その週は金曜日まで寒冷前線の影響をうけ、ぐずついた雨模様の天気だった。
週間天気予報では、土・日曜日と天気は回復をし晴れの予報がでていた。
更に最低気温も10度を下回り、強かった風もおさまる予報が出ていた。
それではと、寝袋を引っ張り出し一年ぶりに日の光にあて、掃除機をかけカメラバッグに器材を詰め込んだ。
気になったのは、金曜日に思いのほか早々と天気が回復をしたことだった。
工事中で通行止めになっている、狩尾林道入口のわずかなスパースに車を停めた。
フロントガラスから見上げる夜空は、澄んだ空気のたまものか大量の星がきらめいていた。
夢うつつの中で、車のドアが閉まる音を何度も聞いた。
日の出が6時なので、4時過ぎにはスマホに起こしてもらった。
だらだらと続く下り坂を、薄明りの月光の中ヘッドライトを頼りに山道を下りる。
そこには、すでに先客が20名ほど日の出を待っていた。
阿蘇谷の街明かりの向こうに、東の空が鮮やかなグラデーションを描きながら夜明けを知らせていた。