医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

異端カタリ派の美風2

2007年03月03日 06時13分31秒 | Weblog
 カタリ派はトゥールーズだけではなく、ラングドック地方のカルカソンヌやアルビにも多数おりましたので、アルビ派とか、アルビジョア派とも呼ばれました。

 異端といえば以前にも軽く書きましたが、「グノーシス」が有名です。

 グノーシスというのは、ウィキペディアによれば、

「1世紀に生まれ、3-4世紀にかけて地中海世界で勢力を持った古代の宗教・思想の一つであり、物質と霊の二元論に特徴がある。

『グノーシス』とは、古代ギリシア語で、認識・知識を意味する言葉で、認識によって真の神に到達できるとした」

宗教です。

 つまり、地上の生の悲惨さは悪なる宇宙がもたらすもの、したがってそのような秩序が支配するこの世は認めない、つまり肉体も悪、しかしどこかに善き神がいて、霊こそは善、という反宇宙的二元論が特徴です。

 グノーシス主義の代表的なものが、ササン朝ペルシャで生まれ、中国にまで伝わった「マニ教」です。

 マニ教では、この世は光と闇で構成され、光の勢力が太陽神ミスラを派遣し、闇勢力はアダムとイヴを作ったので、肉体は汚れたものとし、そのため婚姻も許されず、菜食主義で禁欲的でした。

 アレクサンドロス大王によって、ギリシャ文明とオリエント文明が融合してヘレニズム文化が起きますが、その際に西方のキリスト教や、ユダヤ教、ゾロアスター教、仏教、道教、グノーシス・・・そういうものが交じり合っていろいろな宗教も生まれたのでしょう。

 カタリ派はブルガリアで生まれたグノーシス主義の「ボゴミール派」から影響を受けました。

 カタリ派のカタリとは「カタルシス」と語源は同じだと思います。

 「浄化」という意味でしょう。

 カタリ派の隆盛には、ローマカトリックの腐敗に対しての、民衆の反抗の意味合い、言ってみれば宗教改革的側面もあったものと思います。

 ですからカタリ派はこの世を、そして教会の秘蹟も、さらには教会自身も悪と考えます。

 そして拝火教のゾロアスター教やマニ教的な二元論と、なんと仏教的な「輪廻」の思想が特徴です。

 同じキリスト教ではありながら、イエス・キリストを神とは認めず、磔刑も信じません。

 カタリ派はオック語でかかれたヨハネによる福音書を重要視し、偶像はもちろん、十字架や祭壇すら持たなかったそうです。

 それらはそもそも悪魔が作った木や石から作られたものだからという理由だそうです。

 彼らは神の御言葉だけを尊重したそうです。

 ウィキペディアによれば、「カタリ派はグノーシス主義と同じように、物質世界に捉えられた魂はこの世を逃れることで非物質世界である天国に到達できると考えた。」ので、肉体を悪、霊を善と考えておりました。