弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

お祭りの張りぼて,からの東京五輪エンブレム

2015-07-31 16:06:16 | 著作権

今日も暑さが半端ないですね。

本日の予想最高気温は38℃だそうです。。。

 

 

ところで,事務所と裁判所や弁護士会との往復には,いつも自転車を使うのですが,

途中,円頓寺商店街のアーケードを通るのが定番のコースです。

 

この円頓寺商店街,現在,七夕祭りの真っ最中です(7月25日~8月2日)。

たくさんの吹き流しが飾られ,屋台も出てて,いつもに比べると多くの人でにぎわってます。

 

 

この円頓寺商店街の七夕祭りは,吹き流しの他に,商店街の人たちがつくった張りぼても,お祭りの名物にもなってます。

 

祭りの前にここを通ると,作成途中のものや,仕事の合間に制作されている様子が見えるので,

いつも,どんなのができるのだろう?とか,

この形はさてはあれだな,とか予想しながら商店街を通るのが結構楽しみだったりします。

 

今年の張りぼては,

アンパンマン,スヌーピー,ゴジラ,バカボンのパパ,ムーミンに出てくる玉ねぎ頭の女の子(名前忘れた…)などなど,

多彩です。

 

でもって,職業柄,これらキャラクターの張りぼてを見つつ,著作権は大丈夫かな?,と思ってみたり。

 

承諾得ていれば何ら問題ないですが,承諾得ていなかったら…

んー,まあそんなカタいこと言いなさんなって感じですかね。

 

 

 

それはそうと,最近話題なのが,東京五輪エンブレムのパクリ疑惑。

床屋談義で,パクリだのそうじゃないだの言うのは簡単ですし,自由ですが,

法的にはもっときちんとした議論が必要で,そう簡単な話ではありません。

 

そのうえで,

組織委員会は,商標上の問題はないと言い切ってますが,仮に商標上はそうでも,著作権の問題が別にあります。

ベルギーのデザイナーさんは,むしろこちらを問題視してますね。

 

 五輪エンブレム変更要求の意向 ベルギー作者が著作権主張(東京新聞:TOKYO Web)

 

著作権の場合,

 ・ そもそもあれは著作物なのかとか,

 ・ 著作権侵害(翻案権侵害)といえるのかとか,

 ・ 日本のデザイナーさんは,問題となっているロゴを知っていたのかとか,

いろいろな問題があり,双方だけを単純に見比べて,パクリだと判断することはできません。

 

 

といっても,ベルギーのデザイナーさんから使用中止を求められる可能性が高くなった状況で,

組織委員会側として,訴訟に発展するのは避けたいでしょうから,

今後どう落としどころをつけるのでしょうかね。

日本のデザイナーさんの立場を尊重しつつ,お金で解決ということかなあ。

 

 

最近,国立競技場のデザインとか,ボランティアの制服とか,話題に事欠かない東京五輪ですが,

個人的にはすごく楽しみにしてるので(果たしてチケットを手に入れることができるか…),

そんな問題もあったねぇ,と問題点が薄まるくらいに成功して欲しいものです。

 

 

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「戦後史の解放Ⅰ」を読んで

2015-07-29 22:46:16 | その他

暑い日が続きます。

自転車で裁判所に行ったりすると汗だくです(>_<)

 

さて,このブログは,本来,自分の政治的主張を披露する場所ではありません。

 

でも,賛否うずまく安保法制が政治的に大きな問題となっている中で,

週末に読んだ本の納得感が半端なかったので,今日はちょっと趣向を変えてみます。

 

読んだのは次の本。

 

戦後史の解放I 歴史認識とは何か: 日露戦争からアジア太平洋戦争まで (新潮選書)
細谷 雄一
新潮社

 

慶応大学法学部,細谷雄一教授の最新刊です。

 

この細谷教授はブログも書かれてて,

安全保障の問題などについて,左右に振れることなくニュートラルに意見を表明されているので

なるほどなあと思いながら,ちょくちょく読ませていただいています。

 

 

本書は,

国際社会の中における日本という視点に基づいて,

国際社会の認識と日本の認識がいかにズレていたのか,

そのズレが,第一次大戦後から現在に至るまで続いているのではないかということが,

これまで日本がたどってきた歴史とともに,わかりやすく書かれています。

 

週末,一気読みでした。

 

 

最後に書かれている,

 「戦前の日本が,軍国主義という名前の孤立主義に陥っていたとすれば,戦後の日本はむしろ平和主義という名前の孤立主義に陥っているというべきではないか。」

という一文が,日本の状況を的確に示しているんではないかなと思う次第。

 

戦後日本が陥っている孤立主義の一例として,憲法9条にノーベル平和賞を求める運動が指摘されていますが,

それも,第一次大戦後から続く国際社会の機運や,戦争に至る日本の歴史をかんがみれば,美しいものではないと,手厳しい。

 

いや,とても勉強になる良い本です。

ぜひご一読を! 

 

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特許査定に対する不服申立て 続き

2015-07-24 16:48:09 | 法律一般

名古屋,暑いです(>_<)

 

さて,前回の続き。

前回,特許査定に対する不服申立てが争われたとして、

知財高平成27年6月10日判決(知財高裁3部)を紹介しました。

争点が3つあると指摘して終わっていたので,

今回は,それぞれについて裁判所がどう判断したかを書きます。

 

この判決を読むと,特許法って,行政法の分野に深くかかわっているなと改めて思います。

特許権という権利になってしまった後は,私法上の権利に関する民事分野がメインですが,

権利になるまでは,特許庁という行政機関が関与する手続なので,当たり前といえば当たり前なんですけどね。

 

 

まず最初の争点

 (1) 特許査定に対して行政不服審査法に基づく不服申立てができるか

 

結論は否定です。

理由は,特許法195条の4における「査定」には,特許査定も含まれると解釈されるため。

 

この帰結として,特許査定に対する不服申立ては,行訴法上の取消訴訟によらなければなりません。

本件特許査定謄本の送達から6か月以内に,提訴しなければならないという期間制限があります。 

 

 

続いて,2つ目の争点

  (2) 補正について錯誤無効の主張が認められるか

原告は,誤って真意と異なる補正をしてしまったから,その補正は錯誤無効だと主張しました。

民法95条に基づく主張ですね。

なるほど,そういう主張の仕方もあるんだなあと。

 

判決では,錯誤無効となる場合もあるけど,かなり例外的な場合に限られると判断しました。

錯誤無効となる場合の要件が示されていますが,それにあてはまることは,通常は考えられません。

特許法で補正や訂正の手続ルールが定められている以上,

そのルールから外れてもいい場合は,きわめて限定的となるのは当然のことです。

 

 

次に,3つ目の争点,

 (3) 無効確認訴訟において特許査定が無効とされるか

 

一般に,特許査定のような「行政処分」は,その処分にかかる違法が「重大かつ明白」である場合に限り無効とされます。

取消訴訟の出訴期間が過ぎていても,「重大かつ明白」な違法があれば,無効主張できる。

これが特許庁審査官による査定処分の場合では,

審査官が,審査を全くしなかったか,実質的にこれと同視すべき場合,

には重大な違法があるとして,査定が無効となる,と判断しました。

 

本件では,担当審査官が,新規事項の追加に当たるかの審査を怠っていたと認定されています。

でも,それ以外の特許要件(進歩性など)については,検討をしていた。

だから,審査を全くしていなかったとか,実質的にそれと同視すべき場合には当たらず,特許査定は無効ではない,

と判断されました。

新規事項追加が看過された点は,無効理由を含むというだけとなります。

 

結局,代理人が補正をミスして特許査定を受けてしまった結果,仮に権利になっても使えないものになってしまいました。

 

日々,特許の出願や権利化業務を行っている者として,他人ごとではありません。

注意したいですね。

 

 

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特許査定に対する不服申立て

2015-07-17 20:28:15 | 特許

台風11号の影響で、名古屋は昨日からずっと雨。

結構風も強いです。明日までは雨が続きそうな感じ。

もう一つの台風(12号)もいるので、梅雨明け、どうなんでしょうね。

 

 

さて、今日は、特許査定に対する不服申立てが争われた、ちょっと変わった判決を紹介します。

知財高平成27年6月10日判決(知財高裁3部)です。

 

なにが変わっているかって、

特許庁の審査官が特許にしてあげますよ、と判断しているのに、それは困る、と判断されているから。

 

特許権という権利はあげられません、という不利益な特許庁の処分を争う、

というのなら話は分かりやすいし、そのための手続はいろいろ用意されています。

 

でも、この案件は、本当だったらうれしいはずの処分が不服だとして、法廷で争っている。

 

 

どうしてこういうことになるのかというと、

手続を代理した弁理士さんがポカしちゃっかからなんですね。

削除しなくてもいい構成まで削除する補正をしてしまい、そのまま特許になっちゃった。

 

 

具体的には、

化合物の組成において、本来なら、

 「置換基R1はフッ素であり、置換基R2は水素原子、C1-C3アルコキシ、C1-C3アルキルまたは塩素であり」

と記載すべきところ、誤って、

 「置換基R1はフッ素であり、置換基R2は塩素であり」

と、置換基R2の内容を塩素だけに限定し、これが特許されるべきだと主張してしまった。

 

 

審査官は、事前の打合せで、置換基R1をフッ素に限定すればOKと出願人側に回答していました。

そしたら、出願人は、置換基R1だけでなく、置換基R2まで限定してきた。

そこまで限定するのね、あっそう、てな感じで特許査定したというわけ。

 

誤って限定しすぎたので、特許査定を取り消すよう求めて特許庁と争ったのが本件です。

 

 

主な争点は、次の点です。

 (1) 特許査定に対して行政不服審査法に基づく不服申立てができるか

 (2) 補正について錯誤無効の主張が認められるか

 (3) 無効確認訴訟において特許査定が無効とされるか

 

 

と、ここまで書いて、なんだかすごく長くなりそうなので、残りは次回にします(すみません…)。

 

 

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大学での非常勤講師

2015-07-13 18:37:12 | その他

7月に入って初めての記事だ(-_-;)

 

さて、今年の4月から始まった金城学院大学での非常勤講師ですが、今週の授業で15回すべてが終わり。

 

民法って何ですか?っという状態の学生さんに対し、民法の基礎的なところを講義したわけですが、

いいですよー、と軽い気持ちで引き受けたものの、

資料の準備なども含め、やってみると結構大変だったなあと。

 

 

しゃべりだけであれこれ説明されても、何だかチンプンカンプン、というのが普通なので、

できるだけわかりやすくと思うと、図を多用したり、説明も工夫するのがいい。

ただ、そうすると、パワポでのスライド作成にも手間が結構かかかるわけで、

夜更かししたり、休日を使ったりして作成してました。

 

 

そういう、わかりやすく伝えたいという気持ちが学生さんに伝わったのか、

学生さんが書いてくれたアンケートによれば、

 

 ・ 法律は難しくて理解しづらいけど、わかりやすく説明してくれた

 ・ スライドが見やすくて、量もちょうどいい

 ・ わかりやすかった

 

とあり、全員かどうかはわかりませんが、おおむね好評だったようです。

 

あーよかった。

 

ちょくちょく、知的財産に関する話もしまして、

それも面白かったとアンケートに書いてくれた学生さんもいました。

 

そんなこんなで、結構大変でしたが、いい経験になったし、まあよかったんではないかと。

 

ちょくちょくこちらから質問もしましたが、その回答を聞いて、

 ああ、彼女はわかってくれてるなあ、

と思う場面もあったりして、それもうれしかったですね。

 

 

で、今回はあくまで正規の先生に代わるピンチヒッターだったのですが、

来年からは、同じ学科で新規開講される法律科目(刑法)をお願いしたいと、依頼がありました。

 

というわけで、来年以降も、金城学院大学での非常勤講師が続きそうです。

 

 

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