★西側は「双方のどちらか一方が個別的な国家または複数の国家から武力侵攻を受けて戦争状態となる場合、他方は遅滞なく自国が保有するすべての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」(第4条)に注目。「有事の自動軍事介入」とも解釈できる条項で、軍事同盟の色合いが強いと分析する。在韓米軍のように在朝ロ軍が不穏な動きがあれば駆けつけるという考え方だ。旧ソ連時代の1961年に締結された「朝ソ友好協定および相互援助条約」の第1条がまさにそれだったが、1996年にロシア側が一方的に破棄し失効。韓国軍事筋は「今極東に配備する兵力の余裕がロシアにあるだろうか」と疑問を呈する。ロシア側の表現は「準同盟」。

 ★忘れてはならないのは日本近隣国の近代史だ。プーチンは今回、平壌で第2次大戦の対日参戦で戦死したソ連兵の記念碑に献花し、首脳会談では「1945年にソ連兵は日本の侵略者から朝鮮半島を解放するため共闘した」と話したが、極東をロシア列強時代の秩序に戻そうとするプーチンの思いが、朝鮮半島の南北統一の推進を阻止する新秩序構築だ。北朝鮮は南北統一を昨年末放棄し、労働党統一戦線部も解散した。同胞の民族主義がこれからの価値観に合わず、北朝鮮は中国と距離を置き、韓国と別の国として生きる道を探る。無駄に対立せずロシアブロックに組み込まれた方が、国際社会で生きていく場合のステータスが上がると判断をしたのではないか。中国は不満と共に米中接近が始まるかもしれない。(K)※敬称略