8月も終わりに近づき,もう9月が目の前。昨晩はずいぶん涼しかったように思います。
さて,このところ,サルが自撮りした写真の著作権が話題になっていますね。
先日あった弁護士同士の私的な知財勉強会でも,このことが小ネタとして話題になりました。
記事(自撮り写真もここに載っています。)によれば,イギリス人の写真家が,インドネシアで,写真機材をセットしたところ,クロザルが自撮りを始めたとのこと。表情豊かでとてもユニークな写真ですね。
Wikipediaが写真を勝手に掲載したため,写真家がWikipediaに対し,著作権は自分にあるとして,写真の削除や使用料の支払いを求めたという点で問題になっています。
写真家さんは,自腹でインドネシアまで行き,写真機材を準備したのも自分なのだから,著作権は自分にあると主張しているようですね。
でも,シャッターを押しているのはサルなので,準備行為をしただけの写真家さんに,写真の著作権が認められることはないですね。残念ながら。
著作権が発生する「著作物」というのは,「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)と定義され,人間の精神活動の成果といえることが要求されており,シャッターを押したサルは人間でないからです。
一方,写真家さんといえば,撮影の準備行為をしただけでシャッターを押していないので,写真の創作行為をしていません。準備行為も大変なんだという気持ちはわかりますが,法的には,そこは著作物性を認める要素とならないんですね。
結果,サルが自撮りしたこの写真は,著作権フリーの素材となります。
アメリカの著作権局が最近発表した実務概要第3版(compendium of u.s. copyright office practices third edition)のドラフト(草案)でも,
「The Office will not register works produced by nature, animals, or plants.」
として動物等による作品は著作権登録の対象としない,と書かれています。
そして,今回の問題を意識したのかどうかわかりませんが,著作権登録の対象とならない一例として,「A photograph taken by a monkey」が挙げられていますね。
で,これまた面白いよねぇと,勉強会でも話題になったのが次の一文。
「although the Office may register a work where the application or the deposit copy(ies) state that the work was inspired by a divine spirit.」
登録申請書等に,神霊に導かれた作品であると述べられていれば登録する場合もあそうです。
ある先生いわく,キリスト教の国らしいなと。
確かに,こういう宗教(キリスト教)的な発想は,今の日本では考えられないですね。
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