赤い花にツマグロヒョウモンが、止まって忙しげに蜜を吸っている。
生き物を撮るときには、彼らが止まっている花等の近くまで脅かさないようににじり寄る。
彼らも馬鹿じゃないから、見かけないものが必要以上に近寄ってくると一度は必ず飛び去る。
それでも、そこにとどまって動かないようにしながら気配を消す。
そうすれば、蜜は吸いたい彼らもほとんど戻ってきてくれる。
脅かさないように、そろりそろりとレンズを近づけても、まぁ我慢して無視してくれる。
彼らのレーダーに異物じゃないと認識させるまで、花壇の傍で石像になったつもりで息をひそめる。
石像が指だけ動かし、さぁーシャッターボタンを押そうと、まさにその時になって他の見物人が近寄ってくる。
チョウチョウよといいながら、無神経にカメラを突き出されると、彼らも驚いて逃げる。
アーアー、逃げたと言って見物人は去るが、それからまた石像と化す時間が長くなる。
額を流れ落ちる汗が目に入る。
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