《余録・04.03》:「東京で自慢はなんですね…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・04.03》:「東京で自慢はなんですね…
「東京で自慢はなんですね……米も作らずに暮らすこと タジレた市長を仰ぐこと……市長のいうことよくきいて 豆粕(まめかす)食うこと痩せること」。大正の流行歌「パイノパイノパイ(東京節)」の一節である
▲「タジレた(常軌を逸した、ぼけた)」と皮肉られたのは大蔵官僚から東京市長に転じた田尻稲次郎。米価高騰で飼料にも使われる「大豆粕」食を推奨し、自ら実践した

コメが陳列されている棚の商品整理をする担当者=東京都足立区の「ベニースーパー佐野店」で2025年3月11日午後3時26分、町野幸撮影
▲就任は「越中女一揆」と呼ばれた米騒動の直前。第一次大戦で輸出産業が好景気に沸く一方、物価高騰が続き、実質賃金は下落した。大正版「貧乏人は麦を食え」の評判が悪かったのも当然だ
▲成り金と庶民の格差が拡大し、河上肇の「貧乏物語」が評判になった時期。遠い過去のようだが、令和の今も「子供の貧困」や「相対的貧困」はなくならず、格差も拡大傾向にある

スーパーの野菜売り場に高値で並ぶキャベツ=東京都足立区で2025年1月20日、三浦研吾撮影
▲コメの価格は昨年比2倍。4月から多くの食品も値上げされた。パスタやオートミールなどの代用食が話題になり「ダイズライス」も人気という。健康志向もあり「豆粕」とは事情が異なるものの、物価上昇が家計を圧迫する構図は昔も今も変わらない
▲家計の消費支出のうち食費が占める割合を示すエンゲル係数は昨年43年ぶりの高水準。政府備蓄米放出後もコメ価格は高止まり状態だ。食事に事欠く子供はいないかと心配になる。石破茂首相は「国民の不安を取り除く」と語った。就任から半年は「前言撤回」が目立った。物価高対策まで「有言不実行」では「タジレた」と皮肉られますよ。
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