昨日の名古屋は大雪…、相変わらず寒いです。
前はローソンおでんを食べたので、今日は、サンクスのおでんを食べてみようかな(^^)
さて、今日も判例紹介(東京地裁平成26年10月30日判決)です。
ハンコやシール等の絵柄を制作した原告が、その絵柄に似たシールを販売する被告に対し、著作権侵害を理由に損害賠償やシールの販売差止めを求めた事件です。
原告の絵柄が著作物であることは問題とならず、複製権侵害があるかどうかが主な問題点となりました。
原告の絵柄と被告のシールは、一例として、こんな感じ
いずれも、裁判所HPで公開されている判決書別紙より引用しました。
① 睡蓮
(原告の絵柄) (被告のシール絵柄)
② ひさご(瓢箪)
(原告の絵柄) (被告のシール絵柄)
左右を見比べてみると、一見、とてもよく似ていますね。
②の「ひさご(瓢箪)」について、被告のシール絵柄は、原告の著作物をコピーしたものだとして著作権(複製権)侵害が認められました。
でも、①の睡蓮を含め、他の絵柄はすべて著作権(複製権)侵害が否定されました。
なぜ①の睡蓮は侵害じゃなくて、②のひさご(瓢箪)は侵害なのか?
判決を読むと、まずこう言っています。
「いずれも睡蓮,ひさご,金魚鉢等を素材とし,印鑑,シール等の絵柄等に用いられるデザインである点で共通するものであるが,上記の素材はそれ自体ありふれたものである上,限られたスペースに単純化して描かれることから,事柄の性質上,表現方法がある程度限られたものとならざるを得ない。そうすると,本件において複製権侵害を認めるためには,同種の素材を採り上げた他の著作物にはみられない原告著作物の表現上の本質的な特徴部分が被告著作物において有形的に再製されていることを要すると解すべきである。」
つまり、著作権侵害をいうには、原告の睡蓮やひさごの絵柄に、他の絵柄にはない特徴部分があって、その特徴部分がコピーされている必要がある、ということ。
そこで、①の睡蓮についてみると、原告の絵柄で表現されているもの(花や葉っぱの配置や表現)は、同じ睡蓮を素材にした他の絵柄でも、同じように表現されていました。
このため、原告の睡蓮は、ありふれた素材や構図を組み合せただけで、これといった特徴がないということになります。
そういう場合、デッドコピーといえるものでないと、コピー品だとはいえないことになります。
被告のシール絵柄を見ると、原告の絵柄とは異なり、赤っぽい色でおしべやめしべが描かれ、浮き葉には葉脈が描かれているので、コピー品ではない、と判断されたというわけです。
一方、②のひさご(瓢箪)はというと、原告の絵柄で表現されているもののうち、黒地に太い白色の葉脈が描かれた葉っぱと、白地に黒色で葉脈が書かれた葉っぱとを織り交ぜた部分は、他の絵柄にはなかったものでした。
そこが特徴部分であると認定され、さらに、被告のシール絵柄でも同じような表現がされている(白地の葉っぱの位置が左右逆ですが、そこは大きな違いではありません。)として、コピー品だと認められたというわけです。
このように、自分の作品と、相手のものとを単純に見比べ、似てるというだけでは、著作権(複製権)侵害だ!ということにはなりません。
特に、本件のように印鑑とかシールの絵柄のように、大きなキャンバスに絵を自由に描くのと違って、小さなスペースの中で表現するものの場合、表現に制約があるので、同じものを表現しようとすれば、大体似たような感じになってしまうのは否めません。
本件訴訟では、被告側から、同じものを素材とした多数の絵柄が証拠として提出されています。
その結果として、原告の絵柄のほとんどがありふれたものだと判断されることにつながっているので、被告側の対応しては参考になる案件ですね。
法律事務所と特許事務所が、AIGIグループとしてタッグを組んでます。
それぞれのページをぜひご覧ください!
★あいぎ法律事務所(名古屋)による知財・企業法務サポート
★あいぎ特許事務所
商標登録に関する情報発信ページ「中小・ベンチャー知財支援サイト」もあります