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実走 7th 白馬国際トレイルランニング

2017-09-12 18:20:05 | ランニング
 
7th 白馬国際トレイル

本格的にトレイルを始めて3ヶ月。
トレイルレースに出てみた。
初レースがいきなり50キロ。
フラットな42.195キロではなく山を3つ越えての50キロ。
正直想像できなかった。
ペースもわからないし、どのくらいやっつけられるのか、、、
でも、どうせやるなら大きいやつがいい。
 
ウインドの聖地が御前崎なら
トレイルの聖地は白馬!
っつうことで、白馬国際トレイル ロングコース50キロ。

この大会は前泊が条件。白馬村の振興を兼ねている。
前日に中央道から長野道に分岐し、安曇野で下りる。

ウインドサーフで初めて御前崎に行ったとき、
高速で御前崎の文字が見えて心臓がバクバクしたときと同じく、
白馬の文字は強烈に視界に飛び込んできた。
気持ちにエネルギージェルを突っ込んだような感じになったよ。
 


北アルプスの山々は神々しく雄大で、あまりにも壮大かつ圧倒的。

多くのアルピニストが頂きに臨み、そして命を落とす。
命を落とされた方々の慰霊碑が宿泊先そばにあった。
 


その山々で、朝から夕方まで思う存分、とことん苦しみ抜く。
地元のランニング仲間、6名で参加。
 
 

21時には寝て4時起床。
今回はしっかりカーボローディングできた。
スタート2時間半まえに食事終了。食べたのは米と米と米(^o^)

6時半前、会場に集まる。
そこではフルマラソンのようなカリカリした感じはまったくない。

これから苦しみに行くのに、みんな笑顔笑顔。
女性の多さにびっくり。年配ランナーも多い。オレもだけど。。

オリンピックアスリート、メダリストの紹介、ゲストランナー鏑木毅氏のあいさつ、、、
そしてカウントダウン。 3,2,1 GOOOO!!!!!!!!!!
 
スタート動画 
 
GoPro上空撮影


ホーンとともに選手の歓声でボルテージ最高潮。
ブラックアーチから八方尾根麓の狭い街を駆け抜ける。
沿道には1時間後スタートするミドル選手、地元の人たち、多くのスタッフの人たちのハイタッチ。
いってらっしゃー!の声に送り出されていく。
どっちかというと、このスタートとゴールを経験できれば、ランパートはナシでOK(^o^)

それにしても、なんて素敵な街並みなんだろう。
モンブランの麓のシャモニーはきっとこんな街並みなんだろう。
ホーンとカウベルに送り出され、しばらくフラットな道を走る。
目の前に迫ってくるのは長野オリンピックのジャンプ会場。
巨大なシャンツェが2基。
シャンツェ前、原田が「フナキ~!」と言ったあの広場で
白馬中学のブラスバンド部が演奏エールをしてくれる。
ここを超え、徐々にレースモード。
(初参加、初レース参加のオレとしてはここまで観光客気分でした~)
 


しかし、トップは異常に速い。
フルマラソンとなんの変わりないスピードで飛ばしている。

疲れないように、でも遅れないように、キロ4分50~5分30で調整。
怪我をしている右足の甲の痛みは感じない。アドレナリンがそうさせている。
前日に整体で診てもらい、疲労骨折には至ってないとわかった。
折れてないならもう関係ない。痛みは無視すればいい。今日1日だけ。

フラットなパートはロードも含め10キロくらい。
そこからいよいよトレイルに入っていく。
トレイル入り口のエイドでコーラと塩と梅干しを摂取。
ストックをセットし登り開始。
 

このセットやらエイド補給が経験不足なのでムダな時間を費やしてしまう。
前にいた選手が目の前からあっという間にいなくなる。

たぶんだけど10キロくらいでだいたいの順位は決まってくるんじゃないかな。
抜きつ抜かれつ、追いつ追われつを繰り返すのだ。
 

登りはなんとかなった。
でも下りは最悪だった。
まったくリズムが取れない。右足の甲をかばおうと股関節に負担がかかった。
着地ごとに痛みが走るので下りでストックを突いて負担を軽減する。
そんな走りではまったくスピードを稼げない。
 
下りの焦りとイラツキ、登りの苦しさ。
でも途中途中の絶景ポイントは息を飲むほどの素晴らしさ。
焦りも苦しさも吹っ飛ぶ。
それから、この日は歴代大会で最も晴れたようだ。
この景色、死ぬまで脳裏にしっかり貼り付いてるだろう。
 
 
 

距離は28キロ。半分を超えた。
おかるの穴エイド。ここが第一関門で制限時刻は12:10
トップ通過予測は10:00
ここを10:25に通過。
結構速い。よし、行けるぞ! さあ登りだ!

山と山のつなぎに出て来るアスファルトロードの登りも走る。
トレイルの登りもスキをみては追い越す。
登りでは痛みはない。下りではとにかく痛い。
下りでは越される。でも登りでは越させない。かならず抜く。

気持ちがダウンしないように、周囲の選手に話しかけまくる。
「きっついよねー!」
「この先にビールの自販機無いかな?」
「お!同じシューズっすね!」

トレイルで話しかけて嫌がる人はいなかった。
話しかけてもらってありがとう!って言ってくれる人もいた。
とにかく苦しみとつらさと闘っていて自分の殻に閉じこもってしまうので、
会話して双方笑顔になればOK。
気持ちが切り替わる。

とは言っても岩岳山頂へのいじめの登りが延々続く。。。
登っても登っても急坂は終わらない。
粘土質で急なのでちゃんとしたトレイルシューズじゃないとグリップしない。
On VenturePeak シューズへの不安は一切ない。
頼るのはシューズと脚と根性。
根性って好きな言葉ではないけど、ここでは根性がないと登れない。
根性、忍耐、耐久、辛抱、苦痛、そう一言でendurance。

でもいつかは山頂につく。
考えない。何も考えない。自分は機械でただ足を動かすだけ。
つらいのは気のせい。実はそんなに苦しくない。錯覚だ。
根性を出すには、思考回路を止める方法もあるのだ。

岩岳スカイアークに到着。
もう45年近く前、オヤジに連れて来てもらった場所だ。
オヤジが最も好きなスキー場だった。岩岳と八方尾根。
そこをリフトではなく、足で登ってきた。
オレはオヤジの歳を遥かに超えてこの地にやって来た。
昔、この場所でオヤジは小さなオレに北アルプスの山々を観せた。
だからここは来るべくして来た場所だ。
しかも最も困難な方法で来た。
 

360度ぐるり見渡し、しっかりエイド補給をして両頬を叩いて走り出す。
気持ちは距離が増すに連れ昂る。
でももう足が言うことを聞かない。
もはや自分の足ではない。着地のショックが内蔵にまで響く。
この痛みは無視できない。
無視できないくらい痛いので、そうだ!無視できないなら友だちになればいい。
この痛みはもはや親友なのだ。
レースの高揚感と苦痛が年輪のように重ねられていく。
でもとても楽しい。楽しくて仕方がない。
この時間、この場所で、オレは会社員でもなくサーファーでもなく税金滞納者でもなく、
とてもシンプルに、競技者でアスリートだ。そう思うこともとても楽しい。

岩岳を下り切り、そしてもう一つ八方尾根1200mオーバーを目指す。
この痛みという親友は裏切らないだろう。
最後の最後までしつこくオレにつきまとうだろう。
しょうがない。最後まで痛みを味わおうじゃないか。

岩岳の麓に到着する。
中学生、小学生ボランティアがたくさんいて、
「オニギリどーぞー!」
「冷たい水かけますよー!!!」
って本当に元気な大声を出してくれていた。
コーラを飲んで水を頭からかけてもらってオニギリを頂く。
頭から水をかけてもらったのは顔面がグチャグチャになったからだ。
もう汗なのか涙なのかわからなかったからだ。
 


本当に本当に温かい。
この子たちもいつか走るだろう。
でもオレは今走らなくてはいけない。
少年たち、オレの走りを見ろ!
大きな力をもらい、いよいよクライマックスへ。

クライマックスってクライム・マックスなのか?
最大傾斜を最後の最後に登るってことなのか?
上等だね。いくぞ、八方!!!

ミドルの後半の選手たちを抜いていく。
座り込んでる人、仰向けで放心してる人、もうろうと歩を進めてる人。
がんばれー、がんばれーって声を掛ける。
人に声を掛けることは、オレもがんばれよ!って自分にも言ってるんだよね。

最後のエイドで補給を終え、下りに入る。

スタートしたまるでシャモニーの街が見えてくる。
下りはリーゼンスラロームコース。

下りながら、レースを振り返る。

いやー、楽しかった。
いい天気に恵まれ最高だった。

ドロドロのぬかるみが結構あったなあ。
小学生の手書きの看板はよかったなあ。
私設エイドのオバちゃん楽しかったなあ。
やっぱりコーラほど美味いものはないなあ。
来年も絶対出たいなあ。
仲間たちはみんな楽しんでるかなあ。

麓の街に入る。クランク状のジグザグ道を走る。
沿道の応援が徐々に増える。
みんなハイタッチで迎えてくれる。

最後のホームストレート、ホーンが鳴り止まない。
ハイタッチ花道がゴールアーチにつながる。
ゼッケンと名前がアナウンスされる。

両手を高く上げ、白いテープを切る。

フィニッシュ。 
エンデュランスラン終了。

空は真っ青。
360度見渡す。
360度ぐるーっと走ってきたのだ。
走行51キロ。累積標高2780m。

この大会は白馬の子どもたちが主役だったね。
評判通りの素晴らしい大会だった。

苦痛をとことん楽しんだよ。

Nothing beats a trail
 
 
 
iMovie 
https://youtu.be/r-On4W5AZUU