あいらのひみつ箱

2006年の年明けとともにジュリーに堕ちました。日の浅いファンが 勝手な思いを書き連ねるゆるいブログです。

僕のマリー

2010-08-25 20:27:09 | TGシングルレビュー

A:僕のマリー
作詞:橋本淳/作曲:すぎやまこういち/編曲:すぎやまこういち
B:こっちを向いて
作詞:橋本淳/作曲:すぎやまこういち/編曲:すぎやまこういち
(1967年2月5日発売)



【僕のマリー】
世間では『涙色の空』が届いたワー、という話題で盛り上がっているというのに、全然空気読んでない記事でゴメンナサイ。
だって、まさか今日来るとは思わなかったんだもん・・・・・まあいいや。短めに書きますんで。
今日のお題はTGデビューシングルの『僕のマリー』でございます。この曲って、

1)GSらしい乙女好みな詞(マリーって、いきなり外人だし)
2)短調のバラードで歌謡曲っぽいメロディ
3)ストリングスメインでクラシック調のアレンジ


あたりが、パッと浮ぶ特長かな~と思うんですが、タイガースという"バンド"のデビュー曲としては、
いささかいい子ちゃん風かしら?と思わなくも無いですよね~。
テンポはアンダンテ~モデラートくらい(すぎやま先生はアンダンテとおっしゃってるようです)と遅めですし。
でも、あまりまったりした感じにはならず、カッチリとした雰囲気なのはアレンジの妙でございましょう。
・・・・ええ。はっきり言って、大変素晴らしい曲だと思います。
曲自体は、同じ系統の『モナリザの微笑み』よりも、もっとスキかも。

まず、何てったってイントロがいいです。

ベースがアウトタクトから入り→ギター→アップダウン激しいストリングス

と音が重なるにつれ不穏な空気を増幅していくので、短いイントロで一気に曲の中に引き込まれますわ。
そして、それに続く歌声が、少々頼りなげで甘ぁ~い声という意外性もたまりまへん。(←おばちゃん目線) 

詞に関して思うことは、言葉数が少ないということですね。
音の数にくらべて文字数が少ないので、必然的に母音が目立って聴こえません?

♪あ・い・し・て・る・と  ひとこと 言ええなあくて 
つ・らい 想いいにい 泣いたのさ~♪


文字にすると、こんな感じで。
別に珍しいことでもないし、ホントに単なる個人的な感想なんですが、そこらへんがじゅりの歌声の甘ったるさを強調してるように思うんです。
しかも、若いときの音源だと、けっこうベットリと歌うんですよね。それが可愛い!

当時はまだ、歌い方が確立してなかったからかしら。一生懸命な感じでイイ!です。
そう思ってしみじみ見ると、ジャケ写のじゅりはなんだか子供みたい・・・・初々しいわぁ。




【こっちを向いて】
サリーが歌ってます~~。最初聴いた時ビックリしたわぁ~
なぜこの曲のリードが彼なのか、アテクシにはサッパリわかりません・・・

ピーナッツの「ふり向かないで」などに雰囲気が似てますね。
♪ウウーウ ウウウウウーウーウー♪
って、ストリングスとユニゾンで歌うコーラスがなつかし系。
いわゆるオールディーズのアメリカンポップスってヤツでしょうか。
ポップな曲なんでしょうが、歌声がめちゃめちゃバリトンボイスなんで、違和感ありまくりです。
じゅりが歌えば「星のプリンス」と似た感じの曲になったのかもしれませんね。
 
・・・・・・以上。(だって、他に書くこと無いもん)


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と言うことで、タイガースのデビュー~解散までのシングルAB両面、計30曲のレビュー(というか
ただの感想だけど)、誰も気がついてないと思いますけど、実は一応これにて終了なんですの。
ただの自己満足企画にお付き合い下さり、ありがとうございました~おっしまい♪

ラヴ・ラヴ・ラヴ

2010-07-06 21:17:27 | TGシングルレビュー


A:ラヴ・ラヴ・ラヴ
作詞:安井かずみ/作曲:村井邦彦/編曲:村井邦彦
B:君を許す
作詞:安井かずみ/作曲:村井邦彦/編曲:東海林修
(1969年11月25日発売)
※両A面扱い



【ラヴ・ラヴ・ラヴ】
なんともお恥ずかしい話ですが、タイガースのCDを一枚も持っていなかった頃、アテクシてっきり、
この曲がタイガースのラストシングルなんだと思い込んでいたんですの。
○ou Tubeで見たビューティフルコンサートの印象が鮮烈過ぎたのかも知れませんわね。
乙女の号泣なんかとセットで、「ラヴ・ラヴ・ラヴ=最後の曲」と、つるつるの脳にインプット
されてしまったんでしょう。
でも実際には、この後3枚のシングルがリリースされているわけなんですよね~。

またラヴ・ラヴ・ラヴと言えば、ジュリー祭りでは、"1000人のコーラス"に"3万人のLの字"で感動
・・・・そして一転、「ラケットを持ったじゅり顧問のレシーブ特訓モード」へという、
別の意味で強烈な印象が残ってる曲だったりします。
ですから(?)、この感動の大曲が、当時オリコン最高18位止まりだったなんて、アテクシいまいち
信じられないですわ。
実際、○ィキペディアには曲の解説ページすらないし・・・

尚、愛をテーマにしたZUZUさんの詞は、壮大です。(短いけど)
ビートルズの「ALL YOU NEED IS LOVE」をイメージしてるとか意識してるとかアチラコチラに
書かれていたのでですが・・・そうなんですか?
作者による談話などの、直接的な資料は見つけられなかったので定かではないですが、
確かにメッセージ内容としては共通するものがあるのかも。
もっともZUZUさんの方は、愛の賛歌であると同時に、諸行無常といいますか、
この世の儚さみたいなものも感じさせる詞のような気がしなくも無いです。

シングル盤は当然スタジオ収録なんでしょうが、まるでライブ収録みたいに、イントロから
とても熱い演奏で始まっていますね。
ギターの音が悲鳴みたいだし。

激しいイントロの後、Aメロからスパッとドラムスの音が消え、キーボードが静かに刻むリズムに、
ベースが頭拍打ちで入り、そこにせつせつと歌うじゅりの声。
第一声を聴いただけでこっちが泣きそうじゃありませんの~。
Aメロ2ターン目からドラム他色々音が入ってきて高らかなヴォーカル&コーラスが美しいサビへ。
2番は最初からドラムス・コーラスつき。
♪愛の世界~~~♪で、曇りの無い美しく伸びる声は、柔らかいけれどけっしてか細くはなく、
確かな存在感がありますわ。

激しい♪OH~~♪の後、ラストのサビは転調して、雄叫びのようなヴォーカルに、音域の厚みがある
コーラスが響きます。さらに、のた打つかのようなギターのオブリガードが絡まり、高揚しつつも、
嗚呼、フェードアウト。
感動の余韻を残したまま無音に帰していきます。
素晴らしい~~やっぱり感動の名曲なのですわ。


【君を許す】
この曲は、タイガースのシングル収録以外に、じゅりソロのファーストアルバム『JULIE』にも収録されてますね。
・・・・と言うことは、過去に『JULIE』のアルバムのレビューを書いてるはずなんだけど、何書いたっけ?
内容忘れちゃった・・・と思って確認したら、どうでもいいようなことしか書いてませんでしたわ(汗
ということで仕切り直して再度じっくり鑑賞致します。

メロディはモロ歌謡曲ですが、フルオケ、特に重厚な弦楽アンサンブルをフィーチャーした
壮大なスケールのアレンジになってます。
これはやっぱり、東海林先生のお仕事ですわ~。大変アテクシ好みであります。
♪君のねむりの中に 閉じたまつげふるえて♪
♪何か云いたそうな くちびるに近づく♪

冒頭の歌詞、本当は男女逆なんですけど、どうしたって長いまつげを伏せて、ぷるつやの唇の虎じゅりが
すやすや眠っているところを想像しちゃいますよね~ 

・・・・は置いといて。

Aメロ全般ですけど、ブラスやらストリングスの向こうに、ちらちらと聴こえる鍵盤がオシャレですよね。
おずおずと、ためらい・・・のような心象風景が、この繊細な音に投影されているような気が致しますわ。

しかし、Bメロから、感情のうねりが抑えきれないのか、若さゆえ~~♪な感じで、
ヴォーカルが熱っぽくなっていきます。
オケはもちろんガンガン煽ってますが、スタッカートでオクターヴの単音を挟むヴァイオリンが、
キレのあるアクセントに。

ラストの弦楽は、Aメロの主旋律にチェロが奏でるハーモニーが秀逸でございます!
とても情熱的な中にも落ち着きのあるエレガントな調べですわ。
もうちょっと長く弾いてくれればよろしいのに、あっけなくフェードアウトしてしまい、
少々もったいないと思ってしまうのでした。


ああ、それにしても。
♪愛が欲しいのに~~~♪
あげるあげる!全力であげるわーー!
あー、虎じゅり、なんて可愛いんでしょ。
 




シー・シー・シー

2010-04-22 06:18:51 | TGシングルレビュー

A:シー・シー・シー
作詞:安井かずみ/作曲:加瀬邦彦/編曲:加瀬邦彦
B:白夜の騎士
作詞:有川正子,補作:橋本淳/作曲:すぎやまこういち/編曲:すぎやまこういち
(1968年7月5日発売)



【シー・シー・シー】
この曲を初めて聴いたのは、2年前、新宿の映画館でした。
タイガースの曲をろくに知らないまま、TG映画3本をいっぺんに見て、一番印象に残ったのが
何てったって、この『華やかなる招待』のオープニングの「シー・シー・シー」でございます。
もお、最高よね~~!
メンバーみんな、いい感じ。じゅり~~~ありえない可愛さ!!
ヒロイン役の久美さんがファンに嫉妬されるのも、そりゃあ、無理ないってものですわ。

ところで、この曲って、じゅりソロに於ける『ダーリング』に立ち位置が似てませんか?
イヤ、曲調や詞の内容自体には全く共通点無いですが、

・夏のイチオシ、勢いで押すタイプの詞・曲だってことと、
・頂点を極めた(「銀河のロマンス」/「勝手にしやがれ」)わりとすぐ後であること、
・連続一位記録を作ったこと(オリコン6週連続/ベストテン7週連続)など、

一言で言えば前者がGS成熟期、後者は歌謡曲成熟期のノリノリ曲とでも言いましょうか。
既に頂点を極めて、アブラが乗って、且つまだ下降の気配が無い、まさにノリノリの時期。
そんな時期に特有の、突き抜けた魅力が溢れてるじゃーありませんか。

銀河のロマンスでは優雅な王子様じゅりでしたが、シーシーシーではZUZU・加瀬コンビという
新しい作家陣との初顔合わせでガラッとイメチェン。
ポップでキュートなやんちゃ君じゅりに早変わりですね。あーもう可愛いなあ。

詳しい曲解説はDY兄様の「"全然当たらないセットリスト予想”シリーズ」の開始を待つとして
(まあ、シーシーシーは入ってるでしょ、きっと)、アテクシはサラッと雰囲気だけ。


前奏はベースオンリーで始まって、そこにギターのとハンドクラップの楽しい掛け合い。
オケに頼った曲ではないので、バンドのシンプルな爽やかさが全開です。
じゅりの声は♪アイムソー ハイ♪とか意外と野太い感じで・・・よくよく声だけを聴き直してみると、
そんなに甘甘なわけでも無かったのでした。
曲の途中にデュミニエンドしていき「シー・・・・・」というブレイクが入るのも遊び心があって楽しいです。
タイガース時代はわかりませんが、後年のライブでは、ここで何か一芸をやるポイントにも
なってますよね~。

・A-LIVE(82年)では「タロー!」「タロー!」「トッポ!」「トッポ!」と、客席と掛け合いをしたり、
・ジュリーマニア(91年)では、「俺と一緒にやんねえか」と裕也さんの真似をしたり(あ、古傷が・・・)、

こんなふうに、ドラムスでイン・テンポに戻るまで、遊び放題なのもまた楽しいですわ。
約3分の短い時間にキラキラのじゅりが詰まってる珠玉の一曲でございます



【白夜の騎士】 
こちらは一転、オケがゴージャスな、「光ある世界」系統のサウンドです。
詞は『ヤァ・ヤァ・ヤング』というテレビ番組で募集されたものに、橋本先生が補作詞なさったそう。
「花の首飾り」といい、昔はけっこうこういうの(詞の公募)あったのかしら?
もし、今じゅりが詞の一般募集とかしたら、皆様どうします?・・・・・なんか書いてみます?
・・・とまあ、それはいいとして、曲行きます。

イントロはブラスのファンファーレをストリングスの刻みで装飾し、華やかな幕開け。
♪きれいな空へ 口笛ひびく♪
ヴォーカルはユニゾンからハーモニー部への移行が綺麗です。
メロディアスなベースが目立ってますね。
♪はじめての愛が 愛が結べず♪
同じ旋律の2回目はヴァイオリンが入ります。柔らかいグリッサンド。
コンソルディーノとなっているかもしれません。
ここで、古典的な弦楽アンサンブルが挿入され、2番はハーモニーを省いたじゅりのソロになります。
ここは歌の聴きどころといえるでしょう
2番が終わると次の間奏ではイントロのファンファーレが再現されますが、ストリングスの刻みが細かくなり、
トレモロで音量もフォルテになっていますね。終盤にかけて盛り上がっている感じです。
3番は1番と同じくユニゾンからハーモニーへの移行という形式に戻ります。

とまあ、細かいことはどうでもいいんですが、じゅりの甘く響く声とタイガースのコーラスワークの
素晴らしさがしっかり堪能できます。
様式美にあふれたクラシカルな曲ですが、間奏、後奏以外は低弦が入ってないので、そんなに重くも無く、
気負い無く聴ける曲なのではないでしょうか。

結論。
本当にタイガースって、B面に名曲揃いすぎです

誓いの明日

2010-04-20 22:43:29 | TGシングルレビュー

A:誓いの明日
作詞:山上路夫/作曲:クニ河内/編曲:クニ河内
B:出発のほかに何がある
作詞:ジャン得永/作曲:森本太郎/編曲:クニ河内
(1970年11月20日発売)




今日のお題は、タイガースのラスト・シングル「誓いの明日」でございます。
厳密には、同窓会もあるので「ラスト」というのは語弊があるかもしれませんが。
発売は解散2ヶ月前の1970年11月。でもって、12月発売の『自由と憧れと友情』にも、
AB両曲が収録されております模様(持ってないですけど・・・)

2曲とも旅立ちを連想させる題名で、これで最後って感じがカナーリ強調されてますね。



【誓いの明日】
リズミカルなアコースティックサウンドのフェード・インで始まる曲。
笛っぽいのはオカリナの音かと思われます。(リコーダー疑惑アリ)
一応じゅりがリードボーカルっぽいですが、かなりの部分でコーラスが入っており、
ユニゾンで歌っている部分もけっこうあります。バンドの終焉にふさわしく、
発展的解散をイメージ付ける前向きな歌詞を、力強く歌っていて、若者よ!って感じ。
終盤はストリングスも少し入って、しかし、曲が終わってみれば結局アコギが耳に残ってるぞ、
ってなところが大まかな印象です。

尚、タイガースでよく使われるハープが、この曲でも賑やかし的に使われてまして、
ハジけた感じではあるんですが、少々乱暴というか、やや情緒に欠ける気がしなくもなく・・・です。

単純な構成の曲で、3番まであるんですが、キレイにハモって、コーラスも入っている部分と、
ユニゾンで歌う部分、これが交互に来るのはいいアイディアだと思います!

明日に向かって いつでも行くのさ     ←ハーモニー・コーラス付き
今 夕陽にさらば~(略)~むかえに行こう 夜の  ←ユニゾン 
向うに僕らの 夜明けが待つよ        ←ハーモニー・コーラス付き

交互に来ることで、ユニゾンの力強くはつらつとした印象が引き立てられてませんか?
ちょっとつらい事があったときに、元気付けてくれそうな曲ですよね。

2番と3番の間の♪トゥー トゥトゥトゥトゥー♪の後、アコギが残響のように消えゆく
・・・・と見せかけて、イントロのフレーズ繰り返しに戻ります。
この「見せかけて」技法、後期タイガース曲ではもう、お約束みたいですわ。
 
で。最後、オカリナだと思ってた音が、だんだんリコーダーに聞こえてくるんです・・・
不安になって、ダンナにも聴かせたんですが、
「イントロの音域は、アルトリコーダーにしては高いし、ソプラノリコーダーにしては低い。
音の不安定さから言って、オカリナだと思う。」だ、そうです(と責任転嫁)。
もしリコーダーだったら、アホ耳夫婦ってことで。ゴミンナサイ。



【出発のほかに何がある】
こちらはタローさんの作曲。
タイガースのメロディーメーカーは、基本的にタロさんとじゅりってことみたいですね。
そして、作詞はあの!ジャン得永氏・・・・・ってウソです。全く存じ上げません~~誰?
この詞、A面の「誓いの明日」よりも、直接情に訴えるというか、直球ですよね~
♪許し~て欲しい~♪なんて、じゅりが歌ったら、乙女心がせつなすぎて辛すぎるから、
だからシローが歌うことになったのかしら。そうに違いないわきっと!
で、じゅりにはワケワカラン朗読でもさしとく、と。なるほどね~(ホントかいな

イントロは、アコギにのせて入るじゅりのセリフ、なんですが・・・・・長いです
セリフというより、詩の朗読という感じ。

そして、リードヴォーカルは、なんとシローだわ。
シロー、こういう声だったのね!
色つきのあーあああ~ぐらいしか印象無くって、そんなに歌えると思ってなかった。
今まで悪かったわ~許して頂戴。

伴奏はアコギとピアノとストリングスが奏でる、柔和な音色です。
のびのびとしたチェロの音に比べ、少し後から入るヴァイオリンの音が、どうも生っぽくない。
何か使ってるんでしょうか。普通のミュートなのかな?
チェロの音量が大きくて、よくわかりません。

じゅりは基本朗読要員なんですが、タタータ タタタタ タータータの声が可愛いです!




尚、この2曲は『自由と憧れと友情』の最初と最後の曲になっているとか。
アルバムの流れの中で、どのように聞こえるのか、いずれ聴いてみたいと思います。

嘆き

2010-02-24 01:48:15 | TGシングルレビュー

A:嘆き
作詞:安井かずみ/作曲:村井邦彦/編曲:東海林修
B:はだしで
作詞:安井かずみ/作曲:村井邦彦/編曲:村井邦彦
(1969年7月5日発売)


【嘆き】
発売日は7月だというのに、暗くねっとりした曲です。
前作の「美しき愛の掟」から始まったこの「悲恋熱唱路線」ですが、ロックテイスト高めな「美しき~」に比べ、コチラはベタな歌謡曲路線。伴奏はオケがメインで、タイガースの楽曲とはいえ、バンドの見せ場は少なく、コーラスも無し。ほとんどじゅりのソロって感じですよね。
歌詞は、「美しき~」が、なかにし礼氏のぶっ飛んだ言語チョイスゆえか、エキセントリックなイメージだったったのに対し、これまたコチラはホントにベタベタな歌謡曲で、しかし、その濃ゆ~い感じがなかなか良いのですわ。

この曲で特筆すべきは、やはり、アテクシの大大大好きな東海林修先生のアレンジだという点でございます!(断言)
シングルコレクションのライナーノーツに、タイガースではこの曲が初めての顔合わせであることが書かれていますが、じゅりソロの初期において、東海林センセイのゴージャス且つソウルフルなアレンジは欠かせません・・・・よねっ?
だって、「許されない愛」「危険なふたり」「追憶」・・・初期の大ヒット曲の編曲には、必ず東海林センセイお名前が出てくるのですわ。

さて、この「嘆き」、上述のように歌謡曲っぽい詞、曲ながら、アレンジは楽器を絞って・・・・・・具体的には弦(バイオリン、チェロ、ハープ)と金管をメインに、バンドのほうはベースのみに重点を絞り、いかにもお涙頂戴的な歌謡曲を、その旨み(野性味?)はそのままに、洗練されたサウンドに昇華しています。すばらしい~。
ベースギターとチェロが混然となって醸しだす低音部の響きは、フルオケの弦バス軍団に匹敵する重みがあります。
チェロは他にも、間奏で高弦とユニゾンを弾いたり、まさに大活躍していますね。
以前「危険なふたり」のレビュー記事にて、「チェロにかぶせてベースが裏拍からメロディーを引き継ぐという地味ながら見事な連携プレイ」について言及したことがありますが、こういった手法は東海林先生のオハコなのかもしれません。カッコイイです~

ということで、曲の頭から印象に残る点をいくつか挙げていきますと、
♪愛を残したまま 僕を一人にした♪
はハープがアルペジオを奏で、2拍目裏から入るチェロの♪ダ・カ・ダーン♪と降りる音がなんとも痺れます。
尚、コレと対になって、
♪朝は 二度と帰らない♪
のところでは♪ダ・カ・ダーン♪とまったく同じ拍で、今度は音がせり上がってきます。
う~ん。ドラマティック!
そしてホルンがパーン パパーンと入ってきて、ハイ、展開部!みたいな様式美ですかね。こういうの大好きです。
じゅりの熱唱度が上がってきたところでバイオリンもホルンもアゲアゲに。
鍵盤(?)ギター(?)の音だけが「ペッ」と硬めに止めた音で、なんか異質・・・
♪朝は 二度と帰らない♪
を頂点として、ハープが導いた先でテンションが解き放たれ、はじけます。
東宝だか東映だかの映画で波がザッパーン!!のイメージですわ~。
♪涙のあと♪
のところは「な・・みだのあと~」と、じゅりがちょっとフライング気味なのも、必死な感じでイタイケでいじらしくて、可愛いっ。
間奏は弦がユニゾンでメロディを弾きますが、これ、ヴァイオリンはいいけど、チェロはエグイと思いますね。指が。

一旦曲が終わったかと思いきや、悲劇の余韻のように沸き起こるCoda部分は、大河ドラマのエンディングみたいです。
そして最終最後の和音は長調になってます。



【はだしで】
カップリングは違うテイストの曲を、という「タイガース・シングルの法則」に則り、こちらはルーズな感じでたる~んとした曲調です。
A面で蔑ろにされた憂さを晴らさんばかりに、ドラムスとギターが活躍してます。
バンドとしては、こちらのほうが持ち味が生かせると思われますけど、コーラスがイマイチといいますか、あまり重視されてないのか、気のない「あ~ あ~」みたいなのだけで微妙です。

曲全体の印象としては、盛り上がってふっと弛緩する、みたいな箇所がなくて、ひたすら緩い、けだるい感じで、でも、明るいまんま終わります。
じゅりの歌声は、リキミが全然無いので軽く聴こえますけど、よくよく聴くと結構しっかり発声してますよね。
そこらへんが、かったるそうなのに爽やかさを感じるゆえんでしょうか。
アレンジ面では、アコギのオブリガートが曲全体にちりばめられて、とってもオシャレな印象になってると思います。
ベースもボンボンボンだけじゃなくて、メロディアスなのでやりがいがありそうです。
尚、これで曲終わりかな?と思いきやCodaという展開はA面と共通。何か意図があってのことなのでしょうか。

しかし、正直言いまして未だアテクシの中で消化し切れていない虎ソングの筆頭がこの曲でございまして・・・・・今後も更なる聴き込みが必要なようでございます。
ということで、こちらは短くまとめました。