午後7時に始まった神事を終える頃には、時計の針は9時少し前をさしていた。
楼門の外でその時を待った。
境内のほうから「消灯!!」と大きな声が響いた。懐中電灯の光だけが辺りを照らしやがて辺りは暗闇の中に息をひそめる。
漆喰の暗闇の中でもしばらくすると目が慣れてくる。おぼろげに辺りの雰囲気がわかり始めた。
人々は、ただひたすらに神が神輿へ移られるのを待っている。
5分ほどすると楼門脇の提灯に灯りがともされた。
道筋を清めるための先導者に伴われながらお下りの一行が神社を発った。
200m程はなれた仮宮へと、夜の帳が下りた参道を太鼓の音を響かせながらお下りの行列は進んだ。