エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

現世考:軍事予算5.1,兆円と IHPとIEP

2016-12-11 07:13:11 | 間奏曲
 
偽善者2人 ふるってますよ
   「大事なことは、心(間)で見なくちゃね!」  臨床家は、まず第一に、クライアント「と共に」、クライアント「のために」臨床をしていくのですね。それは......
 

  昨日の朝日新聞一面下段に、「17年度防衛費 最大の5.1兆円」という見出しで記事ができまたね。ミサイルを改修したり、新しい潜水艦を作るのだそうです。

 文教予算は、減らされて4.5兆円になるそうです(文科省HP)。やっぱり、悪政に対して「ガマンしなきゃ」でしょ。

 私は、サイコセラピーをしていて感じるのは、本当の苦しんでいる子どもが、実に多く、その事態は非常に深刻だ、ということです。たとえば、母親が3回結婚して、その度に引っ越しをして、「お父さん」が変わる体験をしています。クラス担任が変わるのだって、子どもにとって大変な場合があるのに、住む場所、「お父さん」が変わったら、その大変さはいかばかりでしょうか? あるいは、家族に見捨てられたりしている、独り暮らしの高校生。その寂しさ、親に対する恨み辛みはいかばかりでしょうか? 困難な家族には、欧米のように、個別支援計画(individual habilitatin plan : IHP)を話し合って作って、様々な専門家が支援するシステムを作らなければ、どうにもなりません

 学校では、発達トラウマ障害(DTD)の子どもだらけで、一斉授業では、とても対応できない子どもだらけ。アメリカの様な個別教育計画(individualized educational program : IEP)を、話し合って作って、ひとりびとりの子どもとその家族を 様々な専門家が支援するシステムを作らなければ、どうにもならない状況です。 「アクティブ・ラーニング」という名のグルーブ学習にして、子ども見捨てる、実際は「悪徳・ラーニング」では、発達トラウマ障害(DTD)の子どもはさらに悪くされるでしょう

 IHPにしろ、IEPにしろ、様々な専門家とコーディネーターを起動させるためには、ミサイルや潜水艦よりも、お金がかかります。また、そちらにお金をかける方が、日本の中で苦しんでいる人たちをどれだけ手助けすることになることも、確かです。

 私たちは、選択の時にあります

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インターメッツォ: エリクソンの叡智 : 礼拝の失敗

2016-12-11 05:59:44 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
ビョーキのルター
 美しい今朝の朝焼け さすが、サリヴァン先生!  フロイトの考え方が広まった背景に、19世紀に資本主義の精神が変質し、倹約重視の考え方が衰退し、消費重視......
 

 今朝も、エリクソンは、Toys and reasonsから。 ≪自分の感じ≫自分の感性で行動して良いんだよ、オートノミーの感じの続きの続き、そのまた続き。

 礼拝。礼拝の失敗。教会の人ですと、牧師が説教している時に、居眠りしたり、ミサの最中に祈祷文を読み間違えたり(言い間違えたり)する事かしら? と思うかもしれません。でも、そんなことではないらしい。 

 

 

 

 

 

 礼拝の失敗とは、ガマンすることができると同時に役に立つ、善悪(浄・不浄、高低、美醜…)の分別を、世代から世代へと、確信をもって、伝えきれないことです。

 

 

 

 

 

 子育てや教育がうまくいかない時、その真実の姿は、ここでエリクソンが言う「礼拝の失敗」です

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

むごい育ち体験(ACE score)からみると、重度の発達トラウマ障害(DTD)の子どもと大人が多い

2016-12-11 04:44:03 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
過去は変えられないけれども、決して死なない。
   日本の拷問:「度を越さない、身体的心理的抑圧 moderate physical and psychological pressure」  ガザの......
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.147、箇条書きの後から。

 

 

 

 

 

 ひとつの「はい」の数が、1ポイントとして記録され、0~10のエース点数が出てきます。  たとえば、いつも言葉の虐待をされている人で、お母さんがアルコール依存症、両親が離婚、という人は、エース点数が3点になります。むごい育ちの経験を報告してくれた2/3の人たちの内、87%の人たちがエース点数が2点か3点でした。エース点数を付けたすべての人の1/6の人たちは、4点以上でした。

 

 

 

 

 

 4点以上となれば、重たい発達トラウマ障害(DTD)とみていいと思います。自殺のリスクが、エース点数が0点の人に比べて、12倍ですからね。

 私はこれまで、エース点数を付けたことはありません。が、先日、エース点数の質問票を翻訳しましたから、今度エース点数をサイコセラピーの中で付けてみようと思います。

 これまでサイコセラピーの中で聞いている話からエース点数を付けてみると、ニッポンでも、エース点数が2点から4点の人が多いことが解かります。ですから、発達トラウマ障害(DTD)の子どもと大人がニッポンには溢れているんですから、重度の発達トラウマ障害(DTD)の子どもと大人が多い、ということになります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

聖書の言葉: 「聖書を学ぶ会」報告から : 悪魔の実力

2016-12-11 03:29:26 | 間奏曲

 
偽善者2人 ふるってますよ
   「大事なことは、心(間)で見なくちゃね!」  臨床家は、まず第一に、クライアント「と共に」、クライアント「のために」臨床をしていくのですね。それは......
 

 

 西村秀夫先生が亡くなる前、数年間、それまで『聖書報告』を担当してた西村秀夫先生、現在は北星学園理事長 、当時は恵泉女学園短大学長の大山綱夫先生に加えて、もっと若い者も、ということで、理化学研究所研究員の山口和彦さんと私が聖書報告することになりました。

 今宵は、『新約聖書』「ルカによる福音書」第4章1節~4節「荒野の試み」から、悪魔について、学びたいと思います。

 新共同訳では、「ルカによる福音書」第4章1節~2節は

さて、イエスは聖霊に満ちて、ヨルダン川からお帰りになった。そして、荒野の中を、〝霊〟によって引き回され、四十日間、悪魔から誘惑を受けられた。その間、何も食べず、その期間が終わると空腹を覚えられた。

 ここを私なりに訳したのが次になります。

それでイエスは聖霊に満たされて、ヨルダン川から帰った。そして、聖霊によって荒野に導かれ、四十日間、こっちはいいけどあっちはダメ」と物事を善悪ふたつに分裂させる悪魔から試練に遭われた。そして、その間何も食べず、その期間が終わるとき、彼はお腹をすかせていた。

 ここで、「悪魔」と新共同訳で訳されているところを、「こっちはいいけどあっちはダメ」と物事を善悪ふたつに分裂させる悪魔」と私は説明的に訳しました。というのも、「悪魔」と訳されているギリシア語のδιάβολος ディアバロスは、διά「2つ」とβάλλω「投げる」「バラバラにする」の組み合わせからできていますから、「物事を善悪ふたつに分裂させる悪魔」という意味になります。

 神様が世界を創造されたとき、繰り返し「極めて良い」「非常に良かった」と繰り返されました(『旧約聖書』「創世記」第1章31節)。しかし、悪魔は違います。神の創造に対して、ケチを付ける存在です。「これは良いけど、あれはダメだ」という訳です。

 でも、大したことないじゃないの? と思う人もいるかもしれませんね。ところが、これが曲者なんですね。それはこういうことです。

 物事を善悪2つに分裂されるとき、それは、心の中にも善悪を分ける「心の壁」が出来ています。心の中の「悪」には、激しい怒りや憎しみなどの強い感情がつきものです。そして、もっと厄介なのは、それは、心の内に留まらずに、外側に「投げる」ことになります。つまり、悪は外にあると思いがち。悪」を人に、外に「投影」しがち

 ですから、悪魔、つまり、物事を善悪ふたつに分裂させる悪魔が、心の中の敵意や憎しみを人に外に投影して、あらゆる小競り合いから戦争までも引き起こす、という訳です。

 

 


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする