【日本大学】:作家・林真理子さん「しがらみない。ビックリしてしまうこともやりたい」、新理事長選出承認
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日本大学】:作家・林真理子さん「しがらみない。ビックリしてしまうこともやりたい」、新理事長選出承認
日本大学は3日、都内で理事会を開き、日大芸術学部出身で作家の林真理子さん(68)の新理事長選出を承認した。7月1日予定の理事会で、正式就任となる。林さんは同日夜、末松信介文部科学相を訪れて面会。「日大も思い切ったことをしたのですから、それも応えて大きな改革をしなくてはいけない。私にはしがらみが何もありませんし、こんなことをするのかとビックリしてしまうこともやりたいと思っている」と考えを伝えた。末松文科相からも「前理事長の逮捕など前代未聞の事件で信頼が損なわれている。世の中の期待が大きいことも事実ですから、ガバナンスの強化を大事にしてほしい」と激励を受けた。
末松文部科学相訪問後に取材に応じる日大の新理事長となる林真理子さん(撮影・鎌田直秀)
末松信介文部科学相(手前)を日大の加藤直人学長(左)と訪問する新理事長となる林真理子さん(撮影・鎌田直秀)
日大にとっては初の女性理事長となる。86年に「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞も受賞した人気女性作家の新体制への起用は、「日大のドン」と称された田中英寿前理事長の脱税事件など、度重なる不祥事による負のイメージを回復していく目玉人事だ。林さんは、報道陣を前に所信表明。「まともな人間がまともなことをすれば、この大学を再生できると信じています」。最大の課題については「古いマッチョな体質、上の人が何か言うと、下の人が必ず従ってしまう。違ったことははっきり言える組織にしないといけない」と言及し、理事や側近に女性を登用する考えも述べた。また、具体的な名前は出さなかったが、大学運営や客員教授などに著名人を起用する計画があることも明かした。
正式に打診があったのは、田中前理事長が辞任した昨年12月だった。選考には元官僚や教育に精通する日大OBの政治家らも候補に浮上したが、学内で「初の女性理事長を選び強いメッセージを打ち出すべき」が挙がったことも決め手となった。「芸能人やスポーツ選手を除けば、卒業生の中で知名度があるので白羽の矢が立ったのだと思う。私はスキャンダルもしがらみもないので、『なるほどな』という思いだった」と当時の思いも振り返った。一方で作家の仕事との両立については「まだ編集者の方とも話がついていないので、それが第一関門」と苦笑い。「週に何回かと適当では信頼を勝ち得ることは出来ない。連載もいくつかストップしないといけない」と理事長職に専念する意向を示した。
理事長就任への最大の原動力は「誰にも負けない」と言う愛校心だ。「日大だと言うと、薄ら笑いを浮かべられることが、ここ数年は屈辱だった」。テレビのインタビューで第1志望で入学した学生が悩ましい表情を見せた場面が今でも心に深く刻まれており、「これからは胸を張って日大生と言ってもらえるようにしたい。まわりからも『おもしろい、話題のある大学、すごいじゃん日大』と。それが私の理想です。後輩たちにつらい思いをさせたくない」と切実な思いも語った。
卒業生や学生の反応も、さまざまだ。OBの60代男性は「クリーンなイメージだし、人選は良いと思う。良いシナリオで、新しい風を吹かせてほしい」と期待。法学部の男子学生からは「大学のために頑張ってくれる姿勢はうれしいが、経営の経験がないと聞いたので、どうなんでしょうか」と不安な声も挙がった。女子学生からは「正直、林さんを良く知らない。同じ卒業生なら(お笑いコンビ)爆笑問題の2人のほうが、悪いイメージを刷新する楽しい大学をつくってくれそう」の声もあった。
また、酒井健夫元総長の次期学長就任も承認。日大農獣医学部(現生物資源科学部)獣医学科出身で、05年には同学部長となり、08年~11年まで当時学内トップの総長を努めた。
この日、適切な教育や運営がされているかどうかを審査して認証評価する大学基準協会から、大学運営に大きな問題があるとして「不適合」の判定が出された。今後は国の一部補助金を申請できなくなる。7月に正式発表となる一新された新体制発足で、大きな変革に注目が集まる。【鎌田直秀】
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・田中英寿前理事長(75)の脱税事件など一連の不祥事を受けて新体制移行を進める日本大学】 2022年06月03日 20:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。