弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

特許権侵害における取締役の責任

2014-12-16 23:57:20 | 特許

寒い…

お腹空いたなと思ったら,先週見た「マツコの知らない世界」で,コンビニのおでんを話題にしてたことを思い出し,初挑戦してみようかなと。

今日は,事務所のすぐ近くにあるローソンで。

ちょっと買いすぎた。10時過ぎの時間なのにお腹いっぱいになってしまった(>_<) 

ローソンのおでんは,大根にこだわりがあるとのこと。確かにおいしかったです(^^)

 

 

さて,おでんの話はこれくらいにして,表題に移ります。

東京地裁平成26年11月18日判決(平成25年(ワ)第14214号)なのですが,表題に書いたように,特許権侵害事件において取締役の責任が問題となりました。

法的根拠は,会社法429条1項(役員等の第三者に対する責任)です。

この条文,会社法の数ある条文の中でも裁判例が多く,かなり重要条文です(司法試験でもよく問題になる)。

 

特許権侵害事件では,特許権者は,普通,特許権侵害行為をしている会社を相手に訴訟提起します。

取締役の責任追及するとなると,特許権侵害行為の有無や損害額といった通常の争点の他に,会社法特有の争点(取締役の職務について悪意又は重過失の有無)が増えるし,個人よりも会社の方が賠償金の支払い能力が高いのが通常なので,個人を訴えてもね…,といったことがその理由です。

ところが,本件の特許権者は,特許権を侵害した会社(Y社とします。)の取締役(代表取締役Bと平取締役A)に対して責任を追及したという,あまりない事案です。

 

特許権は,「音叉型治療器」というもの。

  ※ 特許第4539810号公報より引用(図2)

こんな感じで,凝りや筋肉痛などの症状のある患部に押し当てて使うもののようです。

 

Y会社が,この発明品である音叉治療器を使用していたことに争いはありません。

被告側は,原告とY社の間で発明を実施する合意があったんだと主張しましたが,そんな合意はないとして,Y社の特許権侵害が認定されました。

 

普通は,この後に,じゃあ原告の損害額はいくらなの?という判断になるのですが,本件では,このY社の特許権侵害行為について,被告となった取締役に悪意又は重過失があったかがさらに問題になります。

とはいえ,

「被告Bは代表取締役としてY会社の本件治療器に係る業務を執行し,被告Aも取締役として同業務についての意思決定に関わっており,特許権侵害につき悪意又は重過失であったと認められる。」

と,職務に関する悪意又は重過失があっさり認められちゃってます。

 

また,会社法の規定(会社法429条1項)による取締役の責任追及の場面でも,原告に生じた「損害」の立証に関して,特許法上の推定規定(特許法102条2項)が当然のように適用されています。

特許権侵害によって被った損害である以上,特許法上の規定を適用することに問題はないという判断なのでしょうね。

 

会社ではなく取締役個人を標的にしたという点で,原告は,被告となった取締役A,Bがよっぽど許せなかったのかな。

それとも,会社がすでに休眠会社等になっていて,お金を取れそうになかったのか。

いずれにしても,会社が特許権侵害行為を行えば,取締役としての責任を追及される可能性もあることを認めた点で,なかなか興味深い判例ですね。

 

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