路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【検証】:2022年は「止めていた栓が抜けちゃった年」能町みね子さん、重大ニュースを語る

2023-01-30 23:57:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【検証】:2022年は「止めていた栓が抜けちゃった年」能町みね子さん、重大ニュースを語る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証】:2022年は「止めていた栓が抜けちゃった年」能町みね子さん、重大ニュースを語る 

 戦争、元首相銃撃事件、宗教、国葬、物価高騰、円安、野球界の若者の歴史的活躍、サッカーW杯の歓喜…新型コロナ禍が続く中で迎えた2022年は、明暗ともに後年まで“記憶に残る”ようなニュースが絶えず交錯し、世界や社会だけでなく、庶民1人1人にいたるまで激しく揺さぶられ続けました。日刊スポーツは今年の重大ニュースについて、ネット投票を実施(12月5~23日)。ユニークかつ鋭い視点で世相を見つめ、活字、電波、ネットなど多彩なフィールドで活躍を広げている能町みね子さん(43)にも、激動の日々を振り返ってもらいました。

2022年のニュースを振り返った能町みね子氏(撮影・足立雅史)

 

             ◇   ◇   ◇

 -2022年を振り返って、どんな感想ですか

 能町さん いろんなことが噴き上がった感じです。よくも悪くも、止めていた栓が抜けちゃって、いろんなことがバレ始めました。

 -例年ならどれでも1位になりそうな項目が並ぶ中、読者アンケートでは安倍晋三元首相銃撃事件に端を発した一連の出来事が1位に選ばれました

 能町さん 今年はどうしたって、これですよね。銃撃自体がすごい事件ですし、その後も旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との癒着問題や国葬問題があったり。まだ続くんじゃないかというところも、問題の大きさだと思います。

 -銃撃事件の時は何をしていましたか

 能町さん 週刊文春の(連載)原稿を書いている時、誰かからのラインで知って、ウ ソでしょと思って検索しました。まず誰がやったんだ、どういう思想背景かと思いましたね。まだ容疑者が何者か全然分からないくらいの時期に(識者の)何人かが「思想背景とか関係ない」「安倍辞めろとか言う人がいたから起こった。世間が悪い」といった趣旨の発言をし始めていて、驚きました。でも、まさかの理由でしたからね。

 -その後、問題が広がり、今も続いています

 能町さん 旧統一教会の問題は知ってはいました。(ジャーナリスト)鈴木エイトさんの記事を前から読んでいたので、安倍さんがあいさつしているとか。でも、思っていたよりも癒着、親密度が強かったんだなあと。なめてました。こういうことは、ちゃんと注目しておかなきゃ危ないなということをまざまざと思いました。個人もメディアも、日頃から目を光らせて、何か怪しい動きがあればすぐ気付くようにしておかなければいけないですね。

 -国葬は反対が多い中で実施されました

 能町さん いろんな問題がありました。法的に整備されていないのに閣議で押し切ったし、あれだけ警護が緩いからあんな事件が起きたのに、もっと大きなことをやれば事件が起こりかねないとも思いました。強行突破ですよね。国葬の会場では、本当に悲しそうなのは昭恵さんだけで、見た限りではほかに悲しそうな人があまりいないように見えたのが衝撃でした。会場内では写真撮影禁止だったはずなのに、写真を撮った人を検索するとボロボロ出てきて。みんな緩いっていうか。

 -岸田文雄首相は大臣の辞任ドミノなどもあり、支持率が落ちましたね

 能町さん 岸田さんは意外でした。よくも悪くもバランスを取って、反対が多ければ考え直すとか、もう少し穏当なことをやっていくイメージがあったんですけど、こういうところで強行するんだと。しかも評価を下げることになりました。知らない間に全部決めているみたいな印象に、どんどん変わってますよね。防衛政策の転換、防衛費増税など、大事なことをちゃんと国会にかけずにこっそり進めてしまう。

 -ロシアのウクライナ軍事侵攻は終わる気配がなく、世界経済にも深刻な影響を与え、物価高騰など庶民の生活も苦しめています

 能町さん 最初のころはゼレンスキー大統領のプロモーションのうまさが印象に残り ました。各国議会での演説はすごいアピール力で、あんな人、日本にはいないと思いました。ロシアが攻めたことが元凶ですが、ゼレンスキーさんも国民総動員令がいいのかというようなこともあり大賛成もできないんですけど、ちゃんとした政治家だなと思いました。物価高騰などは、個人で何もできないのが、なんともやるせないです。

 -カタールではサッカーW杯をきっかけに人権侵害問題が浮上。東京五輪でも汚職・談合が発覚しました。不都合なことをスポーツで覆い隠そうとする「スポーツウオッシング」という言葉も注目されました

 能町さん W杯と五輪は2大スポーツウオッシングみたいな感じがしました。五輪の事件は、うすうす分かっていたけど、やっと出てきたかという感じ。高橋治之被告の写真の“悪代官”ぶりがすごくて、今年の顔の1つですよね。私、五輪はちょっと見るぐらいには興味あったんですけど、今回のことで見てられないなと思ってしまいました。純粋なスポーツの祭典としてやれないと、もったいないですよね。残念です。

 -アンケートで、スポーツ関係では、ヤクルト村上宗隆選手、エンゼルス大谷翔平選手、ロッテ佐々木朗希選手と、サッカーW杯が上位に入りました

 能町さん W杯は、日本代表も堂安(律)選手が点を取ったくらいしか分からないです。野球も具体的なことは分からないけど、さすがに、村神様も大谷選手も佐々木選手も知っています。サッカーも野球も、20代前半の若者の活躍が目立ちましたね。相撲界もその世代がドンと出てきてほしいんですが、一向に出てこないのでヤキモキしています。平幕優勝ばかり起きてますが、早く新しい大関、横綱が生まれて優勝する時代になってくれないと困ります。苦言を言わせてもらうと、ものすごくぬるいんですよね。ちょっと昔はピリピリしていました。若貴も朝青龍も白鵬も怖かった。普段優しいのはいいけど、土俵上も覇気が感じられないのが多い。それが世代交代につながっていない面もあると思います。期待しているのは若隆景、若元春、豊昇龍。早く世代交代が起こって、上位で激しい取組が増えてほしいです。

 -2023年はどんな年になってほしいですか

 能町さん 中学生くらいから今まで、一度も景気がいいことがないんです。1回くらい、世の中が浮かれている感じを体験させてくれないかなと思っています。日本はもう先進国といえるのか、怪しくなってきましたね。来年急によくなるとは思えませんが、もうちょっと上向きになってくれないかな。【取材構成・久保勇人】

 「“裏・今年の顔”は鈴木エイトさん」

 米誌タイムは「今年の人」にゼレンスキー大統領を選び、日本の新語・流行語大賞は「村神様」でしたが、能町さんは「私は“裏の顔”をピックアップしたい。後からみて、あの年はこんな人もいたねっていう人です」と切り出しました。

 能町さん 「裏・今年の顔」は鈴木エイトさんです。いろんなものがバレ始めたことの象徴的な人。栓を抜いた後の、こびりついた汚れを押し出していった人だと思います。昔から知っているんですけど、まさかこんなに突然知られる存在になるなんて思っていなかった。ある一分野についてのジャーナリストがあんなにメディアにバンバン出るって、あまりないです。オウム真理教問題の時の江川紹子さんのような位置付けですよね。旧統一教会問題は、エイトさんがいるのといないとでは全く違ったでしょう。ネタも、軟らかいのから硬いものまで、なんでも対応できちゃう。

 能町さんはほかに「エイトさん以外はビミョーな人なんですけど…」とした上で、暴露系ユーチューバーのガーシー(東谷義和)参院議員、性加害疑惑が報じられた映画監督の園子温氏、山口県阿武町の4630万円誤送金事件の田口翔被告、元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき(西村博之)氏らを挙げました。

 ◆能町(のうまち)みね子

 1979年、北海道生まれ。茨城県出身。「物書きで絵描き」と名乗る。週刊文春のコラム「言葉尻とらえ隊」など、連載多数。著書に「結婚の奴」、「皆様、関係者の皆様」など。イラストを担当した書籍も多い。フジテレビ系「久保みねヒャダこじらせナイト」など、テレビ、ラジオの出演も多数。好角家としても知られ、著述のほか、NHK「ニュースLIVE! ゆう5時」の「相撲部」コーナー担当など、多方面で活動中。鉄道も好きで、22年に共著「鉄道小説」を出した。「乗り鉄で、古い駅舎や地図も好き。各駅停車で、地元の人々の言葉や雰囲気とかを見るのが、好きなんです」と話す。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今年の「重大ニュース」】  2022年12月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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