※昨日の①の続きです。
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■ストーンズとビートルズと長髪■
「最近は曲を書いてるより、詞を書いている方が面白い」と沢田さん。ニューアルバムの中の1曲、ロック・ナンバー、「無宿」の中に、<自分を誉めるエセな奴らばかりさ>という面白い一節がある。
「名前のある人達の話を聞いてると、なんだ結局、自分自身を誉めてんじゃない?って思うことばっかなんだよね。僕ら、CO-COLOのメンバーって自分のこと『ダメだ、ダメだ』って口癖みたいに言ってるの(笑)。だって、言葉にして言わないだけで、自分のことは自分で充分に誉められる。だけどそれを人前で言ったら、それは美しくないでしょ。他人を餌にして、結局、自分を誉めてるの、『ヤダネェー』って思って、歌にしようと。で、結局、歌の中で馬鹿にしたんだけどね(笑)。
20年やってきて、その時その時を素直にやってたと思うんだ。面白いと思えば面白がってやり、かといって時間に追われるようになると、『楽しいとばかり言ってられません』ってなことも言いながら。『じゃ、なんでやってるの?』って言われると、『人が喜んでくれるのが嬉しくて、喜んでくれたり、びっくりしてくれるのが嬉しいから。ほら、今度、どう?』って言って、楽しむところが少しずつ変わってきたんだろうね。歌を唱ってるだけが楽しかったのが、今度はやれ化粧する、女装する、つけ毛する(笑)。皆、どう思うんだろう?みたいな楽しみ方になって。で、飽きられちゃうと、ウーンて考え込んで、休憩したりして。休憩した後って、歌を唱ってるだけで楽しくてね。」
あなたにとって、ロックとは何ですか?と私は抽象的な質問をしてみた。
「難しいねぇ。それは、"真面目に不良する"っていうことだと思います。"やめたらアカン!"。キマリすぎかなぁ、いけないっ(笑)」
例えば無人島に・・・・・・。「宝島に?」と沢田さんが笑う。ええ、宝島に。ウォークマンとカセットをひとつだけ。沢田さんは何を持って行きます?
「うーん、難しいけど・・・・・・。2つになんない?OK? あのね、ストーンズの『スティッキー・フィンガー』と、ビートルズの『ホワイト・アルバム』!
あの辺から進歩してないのね、全然(笑)。最近のレコードをずーっと聴いてると、最後にはそれを持ってきて聴いちゃうね(笑)。やっぱり、いいなぁーと思いながら。
髪はずっと伸ばしてる。60年代に『10年、20年後、髪を切ってるかなぁ』『いや、伸ばしてると思う』って言っててね。一時、角刈りまでやっちゃったけど、あっ、似合わねぇや、って思ってやめた。唱ってて、髪がなんともなんないって自分でも腹立ってくるね(笑)。汗がジトーってひっかからなくて、つるつるすぐ落っこちてくるでしょ。ああ、つまんないって思って。短くすると知的になるけど、知的な事って似合わないんだよ。
内田裕也さんの力って凄いよね。僕なんか彼に強引に(笑)ニュー・イヤー・コンサートに引っ張ってもらったってとこあるしね。あの人、いつも言ってる。『お前は、ロックだとか言ってTV出て、レコード大賞。それもいいけど、絶対、この場所を忘れるな』って。裕也さんみたいな良い強引さを持った人がいないと、なかなかそうならないね。
僕は先頭に立つの好きじゃないから。僕は、一兵士。駒でありたいね」
最近のコンサートで「めちゃ楽しかったのはキッド・クレオール」と彼。「あのオッチャンの方が、ひょうきんにいろんな事やるじゃん?ああいうの好きなんだよ(笑)。落語好きだし、漫才好きだし。フラメンコ観に行っても、コミカルな踊りする人の方に、僕はさらわれちゃうね。」
インタビューの間、オフィスのTVでは阪神×巨人戦が放映されていた。高校時代、野球選手であり、チームでは完投ピッチャーとしても名高く、阪神ファンでもある。
「本当に好きな選手って、癖のある人ばっかり。張本さん、藤尾さん、江夏さん、鈴木さん、落合でしょ。最近では近鉄の平野って好きだったのよ。
そういえば、ロッテの村田さんが腕を手術して再起パーティをやったことがあって。休んでた頃だから、髪、ぼうぼう伸ばして行ったわけ。わかってくれないと困るから、自分で(笑)『沢田研二と申します。頑張って下さい』って言ったらステージで挨拶させられたのね。で、『2桁勝利を目指してぇ』なんて言ってたらさ、後から挨拶する人が皆、『とにかく1勝、とにかく1勝』って言ってるわけ。俺は何てモノを知らないんだろう、恥しいな、また芸能人の馬鹿、って思われたんじゃないかなって。皆はもっと厳しく見てて、もう終わった人間なんだみたいに思ってたのかもしれない。世代的には同じだからね。で、そのシーズン、村田さん、10勝以上したじゃない?ほら、見ろ」
このインタビューの2週間後、彼はTVでクリームの『ホワイト・ルーム』、ベン・E・キングの『スタンド・バイ・ミー』を熱狂的に歌った。それはまるでロックン・ローラー沢田の復活を予感させるようだった。
取材・文/北沢杏里 撮影/広瀬忠司・石川徹
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『無宿』の歌詞について語るくだりは、何度読んでもドキッとします。
名前のある人どころか、普通の人でさえ、謙遜という名のオブラートで包んだ
自慢話、自分誉め話をする人って、多いですよね。
我が身を振りかえってみると・・・うーん、アテクシも
「そんな話をしたこと、一度もなくってよ」とは言えないかも(汗
でも、じゅりにかかると、そういうのは「美しくない」ことと
一刀両断されちゃいますわ。厳しい~。
久々に読んで、気持ちを引き締めようと思いました。
無人島に~の質問は「ウォークマンとカセットをひとつだけ」
という部分が時代を反映してますわ~
80年代半ばはまだ、カセット主流だったっけ。
今だったら、「はぁ?ってかipod持ってくし。」で終わりだし。
そういえば、コレを読んで、この2枚の音源探さなくちゃ、
なんて思ってたのに、いつのまにか忘れちゃってたわ。
ダメなファンですね、トホホ。
そうそう、角刈りは自分でも似合わないって思っていたのね~。
てか、個人的には、切っちゃう前に誰か止めて欲しかったわ!
しかし「唱ってて、髪がなんともなんないって自分でも腹立ってくるね(笑)。」
ってところ、読んでてニマニマしちゃいません?
だって、やはりじゅりの場合、歌いながら髪をなびかせたり、
振り乱したり、
ふぁさふぁささせたり、
汗で濡れた髪がきらめいたり、
そんでもって悩ましげにかき上げたり・・・
って、そういうのが重要なポイントなんですもの~~~!
ところで、文末に書かれている、TVで歌った『スタンド・バイ・ミー』って
こちらの映像でしょうか。はう~なんて素敵・・・
あと、些細なことかもしれませんが、じゅりが野球やってたのって
高校じゃなくて中学だと思ってたんですけど・・・
高校では空手部だったんですよ・・ね?
(記事でハッキリ書かれているのを見ると、イマイチ自信がなくなるわ・・)
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■ストーンズとビートルズと長髪■
「最近は曲を書いてるより、詞を書いている方が面白い」と沢田さん。ニューアルバムの中の1曲、ロック・ナンバー、「無宿」の中に、<自分を誉めるエセな奴らばかりさ>という面白い一節がある。
「名前のある人達の話を聞いてると、なんだ結局、自分自身を誉めてんじゃない?って思うことばっかなんだよね。僕ら、CO-COLOのメンバーって自分のこと『ダメだ、ダメだ』って口癖みたいに言ってるの(笑)。だって、言葉にして言わないだけで、自分のことは自分で充分に誉められる。だけどそれを人前で言ったら、それは美しくないでしょ。他人を餌にして、結局、自分を誉めてるの、『ヤダネェー』って思って、歌にしようと。で、結局、歌の中で馬鹿にしたんだけどね(笑)。
20年やってきて、その時その時を素直にやってたと思うんだ。面白いと思えば面白がってやり、かといって時間に追われるようになると、『楽しいとばかり言ってられません』ってなことも言いながら。『じゃ、なんでやってるの?』って言われると、『人が喜んでくれるのが嬉しくて、喜んでくれたり、びっくりしてくれるのが嬉しいから。ほら、今度、どう?』って言って、楽しむところが少しずつ変わってきたんだろうね。歌を唱ってるだけが楽しかったのが、今度はやれ化粧する、女装する、つけ毛する(笑)。皆、どう思うんだろう?みたいな楽しみ方になって。で、飽きられちゃうと、ウーンて考え込んで、休憩したりして。休憩した後って、歌を唱ってるだけで楽しくてね。」
あなたにとって、ロックとは何ですか?と私は抽象的な質問をしてみた。
「難しいねぇ。それは、"真面目に不良する"っていうことだと思います。"やめたらアカン!"。キマリすぎかなぁ、いけないっ(笑)」
例えば無人島に・・・・・・。「宝島に?」と沢田さんが笑う。ええ、宝島に。ウォークマンとカセットをひとつだけ。沢田さんは何を持って行きます?
「うーん、難しいけど・・・・・・。2つになんない?OK? あのね、ストーンズの『スティッキー・フィンガー』と、ビートルズの『ホワイト・アルバム』!
あの辺から進歩してないのね、全然(笑)。最近のレコードをずーっと聴いてると、最後にはそれを持ってきて聴いちゃうね(笑)。やっぱり、いいなぁーと思いながら。
髪はずっと伸ばしてる。60年代に『10年、20年後、髪を切ってるかなぁ』『いや、伸ばしてると思う』って言っててね。一時、角刈りまでやっちゃったけど、あっ、似合わねぇや、って思ってやめた。唱ってて、髪がなんともなんないって自分でも腹立ってくるね(笑)。汗がジトーってひっかからなくて、つるつるすぐ落っこちてくるでしょ。ああ、つまんないって思って。短くすると知的になるけど、知的な事って似合わないんだよ。
内田裕也さんの力って凄いよね。僕なんか彼に強引に(笑)ニュー・イヤー・コンサートに引っ張ってもらったってとこあるしね。あの人、いつも言ってる。『お前は、ロックだとか言ってTV出て、レコード大賞。それもいいけど、絶対、この場所を忘れるな』って。裕也さんみたいな良い強引さを持った人がいないと、なかなかそうならないね。
僕は先頭に立つの好きじゃないから。僕は、一兵士。駒でありたいね」
最近のコンサートで「めちゃ楽しかったのはキッド・クレオール」と彼。「あのオッチャンの方が、ひょうきんにいろんな事やるじゃん?ああいうの好きなんだよ(笑)。落語好きだし、漫才好きだし。フラメンコ観に行っても、コミカルな踊りする人の方に、僕はさらわれちゃうね。」
インタビューの間、オフィスのTVでは阪神×巨人戦が放映されていた。高校時代、野球選手であり、チームでは完投ピッチャーとしても名高く、阪神ファンでもある。
「本当に好きな選手って、癖のある人ばっかり。張本さん、藤尾さん、江夏さん、鈴木さん、落合でしょ。最近では近鉄の平野って好きだったのよ。
そういえば、ロッテの村田さんが腕を手術して再起パーティをやったことがあって。休んでた頃だから、髪、ぼうぼう伸ばして行ったわけ。わかってくれないと困るから、自分で(笑)『沢田研二と申します。頑張って下さい』って言ったらステージで挨拶させられたのね。で、『2桁勝利を目指してぇ』なんて言ってたらさ、後から挨拶する人が皆、『とにかく1勝、とにかく1勝』って言ってるわけ。俺は何てモノを知らないんだろう、恥しいな、また芸能人の馬鹿、って思われたんじゃないかなって。皆はもっと厳しく見てて、もう終わった人間なんだみたいに思ってたのかもしれない。世代的には同じだからね。で、そのシーズン、村田さん、10勝以上したじゃない?ほら、見ろ」
このインタビューの2週間後、彼はTVでクリームの『ホワイト・ルーム』、ベン・E・キングの『スタンド・バイ・ミー』を熱狂的に歌った。それはまるでロックン・ローラー沢田の復活を予感させるようだった。
取材・文/北沢杏里 撮影/広瀬忠司・石川徹
----------------------------------------------------------------------------
『無宿』の歌詞について語るくだりは、何度読んでもドキッとします。
名前のある人どころか、普通の人でさえ、謙遜という名のオブラートで包んだ
自慢話、自分誉め話をする人って、多いですよね。
我が身を振りかえってみると・・・うーん、アテクシも
「そんな話をしたこと、一度もなくってよ」とは言えないかも(汗
でも、じゅりにかかると、そういうのは「美しくない」ことと
一刀両断されちゃいますわ。厳しい~。
久々に読んで、気持ちを引き締めようと思いました。
無人島に~の質問は「ウォークマンとカセットをひとつだけ」
という部分が時代を反映してますわ~
80年代半ばはまだ、カセット主流だったっけ。
今だったら、「はぁ?ってかipod持ってくし。」で終わりだし。
そういえば、コレを読んで、この2枚の音源探さなくちゃ、
なんて思ってたのに、いつのまにか忘れちゃってたわ。
ダメなファンですね、トホホ。
そうそう、角刈りは自分でも似合わないって思っていたのね~。
てか、個人的には、切っちゃう前に誰か止めて欲しかったわ!
しかし「唱ってて、髪がなんともなんないって自分でも腹立ってくるね(笑)。」
ってところ、読んでてニマニマしちゃいません?
だって、やはりじゅりの場合、歌いながら髪をなびかせたり、
振り乱したり、
ふぁさふぁささせたり、
汗で濡れた髪がきらめいたり、
そんでもって悩ましげにかき上げたり・・・
って、そういうのが重要なポイントなんですもの~~~!
ところで、文末に書かれている、TVで歌った『スタンド・バイ・ミー』って
こちらの映像でしょうか。はう~なんて素敵・・・
あと、些細なことかもしれませんが、じゅりが野球やってたのって
高校じゃなくて中学だと思ってたんですけど・・・
高校では空手部だったんですよ・・ね?
(記事でハッキリ書かれているのを見ると、イマイチ自信がなくなるわ・・)