弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

中国ビジネス契約 つづき(12/8追記)

2014-12-08 20:05:13 | 法律一般

(12月8日、一部補足しました)

冷えますね。四国は雪だとか。

だんだん自転車での移動がつらい時期となりました。

 

本題に行く前に、先月末の連休中に日帰りで行った日間賀島で堪能したふぐの写真を。

盛り付けが美しい孔雀盛りのてっさ。崩してしまうのがなんだかもったいない…。

水揚げされたばかりのしらすを、サービスでいただきました。

行った先は、「アイランドホテル浦島」さん。

今度は、たこを食べに行きたい。

 

さてさて、中国での契約実務ですが、前回の記事で、形式面における問題点を5つ指摘しました。

一つ一つ説明していきます。

ちなみに、講演をしてくださったのは、中国弁護士(律師)の方新先生(大成律師事務所パートナー)です。

 

1.契約当事者の問題

契約当事者の問題といってもまあいろいろですが、ここでは信用調査、つまり今まさに取引しようと考えている会社が、果たして信用できる会社なのかの判断について。

といっても、日本とそんなに変わらないですね。

会社の登記情報、所有不動産の登記情報、知的財産権の調査等といったところが基本となるでしょうが、信用調査会社を利用してもといいですよ、ということでした。

名前が出た信用調査会社は、「新華信集団」(SINOTRUST)というところ。

 

その他には、「企業情報公示制度」というものが新たにできて、それが来年度から実施されるので、それを利用してもよいということでした。

開示された情報の内容に政府はノータッチですが、虚偽の開示をしたことが抜き打ち検査等で判明すれば、ブラックリスト(企業経営異常名簿)に載ることになります。

 

2.口頭での契約成立の問題

日本では、契約そのものは、保証といった一部の例外を除いて、口頭の合意だけで成立します。

とはいえ、口約束だけでは言った言わないの争いになるので、合意があったことを証明するために契約書という書面を作ります。

真実は口約束があっても、それを証明する証拠がないと、裁判所は合意あったとは認めてくれませんので。

中国でも、口頭の合意で契約が成立するというのは同じ。

ですから、後から言った言わないの争いとならないように、中国企業との間でも、契約書はきちんと作っておく必要があります。

 

(補足)12月8日追記

中国の契約法によれば、当事者が契約の形式を選択可能で、書面形式での契約締結を当事者間で約束した場合、書面作成して署名押印されてはじめて契約成立となります。

その意味では、日本の民法のように、口頭で契約が成立し、書面というのはあくまで証拠としての役割が大きいのとは違いがありますね。

当初の文章では、この辺り、ちょっと誤解を生じるように思いましたので、追記しました。

 

ただ、契約書がなくても、たとえば、メールのやり取りなどから契約成立が認められる場合もあります。

中国企業が先走って送った受注メールを日本企業が無視したり、明確に否定しなかったりしたため、発注があったとして契約成立が認められた事例もあるとのことですので、要注意ですね。

このあたりも、中国企業との取引だから特異だ、というものではなく、日本国内の企業との間の取引でも基本的には同じです。

 

3.言語の問題

次に、中国企業との取引に関する契約書を作成するうえで、契約書の言語をどうするかという問題。

現状では、日本語で書いた契約書と、中国語で書いた契約書の両方を作成し、両方を正本とすることが多いですが、一方を正本、他方を副本とすることもあります。

その場合、契約書の言語に関して、中国法には特に取り決めはないので、日本語バージョンを正本とした契約書であっても、全然問題がないとのこと。

別に、英語の契約書でも、法的効力ありです(とはいえ、無理に英語を使う必要ないですよ、って話でしたが)。

 

日本語のものと、中国語のものとを作成する場合に注意したいのは翻訳ミス。

用語の使い方や意味などに微妙な違いもあり、それがもとでトラブルになることもあるため、両方の言語で契約書を作成する場合は、両者の意味内容が同じになるようしっかり確認すべきとのことでした。 

また、登記や許認可等の申請では、政府機関に提出するのは中国語の契約書です。

それを基準に判断されるので、いや実際は正本である日本語の契約書に書いてある方が正しいんです!というのは通らないとのこと。

なので、翻訳ミスにはホント注意が必要ですね。

 

と、ここまで書いて、残りの2つは来週以降にします。

 

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