【国連・安保理】:ベネズエラ巡り決議案否決 分断、混迷に拍車
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国連・安保理】:ベネズエラ巡り決議案否決 分断、混迷に拍車
【ニューヨーク=赤川肇】南米ベネズエラ情勢を巡り国連安全保障理事会は2月28日、対立する米国とロシア双方の決議案をいずれも否決した。政情不安や生活困窮で約340万人が国外に逃れ、人道支援を巡り国境地帯の衝突で死傷者が相次ぐ中、安保理の分断も加わって情勢は混迷を強めている。
「安保理の一体感の欠如は国際社会、特にベネズエラ国民にとって悲しい」。両案に棄権票を投じたインドネシアのジャニ国連大使は、採決前に合意点を見いだす話し合いが不十分だったと指摘し、安保理のあり方に疑問を投げ掛けた。
米案は、反米左翼マドゥロ大統領が再選された二〇一八年の大統領選を「自由でも公正でもなかった」と指摘し、国際的監視下での再選挙を主張。マドゥロ氏に代わる暫定大統領に名乗り出たグアイド氏率いる国会を「民主的に選ばれた唯一の機関」として支援し、政権が拒む支援物資の受け入れによって人道状況の悪化を防ぐ措置を求めた。
常任理事国の米英仏を含む九カ国が賛成し、拒否権を持つ常任理事国の中ロと南アフリカが反対した。ロシアのネベンジャ国連大使は「安保理が独立国の大統領を解任し、別の誰かを指名する。外交のやることか」と反対理由を挙げた。
一方、マドゥロ氏を支持するロシア案は、国連憲章がうたう内政不干渉の原則を確認し、「ベネズエラの社会経済の悪化や国民の苦しみを招く一方的制裁の解除を関係国に促す」と記載。軍事介入をちらつかせてマドゥロ政権への退陣圧力を強める米国をけん制する内容で、賛成は中ロなど四カ国にとどまった。
当事国として出席したベネズエラのアコスタ国連大使は「国内は平和だ。平和への脅威があるとすれば、外国からだ」と述べ、米国の経済制裁を問題視した。
安保理決議案の採択には全十五理事国のうち九カ国以上が賛成し、常任理事国の米英仏中ロがいずれも反対しない必要がある。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 国際 【北米・国連・安保理・南米・ベネズエラ】 2019年03月02日 06:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。