北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故で、前方甲板の下にある船倉部分を区切る隔壁に穴が開いていたことが3日、捜査関係者への取材で分かった。第1管区海上保安本部(小樽)が引き揚げ後に船体を調べた結果、判明した。前方にある船倉がつながってしまったため、大量の水が船首部分に集まり、バランスを失って沈んだ可能性がある。<button class="sc-NGAnU dmRiTU" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="44"></button><button class="sc-NGAnU dmRiTU" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="44">「カズワン」船倉のイメージ</button>

「カズワン」船倉のイメージ(KYODONEWS)

 国土交通省によると、船倉には船首部分と機関室の前後に計3枚の隔壁があった。捜査関係者によると、一番前にある船倉と、次の船倉とを仕切る隔壁に穴が開いていたという。

 国交省によると、昨年の検査で、機関室前後の2枚については消火設備の能力確保のために調べ、穴が開いていることを確認。検査員がふさぐように指示し、ふさがれたことをチェックしていた。今年4月の検査でもふさがれた状態を確認していた。一方、船首部分の隔壁は、検査の確認対象外だった。

 カズワンは、今シーズンの運航初日だった4月23日午前、斜里町ウトロの港を出発。乗客乗員計26人が乗っていた。同日午後、港の北東約27キロの「カシュニの滝」付近で「船首が浸水している」と救助を要請。その後、運航会社に「船首が30度ほど傾いている」と連絡していた。

 これまでに乗客14人が発見されたが、いずれも死亡が確認された。1管や海上自衛隊、道警が海や沿岸部の陸地で捜索したが、残る乗客乗員計12人は行方不明のまま。一斉捜索はすでに終了しており、現在は海保が単独で捜索を続けている。(共同)