goo blog サービス終了のお知らせ 

路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【石破首相・所信表明演説】:丁寧な政権運営を強調も、目指す国家像は見えず…

2024-11-29 16:20:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【石破首相・所信表明演説】:丁寧な政権運営を強調も、目指す国家像は見えず…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相・所信表明演説】:丁寧な政権運営を強調も、目指す国家像は見えず…

 石破首相は29日の所信表明演説で、野党の意見も取り入れる丁寧な政権運営を通じ、幅広い合意形成を図る考えを強調する。衆院選の大敗で少数与党に陥った情勢を踏まえれば、他の選択肢はないと言える。

衆院本会議で所信表明演説をする石破首相(29日午後3時23分、国会で)=川口正峰撮影
衆院本会議で所信表明演説をする石破首相(29日午後3時23分、国会で)=川口正峰撮影

 演説では、重要政策課題の最初に「外交・安全保障」を置き、防衛相経験者の首相らしさをにじませた。日本を取り巻く安保環境が不透明感を増していることを踏まえた判断だ。首相は、日米同盟に基づく抑止力強化と対話を通じ「望ましい安保環境を作り出す」と唱えるが、実現には巧みな戦略と外交手腕が欠かせない。まずは来年1月に就任する米国のトランプ次期大統領との関係構築が関門となる。 

 内政では、地方創生や防災、「闇バイト」対策などに分量を割いた。いずれも国民の安全・安心につながる分野だが、各論の列挙の印象は否めない。先送りが許されない社会保障改革や財政健全化では具体的な言及は避け、目指す国家像は浮かび上がらない。総合経済対策や政治改革に対する首相自身の思いや決意も十分に伝わる内容となっていない。

 首相は「謙虚に」「 真摯しんし に」といった言葉を繰り返し、内外で山積する課題に取り組む上で「国民の後押しほど大きな力はない」と呼びかける。だが、国をどのような方向に導こうとしているのかを明確に示さず、低姿勢で難局を乗り越えようとするだけでは、国民からの支持は広がらないと肝に銘じるべきだ。(政治部 海谷道隆)

 ■「政治」の最新ニュース

 ■あわせて読みたい

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【臨時国会・石破首相は29日の所信表明演説】  2024年11月29日  16:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【石破首相・所信表明演説】:「年収103万円の壁」の見直しを明言…少数与党として各党と協議の姿勢示す

2024-11-29 16:05:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【石破首相・所信表明演説】:「年収103万円の壁」の見直しを明言…少数与党として各党と協議の姿勢示す

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相・所信表明演説】:「年収103万円の壁」の見直しを明言…少数与党として各党と協議の姿勢示す 

 石破首相は29日午後、衆院本会議で所信表明演説に臨んだ。国民民主党が求める「年収103万円の壁」の見直しを明言し、少数与党として幅広い合意形成を図る姿勢を打ち出した。外交・安全保障、日本の活力回復、治安・防災を重要課題と位置付け、政治改革にも結論を出すと訴えた。

首相官邸に入る石破首相(29日午前)=川口正峰撮影
首相官邸に入る石破首相(29日午前)=川口正峰撮影

 首相は、年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」について、「2025年度税制改正の中で議論し、引き上げる」と表明した。国民民主が求める「ガソリン減税」についても「検討し、結論を得る」と強調した。 

 演説の冒頭では、1957年の石橋湛山内閣の施政方針演説から「率直に意見をかわす慣行を作り、相互に協力を惜しまず」との表現を引用し、少数与党として各党と謙虚に協議を進める姿勢を示した。

<picture></picture>
臨時国会の開会式でお言葉を述べられる天皇陛下(29日午前11時4分、国会で)=川口正峰撮影

 外交・安保を巡っては、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)、主要20か国・地域首脳会議(G20)での首脳外交の成果を強調し、今後も各国との対話や日米同盟の強化で「望ましい安保環境を作り出す」と訴えた。米国のトランプ次期大統領とも「率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていく」と述べた。

 経済成長に向けて「日本全体の活力を取り戻す」として、地方創生の再起動と、賃上げ・投資が先導する成長型経済への移行を重点として挙げた。肝いりで進める地方創生は、「日本の活力を取り戻す経済政策であり社会政策」と主張した。

 治安・防災では、持論の「防災庁」設置に向けた準備の推進と、横行する「闇バイト」犯罪の検挙やインターネット上の募集情報の削除などに意欲を示した。

 政治改革に関しては、政党から議員に支出される「政策活動費」の廃止や、政治資金を監査する第三者機関の設置などに向け、年内に必要な法整備も含めた結論を示すと約束した。

 ■「政治」の最新ニュース

 ■あわせて読みたい

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【臨時国会・衆院本会議・石破首相は29日の所信表明演説】  2024年11月29日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①・11.29】:危険運転の処罰 法見直しへ市民感覚を

2024-11-29 16:05:30 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説①・11.29:危険運転の処罰 法見直しへ市民感覚を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.29】:危険運転の処罰 法見直しへ市民感覚を

 無謀運転を抑止する法整備がさらに求められる。

 大分市の一般道で2021年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突し、相手の男性を死亡させたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた被告の男に、大分地裁が懲役8年の有罪判決を言い渡した。 

 判決は、法定速度60キロの3倍以上の猛スピードでの運転を「常軌を逸した進行制御困難な高速度」だったと認定した。

 その上で、「加速の高まりを楽しむ」という動機を「身勝手で自己中心的」と厳しく非難し、過失罪より重い危険運転致死罪の成立を認めた。社会的な常識や市民感覚にかなうといえよう。

 悪質な運転を「故意」として「過失(不注意)」より厳しく臨む危険運転致死罪については、2001年に新設されたが、適用の線引きがあいまいで立証のハードルが高いという指摘が度々なされてきた。

 現在、同罪に問うには「進行の制御が困難な高速度」や「アルコールの影響で正常な運転が困難」だったことなどの立証が必要とされる。

 そのため、実態としては検察が過失致死傷罪などで起訴することが少なくない。

 だが、飲酒を過失とするのは、事故遺族から批判が強く、一般的な感覚ともかけ離れていると言わざるをえない。

 同罪についてはおととい、法務省の検討会が、速度違反と飲酒に関する数値基準の設定を促す報告書をまとめた。

 速度については「最高速度の1・5倍や2倍」との委員の意見を紹介し、飲酒でも呼気中のアルコール濃度などの数値基準を定め、超えた場合に一律で同罪を適用することとした。

 具体的な数値は、法務大臣の諮問機関である法制審議会に委ねられる。

 ただ、数値だけが適用の基準になれば、「基準以下だから危険運転にはあたらない」という運用につながりかねない。留意した議論が必要だろう。

 事故原因に飲酒がどの程度影響したかを総合的に判断すれば、アルコール濃度が基準値以下でも危険運転と見なす可能性はあり得るのでないか。

 厳罰化だけで事故をなくすことは難しい。危険な運転を防ぐ車両の開発やインフラ面の改良に加え、ドライバー一人ひとりの安全意識を高める施策を強化したい。 

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②・11.29】:レバノン停戦 ガザ収束につなげたい

2024-11-29 16:05:25 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②・11.29:レバノン停戦 ガザ収束につなげたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.29】:レバノン停戦 ガザ収束につなげたい

  イスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘を巡り、停戦が発効した。

  米国の停戦案を両国政府が受け入れ、合意した。

  停戦期間は60日間で、昨年10月から続いた戦闘の一つの区切りとなる。中東の戦禍を止める糸口をたぐり寄せたい。  

 問われるのは実効性である。

 イスラエルのネタニヤフ首相は、レバノンに侵攻した成果を強調し、ヒズボラが合意内容を破れば再攻撃すると警告。対するヒズボラも「抵抗の道を歩み続ける」と表明している。

 履行を巡って、予断は許されない。

 停戦中は、レバノン軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が監視し、米国やフランスも側面支援にあたる。着実な停戦維持を図り、恒久化につなげたい。

 両者の戦闘は、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとイスラエルの衝突に伴い、ハマスにヒズボラが共闘して激化した。

 イスラエルはレバノンとガザで二正面作戦を展開してきたが、長期化で負担が増大している。

 一方のヒズボラはイスラエルの攻撃で最高指導者ら幹部を相次ぎ失い、組織の弱体化が指摘されていた。停戦合意は、両者の思惑が一致した面が大きい。

 停戦合意の直前までイスラエル軍は攻撃を続けた。1年以上続いた戦闘で、レバノン側では3800人以上、イスラエル側では百数十人が亡くなった。

 懸念すべきは、ネタニヤフ氏がガザでの戦闘を継続し、敵対するイランへの対応に集中すると主張していることだ。停戦による軍事的な余力で、攻撃を強める可能性があり、さらなる犠牲者と人道危機が広がりかねない。

 国際刑事裁判所(ICC)は今月、ガザでの戦闘を巡り、飢餓を用いた戦争犯罪と、殺人や迫害など人道に対する罪の疑いで、ネタニヤフ氏に逮捕状を出した。国際社会からの批判と孤立を受け止め、即時撤退すべきだ。

 米国の姿勢も問われよう。

 停戦合意では仲介した米国が一定の存在感を示し、バイデン政権が武器支援などの引き換えにイスラエルに受け入れを迫った。来年の大統領交代も影響したとみられる。だが、これまで一貫して軍事支援を続け、イスラエルの侵攻拡大を許してきた責任は重い。

 中東の緊張緩和に向け、国際社会とともにガザでの紛争終結に向けた役割を果たすべきだ。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①・11.28】:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

2024-11-29 16:05:20 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説①・11.28:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.28】:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

 アゼルバイジャンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が閉幕した。

 発展途上国の地球温暖化対策に先進国が拠出する資金額を巡って紛糾し、会期を2日間延長して、合意にこぎつけた。ただ先進国と途上国の溝は依然深く、対策前進への道程は平たんではない。 

 途上国の脱炭素化や異常気象による被害対応を支援するため、先進国は2009年、年1千億ドル(約15兆円)を拠出することを約束し、目標より2年遅れて22年に達成した。COP29では今後の支援額などの調整が焦点だった。

 先進国側は2・5倍の年2500億ドルを提示したが、途上国側は13倍の規模を要求して対立。最後は、先進国が35年までに少なくとも年3千億ドルを支援することで合意した。

 世界全体では官民合わせて年1兆3千億ドルに支援を拡大し、中国や産油国など経済力のある国にも貢献を促すことも盛り込んだ。

 しかし合意内容に対し、インドが「目の錯覚だ」と強く反対するなど、途上国や新興国の多くが失望を表明。国連のグテレス事務総長も「直面する課題に対処するため、より野心的な成果を期待していた」と不満を表した。

 世界中で気候危機が深刻化する中、肝心の温室効果ガスの排出削減を巡る議論が進まなかったのもきわめて残念だ。

 国際枠組み「パリ協定」は、産業革命前からの気温上昇を1・5度以内に抑える目標を掲げる。だが現行の対策では不十分なのは明らかで、目標達成には35年の温室ガス排出を19年比で60%減らす必要があるのに、追加策は乏しい。

 中国に次いで温室ガス排出量が多い米国の動向も懸念される。トランプ次期大統領は温暖化対策に懐疑的で、1期目にはパリ協定から離脱した。今回も再離脱を主張しているが、取り組みへの打撃は計り知れず、各国はとどまるよう働きかけを強めねばならない。

 温室ガス排出削減の機運を高めようとCOP29の会期中、カナダや欧州連合(EU)などは1・5度目標実現へ対策を強める共同宣言を発表。英国など25カ国は石炭火力発電所を新設しないと宣言した。

 だが、いずれにも日本は参加せず、脱炭素化を主導する存在感を示せなかった。トランプ氏の「米国第一主義」に対し、国際協調が重要さを増す時期だからこそ、日本は役割を発揮すべきではなかったか。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②・11.28】:在職老齢年金 働く意欲をそがぬよう

2024-11-29 16:05:15 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②・11.28:在職老齢年金 働く意欲をそがぬよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.28】:在職老齢年金 働く意欲をそがぬよう

 もっと働きたいという高齢者の意欲をそぐことなく、共に社会を支える環境づくりを進めたい。

 厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の年金支給額を減らす「在職老齢年金制度」を見直す。適用する基準額(賃金と年金の合計)を現在の月50万円から62万円へ引き上げる方向で、満額支給となる対象を広げる。 

 減額されない枠内に就労を抑える年金世代の「50万円の壁」を取り除き、人手不足の緩和につなげる狙いだ。「働き損」を改めつつ、年金財政や現役世代らへの影響なども包括した改革の議論が求められよう。

 制度は1965年に導入。高齢者にも年金制度を支えてもらう目的で2000年の改正以降、賃金と厚生年金(基礎部分除く)の合計が基準額を上回った分の半額を減らす仕組みとされた。

 働き続ける高齢者が増え、賃金と年金の両方を受ける65歳以上は22年度末で約308万人に上る。基準超えは約50万人で、年金支給は年4500億円抑えられた。

 今回の見直し案で、基準額を62万円に引き上げると満額支給は約20万人増えると見込まれる。

 現状では「年金が減らないよう調整して働く」高齢者が4割超という国の調査もあり、本人の受給増と企業の人手確保を後押しすると期待の声が上がる。欧米などでは減額の仕組みがなく、制度自体の廃止を求める意見も根強い。

 ただ、減額対象を縮小して支給総額が増えると年金財政の悪化は避けられず、将来的な給付水準を低下させかねない。

 これを補うため、厚労省は高所得の会社員が払う厚生年金保険料の上限を引き上げる案も複数示した。納める保険料が増えると、本人が老後に受け取る年金額は増えるが、現役世代の負担感が増すことには抵抗もあるだろう。

 政府は9月改定の高齢社会対策大綱で、希望に応じた就労や社会参加を進め、60代後半の就業率を現行52%から57%へ引き上げるとした。法改正で70歳までの就業機会確保は企業の努力義務とされており、働きやすい環境や多様な選択肢の整備も重要である。

 年金改革では、財政検証で明らかになった基礎年金の目減りへの対策も不可欠だ。厚労省は、底上げには厚生年金の積立金や巨額の税の投入が必要とするが、確保のめどは立っていない。

 老後の安心を社会全体で支える持続的な年金制度に向け、丁寧な説明と合意形成が欠かせない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①・11.27】:保険証「廃止」 与野党で段階的修正を

2024-11-29 16:05:10 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説①・11.27:保険証「廃止」 与野党で段階的修正を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.27】:保険証「廃止」 与野党で段階的修正を

 健康保険証が週明けの来月2日から、新たに発行されなくなる。

 政府は、手元にある保険証は有効期間内であれば最長1年利用でき、マイナンバーカードに保険証機能をもたせた「マイナ保険証」を持たない人や75歳以上の一部には、最長5年間有効の資格確認証が届くとしている。

 当面は3種類の本人確認方法が併存することになるが、受付体制が十分でない医療現場もあり、混乱や受診への影響が懸念される。 

 国民に便利な保険証制度を拙速に組み替え、ろくな議論もないまま見切り発車で進める政府の乱暴さを非難する。相談体制の整備や実態の把握が欠かせない。

 先の衆院選では大半の野党が、従来の保険証との併用を公約とした。あすからの臨時国会では、少数与党になった石破茂政権に対し、野党は結束して議論に臨み、短期と中長期的な保険証の在り方を再構築すべきだ。

 マイナカードは国民の約75%が所持し、その8割は保険証登録を済ませているが、個人情報の漏えいや誤登録トラブルを踏まえ、マイナ保険証への不信は根強い。先月の利用率は約15%にとどまる。登録を解除する人も増えている。

 保険証の廃止は2年前、当時の河野太郎デジタル相が唐突に表明した。保険証を取り上げる形で、「任意」であるカード取得を事実上義務化する強権的な手法だ。

 本紙は社説で再三、方針撤回を求めてきたが、「自民1強」の中で岸田文雄政権が力押しした。

 マイナ保険証は医師と患者、他の医療機関が投薬情報や受診記録などを共有できるようになる。

 だが、現時点で共有できない情報があり、データ更新の時間もかかる。システムが不完全な上、医療側の読み取り機も未整備や不具合がみられ、患者は不便を強いられる面が大きい。

 国民の理解と利便性の実感が進み、普及が広がるという手順を踏まねば、コストや関係機関の作業は増大し、政府のデジタル政策全般への不信感も高めよう。

 来年3月には運転免許証機能を持たせた「マイナ免許証」の運用を始めるが、政府は現行免許証との併用を認める。ならば、保険証の併用もできよう。

 先進国では個人情報保護の点から、行政分野ごとに異なる番号を使うのが主流という。

 石破氏も、自民党総裁選で併用を「選択肢」と明言したはずだ。与野党は、無理な保険証停止を段階的に修正してもらいたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②・11.27】:大谷選手MVP 苦境越えつかんだ栄光

2024-11-29 16:05:05 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【社説②・11.27:大谷選手MVP 苦境越えつかんだ栄光

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.27】:大谷選手MVP 苦境越えつかんだ栄光

 打って走って、躍動した一年にふさわしい栄誉だろう。

 米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が、ナショナル・リーグの最優秀選手(MVP)に満票で選ばれた。 

 二つのリーグをまたぎ、2年連続3回目のMVP受賞で、守備につかない指名打者(DH)専任でプレーした選手の受賞は史上初めてである。大リーグの歴史で、誰もなしえなかった「50本塁打、50盗塁(50―50)」を達成した。

 初めて地区優勝してポストシーズンにも進出。7年前、米球界へ渡るときの夢だったワールドシリーズ制覇を果たした。併せて快挙を祝福したい。

 54本塁打、130打点で2年連続の本塁打王と初の打点王を獲得。打率3割1分、59盗塁はともにリーグ2位だ。選手として全盛期を迎えているのではないか。

 いずれも自己最高の素晴らしい成績だが、この1年は心身ともに大きな変化が重なった。

 昨秋、右肘靱帯(じんたい)を損傷し、2度目の修復手術を受けた。6年間所属したエンゼルスを離れ、名門ドジャースへ。世界のスポーツ界でも最高水準の10年7億ドル(1015億円)という契約は、話題を呼んだ。2月には結婚も公表した。

 しかし、開幕直後に違法賭博問題で元通訳が突然の解雇となった。信頼していた盟友の背信、捜査当局からの聴取など、動揺は大きかったに違いない。

 困難な状況にあっても、ひたむきに前を向いて野球に打ち込む姿は多くの人の心に響いた。

 今季の進化は、パワーだけでなくスピードも発揮した点だ。けがで投げられない分、打撃に専念し、走塁技術も磨いた。相手投手を研究し、ダッシュの練習を重ね、50―50達成につなげた。

 野球人口の減少を憂える大谷選手は、全国の小学校にグラブを寄贈し、京都、滋賀にも届いた。外に出て体を動かそうというメッセージに子どもらは目を輝かせた。

 日本のプロ野球界は、佐々木朗希投手をはじめ有力選手のメジャー挑戦が相次ぐ。一方、今季の12球団の入場者数は史上最多の2600万人を超え、各球団は球場の魅力を高める「ボールパーク化」を進める。大谷効果を生かし、野球人気の底上げを図りたい。

 来季は、日本で開幕戦があり、大谷選手の投打「二刀流」の復活が注目される。チームの連覇や最優秀投手の「サイ・ヤング賞」獲得への期待も高い。どこまで進化するのだろうか。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説①・11.29》:トランプ関税強化 世界経済の失速招く脅し

2024-11-29 09:31:55 | 【税制・納税・減税・消費税・ガソリン減税・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

《社説①・11.29》:トランプ関税強化 世界経済の失速招く脅し

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.29》:トランプ関税強化 世界経済の失速招く脅し

 米国のトランプ次期大統領が中国、メキシコ、カナダに新たな関税を課すと表明した。

 次期政権が最重視する不法移民や麻薬の流入阻止のため、各国に対応を迫る狙いだと説明する。

 貿易や経済とは関係ない内政の問題に関税強化を持ち出すのは筋違いだ。1期目でも関税を脅しの武器として、相手国に要求をのませる手法を多用した。

 報復関税の応酬を招くだけで、問題解決にはつながるまい。

 中国製品には10%の追加関税を発動するという。乱用が社会問題化する医療用麻薬が、中国からメキシコ経由で流入していることへの対抗措置だと主張する。

 米中両政府は昨年11月に行われた首脳会談の合意に基づき、医療用麻薬対策の作業部会を設けて協議を重ねてきた。

 トランプ氏は「何の成果もない」と批判しているが、外交的な解決を放棄して関税を振りかざすのは乱暴に過ぎる。1期目と同様に、中国との「貿易戦争」に発展しかねない。

 メキシコとカナダからの全輸入品には25%の関税を課すとした。両国は「米国・メキシコ・カナダ協定」により、米国にほぼ無関税で輸出してきた。1期目に結んだ協定を自ら一方的に覆すこともいとわない強引さだ。

 メキシコのシェインバウム大統領は「脅迫や関税は移民や薬物への対処にならない」と批判しつつ、報復を検討する考えを示した。対立が深まれば、課題解決に向けて連携する土台を失うだけだ。

 無軌道な関税措置の悪影響は世界各国に及ぶ。メキシコにはトヨタ自動車やホンダ、日産自動車など日系自動車大手が生産拠点を構え、米国に輸出している。高関税を課されれば利益を圧迫し、メキシコ生産の魅力は薄れる。戦略の見直しは避けられない。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は大統領選で、米国への全輸入品に10~20%の関税を課すとも主張した。日本を含めて直接の標的となる事態も考えられる。

 高関税による保護主義は、貿易の停滞を招いて世界経済を失速させかねない。米国内でも輸入コストが増大し、大統領選の争点だったインフレが再燃する恐れがある。米国自身の利益を損なう危うさを認識しているのだろうか。

 次期政権の主要閣僚は「忠臣」で固められ、歯止め役が見当たらない。日本を含めて自由貿易の恩恵を受けてきた関係国は、独善的な通商政策に自制を強く迫る役割を果たさなければならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②・11.29》:女川原発控訴審 避難の不安顧みない判決

2024-11-29 09:31:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

《社説②・11.29》:女川原発控訴審 避難の不安顧みない判決

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.29》:女川原発控訴審 避難の不安顧みない判決 

 この計画で住民の安全は確保できるのか。

 東北電力女川(おながわ)原発で重大事故が起きたときの避難計画に不備があるとして、半径30キロ圏内の石巻市民16人が運転差し止めを求めた訴訟の控訴審判決である。仙台高裁は、請求を棄却した一審判決を支持し、訴えを退けた。

 一審に続き争点になったのは、避難計画の実効性だ。指示に従って地域ごとに決められたルートで移動し、途中の検査所で被ばく状況を調べて半径30キロ圏外の避難所に逃げる計画である。

 原告は、ひとたび重大事故となれば道路渋滞などが起き、検査所を開設できなかったり、避難バスを確保できなかったりといった事態がありうると指摘。その間に放射線を浴び、身体に深刻な被害を受けかねないと訴えた。

 女川原発があるのは太平洋に突き出した牡鹿(おしか)半島だ。入り組んだ海岸沿いや離島に集落が散在し、避難するのに原発近くを通らねばならない地区もある。

 いざというとき、住民が計画通りに動けるとは限らない。地震で崖崩れが起き、避難路が寸断されるかもしれない。船での避難を想定する地区もあるが、大しけだったらどうするのか―。

 東京電力福島第1原発事故、今年元日の能登半島地震の混乱を思い起こせば、原告がこうした懸念を持つのはもっともだ。

 これに対して高裁判決は、計画は「発生した事態に応じて臨機応変に決定し、段階的に避難を実施する」との前提に立っており、原子力規制委員会などの指示に基づいて実行される、と指摘。看過しがたい誤りや欠陥があるとはいえないと判断した。

 計画の実効性について「判断するまでもない」と一蹴した一審判決よりは踏み込んだ。一方で、「いかなる事故にも完全に対応できる地域防災の策定は求められていない」とし、対処できない事態があるなら原告が根拠を立証すべきだとした。住民にとってはあまりに高いハードルである。

 東日本大震災で被災した女川原発はこの10月に再稼働し、12月中の営業運転再開を予定している。地元には受け入れる声もある。だとしても、避難計画が住民の安全を守る「最後の砦(とりで)」であることは論をまたない。

 具体的な安全策を示す責任は、計画を立案した行政や原発を動かす電力会社、再稼働を認めた国にある。それすら求めず、住民の懸念を置き去りにした司法の判断は大いに疑問だ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説①・11.28》:臨時国会の開幕 議論する力が試される

2024-11-29 09:31:45 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・11.28》:臨時国会の開幕 議論する力が試される

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.28》:臨時国会の開幕 議論する力が試される 

 衆院選後、初の本格論戦となる臨時国会がきょう、召集される。

 政府の経済対策の裏付けとなる総額約13兆9千億円の補正予算案の審議と、自民党裏金事件を受けた政治資金規正法の再改定が焦点となる。

 自民、公明の与党は過半数に達しておらず、野党の協力がなければ法案や予算案は成立しない。与党が続けてきた「数の力」頼みの強引な運営は不可能である。

 必要なのは、少数意見を取り入れながら時間をかけ、納得できる法案を練り上げることだ。臨時国会は、民主主義の基本である「熟議の国会」を再構築できるかどうかの試金石となる。

 自公政権は長年、法案や予算案の国会提出に先立ち、与党が政務調査会の下に置いた各部会などで議論し、意見を反映させる「事前審査」が慣例だった。

 決定は全会一致が原則で、了承された後に閣議決定され、国会に提出される。与党は議員に党議拘束をかけて賛成してきたため、提出前に成立が事実上確定する仕組みだった。

 国会審議は野党の意見を聞き置く場になり、審議時間を消費するだけの形骸化した議論になっていたのが実情だ。

 今回の臨時国会では、国民民主党が衆院選で訴えた政策「103万円の壁引き上げ」の要求を自公が取り入れることで、補正予算案の早期成立に向けて協力する方針を3党が確認している。

 与党は政策ごとに野党と連携する「部分連合」を目指す方針で、今回の国民民主との協議は「ひな型になった」(小野寺五典・自民党政調会長)とする。

 今後も同じような協議が進むと、与党の事前審査と同様の「水面下の論議」になり、国会論議の形骸化は改善しない。野党はこれに応じず、公開の場である国会における論議を進めるべきだ。

 自民党は政治資金規正法の再改定についても、年内成立を目標に与野党協議を続けている。立憲民主党は「議事録を残すべきだ」として事前調整を否定している。当然の対応だろう。

 焦点は企業・団体献金の禁止だ。自民党が「政治活動に不可欠」とするのに対し、立民が「腐敗の温床」とするなど、野党の多くは禁止を求める。国民民主は完全禁止に一歩距離を置いている。

 政治にカネがかかる理由などを含めて時間をかけ国会で論議し、各党が納得できる改定を実現するべきだ。中途半端な改革に終われば有権者の支持は得られない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②・11.28》:レバノン停戦合意 中東の戦禍止める一歩に

2024-11-29 09:31:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②・11.28》:レバノン停戦合意 中東の戦禍止める一歩に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.28》:レバノン停戦合意 中東の戦禍止める一歩に 

 中東の戦火の収束につなげなければならない。レバノンでの停戦合意を確実に履行させるとともに、ガザの停戦に国際社会は全力を挙げる必要がある。

 イスラエルと隣国レバノンの民兵組織ヒズボラの戦闘をめぐり、両政府が停戦に合意した。しかし、実際に停戦を維持できるかは、予断を許さない状況にある。

 イスラエルのネタニヤフ首相は依然、強硬だ。ヒズボラが合意を破ろうとすれば軍事行動をためらわないと警告した。ガザへの攻撃を続けることも言明し、ヒズボラとの停戦で武器・弾薬や兵員に余裕ができる、と述べている。

 停戦合意は、イスラエルの後ろ盾である米国と、レバノンの旧宗主国のフランスが仲介した。発効から60日の期間内に、イスラエル軍とヒズボラの双方がレバノン南部から撤退し、レバノン軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)が停戦の監視にあたる。

 2006年にイスラエルとヒズボラの大規模な戦闘が起きた際、停戦を取り決めた国連安全保障理事会の決議に沿った内容である。再びなおざりにされることがないよう、停戦監視の態勢を整え直さなくてはならない。

 ヒズボラはガザのイスラム組織ハマスを支援し、昨年10月からイスラエルと交戦してきた。イスラエル軍が地上侵攻したレバノン側では、これまでに3800人余の死者が出ている。イスラエル側は100人以上が死亡した。

 薄氷の停戦合意である。イスラエルがガザへの攻撃を止めなければ、いつ破綻するか分からない。米国のバイデン大統領は、ガザの停戦に向けて「新たな外交攻勢をかける」と表明した。エジプトやカタール、トルコと協力して交渉を強化するという。

 その言葉は信頼に足るのか。先週の国連安保理で米国は、ガザの即時停戦を求める決議案に拒否権をまたも行使した。イスラエルに攻撃継続の許可を出すような振る舞いは、安保理の常任理事国として無責任に過ぎる。

 米政府がなすべきは、イスラエルへの武器の供与を停止し、ガザの停戦を強く迫ることだ。国際社会の批判に背を向け、あくまでもイスラエルを擁護する姿勢を改めなければならない。

 国際司法裁判所(ICJ)は、ジェノサイド(集団殺害)を防ぐあらゆる措置を取るよう、今年1月の段階で命じている。ジェノサイドの防止は、すべての国の責務だ。日本政府もそのための行動を起こす必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説①・11.27》:在職老齢年金 現役世代も視野に議論を

2024-11-29 09:31:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①・11.27》:在職老齢年金 現役世代も視野に議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.27》:在職老齢年金 現役世代も視野に議論を 

 人口減で人手不足が深刻になる中、高齢世代の就労意欲をそぐ年金の「壁」の見直しが急がれるのは確かだ。

 けれど、それが現役世代へのつけ回しになる可能性がある。長期の視点で議論する必要がある。

 働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」を巡り、厚生労働省は年金が減り始める「基準額」を、現在の月50万円から62万円へ引き上げる方向で調整に入った。

 在職老齢年金は、賃金と厚生年金の合計が基準額を上回った場合、超えた分の半額を減らす仕組みだ。減額されないよう「働き控え」をする人が少なくない。

 引き上げに伴い、満額の受給者は約20万人、総額で約1600億円増える見込みだ。

 在職老齢年金制度は1965年に始まり、2000年の改正で現行の仕組みとなった。

 働きながら年金を受給している高齢者は22年度末で約308万人。約50万人が当時の基準額(47万円)を超え、年4500億円の年金支給が停止されていた。

 厚生年金は応能負担で保険料を支払い、その拠出に応じて受給する仕組みだ。老後に一定の収入があるからといって支給を停止するのは、社会保険の趣旨になじまない。在職老齢年金の基準額の引き上げはうなずける。

 ただし、年金給付が増えると、年金財政が圧迫される。ひいては将来の世代が受け取る年金の水準低下を招きかねない。

 厚労省は財政悪化を防ぐため、高所得の会社員が支払う厚生年金保険料の上限を引き上げる案を示している。

 国民の所得のうち税金や社会保険料をどれだけ払っているかを示す国民負担率は、近年、50%に近づきつつある。中でも大きく伸びているのが、主に現役世代が担う社会保障負担だ。

 在職老齢年金の基準額を超える人は、比較的生活に余裕があると言える。そうした高齢者の年金を増やすため、現役世代にこれ以上の負担を求めることに、理解を得られるだろうか。

 公的年金は、現役世代の保険料と公費で賄われる「仕送り方式」だ。少子高齢化に伴い、支え手である現役世代は減り続けている。支え手の範囲をどう増やしていけるかが課題の一つだ。

 年金制度改革は、来年の通常国会の焦点の一つになる。将来にわたり制度が機能していくには、今何を変えるべきなのか。与野党で議論を尽くしてほしい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②・11.27》:トランプ事件終結 法の支配の原則はどこへ

2024-11-29 09:31:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②・11.27》:トランプ事件終結 法の支配の原則はどこへ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.27》:トランプ事件終結 法の支配の原則はどこへ 

 トランプ次期米大統領が前回大統領選の敗北を覆そうとした議会襲撃事件を巡り、連邦地裁がトランプ氏の起訴取り下げを認めた。

 現職大統領を起訴しない司法省の方針は次期大統領にも適用されるとし、特別検察官が取り下げを申請した。

 選挙結果を確定する手続きの妨害目的で、支持者に連邦議会を襲撃させた罪に問われていた。前代未聞の事件は、真相究明に向けた公判も開かれずに終結する。

 機密文書持ち出しや不倫口止めなど他に起訴された事件も、取り下げや量刑言い渡しの延期となりそうだ。刑事責任を問われないまま大統領に返り咲く。

 有権者がトランプ氏を大統領に選んだ結果を受けて事件を帳消しにする措置は、法の支配の原則を損なうことになろう。

 大統領経験者が刑事事件で起訴されたのは初めてだった。中でも注目された2021年の議会襲撃事件は、選挙結果に不満を持つ支持者が議事堂を一時占拠し、警察官1人を含む5人が死亡した。トランプ氏は、直前の集会で支持者を扇動したとして起訴された。

 今回の大統領選でも、トランプ氏の暗殺未遂事件が2度起きた。米国社会には政治的暴力を容認する空気が強まっているようにさえ見える。民主主義を踏みにじった議会襲撃事件を不問に付して、社会の公正は保たれるのか。

 大統領に就くために起訴を取り下げざるを得なかったのなら、検察側は2期目の退任後に、再び刑事責任を問うべきだ。

 トランプ氏は選挙戦で、事件は民主党政権による「魔女狩りだ」と根拠もなく主張した。世論を味方につける材料に使い、司法制度への不信をあおった。

 大統領選への影響を避けるため遅延戦術を駆使し、不倫口止め事件以外は公判も開かれなかった。有権者にとって重要な判断材料なのに、事件の真相や責任の所在を知る権利を損なった点でも、民主主義の土台を揺るがした。

 連邦最高裁は7月、議会襲撃事件を巡って、大統領在任中の公的な行為は刑事訴追されない「免責特権」を認める判断を示した。これを免罪符に、次期政権でトランプ氏が権力維持のため意のままに振る舞う懸念がある。

 米国は権威主義国への対抗軸として法の支配や民主主義を前面に掲げてきたが、説得力が著しく損なわれるだろう。トランプ氏は国際協調にも背を向ける。権力と法の関係について米社会が抱える悩みは深い。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【政界地獄耳・11.23】:始末の悪い自民“丼勘定”カネ払い けじめなどついていない

2024-11-29 07:40:10 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【政界地獄耳・11.23】:始末の悪い自民“丼勘定”カネ払い けじめなどついていない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・11.23】:始末の悪い自民“丼勘定”カネ払い けじめなどついていない

 ★選挙後、防衛相・中谷元は落選した元万博相・若宮健嗣を防衛相補佐官に任命。落選議員の救済人事と思われても仕方がない。自民党富山1区の田畑裕明は支援者を無断で党員登録し、その党費に企業後援会が集めた会費を充てていたことが発覚した。大阪15区から出馬し、比例代表で復活当選した自民党・島田智明は選挙区内の町議が公職選挙法違反の疑いで逮捕され、同候補の街頭演説会で投票を呼びかける選挙運動の報酬としてカネを払ったとの疑いが持たれている。同議員は関与を否定している。

 ★選挙違反やら、党が最重要事項とする総裁選挙で大きな1票となる党員資格を支援者の知らぬ間に登録していたなど、実は氷山の一角ではないか。この総選挙は自民党の政治とカネに対する認識が著しく問われたが、現場では相変わらず買収などの選挙違反が横行していた可能性がある。読売新聞は21日に公表された自民党東京都連の23年分の政治資金収支報告書で、都連が同年1月30日に開催した政治資金パーティーを巡り、20万円超の購入者には記載を義務付けられているものの20万円を超えるパーティー券を購入した4政治団体の名称や金額が記載されていない疑いを指摘。不記載の総額は330万円に上る。相変わらず出るわ出るわだ。

<button class="article-image-height-wrapper expandable article-image-height-wrapper-new" data-customhandled="true" data-t="{"></button>

自民党政治改革本部の総会で発言する石破茂首相(左から2人目)。左端が渡海紀三朗本部長、右端は森山裕幹事長=同党本部で2024年11月21日午後3時34分、平田明浩撮影

 ★同日、自民党は政治改革本部の総会を党本部で開き、政策活動費の廃止は決めたものの企業・団体献金の禁止には踏み込まなかった。その代わり、首相・石破茂が力を込めた収支報告のデータベース化はもり込まれた。これらより企業・団体からの献金の金額などが公表される。同日、党の関東7都県連の青年部・青年局の会合で衆院選の総括が行われ、選挙終盤で判明した非公認候補の党支部への活動費2000万円支給を問題視し、選挙を取り仕切った党幹事長・森山裕の更迭を党本部に求めた。けじめがついていないのは党の末端と幹事長の責任問題だろう。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません4。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年11月23日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする