今朝の地下鉄名古屋駅は、線路が水浸しになってしまって、とんでもないことに。
めずらしく東山線という路線が運転休止になり、足止めくらった人も多かったようですが、私の自宅のある千種(ちくさ)はJRの駅もあるのでなんら問題なし。
いや、千種って便利な街ですね。
さてさて、今日の記事は、今月のはじめに、「また今度」と書いた裁判例について。
ファッションショーにおけるモデルの服、髪形、化粧、アクセサリ等のコーディネイト・ポージング等に著作権があるか?が問題となった案件(知財高裁平成26年8月28日判決)です。
ショーのブランドは、ファストファッションブランドの「Forever21」。
そのファッションショーを撮影した映像をNHKが番組に使ったので、ショーを企画運営したイベント会社が、NHKを著作権侵害で訴えたというものです。
もし仮に、NHKがショー映像を撮影した映像制作会社に無断でショー映像を使ったのだとしたら、まあ著作権侵害となるのがオチでしょうね。
でも、本件では、映像制作会社からショー映像がNHKに提供されているため、ショー映像(←これは映画の著作物)それ自体を番組で使用したことについて、著作権侵害にはなりません。
そこで、ショーの映像を制作していない原告イベント会社としては、何が自分の著作物であると主張したのか?
ファッションショーにおいて原告自らが考えたところ、つまり、
・モデルの化粧や髪形のスタイリング
・モデル着用の衣服、アクセサリーのコーディネイト
・舞台上での決めポーズや服を脱ぐ動作といった振り付け
が自分の著作物だと主張しました。
結果はというと、それらは著作物でないと裁判所に判断されて控訴棄却。
原審の東京地裁判決でも著作物ではないと判断されていましたが、この知財高裁でも同じ判断となりました。
なぜ、著作物ではないと判断されたのか?
結局のところ、モデルの化粧、髪形のスタイリング、衣服・アクセサリーのコーディネイトといったものは、確かに美的要素はあるけれど、想定したコンセプト(本件のショーでは、シティやリゾートでのパーティシーン)の下で、実際に使用・着用されることを目的としていて、芸術作品のような美的鑑賞を目的としたものではないというのが主な理由です。
こういった、美的な創作物であっても、実用目的のものを応用美術と言い、デザイン性のある家具とか車なんかもそれに該当します。
こういった実用目的のある応用美術は、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)が著作物と定義されていることもあり、著作物性が認められにくいです。
※ちなみに、応用美術の美的デザインは、意匠権という、著作権とは別の権利の保護対象となるので、デザイナーがまったく保護されないわけではありません。
あと、決めポーズや服を脱ぐ動作なども、特に目新しさもなく、個性が表れているわけでもないってことで、著作物性が否定されています。
原告イベント会社は、よほどファッションショーに思い入れがあったのか、それとも、ショー映像の提供に、競合他社の従業員がからんでいるため、それがよっぽど許せなかったのか。
判決書から、詳しい事情はわかりませんけどね。
以上、著作権が争われる事案にはこんなものもあるんですよ、という紹介でした。
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