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今日は、法律とは全く関係ない話を。
中小企業家同友会という組織に所属しています。
中小企業の経営者の集まりで、全国的な組織なのですが、いくつかの地区に分かれていて、私は、愛知県の中の名古屋中区南地区というところに所属しています。
経営者の集まりと言えば、他にも、青年会議所(JC)とか、商工会議所の若鯱会とか、他にもいろいろありますが、昨年末まで勤務していた事務所の縁で、この同友会に入会。
経営者の持つ悩み、課題などをどうやって克服していけばよいのか、他の経営者の方を講師に招いて報告していただき、それをもとに討論しながら勉強するという勉強会を定期的に開いています。
ここに参加しているのは、自分と同じように一人だけの個人事業主から、社員が数人、数十人、100人位いるという方まで様々です。
こういうところに参加することで、様々な業種の方のいろんな考え方を学べるので、とても意義あるものだと思っています。人とのつながりができますしね。
昨日は、今月の勉強会の日だったので、参加してきました。
勉強会のテーマは、「経営者としての喜びを感じていますか?~わが社が存在する意義と価値を知り共有する~」というもの。
参加したといっても、遅れてしまってほとんどを聴き逃してしまいました。
独立して間もない自分にとっては、聴いとくべきお話だったと思うと、とても残念。
とはいえ、その後の懇親会はしっかり参加して、アルコール(主にビールですが…)を堪能
そっちがメインかい!ってツッコミはなしってことで(笑)
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今日も暑いですね。
昨日は、裁判所が「ターザン」という商標は無効と判断した、という結論まで書いて終わりました。
今日は、なぜ無効と判断したのか、その無効の理由を書こうと思います。
商標法には、商標登録を受けられない場合がいくつか規定されています(4条1項)。
わかりやすいものでいえば、国旗や国際機関(国連や赤十字など)のマーク、公序良俗違反となるものなどです。
その中で、本件の「ターザン」商標は、公序良俗を害するものだと判断されました(4条1項7号)。
公序良俗というのは、「公の秩序または善良な風俗」の略語です。
商標それ自体が、卑猥であったり、差別的であったり、不快な印象を与えるものという話であればイメージしやすいですね。
でも、「ターザン」が公序良俗を害するの?というのが通常の感覚ではないでしょうか。
この点、商標登録が認められない場合の「公序良俗を害する」には、卑猥や差別的といった上記の意味のほか、
・他の法律で使用が禁止されているもの
・国家資格等を誤信させるもの
・暴力団にかかるもの
・特定の国またはその国民を侮辱するもの
・国際信義に反するもの
・公正な競争秩序を害するもの
・剽窃的に出願されたもの
なども含まれると考えられています。
そこで、本件の「ターザン」商標は、次のような理由から、公序良俗を害すると判断されました。
◆国際信義に反する
アメリカを中心に世界中で、「ターザン」という言葉には、具体的なイメージを持った架空の人物像を思い起こさせ、それ以外のイメージはない。
そういう言葉について、機械ロボットというイメージとはあまり関係がない商品に関する商標でも、日本で商標登録を認めることは国際信義に反する。
◆公正な取引秩序維持の観点からみて相当でない
原作小説やその関連の著作権が存続し、かつその管理団体が存在する状況で、管理団体とは無関係な第三者が商標を半永久的に独占利用できるようになるのは、公正な取引秩序維持の観点から相当ではない。
この国際信義に反するという理由が商標無効の理由の一つとされるのは、この件だけでなく、「Anne of Green Gables」(赤毛のアン←今、NHKの連続テレビ小説「花子とアン」で話題ですね!)という商標が無効と判断された例もあります(知財高裁平成18年9月20日判決)。
今回の「ターザン」商標に関する判決から窺えるのは、
・世界的にみて知名度があり、日本でもある程度のイメージが持てるという名前であって
・著作権が存在し、それを著作権管理団体がきちんと管理している
という状況では、商標登録にはリスクがあるということだと思います。
たとえ、イメージと離れた商品や役務(サービス)の名称に使っていて、その名称のイメージにただ乗りする意図がなくてもです。
単純に、誰も使ってない名称だったらなんでも商標登録できるんだー!、ってわけにはいかないんですよね。
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今回も、知財勉強会で扱った判例を題材にします。
面白い案件だったので(^^)
商標の審決取消訴訟に関する案件です。
問題となった商標は「ターザン(標準文字)」(商標登録第5338568号)というもの。
その指定商品は、プラスチック加工機械器具、プラスチック成型器用自動取り出しロボット、チャック(機械部品)です。
初めに少しだけ基礎知識を。
・商標にはいろんな種類があります。
単純な文字だけの「文字商標」、図形・記号からなる図形・記号商標、立体商標、これらの組み合わせなどです。
ちなみに、今年の法改正で音(サロンパスの久光製薬のCMで流れる「ヒ・サ・ミ・ツ♪」など)、色彩、ホログラムなども商標の対象となりましたね(施行はもう少し先)。
・いったん登録された商標でも、それは本来登録されるべきではないものだとして、誰でも特許庁に対して審判を求めることができます(無効審判)。
その審判の結果、登録が維持されたとしても、その結果に不服があれば、裁判所に審決(審判の判断)を取り消すよう訴えることができます。
・商標は、その商標を使用する「商品」や「役務(サービス)」を指定して登録されます。
商標法によって保護される登録商標というのは、登録商標が付された商品や役務に対する信用を保護するものなので、商品や役務との関係は切っても切れないのです。
例えば、Dell社のパソコンにはユーザーからの信用が得られていますが、Dellというお菓子はパソコンのDell社とは全く関係ありません。
それを前提に、本件商標は「ターザン」という、カタカナからなる単純な文字の商標が問題となりました。
この商標について、無効審判が請求され、特許庁は請求不成立として登録を維持したのですが、それを不服として審判請求人が訴訟提起しました。
で、審判を請求し、訴訟まで提起したのは誰かと言いますと、小説「ターザン」の作者であるアメリカの小説家(エドガー・ライス・バローズ)が設立した法人で、著作権等を管理する会社です。
そう、あの「あ~あ~あ~」って叫びながら、つたを使ってジャングルを飛び回る、ジャングルの王者ターザンですね。
これって、もとはアメリカの小説だったんですねー。
そして、このターザンさん、実は、イギリス貴族の血をひくお方だったというのも、判決文を読んでみて初めて知りました。
一方、商標権を持っていた被告は、機械の製造・販売を行う日本の会社です。
自社製品であるロボットが変わった動きをするので、なんとなくのイメージで「ターザン」という名前を付け、商標登録もしたということみたいです。
そしたら、勝手に商標登録するな!、そんな商標無効だ!ってわけで、無効の審判を請求されてしまったわけなのです。
ただ、特許庁での判断では、無効にはなりませんでした。
でも、知的財産高等裁判所は、特許庁の判断は誤りであって、「ターザン」商標は無効なんだと判断したんですね。
と、結論まで指摘しておいて、知財高裁がこのように判断した理由はまた明日にしま~す。
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今日は、今月の知財勉強会の日。
肌を刺すような酷暑の中、自転車で勉強会会場となっている事務所へ。行きも帰りも汗だくでした。
この知財勉強会の題材は、過去の判例時報(有名な判例雑誌)に掲載された知財判決なのですが、題材がちょっと古いのは否めません。
でも、何人かの弁護士と弁理士が一緒に判例を勉強するというのは貴重な機会で、自分の勉強にもなるので、毎回参加してます。
今回の題材の一つは、「車載ナビゲーション装置事件」(知財高裁平成23年11月30日判決)でした。
名称を「車載ナビゲーション装置」とする特許権を有していた原告(パイオニア)が、携帯端末を用いたナビゲーションシステムを提供する被告(ナビタイム)に対し、特許権侵害により、システムのサーバ使用やソフト配布の差止めや損害賠償を求めた事件です。
一番の争点は、被告のナビシステムは携帯電話等の端末を用いたものなので、「車載」ナビゲーション装置である本件の特許権を侵害するといえるのかという点です。
結論として、裁判所は、原告の特許権を侵害しないと判断しました。
「車載」という用語の意味を普通に考えれば「車に搭載されている」ということなので、携帯電話等の端末を用いたナビシステムは「車載」といはいえません。そりゃそうだよねという話ですね。
ところで、特許権の侵害うんぬんを検討するときは、文言侵害かどうか、文言侵害でないとしても均等の範囲内かという2点を検討します。
侵害検討の出発点は、特許発明の内容(特許公報の「特許請求の範囲」という欄で、言葉によって説明されています。←知財業界ではクレーム(claim)という。)です。
本件の特許発明の場合はこんな感じで説明されています。
A 目的地を設定しその設定した目的地を示す目的地座標データ及び車両の現在地を示す現在地座標データに基づいて現在地から目的地に至る航行情報を表示する車載ナビゲーション装置であって,
B 目的地座標データを記憶するための記憶位置を複数有するメモリと,
C 目的地が設定される毎にその目的地を示す目的地座標データを前記メモリの少なくとも前回の目的地座標データの記憶位置とは異なる記憶位置に書き込む手段と,
D 目的地の設定の際に前記メモリに記憶された目的地座標データを読み出す読出し手段と,
E 読み出された目的地座標データのうちから1の目的地座標データを操作に応じて選択し前記1の目的地座標データの選択によって目的地を設定する手段とを含むことを特徴とする
F 車載ナビゲーション装置。
発明の内容は抽象的に書かれているため、理解が難しい場合も多いのですが、本件は比較的理解しやすいですね。
特許権侵害となるには、まずはこのA~Fに書かれている構成すべてを満たすことが必要です。そして、そのすべての構成を満たしている場合が「文言侵害」となります。
でも、本件では、AとFには「車載」のナビゲーション装置と書いてあって、発明の説明にも「車に搭載されている」ことしか書かれていません。
そうすると、被告のナビシステムは「車載」されたものではないので、AとFの構成を満たさず、文言侵害ではないと判断されたというわけです。
まあ、裁判所の言うとおりですね。
このように文言侵害ではないとなると、次に、均等の範囲内か(←「均等論」といいます。)という点が問題となります。
要は、発明の要件は満たしていないけど、ちょこっと変えただけで実質的には一緒とみていいかどうか?を判断するのです。
ちょこっと変えただけなのに、文言侵害でない、だから特許権を侵害しない、となっては、特許権者からすればそりゃないよー、という話です。
そんなことなら特許取ってもあまり意味ないし…ってなってしまいますので。
で、本件における均等論というのは、被告のナビシステムは「車載」じゃないかもしれないけれど、ナビゲーションという点では同じなので、一緒とみていいのか?という問題です。
でも、これも裁判所は認めませんでした。なので、最終の結論は特許権を侵害しないということになります。
ネットで述べられている実務家の意見や今日の知財勉強会での意見の中には、この裁判所の均等論に関する判断には批判もあるようです。
本件の特許権が出願されたのは平成3年で、その当時、ナビゲーションといえば車載されたものであったので、携帯端末を使ったナビゲーションシステムが出てくることを予想するのは困難で、特許権者に酷でしょというものや、明細書(発明の説明)に書かれていないことを理由に均等論を判断している、といったものです。
確かに、出願当時は想定できなかったという面もあるかもしれませんが、そもそも、発明の名称にあてはまらないものを、均等により侵害だというのはちょっと違和感があるので、まっとうな判断であったのではないかと私は思います。
均等論成立の要件を示した最高裁の判断では、均等論採用の理由として、
「特許請求の範囲に記載された構成の一部を特許出願後に明らかになった物質・技術等に置き換えることによって、特許権者による差止め等の権利行使を容易に免れることができるとすれば、…社会正義に反し、衡平の理念にもとる」
として言っていて、発明の名称の一部を「構成の一部」とみるのは無理があるのではないかなあと思います。
クレーム作成では、構成に余分な限定がなされていないかどうかはもちろん、発明の名称についても、そこは均等論の問題にはならないんだと思って、より気を配って考える必要がありますね。
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