路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【ニュースの教科書】:「原爆映画」の日米ギャップ突き破った奇跡的映画 映画史に異彩を放った「太陽を盗んだ男」

2024-09-03 23:58:50 | 【終戦・敗戦・第二次世界大戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・原水爆禁止

【ニュースの教科書】:「原爆映画」の日米ギャップ突き破った奇跡的映画 映画史に異彩を放った「太陽を盗んだ男」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ニュースの教科書】:「原爆映画」の日米ギャップ突き破った奇跡的映画 映画史に異彩を放った「太陽を盗んだ男」

 ■<ニュースの教科書>

 映画「バービー」の主人公の髪形を「キノコ雲」に加工したSNS画像が波紋を呼び、日米間の原爆に対する認識の違いが改めて浮き彫りになりました。底流に平和への思いが込められた作品でも、そもそも日米では視点が違うのです。映画史をひもとくと、そんなギャップを乗り越えた挑戦的な作品もありました。【相原斎】

<picture class="">trinity</picture>
 1945年7月16日のアメリカ山岳部戦時標準時の5時29分45秒、トリニティ実験における「ガジェット」が爆発。その0.025秒後の火球をハイスピードカメラによって撮影された写真がこちら。地平線に沿った黒点は樹木と思われます。この爆発でTNT(トリニトロトルエン)換算約19キロトンのエネルギーが放出され、爆心地には放射能を帯びたガラス質の石からなる、深さ3m直径330mのクレーターが残されたとのこと。 GETTY IMAGES

             ◇    ◇    ◇  

 着せ替え人形を主人公にした「バービー」と、原爆開発者の半生を描いた「オッペンハイマー」が、くしくも米国で同時公開となったことが騒動のきっかけとなりました。注目作を「2本立て」で観賞する映画ファンが多く、バービーの髪形をキノコ雲に加工した画像などが次々にSNSに投稿されたのです。日本からすれば無神経な行為に映り、腹立たしい思いや悲しい思いをされた方も少なくないと思います。一方で、戦後間もない頃からキノコ雲のポップアートを当たり前のように目にしていた米国人にとっては、陥りやすい「画像加工」であったことも確かです。一連の投稿は日本からの批判を受けて削除され、配給元が謝罪する事態となりました。

 「バービー」は、「レディ・バード」(17年)で高評価を得たグレタ・ガーウィグ監督がメガホンを取った意欲的な作品です。女性が主人公の「人形世界」からやってきたバービーの目を通し、いびつな男社会の現実を浮き彫りにしています。

 クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」も、原爆開発者の苦悩を通して反戦反核の色濃い作品です。ロサンゼルス在住の千歳香奈子通信員によれば「若者向けの作品が多いサマーシーズンには似つかわしくない3時間超えの伝記映画にもかかわらず、異例のヒットになっています」。

 本来良心的で質の高い2作品の公開日がたまたま重なったことで、日米の認識の違いが改めて浮き彫りになったのです。

 「オッペンハイマー」には広島、長崎への原爆投下とその後の惨劇を描くシーンがありません。ノーラン監督の一種の配慮かもしれませんが、これが日米の視点の違いを端的に示しているように思います。

 今村昌平監督(06年、79歳没)の「黒い雨」(89年)は、対照的に原爆投下後の放射性降下物(フォールアウト)が題材です。公開当時、主演した田中好子(11年、55歳没)にインタビューする機会がありました。

田中好子は神妙な表情でインタビューに応えた(89年3月18日の紙面から)

 

 キャンディーズの解散で「スーちゃん」から女優に転身してちょうど10年。ほっそりとした外見に大きな瞳がよけいキラキラと目立ったことを覚えています。ロケ地岡山県の山村で半年間の「合宿撮影」を経て、体重はアイドル時代より8キロ落ちて「39キロになりました」と明かしました。

 劇中、田中演じる娘は、被爆した一家3人の中でただ1人原爆症の兆候が表れません。しかし、数年後のある日、ふろ場で黒髪がごっそりと抜け落ちてしまいます。どこかあきらめたような薄笑いの演技が記憶に残りました。

 「原爆が原因で、周囲がみんな死んでいく。1人で幸せになれない。むしろ、みんなの仲間になった方が…。そんな不思議な笑いなんですよね」

 田中は主人公の気持ちをそんな風に解釈したそうです。両親は東京・足立区で釣具店を営んでいましたが、戦時中、海軍工廠(こうしょう)に徴用されていた父親には悲しい経験と複雑な思いがあったようです。

 「撮影中の話をしたら、父が『これでお前にも一億玉砕の意味が少しは分かるだろう』って。確かに感じるところがありましたね」

 スーちゃん時代のイメージが残っていたこともあって、しみじみとした思い出話は意外でもあり、日本に根差した原爆や戦争への思いを改めて実感しました。

 戦勝国の米国で、反核の思いを伝えようとするなら、「オッペンハイマー」のような理性的な語り口が必要とされるのは想像に難くありません。対照的に、唯一の被爆国である日本の映画には、語り継がれる体験が感性として染み込んでいるのだと思います。

「ザ・デイ・アフター」の公開当時のポスター

 

 米中部のカンザスシティーを舞台に、米ソ核戦争勃発を想定した「ザ・デイ・アフター」(84年)では、核兵器の影響が科学的データに基づいて描かれています。「客観」に徹したニュース映像のようなカメラワークで、「30分以内にソ連のミサイルが飛来」という現実を受け止められない市民の表情が印象的でした。

 対して、新藤兼人監督の「原爆の子」(52年)を始め、「はだしのゲン」(76年、中沢啓治原作、山田典吾監督)「父と暮らせば」(04年、井上ひさし原作、黒木和雄監督)などの作品には、ダイレクトに心を揺さぶられてきました。 

 日米間の拭いがたいギャップを乗り越え、独特の視点から原爆の恐ろしさを印象づけて映画史に異彩を放っているのが「太陽を盗んだ男」(79年)です。

 この3年前に「青春の殺人者」を撮って一躍スター監督となった長谷川和彦監督(77)が、米国の脚本家レナード・シュナイダー(06年、62歳没)と共同で脚本を執筆したことで、米国的とも言えるちょっと突き放したような視点が生まれたのだと思います。

 中学校の理科の教師が原爆を作って政府を脅迫。その最初の要求は「プロ野球のナイター中継を打ち切らずに最後まで放送しろ」。大胆なストーリーには「ハリウッド的アイデア」が感じられます。

 一方で母親が原爆投下2日後の広島市に入り、胎内被爆している長谷川監督は、後にトークショーで「オレはおふくろの胎内で被爆しているのだから被害者そのものだと思うよ。ただその前に原爆なんてものを作ったり、落としたりする人類の一員であるわけで、そのことは避けて通れない」と、この作品に向き合う姿勢を明かしています。

 原子力発電所からプルトニウムを盗みだしてから原爆製造までの細密な描写に加え、劇中には国会議事堂や皇居前のアクションシーンもありました。そのきわどい内容は、今なら「バービー」騒動のような批判の嵐にさらされたかもしれません。ネットもSNSもなかった当時でも、資金集め、ゲリラ的撮影、そして公開決定までの間には綱渡りのような局面が何度もありました。

 ビッグスターの顔合わせが大きな原動力になったことも確かです。31歳で人気絶頂だった沢田研二が長谷川監督らの熱意に賛同して主演。脂ののりきった46歳の菅原文太(14年、81歳没)とスケジュール調整がついたのも当時としては奇跡のようなことでした。

 コンプライアンスの現代ではあり得ないゲリラ手法には運も味方しました。主人公が妊婦に扮装(ふんそう)して国会議事堂に潜入するシーンは逮捕覚悟の隠し撮りです。

「太陽を盗んだ男」の沢田研二(手前)と菅原文太(79年、東京・北の丸公園の科学技術館屋上で)

 

 沢田は後に「守衛さんは1人で『あれっ』て顔をしていたのでそのまま歩きました。撮り終わった瞬間にスタッフたちが僕を連れ出して逃げ帰ったんです」と振り返っています。

 製作費3億7000万円の半分近くが未調達のままの見切り発車でもありました。プロデューサーの山本又一朗氏(75)に改めて話を聞きました。

 「ゴジ(長谷川監督の愛称)の熱意が分かるから脚本を切るわけにはいかない。例えば皇居前の撮影には4省庁の許可が必要だったけど、どこもOKを出さない。それでも『やりますよ』と。そうしたら当時の皇宮警察のトップがささやくように『いつですか?』って。その日に連絡したら、車止めの一部がさりげなく取り払われていた。もちろんその後ろには何重ものガードがあるんですけどね。お金に関しては、確実にヒットが見込める映画を並行して作ることで乗り切ったんですね。それがいしいひさいちさんのコミック『がんばれ!!タブチくん!!』のアニメ化でした。想定以上の大ヒットとなり、続編も2本続きました。あれがなかったら、僕は億を超える負債を背負って、2度と立ち上がれなかったかもしれない」

 文字通り綱渡りの裏側がうかがえます。

 「太陽を盗んだ男」は「1970年代日本映画ベスト・テン」(18年=キネマ旬報社)で第1位となり、「オールタイム・ベスト映画遺産200」(09年=同)でも歴代7位に選出されています。

 がむしゃらとも言えるスタッフ、キャストの熱量と奇跡が重なって完成に至ったこの作品は高いエンタメ性の一方で、原子力発電所の危険性も示唆し、核の脅威を他にない視点で印象づけることになりました。

 「バービー」「オッペンハイマー」騒動が、一種ナショナリズム的批判で盛り上がってしまったことは、世界に反核の思いを伝える上で決していいことだったとは思いません。日米間にあるような視点の違いを克服して、原爆の恐ろしさを広げるためのヒントが、44年前のこの作品にあるような気がしてなりません。

 ◆相原斎(あいはら・ひとし) 

 1980年入社。文化社会部では主に映画を担当。黒澤明、大島渚、今村昌平らの撮影現場から、海外映画祭まで幅広く取材した。著書に「寅さんは生きている」「健さんを探して」など。「太陽を盗んだ男」を製作した山本又一朗氏は今では、小栗旬、綾野剛、田中圭ら多くの人気俳優を擁する芸能事務所トライストーンの会長。80年代には何度も取材する機会があり、製作不可能と思われる作品にこそ生きがいを感じる異色のプロデューサーという印象がある。そんな熱量が多くの実力派俳優を引き寄せたのかもしれない。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「ニュースの教科書」】  2023年08月26日  08:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【機密文書・前編】:アメリカ原爆「機密文書」に書かれていた「重要事実」…! 『マンハッタン計画』指揮者が知っていた「放射線被害の本当の恐ろしさ」と、「オッペンハイマー宛のメモ」の中身

2024-09-03 23:58:40 | 【終戦・敗戦・第二次世界大戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・原水爆禁止

【機密文書・前編】:アメリカ原爆「機密文書」に書かれていた「重要事実」…! 『マンハッタン計画』指揮者が知っていた「放射線被害の本当の恐ろしさ」と、「オッペンハイマー宛のメモ」の中身

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【機密文書・前編】:アメリカ原爆「機密文書」に書かれていた「重要事実」…! 『マンハッタン計画』指揮者が知っていた「放射線被害の本当の恐ろしさ」と、「オッペンハイマー宛のメモ」の中身

 ◆機密「広島と長崎における原爆爆発の生物学的影響」

 「原爆の放射線に即死するほど晒されなかった被害者は、過度に苦しむことなく死ぬだろう。実際、それは非常に気持ちのいい死に方だと言うことだ」

 これは、原爆の開発・製造目的で1942年に開始された「マンハッタン計画」の最高責任者レスリー・グローブス将軍(映画『オッペンハイマー』では、マット・デイモンが演じている)が、原爆が投下された1945年の11月に「原子力エネルギーに関する米上院特別委員会」の公聴会でした証言である。

 “被爆者が非常に気持ちのいい死に方をする”とは、とんでもない発言だ。当時、「マンハッタン計画」を主導した人々は、放射線の影響について、どの程度、認識していたのだろうかーー。

 8月7日、そんな疑問に答える、機密解除された文書「広島と長崎における原爆爆発の生物学的影響」が公開された。この文書は、1970年代に数回の審査を経て非機密化されていたが、公開されたのは今回が初めてとなる。

 多くの政治家を輩出している名門ジョージ・ワシントン大学の私立研究機関「国家安全保障アーカイブ」がFOIA(情報公開法)を通じて行ったリクエストに対し、米国家核安全保障局が公開したこの文書は、「マンハッタン計画」のためにニューメキシコ州ロスアラモスに創設されたロスアラモス国立研究所のアーカイブの中から見つかった。ちなみに、「国家安全保障アーカイブ」は、原爆に関する機密文書をこれまで数年にわたって入手しており、この文書以外にも、様々な文書をサイトで公開している。

初公開された機密文書

 上の画像が、原爆投下の翌月1945年9月1日付けのその文書。ロスアラモス研究所の4名の科学者が、同研究所原爆計画爆発部長ジョージ・キスチャコウスキーの依頼で、広島と長崎に投下された原爆がもたらす生物学的影響についてリサーチして書いたメモランダムである。

 ◆「約800〜900メートルの範囲内で致命的な可能性」

 この文書は、書かれたその日までは指摘されることのなかった重要な事実を露呈している。科学者たちが“放射線被曝が、原爆の爆撃で亡くなった人々の死亡原因の一つになる可能性がある”と結論づけているのだ。この文書でそのことが指摘されるまでは、原爆の被害者は主に爆風や熱によって死亡すると想定されていた。つまり、この文書は、初めて、放射線被曝が原爆の被害者の死を引き起こした可能性を指摘した貴重な文書と言える。

 初公開された機密文書

 具体的には、原爆の爆発直後に発生するガンマ線が人体に致命的な影響を与える可能性があることや、生存者でも爆撃から何週間も経って亡くなる可能性があることが、以下のように述べられている。

 「爆発後、数秒以内に放射されるガンマ線は、致死量が599〜900レントゲンであるため、約800〜900メートルの範囲内で致命的となる可能性がある。この種の放射線の場合、この範囲内で奇跡的に生存した人であっても放射線によって命を落とすだろう。このケースでは、数週間後に亡くなることもある」

 また、放射性粒子による影響についても言及されている。

 「地面に堆積した放射性物質から出る放射線による生物学的損傷は算出できない。これはほぼ無視できる可能性があるが、降下する塵粒子の活性物質が堆積することは排除できない」

 ◆「オッペンハイマー」へのメモ

 放射線被曝が引き起こしたと思われる病気や死亡については、原爆が投下された後、日本でも報じられていた。しかし、「マンハッタン計画」の最高責任者レスリー・グローブス将軍は、この文書の日付の前日にテネシー州オークリッジで行われた記者会見で、“放射線が死亡を引き起こしたという事実はなく、報道は日本のプロパガンダだ”と主張して、放射線の影響を否定していた。

 つまり、グローブス将軍の主張は、4人の科学者が書いた“放射線被曝が原爆の被害者の死因の一つになる”としている前述の文書と真っ向から矛盾していた。そのため、文書を受け取ったチャウコウスキーは、当時ロスアラモス研究所所長を務めていたロバート・オッペンハイマー宛てのメモの中で「グローブス将軍が大胆な主張をした」と戸惑い、その文書をすぐにはグローブス将軍に送らなかった。

オッペンハイマー(左)とグローブス将軍(右) photo/gettyimages

 しかし、グローブス将軍は、本当に、放射線の影響を認識していなかったのだろうか? そうとは思えない。「国家安全保障アーカイブ」に掲載されている様々な文書がそのことを示唆している。

 例えば、1945年7月21日、アメリカがニューメキシコ州で“トリニティ実験”と呼ばれる人類初の核実験でプルトニウム原子爆弾を爆発させてから数日後、「マンハッタン計画」主任医務官スタフォード・ウォーレンは、最高機密報告書の中で、「キノコ雲から降下する粉塵は、爆発実験地点から約30マイル、北東約90マイルにわたって、非常に深刻なハザードを引き起こす可能性がある。空中には非常に大量の放射性の塵が浮遊している」と報告していた。

 また、ウォーレンらは、後に、実験地点から最大100マイル先まで大量の放射性降下物があったことを発見している。そこでは、ベータ線で焼かれて背中の毛が白色化した牛まで見つかっていたのだ――。

 後編記事『アメリカ原爆「機密文書」が“初公開”で判明…! 『マンハッタン計画』指揮者が「無視]した“放射線被害の深層”と、「日本のプロパガンダだ」発言のウラで漏らしていた「本音」』では、さらに機密文書に残されていた“深層”についてレポートしよう。



 ■飯塚 真紀子
MAKIKO IIZUKA

 在米ジャーナリスト。大分県生まれ。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、雑誌編集を経て渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会問題、トレンドなどをテーマに様々な雑誌に寄稿。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲルなど多数の知識人にインタビュー。著書に 『9・11の標的をつくった男 天才と差別―建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社)、『そしてぼくは銃口を向けた 』、『銃弾の向こう側―日本人留学生はなぜ殺されたか』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社)、訳書に封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか(講談社 )などがある。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 社会 【話題・機密解除された文書「広島と長崎における原爆爆発の生物学的影響」が公開・担当:飯塚 真紀子・在米ジャーナリスト】  2023年08月15日  07:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【機密文書・後編】:アメリカ原爆「機密文書」が“初公開”で判明…! 『マンハッタン計画』指揮者が「無視」した“放射線被害の深層”と、「日本のプロパガンダだ」発言のウラで漏らしていた「本音」

2024-09-03 23:58:30 | 【終戦・敗戦・第二次世界大戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・原水爆禁止

【機密文書・後編】:アメリカ原爆「機密文書」が“初公開”で判明…! 『マンハッタン計画』指揮者が「無視」した“放射線被害の深層”と、「日本のプロパガンダだ」発言のウラで漏らしていた「本音」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【機密文書・後編】:アメリカ原爆「機密文書」が“初公開”で判明…! 『マンハッタン計画』指揮者が「無視」した“放射線被害の深層”と、「日本のプロパガンダだ」発言のウラで漏らしていた「本音」

 ◆「初公開」機密解除された文書に書かれていたこと

 8月7日、アメリカで機密解除された文書「広島と長崎における原爆爆発の生物学的影響」が公開された。今回初公開された貴重文書であることは言うまでもないが、その中では「爆発後、数秒以内に放射されるガンマ線は、致死量が599〜900レントゲンであるため、約800〜900メートルの範囲内で致命的となる可能性がある」などと指摘。当時、原爆の被害者は主に爆風や熱によって死亡すると想定されていた中で、初めて放射線被曝が原爆の被害者の死を引き起こした可能性を指摘した貴重な文書が初公開された形なのだ。

公開された機密文書

 しかし、「マンハッタン計画」の最高責任者レスリー・グローブス将軍が、この文書の日付の前日にテネシー州オークリッジで行われた記者会見で、“放射線が死亡を引き起こしたという事実はなく、報道は日本のプロパガンダだ”と主張していたことを記事『“初公開”アメリカ原爆「機密文書」に書かれていた「重要事実」…! 『マンハッタン計画』指揮者が知っていた「放射線被害の本当の恐ろしさ」と、「オッペンハイマー宛のメモ」の中身』では紹介した。「マンハッタン計画」主任医務官スタフォード・ウォーレンもまた、最高機密報告書の中で、「キノコ雲から降下する粉塵は、爆発実験地点から約30マイル、北東約90マイルにわたって、非常に深刻なハザードを引き起こす可能性がある。いったいなぜ、放射線被害についての現実は“無視”されたのかーー機密文書には苦悶する指揮官の「本音」が残されていた。 

 ウォーレンは、グローブス将軍宛ての7月25日付の文書の中でも、都市上空での原爆の爆発が放射線ハザードや火事などを引き起こすと指摘、また、原爆の放射線は、爆発後に都市入りする軍隊にも危険を与える可能性があり、文書の最後に添付されている表で、放射線を大量に浴びた場合、多くの軍隊は「永久的なダメージ」を受ける可能性があると分析している。

 つまり、グローブス将軍はこの時点で、放射線の影響が十分わかっていたはずだ。

 しかし、グローブス将軍は、陸軍参謀総長ジョージ・マーシャル将軍宛てに送ったトリニティ実験に関する7月30日付けの文書の中で、原爆が引き起こす爆風の影響については強調しているものの「地上では、放射性物質のダメージを受けないことが予想される」と放射線の影響を否定している。ここでも、ウォーレンの指摘は無視されてしまった。

 ◆「(日本の)上手いプロパガンダだ」と一蹴した

 そして、8月6日には広島に、9日は長崎に原爆が投下される。日本では、すぐに、原爆の放射線が引き起こしたと考えられる病気や死亡が報じられた。その報道はグローブス将軍の耳にも入り、1945年8月25日、将軍は、放射線の影響を報じる日本のラジオ放送についてオークリッジ病院の外科医と電話会談をしている。

 2人は、日本のラジオ放送が「広島は死の街となり、25万人が住む街の90%の家が即座に破壊された。今は幽霊が後進している。生存者は放射線火傷で死ぬ運命にある」と報じたことについて、「それは上手いプロパガンダだ。人々は熱傷を受けているだけだ」と一蹴している。

 9月7日、グローブス将軍は、ハーバード大学学長で「マンハッタン計画」にも深く関与したジェームズ・コナント氏と電話会談をしているが、その時も「放射線で人がなくなっているという報道には根拠がない」と言い切っている。

 グローブス将軍の“放射線の影響否定”はその後も続いた。

 前述のウォーレンは、グローブス将軍に宛てた11月27日付けの原爆調査報告書の中で、「広島と長崎の病院に入院した約4,000人の患者のうち約1300人に当たる33%が放射線の影響を受け、そのうち約半数が死亡した」と書いている。

 しかし、その3日後の1945年11月30日、「原子力エネルギーに関する米上院特別委員会」の公聴会で、議員から、原爆が投下された日本の2都市で「放射性の残留物」があるかどうか尋ねられたグローブス将軍は「ない。確定的にない」と断言した。ウォーレンが原爆調査報告書で伝えたことは無視されてしまった。

 ◆グローブス将軍への「あるアドバイス」

 また、原爆と放射線については「わずかな日本人に放射線被害を与えるか、10倍のアメリカ人の命を救うかという選択肢しかなかった」とし、「原爆が実際に爆発した時以外は、誰も放射線で負傷していない。それは瞬間的なダメージだ」などと放射線の影響を軽視する主張も展開した。

 さらに、グローブス将軍は、ここで、恐るべき証言をする。

 「普通の人間が、爆撃の範囲内で、放射線の影響で殺されるのは実際偶然の出来事だ。原爆の放射線に即死するほど晒されなかった犠牲者は過度に苦しむことなく死ぬだろう。実際、それは非常に気持ちのいい死に方だと言うことだ」

 当然のことながら、グローブス将軍のこの証言は「とんでもない虚偽」と大バッシングされた。

グローブス将軍 photo/gettyimages

 このように、グローブス将軍は、放射線の影響については、原爆投下前からウォーレンに知らされていながらも、また、原爆投下後に冒頭の「広島と長崎における原爆爆発の生物学的影響」に関する文書が出されていながらも否定し続け、国民や議会を欺いてきたのだ。

 なぜか?

 文書には、“放射線による病気や死亡報道”に対し、同僚が「アンチ・プロパガンディストを出した方がいい」と日本のプロパガンダに対してアンチ・プロパガンダするようグローブス将軍にアドバイスしているくだりがある。

 ◆『マンハッタン計画』指揮者が「漏らした本音」

 それに対し、グローブス将軍はこう答えている。

 「それはできない。ダメージは全て、我々が引き起こしたからだ。我々は坐して待つ以外何もできない」

 加えて、日本はプロパガンダで同情を集めようとしているが、その状況を生み出した張本人はアメリカだという自覚も示している。

 「彼ら(日本側)は同情を集めようとしている。悲しいのは、それをアメリカが始めたさせたことだ。日本人が、爆撃から数日後に奇妙に亡くなっており、アメリカの偉大な放射線研究所でよく知られている現象の被害者の可能性があるということが、我々にダメージを与えている」

 原爆を開発し投下したアメリカとしては、日本に対して何も言えない状況だったのだ。結局のところ、放射線被害報道は日本のプロパガンダと決めつけることが、グローブス将軍ができた唯一のアンチ・プロパガンダだったのかもしれない。

 ◆「熾烈な核兵器開発競争」につながる「欺瞞」

 また文書で、民主党の上院議員が「アメリカ国内には、原子力とその利用に対する“非常に強い恐れ”がある」と指摘していた。国民が原子力に恐れを抱くなか、アメリカは、原子力を利用した核兵器の開発を推進しようとしていたのだ。

 日本に投下された原爆による放射線被害を否定する戦略をとらなければ、世論は反核へと向かうことになるとグローブス将軍は危惧したのだろう。何より、「マンハッタン計画」を指揮した者としての矜持もあったのではないか。

 グローブス将軍は、戦後も核兵器に関わり続けた。1947年に生み出された「武装部隊特別兵器プロジェクト(AFSWP)」の初代チーフに任命され、米軍の核兵器の監督を行った。
 
 そして幕を開けたアメリカとソ連による熾烈な核兵器開発競争。その始まりには、放射線の影響を無視し、否定した男の欺瞞があったのかもしれない。



 ■飯塚 真紀子
MAKIKO IIZUKA

 在米ジャーナリスト。大分県生まれ。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、雑誌編集を経て渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会問題、トレンドなどをテーマに様々な雑誌に寄稿。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲルなど多数の知識人にインタビュー。著書に 『9・11の標的をつくった男 天才と差別―建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社)、『そしてぼくは銃口を向けた 』、『銃弾の向こう側―日本人留学生はなぜ殺されたか』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社)、訳書に封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか(講談社 )などがある。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 国際 【話題・米国で機密解除された文書「広島と長崎における原爆爆発の生物学的影響」が公開・担当:飯塚 真紀子・在米ジャーナリスト】  2023年08月15日  07:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【原爆裁判】:アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子

2024-09-03 23:58:20 | 【終戦・敗戦・第二次世界大戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・原水爆禁止

【原爆裁判】:アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【原爆裁判】:アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子

 「広島、長崎への原爆投下は国際法違反である」
 六十年前、戦勝国アメリカに対して驚天動地の判決を下した裁判官がいた!



 「三淵嘉子をモチーフにしたNHK朝の連続テレビドラマ『虎に翼』が話題となっている。ドラマの五月の世帯視聴率が一七%を超え、その後も最高記録を更新するなど、好評を博している。

 では主人公のモデル、三淵嘉子とは一体、どのような人物だったのだろうか。

 三淵は一九三八年に司法試験に合格。一九四〇年六月、日本で最初の女性弁護士となり、『家庭に光を、少年に愛を』と訴え、家庭裁判所の発展に生涯を捧げた。実は、数ある『虎に翼』本を調べてみると、すっぽり抜け落ちているのが、三淵が裁判官として『アメリカの原爆投下は国際法違反である』とする判決を下した経緯である。そして唯一、この点を深掘りしたのが本書なのである。

 二一世紀、AI時代が開かれようとしている今、世界は二〇世紀の『戦争の時代』に逆戻りしつつある。ウクライナ戦争、イスラエル対ハマス戦争、台湾有事、北朝鮮の核開発などにより、第三次世界大戦前夜のような危機的な雰囲気になってきた。本書は、前半で『原爆開発から広島・長崎への原爆投下の歴史』と、これまであまり知られてこなかった、三淵嘉子が携わった原爆裁判をテーマに書き進められ、さらに『原爆投下は国際的な戦争犯罪』とする判決文の全文も掲載している。連日ニュースやSNS、YouTube等でリアルに報道されているロシアによるウクライナへのジェノサイドの実態、ガザ地区で起きている民族戦争の惨状、本書はそれらの政治・軍事・歴史的な背景を知るための座右の書にもなる、衝撃的な一冊である」――前坂俊之静岡県立大学名誉教授

 元稿:毎日ワンズ 主要出版物 【原爆裁判―アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子】  2024年06月05日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ヒロシマの空白】:核禁条約制定の源流 「原爆裁判」資料現存 今もなお世界への警鐘

2024-09-03 23:58:10 | 【終戦・敗戦・第二次世界大戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・原水爆禁止

【ヒロシマの空白】:核禁条約制定の源流 「原爆裁判」資料現存 今もなお世界への警鐘

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ヒロシマの空白】:核禁条約制定の源流 「原爆裁判」資料現存 今もなお世界への警鐘

 米国の原爆投下は、国際法違反―。東京地裁が裁判所として世界で初めてそう判断した「原爆裁判」(1963年判決)は、大阪の弁護士の故岡本尚一さんが、人類の破滅につながる核兵器の使用に歯止めをかけるために提唱した。判決は核兵器禁止条約の源流の一つとなり、今もなお核使用が危ぶまれる世界への警鐘の意味を持っている。(編集委員・水川恭輔)

 
 「原爆の使用が禁止せらるべきである天地の公理を世界の人類に印象づけるでありましよう」。原爆裁判を起こすことに賛同を得ようと、岡本さんが作った冊子「原爆民訴或問(みんそわくもん)」は、裁判の意義をこう訴えている。


 原爆裁判では原爆投下を国際法違反と認定させ、原水爆禁止のてことする狙いがあった。広島市などの被害者5人が原告となり、55年に東京地裁と大阪地裁(後に東京へ併合)に提訴した。

 岡本さんが訴訟への賛同を募った冊子「原爆民訴或問」。「(被害者が)今も悲惨な状態のままにおかれている」などと訴えている(撮影・高橋洋史)

 原告側の中心だった岡本さんは提訴の3年後に病死したが、三原市出身の故松井康浩弁護士が継承。被告の国は、原爆使用を禁じる国際法がなかったなどと合法の立場から争った。東京地裁は63年12月の判決で賠償請求を退ける一方、「広島長崎両市への原爆投下は国際法違反」と断じた。

 世界初の司法判断は国際的にも知られ、特に国際法違反と判断した枠組みが注目された。多くの人命を無差別に奪う猛烈な爆風と熱線と、被爆者に苦しみを与え続ける放射線という原爆の特徴を、原爆投下当時の国際法が禁じる戦闘行為に照らして導いていた。岡本さんが書いた訴状の主張におおむね沿っていた。

 その枠組みは、国連の主要な司法機関として核使用の違法性を審理した国際司法裁判所(ICJ)が96年に初めて示した勧告的意見でも大枠で踏襲され、核兵器の使用と威嚇を「一般的に国際法違反」と判断した。この意見は、保有や開発などを含め核兵器を全面的に禁じる核兵器禁止条約が2017年に国連で制定される機運を高めた。

 松井芳郎・名古屋大名誉教授(国際法)は「原爆裁判の判決は、核兵器の使用を国際法上、評価する際によるべき枠組みを示した。歴史的意義は大きい」と話す。

「原爆裁判」の判決を書いた裁判官の一人の三淵さん。女性法曹の先駆者でNHK「虎に翼」の主人公のモデルになった
 
 ◆判決書いた裁判官の一人故三淵さん 女性法曹の先駆者、「虎に翼」モデル
 
 原爆裁判の判決は当時の東京地裁裁判長の故古関敏正さん、裁判官の故三淵嘉子さんと高桑昭さん(87)=東京=の3人が書いた。1984年に69歳で死去した三淵さんはNHKの連続テレビ小説「虎に翼」で俳優の伊藤沙莉さんが演じる主人公猪爪寅子のモデル。女性法曹の先駆者だった。

 著書などによれば、三淵さんは明治大卒業後、38年に当時の司法試験に合格し40年に東京で日本初の女性弁護士に。戦時中は幼子を抱えて疎開生活を送り、応召した夫は戦病死した。終戦の2年後、「裁判官採用願」を司法省に提出。52年に女性初の判事となり、4年後に配属された東京地裁で原爆裁判を担当した。

 「おうようなやさしい人。私とは親子ほど年齢差がありましたが、古関さんとともに私を合議体の一員として遇してくれた」。当時20代だった高桑さんは懐かしむ。3人で合議をし、判決の方向性を決めたという。

 判決は「国民の多くの人々を死に導き、傷害を負わせ、不安な生活に追い込んだ」と日本が戦争を始めた責任にも言及。国の原爆被害者への救済策は不十分とし、「政治の貧困を嘆かずにはおられない」と指摘した。

 三淵さんは、戦後設けられた家庭裁判所が孤児をはじめ戦争被害者の再出発を支援する役割を担うことに共鳴。新潟家裁所長なども務めた。原爆裁判の判決からも戦争で傷ついた人への強い思いをうかがい知れる。(水川恭輔)
(2024年4月21日朝刊掲載)

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【ヒロシマ平和メディアセンター】  2024年04月21日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【天風録】:三淵嘉子さん

2024-09-03 23:58:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【天風録】:三淵嘉子さん

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:三淵嘉子さん

  日本帝國男子ニ限ル。司法試験の会場に墨で書いて張り出されていた。時は1938年、当時の司法修習生採用の案内である。2年前に弁護士の門戸は女性に開かれたものの、裁判官と検察官にはなれなかった

 ▲「(この文言が)頭にこびりついて忘れられなかった」。この年、司法試験に合格して女性初の弁護士となった三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんは語っていた。男女差別が色濃かった法曹界に道を切り開く

 ▲戦後志願し、やはり日本初の女性裁判官になった。家庭裁判所の創設にも携わり、女性や子どもの権利擁護に尽くした。4月に始まるNHK連続テレビ小説「虎に翼」は彼女が主人公のモデル。その人生がどう描かれるのか楽しみだ

 ▲広島とは意外な縁がある。被爆18年にして世界で初めて米国の原爆投下を国際法違反と断じた原爆裁判判決。それを書いた東京地裁判事の一人だった。自身は戦争で夫と弟を亡くした。戦争と核使用を繰り返してならぬとの思いは人一倍だったはず

 ▲きょうは国際女性デー。彼女には「女性であるという自覚より人間であるという自覚の下に生きてきた」の言葉もある。私たちにこびりついた、性別にまつわる思い込みに気づく日にしたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年03月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【福井県立大学】:国内初の“珍”新学部新設を発表、X興味津々「人気になりそう」「私なら目指す」

2024-09-03 08:15:30 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

【福井県立大学】:国内初の“珍”新学部新設を発表、X興味津々「人気になりそう」「私なら目指す」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【福井県立大学】:国内初の“珍”新学部新設を発表、X興味津々「人気になりそう」「私なら目指す」 

 福井県立大恐竜学部の公式X(旧ツイッター)が30日、更新。来年25年4月から国内初の学部が新設されると報告した。

 「国内初、『恐竜学部』誕生」と恐竜の絵文字を添えて書き出し「ようやく仮称がとれました」とつづった。

 公式Xでは、同大が発表した令和7年度(2025年度)入学者選抜要項を掲載。要項によると一般選抜の前期後期や学校推薦型選抜や外国人留学生らが対象の特別選抜など多岐にわたる。理念、目的については「恐竜学部は、福井県で蓄積された恐竜研究をさらに発展させ、地質学を含めた地球科学分野の教育・研究活動を通じ、現代社会の地球科学諸問題に対応するため、幅広い教養と地球科学に関する知識・技術を持ち、多様な局面において協働的および自主的に課題を探求・解決できる人材を育成するとともに、学術情報を地域社会へ積極的に開放することを目的とする」と記している。入学定員は約30名だという。

福井県立大恐竜学部の公式X(旧ツイッター)から

 また、公式Xによると、今月28日に「大学設置・学校法人審議会より、福井県立大学恐竜学部恐竜・地質学科(仮称:申請中)の設置認可を『可』とする旨の答申がなされました」と明かしている。

 「恐竜学部」の新設にXでは「人気になりそう かっこいいなあ」「モンゴルに行ったりしそう」「いいですね! もし私が中学生、高校生だったら絶対目指してるなぁ」「どんな学問領域になるんだろう。生物、気象、地学…あとなんだ、なんか色々ありそうやけど、利活用先として遺伝子とか医学とかプロダクトデザインとか?」などの興味津々のコメントが寄せられていた。

 福井県内の観光名所として「福井県立恐竜博物館」が有名。福井県勝山市村岡町の長尾山総合公園内にある、恐竜を主たるテーマとした自然史博物館。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・福井県立大・恐竜学部の公式X(旧ツイッター)が30日、更新】  2024年08月30日  18:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【兵庫県知事のパワハラ疑惑】:斎藤元彦知事の去就巡り維新が分裂含み…「吉村派vs馬場派」強まる対立のアホらしさ

2024-09-03 08:09:30 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【兵庫県知事のパワハラ疑惑】:斎藤元彦知事の去就巡り維新が分裂含み…「吉村派vs馬場派」強まる対立のアホらしさ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県知事のパワハラ疑惑】:斎藤元彦知事の去就巡り維新が分裂含み…「吉村派vs馬場派」強まる対立のアホらしさ

 パワハラ知事の去就を巡り、日本維新の会にスキマ風だ。大阪府知事の吉村共同代表が先週、兵庫県の斎藤元彦知事への不信任決議案の提出を示唆。「パワハラ知事おろし」に傾きつつある中、党トップの馬場代表が待ったをかけた。

 先月30日、斎藤が出頭した兵庫県議会百条委員会の開催中に行われた日経新聞のインタビュー。馬場は、吉村が不信任を示唆したことについて「雰囲気や自分たちが損をするからバサッとやると悪い前例になる」と語り、「知事おろし」に水を差したのだ。

<picture></picture>
2人は真逆の考え(吉村洋文大阪府知事と馬場伸幸日本維新の会代表=右)/(C)日刊ゲンダイ

 3年前の知事選で、維新は斎藤を推薦。大阪府以外で初の維新系知事誕生は話題となった。しかし、パワハラ知事として斎藤が全国区になると、問題続出の大阪・関西万博に加え、維新凋落を後押し。先月の大阪・箕面市長選で結党以来、初めて公認現職が首長選に敗れたのに続き、今月15日告示、22日投開票の大阪・摂津市長選では公認候補の擁立を断念。党勢は衰退の一途をたどる。

 自民党の新総裁選出後、早期の衆院解散・総選挙が叫ばれる中、兵庫選出の維新の国会議員らは、パワハラ知事の扱いに関し、「これ以上、待っても結論は同じ」「風当たりは強くなるばかり」と早期決着を求めている。

 ■吉村・馬場のミゾは埋まっていない

<picture></picture>
斎藤元彦兵庫県知事はいつまで居座る気?(C)日刊ゲンダイ

 すでに維新とともに知事選で斎藤を推薦した自民は「辞職要求」のスタンスを明確にさせ、早々にイチ抜け。斎藤が知事に居座り続ければ維新への批判を引きずることになる。それでも馬場は日経に「受けて立つことも必要だ」と答え、吉村とは真逆の考え。この強気の裏に何があるのか。

 「吉村さんへの意趣返しでしょう」とは維新関係者だ。こう続ける。

 「馬場執行部は、自民との党首合意が破綻するなど改正政治資金規正法の議論で大迷走。合意破綻の説明会で、吉村さんと馬場さんの路線対立が浮き彫りとなって以来、両者のミゾは埋まっていない。馬場さんに連なる執行部に近い国会議員と、創始者の橋下徹さんと松井一郎さんの息のかかった吉村さんや大阪の地方議員との関係は完全に冷え切っており、いつ分裂してもおかしくない状況です」

 パワハラ知事のクビをかけて分裂含みとは、やっぱ維新はアホちゃうか。

             ◇  ◇  ◇

 8.25投開票の大阪・箕面市長選は維新現職が首長選で初めて敗北。斎藤知事の“扱い”が維新凋落の分かれ目に…●関連記事『【もっと読む】維新の凋落がいよいよ始まった! 初の現職市長「大惨敗」…牙城の大阪でも絶望的“地盤沈下”』で詳報している。

  元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・政局・日本維新の会・兵庫県知事によるパワハラ疑惑】  2024年09月02日  10:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【兵庫県パワハラ知事】:県議会百条委でも居直り…今さら不信任視野で退勢挽回狙う維新に「二重の罪」

2024-09-03 08:09:20 | 【ハラスメント「セクハラ、パワハラ、モラハラ、アカハラ、ドクハラ、シルハラ...

【兵庫県パワハラ知事】:県議会百条委でも居直り…今さら不信任視野で退勢挽回狙う維新に「二重の罪」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県パワハラ知事】:県議会百条委でも居直り…今さら不信任視野で退勢挽回狙う維新に「二重の罪」

 「不快に思った人がいれば心からおわびしたい」と語る顔つきは、ちっとも謝っていなかった。パワハラやおねだりなどの疑惑を突きつけられた兵庫県の斎藤元彦知事が30日、県議会百条委員会に初めて出頭したが、相変わらず開き直った態度。後ろ盾だった日本維新の会は今さら、見切りをつけようとしているが、まず「二重の罪」を償うのが先だ。

<picture></picture>

     百条委員会で証人尋問に応じる斎藤元彦知事(C)共同通信社

                     ◇  ◇  ◇

 出張先で公用車を降り、20メートル歩かされただけで怒鳴り散らし、業務チャットには休日・深夜を問わず指示を出す──。斎藤は県職員アンケートに記されたパワハラ内容を問われたが、「記憶にない」「ひとつひとつ覚えていない」を連発。「仕事は厳しくが私のスタイル」と居直り、2時間半に及んだ証人尋問は結局、ゼロ回答に終わった。

 斎藤は終了後「私が知事として仕事をさせていただく」と語り、重ねて辞職を否定。知事の座からテコでも動かないつもりだが、これまで静観してきた維新が「斎藤おろし」にうごめき出した。27日に共同代表の吉村・大阪府知事が辞職要求の可能性について「当然ありうる」と一転させ、維新兵庫県議団の不信任決議案提出を示唆した。

 批判噴出の大阪・関西万博がたたり、維新は首長選などで敗北続き。斎藤の存在が追い打ちをかけ、25日投開票の大阪・箕面市長選では公認の現職が初めて敗れた。しかも、ほぼダブルスコアの完敗だった。

 党勢衰退が可視化された直後の方針転換とは虫がいい。維新は自民に次ぐ兵庫県議会の第2会派。不信任案を出せば可決の公算は大だが、斎藤おろしは「二重の罪」にケジメをつけてからだ。

 1つ目の罪状はパワハラ知事の製造責任だ。維新は3年前の知事選で斎藤を推薦し、吉村と当時の松井一郎代表(前大阪市長)は共に街頭で「全力応援」。斎藤当選に寄与し、大阪府以外で初の維新系知事誕生に胸を張ったものだ。

 ■告発元局長のプライバシー漏洩の疑い

 2つ目は「組織的パワハラ」の疑い。発端は今年3月、元県民局長が斎藤のパワハラなどの疑惑を告発したこと。斎藤が「嘘八百」と批判すると、県の人事課は元局長の公用パソコンを押収。人事当局トップら斎藤側近の幹部を通じ、告発とは無関係の元局長の私的な情報が一部県議に漏洩した疑いが強まっている。

 元局長は7月に証人出頭が決まった百条委に対し「プライバシー権侵害」への配慮を求める文書を提出。要請の直後に自ら命を絶ち、スマホに「死をもって抗議する」とのメッセージを残した。維新県議がプライバシー情報の開示を執拗に求めたり、百条委で「元局長をつるし上げてやる」と発言していたとの証言を、既に複数の週刊誌が報じている。きのうの百条委を取材したジャーナリストの横田一氏は言う。

 「仮に知事側近の県幹部、維新の県議らがプライバシーをネタに告発者を揺さぶり、死に追いやったとしたら、その罪は重い。パワハラ知事はかばうに値しないとの判断は結構ですが、不信任案の提出で斎藤氏にクビを迫る前に、維新の県議たちも共犯関係を認め、職を辞すべきです」

 維新の無反省で身勝手な「厄介払い」は許されない。

 ■関連記事

  元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・地方自治・兵庫県・知事によるパワハラ疑惑】  2024年09月01日  06:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【政局】:維新の凋落がいよいよ始まった! 初の現職市長「大惨敗」…牙城の大阪でも絶望的“地盤沈下”

2024-09-03 08:09:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政局】:維新の凋落がいよいよ始まった! 初の現職市長「大惨敗」…牙城の大阪でも絶望的“地盤沈下”

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:維新の凋落がいよいよ始まった! 初の現職市長「大惨敗」…牙城の大阪でも絶望的“地盤沈下”

 「完敗だと思います」──。「大阪維新の会」の現職市長の惨敗から一夜明けた26日、同会代表の吉村府知事は淡々とした様子で悔しさをにじませた。25日に投開票された大阪・箕面市長選は、維新現職が首長選で初めて敗北。国会で「野党第1党を目指す」とブチ上げた勢いはどこへやら、牙城である大阪でも維新人気の陰りが色濃くなっている。

<picture></picture>
応援むなしく(右から吉村洋文大阪府知事、上島一彦氏=大阪維新の会公式Xから)



 箕面市長選は現職の上島一彦氏(66)と、元大阪府議で無所属新人の原田亮氏(38)との事実上の一騎打ち。「首長選は現職優位がセオリーだが、今回は厳しい戦いを強いられる」(維新幹部)と目されていた通り、上島は原田に約1万4000票差をつけられた。ほぼダブルスコアの大敗だ。

 選挙期間中、吉村は2度応援に入ったが、神通力は及ばず。26日の会見で敗因を問われ、「現場の生の声を聞いた上で、敗因分析を行う」「僕が予断を持って(敗因を)話すのは良くないかなと思う」と力なさげに答えた。

 「上島さんは今年6月の市議会で、大阪万博の問題を指摘した共産党市議に『万博行くなよ。出入り禁止や』とヤジを飛ばして問題視された。最後は撤回に追い込まれたものの、悪印象は拭えなかった。維新系知事として出てきた兵庫県の斎藤知事のパワハラ疑惑、政治資金制度改革へのグダグダぶりも維新のイメージ悪化につながり、『現職不利』に追い打ちをかけました」(府政関係者)

 維新は先月28日の大阪府議補選(河内長野市)でも新人候補が敗北。同市は吉村の出身地だが、その強みを生かせないまま6月の市長選では候補を擁立できずに「不戦敗」。藤田幹事長の地元・衆院大阪12区(大東、寝屋川、四條畷)の市長選も軒並み、維新候補が負けている。そして箕面市長選の惨敗だ。

<picture></picture>
吉村洋文 大阪府知事(C)日刊ゲンダイ

 ■自民党新総裁が分かれ目

 9月の自民党総裁選直後の「早期解散論」がくすぶる中、問題は維新の失速が総選挙にも波及するのかどうか。在阪ジャーナリスト・吉富有治氏がこう言う。

 「確かに箕面市長選の結果から維新の凋落ぶりが見て取れますが、さらに失速するかどうかは、自民党の総裁選の結果によるでしょう。国民人気の高い新総裁なら総選挙で自民圧勝の可能性があり、維新は議席を伸ばしにくい。万博・カジノの行方、兵庫県の斎藤知事の扱いをどうするかも一朝一夕には解決できない。ここからが維新凋落の分かれ目です」

 いよいよ「終わりの始まり」である。

                 ◇  ◇  ◇

 一時の勢いはどこへやら。維新は大阪・箕面市長選以外でも負けが続いている。 ●関連記事『【もっと読む】維新の“オワコン化”は決定的!吉村府知事と藤田幹事長のお膝元首長選で連敗街道ヒタ走りでは詳報している。

 ■関連記事

  元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・政局・日本維新の会】  2024年08月27日  10:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【兵庫県議会百条委証人尋問詳報】(4)「俺は知事だぞ」発言を否定 個室用意は当然との認識示す

2024-09-03 08:08:40 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【兵庫県議会百条委証人尋問詳報】(4)「俺は知事だぞ」発言を否定 個室用意は当然との認識示

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県議会百条委証人尋問詳報】(4)「俺は知事だぞ」発言を否定 個室用意は当然との認識示 

 《兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)は、第4会派のひょうご県民連合に続き、共産党会派や無所属議員が質問に立った》

 《共産の委員は、斎藤氏が閉店時間を過ぎた喫茶店で知事の権威をかさに着てクレームを付けたとされる「俺は知事だぞ」発言の疑惑について質問。「知事だからこそ迷惑をかけてはいけない」と指摘した》

百条委員会で尋問を受ける斎藤元彦兵庫県知事=30日午後、神戸市中央区(代表撮影)

 委員「県民会館の喫茶室で、(閉店)時間を過ぎているので出て行ってくださいと言われたときに『知事なのになんで出ていかなくちゃいけないんだ』とおっしゃった」 斎藤氏「言っていません。スタッフの方が大きい声で早く出て行ってくださいと言われたのでびっくりして『兵庫県知事です』と名乗った」

 《無所属の委員は、問題の発端となった3月27日の記者会見について質問。会見で斎藤氏が述べた内容には虚偽が含まれていたと指摘した》

 委員「県民局長解任会見時のパワハラ発言の一部を紹介する。『本人も認めていますが、事実無根の内容を職務中に~県民局長としてふさわしくない行為をした』と。本人も認めているというが、県民局長はふさわしくない行為と認めていない」

 «事実無根の内容を告発者本人も認めたと受け取れる発言。委員の指摘は、斎藤氏によるミスリードではないかとの趣旨とみられるが、斎藤氏はその点には正面から答えない»

 斎藤氏「事実と異なる内容の文書だと私は認識した。県民局長は文書の作成流布したことを認めていた。勤務時間中に公用パソコンを使って作成したので申し上げた」

 委員「噓八百発言もそうだが、職員に精神的苦痛を与えることになる。(会見という場であり)知事の発言はマスコミを利用したパワハラではないか」

 斎藤氏「いろんな評価があり難しいが、事実ではないことがたくさん含まれている文書を、実名含めてたくさん流布されたので、それを勤務時間中に作成したことは職員として好ましくない行為だったという趣旨で伝えた」

 委員「何日に誰と県民局長の退職取り消しと人事異動を決めたのか」

 斎藤氏「(3月)25日に聴取をされて、文書を作成したと確認できるデータが見つかった。(ほかにも)パソコンのデスク上からそれ以外の不正アクセスとか、文書の作成などの4つの非違行為が確認できたので退職の保留、総務部付の人事異動をすることを片山副知事などから26日に報告があった」

 委員「そもそも本人が事実を認めていないと処分できない。処分に対する決裁規定違反。処分を急ぐがあまり、ずさんで拙速なものになった組織的なパワハラになった可能性がある」 

 斎藤氏「(最初に会見した)3月27日は懲戒処分ではない。退職の保留と人事の異動。必要な手続きはちゃんとやってきた」

 «再び自民会派の議員らが質問。斎藤氏は謝罪の言葉を述べる場面もあったものの、最後まで一貫してパワハラを認めなかった》

 委員「令和4年、更衣室が県民と共用だったことで(職員を)叱責。そして違う部屋で着替えたのは事実か」

 斎藤氏「スポーツイベントに参加するため着替えないといけなかった。更衣室に知らない男性がいてびっくりした。事前にちゃんと確認して更衣室を用意しておくべきだったのではないかということを注意した」

 委員「別の部屋で着替えたか」

 斎藤氏「多分そうだと思う。セキュリティーの関係で着替えるところに知らない人がいるということは望ましくないので別の部屋を用意させていただいた」

 委員「セキュリティー上なんの問題があるのか」

 斎藤氏「どうしてもやむを得ない場合は一般の人と着替える。公務で知事が着替えましょうというときは、基本的には個室を用意しておくということは普通に考えて、知事の安全面とか、物を置いておくときのセキュリティー、要は貴重品を置いておくケースもありますから、打ち合わせするケースもありますから。そこはちゃんと用意しておくのは大事なことだと思う」 

 《職員アンケートの記述などでは、斎藤氏が目の前でエレベーターが閉まった際、そばにいた職員に「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」と激高したとされる。委員は、斎藤氏がエレベーターのドアを開けておく係を置いているかの有無を確認》

 委員「エレベーターのドアを開けておく係を配置した。事実か」

 斎藤氏「何のことか分からない。記憶にない」

 委員「エレベーターを知事がすぐ使える状態になっていない場合、(職員を)注意したことは一度でもあるか」

 斎藤氏「そこはちょっと記憶がないです。もちろんゼロじゃないとは思いますが、注意をしたことがあるか、私は正直全く覚えていない」

 委員「エレベーターはそもそも多くの人が使う。知事は(自分が)特別に扱われるべきだと考えているか」

 斎藤氏「思っていない」

 《県内の小学生らへの配布物に、前知事の名前が入っているという理由ですべて差し替えたとの疑惑にも触れる》

 委員「小学校1年生に配る博物館に無料で行ける『こころんカード』。過去に配布したカードが斎藤知事の名前がないことを理由として、中学校3年生の分まで9学年すべて入れ替えれたのは事実か」 

 斎藤氏「そうですね。差し替えを指摘した」

 委員「知事の名前が入っていることに事業効果のメリットがあるのか」

 斎藤氏「今の知事の名前で使っていただくのがいいというか、まあそういうふうにすべきだと思う」

 《委員は斎藤氏の受け答えなどについて、追及を強める»

 委員「知事は『私の認識では』とおっしゃる。(指摘された部分の事実関係に)一部欠けている部分があると、大筋で事実でも非を認めない。(アンケートには)県政の進め方そのものに対する批判や基本的な運営姿勢を疑問視する回答が非常に多い。これらの職員の意見に対して、社会通念上、職員は(斎藤氏の要求を)我慢すべき範疇(はんちゅう)という見解と解釈していいか」

 斎藤氏「なんて答えていいか分からない。(パワハラを見聞きした回答者の)4割近くの方がいろんな指摘をされたことは真摯に受け止めることが大事。自分の襟を正していきたい」

 《最後にひょうご県民連合の委員が質問に立つ。令和3年9月、職員2人を呼び出し、机をたたいて叱責。その行為をパワハラと認識するかをただした》

 斎藤氏「一度やった記憶があります。就任直後だったので」

 委員「どう考えてもパワハラに該当する。認めるか」

 斎藤氏「適切ではなかったと思う。これから(知事として)やっていこうという矢先で思わずやってしまった。いろんな事情があるとはいえ、不適切な行為だったことは確かです。パワハラに該当するかは委員会で認定していただければいいと思う」

 =おわり

【詳報】(1)パワハラ疑惑の斎藤知事、初めての尋問「当時の認識は合理的」 表情を変えず淡々と

【詳報】(2)斎藤知事「ポロッと言ったことがここまで伝わるか…」 維新委員「人望ないのでは」

【詳報】(3)告発者の懲戒処分予告した記者会見、斎藤知事は「人事課の想定問答にないこと述べた」 

  ■特集・連載:

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治・兵庫県・県議会百条委員会・斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題】  2024年08月31日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②・09.03】:兵庫知事の疑惑 県政の混乱を収めねば

2024-09-03 08:06:50 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説②・09.03】:兵庫知事の疑惑 県政の混乱を収めねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・09.03】:兵庫知事の疑惑 県政の混乱を収めねば 

 兵庫県政の動揺が続いている。県局長だった男性が3月、斎藤元彦知事のパワハラなどを告発する文書を公表後に死亡して以降、疑惑は深まるばかりだ。先週、この問題で開かれた県議会の百条委員会で、知事は自らの言動は「合理的だった」とパワハラを否定したが、職員らの証言との食い違いは大きく、不当な人事処分への批判も強い。県政の混乱収拾のため知事としてどう身を処すべきか、真摯(しんし)に考えてほしい。
 
 百条委では、新聞報道などを巡り部下を怒鳴った▽時に机をたたき、文具を投げつけたりした▽深夜や早朝にも、交流サイト(SNS)を使って指示した-といった職員の証言に基づき、知事の認識をただしたが、一貫してパワハラとは認めなかった。
 
 局長だった男性の告発文は、パワハラのほか、企業への物品要求など7項目の不適切行為を指摘したが、知事は「うそ八百」と全否定。その後、男性は県の公益通報窓口にも通報したが、知事は調査結果も待たず、男性を停職処分とした。告発者への異動や解雇など不当な措置は法律で禁じられており、強引な事実の「隠蔽(いんぺい)」とみられても致し方ない。その後の男性の死は抗議の自殺ともみられている。今週の百条委ではこの問題で知事が再度、証人尋問される。
 
 百条委によるアンケートでは、知事のパワハラを見たり、聞いたりした職員は4割近い。企業からの金品授受など他6項目の疑惑も「知っている」や「人づてに聞いた」が一定数いた。県職員労組が「もはや県民の信頼回復が望めない状況」として事実上、辞職を求めたのも無理からぬことだ。
 
 知事は総務官僚出身で2021年に初当選し1期目。副知事は告発文の後、知事に5度も辞職を促したが聞き入れられず、自ら辞職した。百条委で部下とのコミュニケーション不足を指摘された知事は「人望より、いい仕事ができる態勢づくり」と述べたが、諫言(かんげん)にも耳を貸さない知事の独善的姿勢こそが問題の核心にも思える。
 
 百条委は今後も尋問など検証を続け、年内にも報告書を取りまとめるが、知事への不信任決議案が議会で成立する可能性もある。県民は今、自分たちが選んだ知事がどう振る舞うか注視していよう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年09月03日  07:34:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・08.31】:知事のパワハラ/無自覚な言動を猛省せよ

2024-09-03 08:06:20 | 【ハラスメント「セクハラ、パワハラ、モラハラ、アカハラ、ドクハラ、シルハラ...

【社説・08.31】:知事のパワハラ/無自覚な言動を猛省せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・08.31】:知事のパワハラ/無自覚な言動を猛省せよ 

 パワハラなどの疑惑を告発された兵庫県の斎藤元彦知事がきのう、県議会の調査特別委員会(百条委員会)に初めて出席し、証言した。

 この日はパワハラ疑惑についての質疑が交わされた。知事は反省や陳謝の弁は述べたが、告発内容については職員の証言と認識に違いもみられた。議員の追及も甘さは否めず、疑念が晴れたとは言い難い。

 元西播磨県民局長の男性は3月、知事のパワハラや企業からの贈答品受領など7項目の疑惑を記した文書を作成し、報道機関などに送った。4月には県の公益通報窓口にも同じ内容を通報した。

 これに対し、知事は文書を「うそ八百」と非難して男性の役職を解き、内部調査だけで懲戒処分に踏み切った。男性は7月に死亡した。 

 告発文書では、知事のパワハラについて「県立考古博物館で公用車を降りて20メートルほど歩かされ、出迎えた職員らを怒鳴り散らした」などと記していた。現場にいた幹部職員はこの日、知事に先立って証言し、「理不尽な叱責(しっせき)を受けたという思いが今もある」と述べた。

 これに対し知事は「大声は出したが、車の進入禁止エリアと認識しておらず、当時の対応としては適切だった」などと反論した。

 百条委によると、職員アンケートでは約4割がパワハラを見聞きしたと回答している。23日の県職員への尋問では、知事が厳しく叱責したり、最高幹部に文具を投げつけたりしたなどの証言が出たとされる。

 深夜や休日に会議用アプリのチャットで業務を指示するメッセージを繰り返し送ったとの指摘について知事は「やり過ぎた面はある。反省している」と答えたが、一連の言動がパワハラにあたるかどうかは「百条委の判断」と述べるにとどめた。

 パワハラは深刻な人権侵害である。知事自身は認めていないが、多くの職員がその言動に精神的負担を感じていたのは明らかだ。証言はその点に無自覚というほかなく、猛省を求めたい。

 この問題では、男性の処分が告発者の保護をうたう公益通報者保護法に違反する可能性があるとして、懲戒処分を先行した県の対応が問題視されている。議員から処分が妥当かと問われた知事は「真実相当性の確認できない文書で、適切に対応した」と改めて主張した。

 長引く県政の混乱は県民生活に大きな影響を及ぼす。辞職を促す声が上がる中、知事は続投意向を崩さない。しかし現状のままでは、事態の打開は見込めない。疑惑と責任から逃げず、進んで真実を明らかにするべきだ。百条委もさらに調査を尽くしてもらいたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年08月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・08.31】:兵庫知事が百条委出席 責任、取り方はき違えている

2024-09-03 08:06:10 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説・08.31】:兵庫知事が百条委出席 責任、取り方はき違えている

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・08.31】:兵庫知事が百条委出席 責任、取り方はき違えている 

 兵庫県の斎藤元彦知事がきのう県議会の百条委員会に初出席し、自身のパワハラ疑惑に関する証人尋問に臨んだ。

 元県幹部らに告発された行為の一部は不適切だったと反省しつつ、パワハラかどうかは「百条委などが判断すること」と認めなかった。過去の記者会見と同じく、自らを正当化する主張も繰り返した。

 百条委のアンケートでは全職員の4割に当たる1700人超がパワハラを見聞きしたと答えた。元県幹部ら2人が自ら命を絶ったことを鑑みても、知事の認識は甘過ぎる。

 自らの言動で混乱を招きながら「県政を前に進める」と言い続けるのは理解し難い。責任の取り方をはき違えている。一刻も早く辞職して正常化を図るべきではないか。

 告発されたパワハラの一つに、出張先で公用車を降りて20メートル歩かされた際に職員を怒鳴り散らした言動がある。百条委で知事は「当時は合理的な指摘だった」と説明。元県幹部が報道機関に配った告発文書も「誹謗(ひぼう)中傷性が高い」として、元県幹部への懲戒処分の正当性を改めて訴えた。

 一方、休日や深夜に業務チャットを部下に送っていたことや、協議中に机をたたいたり、付箋を投げつけたりした行為などは不適切だったと認めた。パワハラと認定されてもおかしくない行為の数々には改めて驚く。

 知事は「仕事は厳しくするのがスタイル」「職員に嫌われても県民のために」と釈明した。仕事熱心さが行き過ぎたとの主張だが、額面通りには受け入れ難い。職員アンケートや尋問で「業務に関係ない知事のわがままや機嫌に振り回される」との意見が多数あったと明かされたからだ。

 その一例が、イベントに参加した知事が県民と同じ更衣室を拒み、別の部屋を用意させた行為だ。百条委では「安全上の理由」と説明したが、個人的な事情で職員を振り回した印象が拭えない。

 元県幹部の告発を「うそ八百」と断じ、公益通報と認定する前に懲戒処分した問題や、県産品の「おねだり」疑惑について、956日に証人尋問がある。これほど疑惑をかけられる時点でトップの適性を欠くのは明らかだ。

 知事は多方面からの辞職要求を拒み続けてきた。百条委でも「過去は取り戻せない」「これからはもっといい知事としてやっていきたい」と改めて続投に意欲を見せた。

 しかし、こんな姿勢で県民や職員の信頼を取り戻せるとは思えない。県政の停滞をこれ以上放置すべきではない。即刻辞職した上で、それでも正当性を主張したいなら出直し選で信を問うてはどうか。

 3年前の知事選で推薦した日本維新の会の責任も問われる。そろって推薦した自民党が早々と辞職要求したのに対し、維新は実態解明が先決と主張。百条委では追及する姿勢も見せたが、当初の擁護方針が知事の態度に与えた影響は大きかろう。

 地域のハラスメント根絶に向け知事は率先垂範すべき立場だ。他の首長は他山の石とし、高圧的な言動は許されないと肝に銘じねばならない。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年08月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【兵庫県知事のパワハラ疑惑】:「斎藤元彦知事は辞めろ」パワハラ疑惑で市民ら100人が抗議集会

2024-09-03 08:05:50 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【兵庫県知事のパワハラ疑惑】:「斎藤元彦知事は辞めろ」パワハラ疑惑で市民ら100人が抗議集会

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県知事のパワハラ疑惑】:「斎藤元彦知事は辞めろ」パワハラ疑惑で市民ら100人が抗議集会

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題を巡り、兵庫県庁舎(神戸市中央区)の前では19日、有志らが知事に辞職を求める抗議集会を開いた。SNS(ネット交流サービス)で集まった約100人の市民らが横断幕やポスターを手に「知事は辞めろ」と声を上げた。
 
 兵庫県庁舎の前で斎藤元彦知事の辞職を求める市民ら=神戸市中央区で2024年7月19日午後0時14分、大野航太郎撮影

 この日は、元局長の告発内容の真相を解明する調査特別委員会(百条委)が県議会で開かれている。

 集会を呼び掛けた兵庫県西宮市の無職、八木和美さん(71)は「問題を自分の言葉で説明せず『県政を前に進める』と繰り返す知事は情けない。職員が亡くなったことは県民として悔しく、知事には責任を取ってほしい」と訴えた。【大野航太郎】

  元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治・兵庫県・斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題】  2024年07月19日  13:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする