臣として出てくるのは利三だけでした(なかなかの好男子でした)。勝兵衛の他には明智秀満もいたし藤田伝五もいたのですが。
それは何故かと考えると、出演料節約が利三説の理由に思えてしまいます。そういえば、小栗栖の竹薮をスタジオに再現するのにもお金がかかります。それで小栗栖の竹薮が「江」に出てこなかったのかと勘ぐりたくもなります。なにしろテレビ放送界も不況の波をかぶって厳しい状況なのです。民放とは違うとはいえNHKも経費節減に努力しています(多分)。
★ 大河ドラマ「江」の歴史捜査6:小栗栖の竹薮
あらためて、歴史小説も歴史ドラマも歴史の真実を伝えようとして作られたものではない!ということをご理解いただきたいと思います。著者・脚本家が自分の主張したいことを歴史に名を借りて投射して作り上げた創作(物語)なのです。このことは一見当然のことで誰でもわかっていることに思えるのですが、実際には史実との見境も無く広まっていってしまう現実があります。江戸時代には軍記物がもてはやされて通説が広まりましたが、現代の歴史小説や歴史ドラマは「現代の軍記物」の役割を見事に果たしているのです。
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本能寺の変の通説:今年も「江」で登場
兄・万福丸の処刑の真相
万福丸ショック
父・浅井長政の頭蓋骨
正月の酒宴の出席者
森蘭丸さん?
光秀のきんかん頭
怨恨説踏襲ですね!
『明智軍記』踏襲ですね!
信長の遺体
光秀謀反決意の理由
小栗栖の竹薮
光秀辞世の句
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斉藤利三の存在の印象付けを行っているのだなと思いました。
おそらく、重臣クラスが何をやったのかまでは全然こだわりを持たずにシナリオを書かれているんでしょうね。
2006年大河の功名が辻では、何と土民に討たれた光秀の死を、山内一豊が看取るというすごいストーリーになっています。(斉藤利三の方がまだマシかもしれませんね)
念のため司馬氏の原作の光秀の死の辺りを確認してみましたが、やはりそのような描写はありませんでした。
近年の大河ドラマは(龍馬を除いて)これまであまりスポットの当たらなかった人物を主役にして、強引に有名な事に関わらせて行く方法が取られているように思います。
それにしても、軍記物が作ったお話を否定しようとしている矢先から、軍記物にも縛られないというか、全く勝手というべきか、あらたな作り話が堂々と公共電波(古い言葉ですが)に流されるのには唖然とします。最早、手の施しようがないのでしょうか。もう何でもありの目茶苦茶な状態というしかありません。
それが時代考証の先生に批判が多く行ったことは有名ですね。
考証の先生が「こんな事が書かれた史料は無い」と言ったら、脚本家が「信長は鉄砲を持ってなかった。と書かれた史料も存在しないですよね?」と強引に通してしまったそうです。
つまり、大河ドラマは「史料に書かれてある歴史を描く」のではなく「書かれてない事は好きに書いていい」という解釈になってしまっているようです。
歴史を正確に表現する場ではなく、エンターテイメント化してしまっていますね。
「ドラマや映画、コミックや小説で、一切史実から外れてはいけない」となるとそれはそれで問題だと思いますが、せめて公営放送では、日本の歴史を正確に伝えるという気持ちを持って頂きたいです。
明智先生の著作がドラマ化という話があった際は、絶対気をつけて下さいね。