【社説②】:ロ朝の軍事協力 常任理事国の資格ない
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:ロ朝の軍事協力 常任理事国の資格ない
ロシアが国連決議に違反して北朝鮮から武器を調達し、ウクライナへの攻撃に使用している。ほかにも民間人虐殺、子どもの連れ去りといった戦争犯罪を重ねるロシア。その無法ぶりは目に余る。
米国によると、ロシア軍はウクライナ東部で、北朝鮮製の短距離弾道ミサイルを複数回使用し、その残骸を分析したウクライナ当局も北朝鮮製だと断定した。
核、ミサイル開発をやめようとしない北朝鮮との武器取引や軍事技術協力は、国連安全保障理事会の決議で禁じられている。安保理常任理事国のロシアも決議には賛成してきた。それを破るとは無責任極まりない。
安保理は国際の平和と安全の維持に重い責任を負っている。プーチン体制下の今のロシアには常任理事国の資格はない。
旧ソ連を継承した新生ロシアは当初、国連を重視した。国際社会での立場と影響力が低下し、拒否権を持つ常任理事国の地位こそがよりどころだったからだ。
2000年にプーチン政権が改定した「国家安全保障の概念」は、超大国・米国の単独行動主義が強まることで、国際安全保障の機能を持つ国連の役割が低下するのは、ロシアには脅威だという認識を示していた。
それが今は国連憲章を破ってウクライナに侵略して国連をないがしろにし、拒否権を連発して安保理を機能不全にも陥らせた。
国連が発足して来年は80年になる。米英仏ロ(旧ソ連)中5カ国の戦勝国に付与された拒否権の是非を含めて安保理の在り方を見直し、国連改革を進めるべきだ。
ウクライナ侵攻を機にロシアと北朝鮮は急接近した。ロシアは弾道ミサイル以外にも100万発以上の砲弾を北朝鮮から調達したとみられている。2000年以来となるプーチン大統領の訪朝も取りざたされている。
孤立を深める者同士が特に軍事面で結託することは世界の平和と安定を脅かす。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は韓国を「主敵」と呼び、朝鮮半島の緊張を高めている。
韓国当局によると、イスラム組織ハマスが北朝鮮製のロケット弾をイスラエルに対して使った。
ロ朝の軍事協力の進展と北朝鮮製武器の拡散を、両国と関係の深い中国は座視すべきではない。国際情勢の不安定化を望んでいないのは、中国も同じはずだ。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年02月07日 07:42:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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