【週刊コラム】:久しぶりの「星図早見盤」とお月さま 寂しい秋の楽しみ方
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【週刊コラム】:久しぶりの「星図早見盤」とお月さま 寂しい秋の楽しみ方
暗くなるのがすっかり早くなりましたね。
この季節、私のまわりには愚痴が増える人が何名かいます。「日が短いのが辛い」「秋はさみしい気持ちになる」というようなことを会うと必ず、あるいは電話やSNSで会話するたび口にされます。季節の挨拶言葉というより、口癖のような愚痴といった感じですね。みんな男性です。
女友達や女性の知人たちとも「秋はなんだかさみしい気持ちになるね」と言い合います。けれど、そのあとに「秋は食べ物が美味しい」「気温が下がるから温泉がいいね」といった秋の楽しみが続き、愚痴に終始することはありません。もちろん秋にさみしさを感じながら秋の楽しみを口にする男性もいます。
つまり、「秋にさみしさを感じながら秋を楽しむ」をタイプA、「秋を愚痴るだけ」をタイプBに分けると、タイプAには男性・女性が共にいますが、タイプBは男性だけ、ということになります。なぜでしょう。たまたま私のまわりがそうなのでしょうか。考えると興味深いです。
秋の魅力はたくさんあります。鮮やかな紅葉、海や畑からの恵み、温泉のありがたみが増しますし、星空が美しい季節でもありますね。
今年の夏、何十年かぶりに「星座早見盤」を買いました。目的は金星。もともと空を見上げることが大好きで、最近はこれまでにも増して空を見上げる時間が増えました。日中はもちろん、夜空にも、お月さま、そして星々の中では特に金星に心惹かれています。「明けの明星」や「宵の明星」という呼ばれ方もする金星を、星座盤によるデータと実際に見上げる夜空の両方で確かめてみたかったのです。
お話の流れとしては、ここで金星と星座早見盤を眺めた結果になるのでしょうが、情けないかな、買ったことにすっかり満足してしまい、実はまだ夜空と星図早見盤をじっくりと照らし合わせていません。「大人の買い物」の悪い癖ですね。
とはいえ、秋の夜長はまだまだ続きますから、夜空と正座早見盤を照らし合わせるチャンスはたくさんあります。星座盤は見ているだけで興味深いですし、雨の日でも星空を想像したりして楽しめます。最近の私は、星座盤の丸い形に「地球は丸いのよね、地球は回っているのよね」と今更ながらしみじみ感動したりしています。
秋の夜長。夜が長いからこその楽しみを見つけながら、元気にすごしたいですね。身体も心もなにかと変調をきたしやすい季節の変わり目、みなさまどうぞご自愛くださいませ。矢野直美「いつも 旅日和」
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【週刊コラム】 2020年10月24日 07:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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