2002年春。
大学入学を目前に控え、柄にもなく夢とか希望とかを抱いていた、気がする。
…正直なところ、前年までの受験勉強から解放され、
あほみたいに野球見てやるぞコラ、という思いのほうが強かったけれど。
とにもかくにも、いつも以上に開幕を待ち望んではいたと思う。
ただ、この年の開幕は少し違った。
史上初の札幌開幕。
準フランチャイズ化を目指すライオンズが、マリーンズを迎えて開幕戦を行うことになっていた。
将来的に数十試合を札幌で行うという構想もあり、微妙な心地ではあったけれど、
結局開幕直前にファイターズが完全移転を宣言し、
ファンの間に生まれたちょっとした不安は、予想外の形で消し去られた。
(以上Wikipedia「札幌ドーム」の項を早くも参考)
とにもかくにも、これからは野球をみるぜぇ、超みるぜぇ状態な自分からしたら、
たとえ札幌であろうと開幕戦は押えなければならない。
当時この時点での「遠征」といえば、逆転サヨナラの勢いに乗って、
知人の車に無理やり乗り込んで行った大阪ドーム(ローズ55号の日)くらいだった。
人生初のまともな遠征。
思えば、これが飛行機に乗るのが3度目ぐらいだった気がする。
まさか、この後数えきれなくなるほど乗ることになるとは、さすがに思っていなかった。
さて、開幕戦は3月30日(だったらしい@wiki)。
土曜日の開幕のため、当然社会人の友人達は当日移動。
自分もそうするか、と思っていたところに声をかけてきたのが、
誰あろう若き日の64ユニその人だった。
「金曜日も休みとれたから、一緒に前乗りしないか」
よくよく思い出せば、あの開幕戦は全席指定。
全くもって前乗りする必要はないので、恐ろしいほどとんちんかんな話だったが、
時間を悲しいほどに無駄に垂れ流していた自分はすぐに飛びついた。
男2人の、札幌2泊3日観戦ツアーが決まった。
同時に、この先7年ぐらいの運命も、実は決まっていた気がする。
当日の移動はスムーズだった。
スムーズにいくことがどれだけ素晴らしいかを、後の遠征で痛感することになるのだが、
それはまたいつか別の機会に。
まだ雪の残る札幌に無事到着し、寒いねぇなどといいながら街中をうろつく。
ここでちょっとした問題に気付いた。
金曜日の予定を何一つ考えていなかった。
そもそも前日入りした理由が、
「開幕だから前日に乗り込むのだー」であり、
「時間があるからせっかくだし札幌観光のために前乗り」ではなかったのだ。
つまり、「前日に札幌に乗り込んだ」時点で大願成就。
現在午前11時過ぎ。
あてもなく歩く野郎二人。
とりあえず歩きながら遅すぎる作戦会議。
結局、「札幌らしい」と二人が思う場所へ向かうことに。
着きましたよ。札幌丸山球場。
なんか間違っている、と2010年現在の自分ならわかる。
非常に残念なのが、当時2人ともに大正解だと思っていたこと。
当時の時点で現在の自分の年齢をゆうに超えていた64が、
自分の回答に疑問を抱かなかったのはどうかと思う。
当然何かイベントをやっているわけもなく、なんとなく一周。
ここで東尾が回し蹴りを見舞ったんだねえ、とか話しながら。
・・・
本格的にすることがなくなりました。
ちょうどお昼どきだったので、ひとごごちつけるべく公園近くのケンタッキーへ。
無計画ゆえに、旅行先でファストフードという最悪のチョイスに至る。
チキン・セットを頼み、着席。
食べながら話をしようと、とりあえずチキンに口を運ぶ。
が、お互い全くの無言。
なんとなく顔を見合わせる。恐らく3秒か5秒か。それくらいの時間。
旨いのだ。
チキンが。
めちゃくちゃ。
びっくりした。
明らかに今まで食べたケンタッキーとは味が違う。
口に運んだ時は自分の勘違いかと思った。
同じく口に運んでいた64も同じリアクションをした。
意思の確認を行う。ミスジャッジではない。間違いなく旨い。
結局、「食べながらこの後の相談」ではなく、
「まずはこの至高のランチを堪能してから話し合う」ことに無言で決定。
この話は同席した64以外の誰にも信じてもらえない。
「ただ腹が減ってただけじゃねえの」などとアマチュアな発言をしてくる。
違う。絶対に違う。
最終的には「札幌ケンタッキーは肉と油と粉が内地とは違うオリジナル」
という結論まで2人で出したほどだ。
8年の時を超え、あえてもう一度言おう。
「ケンタッキーは、札幌丸山公園前店が一番うまい」
隠れた名店を見つけ大満足の二人。
とりあえず、札幌駅のLOFTで材料を購入し、
応援ボードをホテルで作ろう、ということになった。
※次回
札幌でボード材料を購入した2人。
買ったはいいが、何を作るべきか思い浮かばず苦悩する。
そして、ラーメン店で64が起こした珍妙な行動とは?
「
64ユニのライオンズなアレ」につづく