あいらのひみつ箱

2006年の年明けとともにジュリーに堕ちました。日の浅いファンが 勝手な思いを書き連ねるゆるいブログです。

思いきり気障な人生②

2010-11-25 23:33:44 | アルバムレビュー
※11/18の記事①の続きです。
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連日のライブも一段落したし、そろそろUPしていいかしら~?ということで後半です。
しかし、一記事中、シングルが5曲中3曲というのは初めてですわ。

ジャケット、こっちはLPなんですけど・・・帯が妙に賑々しいですね。
シングルの「サムライ」を差し置いて「あなたに今夜はワインをふりかけ」と
デカデカと書かれてるのは、やっぱりCM効果?
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6.勝手にしやがれ
過去レビュー記事は→こちら
この曲は、シングル、アルバムとも同じバージョンのようなので割愛。

7.サムライ
過去レビュー記事は→こちら
このシングルレビューは、我ながらよく聴き比べて書いたつもりなので(「良く書けてる」
ではありませんけどね)、
記事後半の『思いきり気障な人生』版と『ROYAL STRAIGHT FLUSH』版を較べた部分に、
それぞれの特徴を簡潔にまとめた・・・ことになっております。
切なげな声も、抑制の効いたアレンジも、こちらのアルバムバージョンの方が
「男のやせ我慢」というコンセプトに、よりしっくり来る、ストイックな印象でキュンです。

8.ナイフをとれよ
時にシビアで、でもとことん付き合うぜ的な(?)、女性がちょっと入っていけないような、
男の友情の「粋」を感じさせる詞が、一杯呑みたくなる感じですわ~。
イントロはギター&ピアノの穏やかなサウンドで始まり、後半ストリングスも入って
静かに盛り上げます。
Aメロはシンプルにピアノの伴奏で、じゅりのつやつや美声を堪能。
展開部からギターが前面に出て、じゅりの発声もハリがある感じに。
で、アテクシ的なツボはですね~。
2番のAメロで、右からのギターに続いて、左から入ってくる、音色の違うぽろぽろ、
っていうギターの音!(♪ケロリとしろ~♪のあとね)一瞬だけれど、すごく素敵です。
と言うことで、「ナイフを取れよ」。とっても好きな曲ですが・・・ただし。
♪迎え酒なんてどうだ~♪だけは頂けません!
たとえじゅりのオススメでも、迎え酒だけは御免被りますわ。
あれは、その後3日ぐらい廃人になりますから・・・ 

9.憎みきれないろくでなし
過去レビュー記事は→こちらなんですが・・・
先日、この曲の映像を鑑賞しておりましたらば、Sカルゴ氏が横からジーッと見てまして、
このシーン↓↓で、アテクシにこう言うんですのよ。

 

Sカルゴ「・・・・・何してるの?」
あいら 「え?」
Sカルゴ「さわだけんじさん、何してるの?」

んー、こういった場合、幼児の母としては、なんと答えれば良いんでしょうかね。
何してるんだろうね~~ママもワカンナイなー。踊ってるのかな~?

10.ママ・・・
ということで「ママ・・・」です。
申し訳ないんですが、この詞、いくら考えても理解できなくて困ってるんですが・・・
70年代の少女マンガの主人公の美少年(←ココ重要)が背負っていそうな重~い過去が、
とにかく、この「ぼく」にはあるんだ、という前提で聴くしかありませんわ。
曲全体を通じて、硬質なピアノの音が不気味に響きます。
砂時計の砂のように、舞い落ちる木の葉のように・・・・曲中を駆け巡っているこの音は、
ベースの奏でるビートに乗って、ギターやシンセなどで曲が盛り上がって、しばし存在が消えた後も、
気がつくと払っても払っても消えない傷のように、フッ、と浮き上がってくるのです。
クライマックスは2番に入る直前、ピアノが駆け上がって、直後の
ママァァ~~っ!これでございましょうね・・・怖すぎです。
じゅり・・・・なんて声を出すんでしょうか、このお方は。
その次の「ママァ~~!」も相当です。
ただ、何度も何度も繰り返し聴いているうち、ショッキングな曲という当初のイメージだけでなく、
とても繊細で美しい曲だなと思うようになってきました。
じゅりの声も
♪誰か傷を おわせたのか♪の「に」とか、
♪一度ママはそれについて♪の「も」とか、
ハッとしませんか?
ピアノがリタルダンドして伴奏が終わった後の、ラストの金属音のような残響も不気味ですね。


【あとがき】
このアルバムについて、ネット上の感想などで、アテクシが前々から、あちこちでよく拝見してた
ご意見にですね、大まかにまとめますと、
①阿久さんの詞の強い個性が、全体の雰囲気の決め手になっている
②サウンドの傾向として、まとまりがない感じがする

というのがございまして、この2点について、今回は自分なりの見解をと思っておりましたんです。
アテクシ的には、まず①はその通りかなと。もう、説明いらないよねくらいの感じで 
で、②なんですけど、これは「ろくでなし」「ふりかけ」「ラム酒~」あたりのゴージャスっぽい曲と、
「再会」「ママ・・・」的などんよりどっぷり系の曲にギャップがあって、尚且つシャッフル
された曲順なので戸惑う、というようなことらしいのですが・・・・
その点はアテクシ、意外とすんなり聴いちゃってますね。
詞の世界のシチュエーションや曲調がガラッと変わっても、詞の現実感の無さはそのままですし、
歌謡曲っぽいサウンドにも、むしろ統一感さえ感じましたわ。
オーケストラのクレジットが無いので、バンドとピアノ以外はすべて打ち込みなのかなぁと
思ってるんですが(実際のところどうなんでしょう)、
「沢田研二のオリジナルアルバム」としては、最高のセールスがあったというだけあって
とってもゴージャスなアルバム、という印象が強いです。
最後に一応、恒例のお気に入り曲ですが・・・・
そりゃなんてったって「ラム酒入りのオレンジ」ですわ 
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(終わり)

思いきり気障な人生①

2010-11-18 23:18:12 | アルバムレビュー


『思いきり気障な人生』

全曲)作詞:阿久悠/作曲:大野克夫/編曲:船山基紀

1.思いきり気障な人生
2.あなたに今夜はワインをふりかけ
3.再会
4.さよならをいう気もない
5.ラム酒入りのオレンジ
6.勝手にしやがれ
7.サムライ
8.ナイフをとれよ
9.憎みきれないろくでなし
10.ママ・・・

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日に日に寒さが深まる今日この頃、皆様お元気でしょうか。

さて、間が開き過ぎちゃって、もう誰も覚えていないと思いますけど、
「じゅりアルバム年代順レビュー」なるものが、一応まだ継続中でございまして。
放ッぽらかしてた理由は他でもない、次から阿久3部作に突入なんですのよ・・・
阿久3部作と言えば、そのキモはずばり強烈な「詞」ってことになるんでしょうが、
一部の方はご存知のように、アテクシ、歌詞の解釈ってのが、すごーく苦手なのよ~!
だからついつい、避けてたんですが・・・そろそろ年末だし、年初に立てた目標を思い出して、
取り掛かってみようかなと。

寒い日には暖かい部屋で、今回のお題であります超濃厚でドラマティックなアルバム
『思いきり気障な人生』など鑑賞するのも、よろしいかもしれませんわ。
名盤とともに味わうのは、芳醇なワイン、テキーラ、バーボン、ラム・・・
どんなお酒がいいかしら(←酒呑みの思考)

バーボンのボトルを抱きながら、ハンパなワインをふりかけて、
レモンを搾ったテキーラと、ラム酒入りのオレンジをチャンポンすれば、
そこはどっぷり阿久ワールド。

濃厚すぎて、悪酔いしそうだよ~♪と思いつつも、聴けば聴くほど、
めまいがしそうなJULIEの美声に心を奪われる一時なのですわ 

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1.思いきり気障な人生
イントロで「あら、演歌?」と一瞬思わせておいて、ピアノに乗せた冒頭のキメ・フレーズ
→物々しいストリングスの流れで、「ン、違うかも??」と戸惑っていると、
♪あなたはぼくを 愛する資格がない♪
って。えー!なんでそこまで、上から目線~っ?!とのけぞりそうになりますわ。
「僕には君を愛する資格がないね」系の詞は、世の中に沢山ある気がしますが、
この逆パターンは聞いたことないです~。
阿久さんが、ものすごーく、じゅりを思い浮かべながら書いたんだろうな~と思っちゃいますわ。
だって、相当イイ男にしか、許されないセリフって気がするもの・・・・
曲の後半、低弦がうねって盛り上がり、フッと弛緩。でもそこで油断していると、
♪カゴに入れたら 只の虫なんだよ♪でございます。
でもそこで、「む、むし~ぃ?」とか、いちいち驚いていてはまだまだですわ。
このすごすぎる1曲目、「我ここに、気障宣言をせり」ってなワケで、言わば、このアルバム全体の
世界観を、6分半もの長尺で、強烈に宣言している曲と言えるのではないでしょうか。

2.あなたに今夜はワインをふりかけ
"気障っちいこと、この上無い"ところは、1曲目の『思い切り気障な人生』と同じですが、
こちらはドロドロした重~い雰囲気は一切無し。
じゅりの美声で、それこそ「歯が浮くような」愛の言葉を、これでもかと浴びせかけられるんですから、
そりゃあもう、心まで酔わされてメロメロになっちゃうこと請け合いですわ。
「気障」という共通点を保ちながらも、ドロドロ→メロメロにシフトチェンジするだけで
別世界のよう。
イントロ2小節のあとすぐに頭サビ、でガツーンとやられて、あらゆる音を駆使したフルサウンド、
音の洪水、ゴージャスなことこの上ありません。2番のピアノなんて本当に心躍ります。
ところで、前から思ってたんですけど、この 
♪酔わせたい 酔わせたい♪
って、言葉を重ねるところがたまんないですよね~。
だって、ワイングラスを手にしたじゅりが
酔わせたい 酔わせたい~ 
って、熱いまなざしで迫ってきたら、どどどどうします~~!!!
阿久さん、じゅりにぴったりの、目くるめく素敵な詞をありがとうございます。

3.再会
ふりかけで高揚した気分が一気にクールダウンできちゃう、どんより重~い、暗~い曲でございます。
似たようなテーマでも♪君の過ぎた日の~愛があろうとも~♪と『よみがえる愛』のように
歌ってくれると、甘いムードになるってもんですが・・・
じゅりの声も、相当暗い感じで、
♪あなたが背負った不幸の重さは~♪
って怖いですから・・・・その女性、いったいどんな壮絶な過去があるんですかー?
と聞きたくなりますわ。
サウンドはピアノとキーボードが主体なんですかね。
ストリングスの音も使われてますが、刻みとかトレモロで効果音程度?
♪真心だろう~♪という一節が、あまりにも演歌で、昭和で、レトロ感漂いまくりです。

4.さよならをいう気もない
過去レビュー記事は→こちら・・・なんですが、ブログ始めてまだ1ヶ月位しか経ってない頃の、
超ふざけた記事なので・・・生温かい目で見てやって下さい。
基本歌謡曲テイストながら、このアルバムバージョンはアレンジがステキ。
特に、エンディングの躍動感溢れるピアノを主体としたセッションが超カッコいいです!
単独で聴くと、けっこう重たい感じがするのに、どんよりした「再会」の後に聴くと、
テンポよく軽快にさえ聴こえてくるのが不思議です。
歌詞はけっこう虚脱感に満ちた感じなんですが・・・
何より、じゅりの声が前の曲とぜんぜん違うのにビックリします!

5.ラム酒入りのオレンジ
Aメロの流麗な節回し
軽快で艶やかなピアノ
ウキウキしちゃうパーカッション
そしてじゅりの声自体のつやつやさ
もう、堪らないですわ~ 
大好きな曲です。好き過ぎて困る~ 
詞の内容的には、気障を気取りながらも、小悪魔系(?)のお嬢さんにメロメロだよ~んという
軽いノリで、それがこの軽快なサウンドを引き出したのでしょうね。
ところで、間奏のギターは2本が同じフレーズをユニゾンなのかしら?
サビの女声コーラスとの掛け合い部分も軽やか爽やかでステキです。
じゅり、正月コンで歌ってくれないかしら。ぜひお願いします 

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※②に続きます。

チャコール・グレイの肖像②

2010-01-23 18:32:43 | アルバムレビュー
※①の続きです。
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6.片腕の賭博師
流麗かつキレのあるピアノと痛快な歌詞が印象に残ります。一曲だけ異世界のような設定の詞ですね~。
70年代日本から、いきなり「ネバダの賭博師さ」ですから。
でもどうしても、外人さんではなく、バクチを打つ八村八郎さんの姿しか思い浮かびませんわ
詳しくは解りませんが、ギターはスライドさせて弾いてるような?箇所が多くてカッコイイイですね。
なんだかレトロに感じてしまうのは、ツクツクツクツク タータってなギターのせいでしょうか。

7.ヘヴィーだね
じゅり本人作詞作曲のけだるげな曲。まさに投げやりな空気が漂ってますわね。
ド頭の、一瞬「どこまで行ってしまうのか」と思わせるような上昇音階に続き、
アルペジオの伴奏に乗せて奏でられるギターのメロディー、音色が何とも秀逸。
♪OH~ベイベー♪ポロポロン♪と入るピアノもステキ。
今、中々こういう曲ってないですよね。じゅり本人の曲も含めて。
「じゅり~!キャー!」という感じじゃなく、一人グラスを傾け、自嘲的に微笑する若じゅりの姿が
浮かんできますわ。
2番になると、じゅりの声、少し酔いが回ってきたみたいに聴こえます。
そして最後、前奏と同じギターのメロディーに戻り、そのまま夜が深まっていく・・・
そんな倦怠感が魅力的な曲です。

8.ロ・メロメロ
前曲とは180度転換して、明るくキュートなじゅりですわ~いつもは飛ばしちゃっててごめんね、じゅり(オイ
伴奏の要はリズミカルなピアノでしょうね。
間奏のピアノ&女声コーラスはおしゃれですが、コミカルでもあり楽しい気分になります。
2番からはそのまま、女声コーラスがずっと入りにぎやかに。
(個人的にはコーラス入り過ぎだと思いますが・・・)♪ワワワワー ハァ~♪って、おもしろいけどね。
しかししかし!なんちゅう歌詞なんですか~(笑)
100歩譲って「メロメロ」はともかく、頭の「ロ」ってナンデスカ?てか、何語?
丸顔、丸い鼻、小さい目、太目の足・・・・一般的にはハンディありすぎだけど~そういうのがタイプ
なのか~と邪推してしまうのでした。(いやいや、あくまでも歌詞でしょ)

9.影絵
暗闇からボゥーと浮かび上がってくるようなイントロで始まり、結構長い曲なんですが、気がつくと
聴き終わっていて、「あれ、聴いたっけ?」となったりします。
魂が抜ける感じって、解って頂けるかしら?
こんな曲も作るんだなーじゅりってば。
つぶやくようだったり、搾り出すようだったり、声の表現力に圧倒されてしまいます。
詞は「燃えつきた二人」の松本隆さん。超有名作詞家さんですわね。
♪黒は 悲しい ♪黒は 寂しい ♪まるで影絵の俺とお前・・・
胸が詰まるような詞に、いとも簡単に声色をピッタリと合わせられるのはもう、「じゅり、凄い」としか
言いようがありませんわ。2番からはより一層搾り出すように
♪黒は(ぁああっ)♪
最後の繰り返しではさらに
♪黒は(ぁああああっ)淋しい♪
「声」と言っていいのかわからないけど、「吐息」というのとも違っていて・・・・やはり「声」なんでしょうね。
聴くたびにハッとしてしまう声です。
途中ちりばめられているビブラフォン(??)のような音も、もやがかかったようで美しいです。

10.あのままだよ
サリーって、このときもう井上バンドに居ないですよね?でも詞の提供はしてくれたのね。
気のせいか、曲もPYG風に聴こえますわ。
重たい空気が漂う中で、語りかけるような詞をとつとつと歌う声は、ちょっと苦しげな感じもします。
どうしてこんな押し殺したような声で歌ってるんだろう、と思っちゃいますが、
「色々な思いを押し殺してつづられた言葉」的な詞を汲んでの発声なんでしょうかね。
「押し殺して」というのがこの曲のキーかな、などと思ったりしてます。
♪そう 俺は あのままだよ
後奏なしでスパッと途切れるエンディングに、確固たる意志を感じます。


【あとがき】
このアルバムの曲を一曲ごとに見れば、明るい曲もあれば、暗い曲もあり、ロック、フォーク、その他
色々な要素が盛り込まれてるのかも知れません。
でも、全体を通しで聴いていて浮かんでくるのは、孤独感、けだるさ、鬱々とした内向きな感情みたいな
ものなんですよね。
・・・うまく言えませんが。
何というか、ナイーブで傷つきやすい青年像が浮かびます。
だから、暗い曲のほうによりグッときますわ。
フェイバリットソング'sは「夜の河を渡る前に」「ヘヴィーだね」「影絵」かな。
他にもかなり捨てがたい曲ありますけど~
尚、このアルバムを最後に、77年からじゅりの曲は「阿久悠の世界」へ突入ですわ~。
アルバムレビューもガラッと内容が変わることでしょう。
好みの問題はともかく、オケサウンドが混ざるほうが、個人的にはレビュー書きやすいので、
張り切っていこうと思います
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(終わり)

チャコール・グレイの肖像①

2010-01-21 17:20:29 | アルバムレビュー

『チャコール・グレイの肖像』(1976年12月1日発売)


1.ジョセフィーヌのために
作詞:小谷夏/作曲:沢田研二/編曲:大野克夫
2.夜の河を渡る前に
作詞:阿木燿子/作曲:沢田研二/編曲:船山基紀
3.何を失くしてもかまわない
作詞:藤公之介/作曲:沢田研二/編曲:井上堯之
4.コバルトの季節の中で
作詞:小谷夏/作曲:沢田研二/編曲:大野克夫
5.桃いろの旅行者
作詞:桃井かおり/作曲:沢田研二/編曲:大野克夫
6.片腕の賭博師
作詞:荒木一郎/作曲:沢田研二/編曲:船山基紀
7.ヘヴィーだね
作詞:沢田研二/作曲:沢田研二/編曲:井上堯之
8.ロ・メロメロ
作詞:沢田研二/作曲:沢田研二/編曲:大野克夫
9.影絵
作詞:松本隆/作曲:沢田研二/編曲:井上堯之
10.あのままだよ
作詞:岸部修三/作曲:沢田研二/編曲:船山基紀

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歌門来福初日を週末に控え、皆様セトリ予想などで盛り上がっていらっしゃることと存じますが、
空気読まない系の当ブログは、2ヶ月ぶりのアルバムレビューです~。ついに来ました、この1枚!
アテクシ、このアルバムには特別な思い入れがあるのよーっ。
それは、初めて買ったじゅりのアルバムだから。(ベスト盤は除いてね。)
もし、最初に聴いたオリジナルアルバムがコレじゃなかったら、もしかしたらその後の怒涛のオトナ買いは
なかったかも・・・
新規組だから、青春時代に聴いた訳じゃないんだけど、32歳で(当時ね)初めてこのアルバムに出会って、
なんと言うか、今後じゅりから離れられないであろう自分を確信した、そんな特別な一枚です。

このアルバムの最大の特徴は、全曲じゅり作曲という点ですわよね。全曲本人作曲アルバムとしては
「今 僕は倖せです」がこの時点で既にあるわけですけど、全体的にフォークっぽい「今僕~」に比べて、
作曲家:沢田研二のキャパの広がり、成長を見せ付けてくれる一枚だと思いますわ。
そして作詞に関しても、新鮮な初顔合わせもありで、意外なお名前もあり大変面白い!
塾長とハチさんが共演してるアルバムなんてあったのね~
あ、塾長は「企画構成:久世光彦」とのクレジットの上、ペンネームで2曲作詞ですね。
こうしてじゅりの作品に深く関わって、久世さんてば、シアワセだったでしょうね~。ふふふふふ・・
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1.ジョセフィーヌのために
小谷夏こと久世さん作詞の曲がトップバッターです。
人形を残して去った彼女。人形の「ジョゼフィーヌ」は彼女の代わりなんでしょうか。
彼女はきっと何らかの意思表示をしたくて・・・・というより、意味深な行動で、「解けないパズル」を
彼の元に残して来たかったのかな。と、そんな風に思いました。
まあともかく、「青い目のお人形」ということで何よりです。「元カノが置いていった日本人形」だと、
夜中に髪が伸びそうでコワイですし~。
っと、冗談は置いといて、サウンド面ですが、伴奏はギターとピアノがメインでちょうど半々ぐらいのバランス。
(このアルバムはそういう曲が多いんですが。)キレイにまとまった雰囲気です。
そして、シンセの音が遠くで聴こえたり、浮かび上がってきたり、曲に変化をつけているようです。
シンセで出してるストリングスの音が、妙に冷めた印象で、どうも気になります。

2.夜の河を渡る前に
ギンギンとグラマラスに響くギターのイントロだけで打ちのめされる感じですが、間奏~後半の「神業弾き」
に至っては、もはやシロートが語るべきじゃないと思われますので、「シビレルシビレル~井上さぁ~ん!」
と日蝕のホステスっぽく山吹色の声で叫ぶに留めたいと思いますわ。
2010.1.22追記:エー、訂正でかっちょ悪いんですが、この曲の伴奏は井上バンドでは無く、
ギターは他の方の演奏だそうです。
教えて下さいましたJ.コレクター様、ありがとうございました。)
しかし、この、じゅり~~の歌い方のカッコいいことと言ったら!
♪時を見すごす夜の流れの♪ 「とっきいを」
♪夢の続きなのか眉を寄せ♪ 「ゆっめえの」
の太字部分がツボですわ~
サビで鳴ってるベースのドッドッドッドッドッドッドッドッって音はまるで脈拍のよう。
ちなみに、この曲で一部、ギターとベース、どっちが弾いてるのかわからなくなっちゃう箇所がありまして・・・
ベースが高い音出してんのか、ギターが低い音出してんのか・・・こういう時、バンド経験なんかがあればなー
と切に思います。
阿木燿子氏の詞もクールで、どこをどう切ってもカッコ良すぎるでしょ、この曲!
リアルタイムで、生で聴いたことのある方、首絞めたいほど羨ましいワ~~

3.何を失くしてもかまわない
例えて言うなら「流転」よりはやや軽く、「立ちどまるなふりむくな」よりは重たいくらいでしょうか。
まあ、そんな系統の曲だと思われます。
伴奏のメインはピアノで、展開部でギターというオーソドックスな流れ。
随所で聴こえる、ギターの重音で奏でられるメロディーが美しいです。間奏も美しい。
歌い上げる系ではないけれど、サラリとしているだけではない、どこか陰りというか、哀愁というか、
そういったものを漂わせているじゅりの声にジンときます。
地味っぽい曲だけど、この系統の曲全般好きなので、お気に入りの曲です。

4.コバルトの季節の中で
過去レビューは→こちらですが、ここで、アルバムの構成についてちょっと。
アテクシ、このアルバムの中で、曲の流れとして「何を失くしてもかまわない」→「コバルトの季節の中で」、
この部分がすごく好きなんです~。
詞やサウンドのスタイルは違っている2曲かもしれないけど、心の痛手みたいなものが共通していて、
心象風景が、季節とともに穏やかに変化していく感じが、この2曲の流れで感じられるように思うんです。
だから、コバルト1曲で聴くより、前の曲から続けて聴くと、一層切ない気持ちになりますわ。

5.桃いろの旅行者
まず、イントロがとってもステキ。
仰々しいオケ等はこの曲には不要。伴奏は上質なギター&ピアノの音でまとめられてます。歌詞の方は
♪こんなバカな僕じゃ~~♪とか、
♪あなたなんか~~~僕とはちがうでしょ♪とか、
ひきこもりがちな、ひがみっぽい、鬱々とした告白のような印象で、桃井かおりのイメージからは
意外なようであり、もったりした雰囲気が、それっぽくもあり、といったところでしょうか。
女性が書いてるけど「僕」ってことで、ナイーブな少年を主人公に据えてるのかもね。
どうせどうせ~と「いじけるじゅり少年」を想像して萌えるのも、また良いかと思われます。
それほどの起伏もなく、2番のサビまで鬱々~っと行くんですが、曲の終焉に向けての高揚が予想外。
この後奏はドラマティックでカッコイイと思いますわ。
硬質なピアノに、うねるようなギター。誰が演奏してるのか知りたいです!

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※②へ続く


KENJI SAWADA②

2009-11-12 17:40:50 | アルバムレビュー
※①の続きです。
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7.FOU DE TOI
うーん、これは「巴里にひとり」に似てますねー。
バックの構成はブラス無しで軽やかな印象。
ですが、頭サビのあと転調があったりして、なかなかドラマテイックでもありますわ。
当初、展開部のヴァイオリンは「JULIANA」と同じで少々うるさく感じまして。
なんで、こんな教則本みたいなフレーズを・・・とずっと思ってたんですが!
今回記事UPに際し改めてよくよく聴いてみましたところ、このバイオリンは変調(長調→短調)を補強
するというか、強調する役割を担っているんだと気がつきました。
♪Je n'ai pas le droit De laisser partir ♪(明るい
♪Un amour comme ca Sans le retenir ♪(暗い) 
考えてみれば大したことじゃないんですが、あえてスケールの練習みたいなフレーズであるのも、
「ほらほらこの音階だよ~♪」というための挿入と思えば、さもありなんです。
しかし、この歌声とも吐息ともつかぬ♪ふう ふうふう♪はじゅりのためにあるようなフレーズですわね~。
甘くて溶けそう。
この際、フランス語の意味なんかどうでもいいんだわ(オイ
3回目の♪ふう(タメて)・・ふう ふでとゎ~♪なんて、悶絶です。
ラスト高らかに伸びる歌声もスバラシイ。
アレンジ面での引っかかりに納得がいった今、このアルバム中1,2を争うフェイバリットソングとなりました。

8.MA GEISHA DE FRANCE
ギターのイントロがさりげなくてオシャレ。
意外とテンポの速い曲なので、じゅりの歌声は「FOU DE TOI」と比べると甘みを抑えた印象に。
この曲は全体的な音量のバランスが非常によくて、特に、このアルバムのフランス語曲では唯一と
言っていい、ベースが効いたサウンドです。存在感あります。
ギターのフレーズもカッコよくて見せ場あり。
中盤以降、ヴォーカルがヴァイオリンとユニゾンになる部分がありますが、ここもキンキンせず
落ち着いた印象。
フェードアウトするラストまで、心地よく聴けます。
ガツンと来る曲ではないですけど、こんなのも宜しいのではないでしょうか。

9.ITSUMI(いづみ)
「しずえさん、私も・・・女よ。あなたと同じ・・・・女よ。」って、思わず『悪魔のような~』の
妹のいずみちゃんを連想しちゃう方は多いでしょうね。(え、そうでもない?
なんと、日本女性の名前がそのまま曲名に!こういうの他には「MITSUKO」ぐらいでしょうか。
そのわりには、ニーナやジェニーと比べると、アルバム曲だからか知名度が下がっちゃいますね。
でも、「いづみ」さん「みつこ」さんって、じゅりファン的には一番オイシイお名前なのかも。
さて、曲の方はというと、琴(大正琴??正確なことがわかる方いらしたら教えて下さいませ)の音色が
オリエンタルムードを盛り上げる、西洋人からすると「異国情緒」感溢れる曲なんでありましょう。
Aメロの伴奏はピアノ主体。琴以外に特筆すべきは、ここまであまり出てきてない、チェロが使用
されていることかな。
サビではペレペレペレ~♪と琴が鳴っとります・・・
尚、2番のAメロでは2ndヴァイオリンがねっとりハモって、もの悲しい和音を奏でておりますね。
そんでもってこれ、間奏セリフソングなんですね~。しかもセリフだけ日本語ですわ。

「愛する人よ 今夜どこかで もし僕のことを思い出したら忘れないでくれ(忘れないでくれ)
いつまでも(いつまでも)いつまでも(いつまでも)待っている(待っている)」

あ、()←カッコ内はリフレインざます。憔悴&陶酔なカンジがナカナカです。

10.RUN WITH THE DEVIL
この曲も「GO! SUZY GO!」と同じく、アルバム『愛の逃亡者』からの再録ですね。
『愛の逃亡者』の中で聴くと、そんなに突出したインパクトのある曲でもないんですが、こうやって
フランス語の曲に挟まれて出てくると、じゅりのパンチの聴いた歌声が際立って聴こえます。
アルバムの選曲や、曲順って、こんなにも印象を左右するものなんですね~と思った次第。

11.ATTENS-MOI
我々後追いファンには、ロッカンツアーの「白い王子様」でお馴染みの曲ですわね。
じゅりは透明感のある甘い歌声を遺憾なく発揮。
女性コーラスが多用されるこのアルバムにおいて、コーラスが最も美しいのはこの曲なんじゃ
ないかな~と勝手に思ってます。
その女性コーラスメインのイントロから、すぐAメロへ。
アコギの分散和音に乗せた優しい声、ゆらぎのある柔らかいエレキギター。
サビはなんと言ってもゴージャスなコーラスはすばらしく、ストリングスのアレンジもエレガントで
アテクシ好みですわ。
2番になると、Aメロにもストリングスが入り、アコギのボリュームも少しアップしてる模様です。
王子様に出会える、ドリーミーな1曲なのでした。

12.白い部屋
シングルの記事は→コチラ
これを読むと♪忘れたい 何か あるので~すね♪
そんなフレーズが頭に浮かびます・・・
しかし、シメがモロ歌謡曲って~。(イエ、好きな曲ですが
ここはやはり、日本人としての矜持なのでしょうか。



【あとがき】
レビューで疲れきってしまったので(フランス語って歌詞カード追うだけで目がチカチカするわ~)
手短に一言!
パリの町並みに似合うエレガントな美貌、フランス語に似合うソフトヴォイス。
じゅりには、おフランスがことのほか似合います! (←一言じゃなかった
フランス語詞の曲はどれもいいですが、いつもどおり3曲に絞るなら個人的お気に入りは
「JULIANA」「FOU DE TOI」「ATTENS-MOI」かしら。
中でも「FOU DE TOI」が頭一つリードといった感じです。

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(終わり)