【天風録】:南極が溶ける問題
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:南極が溶ける問題
世界最大の氷山が生まれたという。面積は東京都の約2倍に相当する。南極大陸の棚氷と呼ばれる陸から分離した。南極は日本の36倍もの大きさなのだから分離した氷山なんてわずかなもの…とは言っていられまい▲昔の大気や隕石(いんせき)などを閉じ込めた南極の氷は「タイムカプセル」。気候の変化を知る手掛かりとなる。一方、人による汚染が少ない南極ではわずかな環境悪化でもすぐ現れる。地球の健康度を測る「バロメーター」だ▲氷山の分離もメーターがこの星の「病」を警告しているのか―。そう思われて背筋が寒くなるが、専門家によると、今回の現象は自然のサイクルで気候変動とは関係ないそうだ。海面が上昇することもないという。とはいえ、やはり気に掛かる▲「南極が溶ける問題解けないよ」。日本自動車連盟が募った「JAFみんなのエコ川柳」の中高生部門で、大賞に輝いた一句である。遠い極地の現象であっても、地球に暮らす私たちの問題として捉える視点は心強い▲探検家アムンゼンの南極点到達からことしで110年。この間、平均気温は少なくとも0・6度上がったという。氷が溶けるのはその影響でないのか。問題を早く解かなくては。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2021年05月31日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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