goo blog サービス終了のお知らせ 

路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【時代ななめ読み】:「偉大病」から遠く離れて

2019-01-24 08:14:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【時代ななめ読み】:「偉大病」から遠く離れて

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【時代ななめ読み】:「偉大病」から遠く離れて 

 いまさら言うまでもないが、トランプ米大統領のスローガンは「米国を再び偉大に」だ。トランプ氏は自ら思い描く「偉大な米国」の実現のために、ライバルの中国はおろか同盟国にも貿易戦争を仕掛け、国際経済秩序を混乱させている。

 一方、中国の習近平国家主席が掲げるのは「中華民族の偉大な復興」である。「偉大」の目標像は清王朝の最盛期にあるらしく、南シナ海の軍事拠点化を進めて周辺国と衝突している。

 ロシアのプーチン大統領も同様だ。「大国ロシアの復活」が旗印で、クリミア併合を世界中から非難されても意に介さない。3月の大統領選では「偉大なロシアの将来を選ぶため」と投票を呼び掛けていた。

 国家や指導者がこうした「偉大」の自己イメージに取り付かれ、周囲とぶつかる現象を、私はひそかに「偉大病」と名付けている。

 日本は「偉大病」と無縁だろうか。安倍晋三首相は昨年1月の施政方針演説で「世界の真ん中で輝く国づくり」を呼び掛けた。麻生太郎副総理兼財務相の著作名は「とてつもない日本」だ。「偉大」の言葉こそないが、似たような思いが顔を出しているようだ。 

   ◇    ◇

 偉大になりたい、周囲から「偉大」と思われたい-。そうした感情を抱くのはごく自然だ、という考え方もあるだろう。実際に明治から昭和の敗戦までの日本は、世界における偉大な地位を追い求めて走った。

 ただ、私が指摘しておきたいのは、日本人の伝統的な価値観は必ずしもそれだけではないのではないか、ということだ。

 試しに、宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」を読んでみてほしい。冒頭部分は有名だが、この詩の後半はこうなっている(片仮名を平仮名に、一部を現代仮名遣いに直した)。

 東に病気のこどもあれば
 行って看病してやり
 西につかれた母あれば
 行ってその稲の束を負い
 南に死にそうな人あれば
 行ってこわがらなくてもいいといい
 北にけんかやそしょうがあれば
 つまらないからやめろといい
 ひでりのときはなみだをながし
 さむさのなつはおろおろあるき
 みんなにでくのぼーとよばれ
 ほめられもせず
 くにもされず
 そういうものに
 わたしはなりたい

   ◇    ◇

 詩の中で作者の賢治は、東へ西へと走り回って他人のために尽くしながらも、「でくの坊」と呼ばれることを望んでいる。

 この詩が長年愛唱されてきた事実は、「偉さなど要らない。自分のやるべきことをやれば『褒められもせず、苦にもされず』で十分」という価値観に、かなりの数の日本人が共感している証拠ではなかろうか。

 時折口ずさんで、「偉大病」の対極にある思想をしみじみと味わいたい。

 ちなみに「東に-」や「北に-」を国家に当てはめれば、優れた国際人道支援活動そのものだ。質実な生活ぶりや、災害で苦労しつつも自然とともに生きる意思をうたった前半部分も含め、私にとって目指したい国の姿はおおむねこの詩の中にある。「世界の真ん中で」とは、だいぶ違うけれど。 (論説副委員長)

 =2018/09/09付 西日本新聞朝刊=

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【時代ななめ読み】 2018年09月09日  10:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【時代ななめ読み】:「してるふり」にご注意を

2019-01-24 08:14:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【時代ななめ読み】:「してるふり」にご注意を

 『漂流日本の羅針盤』:【時代ななめ読み】:「してるふり」にご注意を

 安倍晋三首相の政権運営を巡って「外交が得意」という評価をしばしば耳にする。新聞やテレビでも「不祥事で苦境の安倍首相が、得意の外交で挽回を図る」などの解説を見かける。

 共同通信社が6月中旬に実施した世論調査では「安倍政権を支持する理由」で「ほかに適当な人がいない」がトップだが、「外交に期待できる」が2位につけている。「外交が得意」のイメージは広く世間に共有されているようだ。

 外交担当記者としては、首をかしげてしまうのだ。本当に安倍首相はそれほどの外交上手なのか。

   ◇    ◇

 安倍氏が首相に返り咲いてから5年半。第1次政権時代も合わせれば、首相在任期間は戦後3位だ。

 外交問題は一朝一夕に動かせないとはいえ、すでに十分な時間を与えられたと考えるべきだろう。

 しかし安倍首相自身が最大の課題に掲げる「拉致問題の解決」は現時点まで全く進んでいない。残念なことに、これが事実である。

 トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談で、楽観はできないにしろ、北朝鮮が非核化へ動く可能性が出てきた。同時に拉致問題解決のチャンスも訪れている。ただし、米朝会談実現の功労者は韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領であり、安倍首相ではない。

 もう一つの日本外交の大きな課題は北方領土問題だ。安倍首相はロシアのプーチン大統領とすでに20回以上も会談を重ねているが、経済協力を求められるばかりで、領土問題解決や平和条約締結への道筋は、ほとんど見えてこない。

 在任の長さを考えれば、拉致問題や北方領土で一定の成果を上げない限り「外交が得意」などの評価はできないのではないか。アジア外交も停滞している。目立った実績といえるのは、オバマ米大統領(当時)の広島訪問ぐらいだろう。

   ◇   ◇

 ではなぜ「外交が得意」のイメージが広がるのか。私はそこに興味を持つ。

 会社勤めを長くしていると「仕事をしているふりがうまい人」がいるのに気付くものだ。読者の皆さん、今、うなずいたでしょ。

 安倍首相もこれと同じで「外交で実績を上げてるふり」がうまいだけではないのか、というのが、失礼ながら私の仮説である。

 「仕事をしているふり」がうまい人には、いくつかの特徴がある。「得意先の誰々と会った」など途中経過をやたら報告する。小さな成果をアピールする(大きな成果は上がらない)。誰かが大きな仕事をすると「実は自分も関わっていた」と便乗する-などなど。

 安倍首相は国会答弁で、北朝鮮が米朝会談に応じた理由について「日米韓が最大限の圧力をかけた成果」と強調している。間違ってはいないだろうが、このうち日本の圧力がどれだけ効果があったかは不明だ。

   ◇    ◇

 会社という世界では、人事担当者の目が節穴なのか、意外と「仕事をしているふりがうまい人」が高く評価されてあぜんとすることがある。読者の皆さん、また、うなずきましたね。

 ただ、これが政権となると、査定するのは人事部ではない。われわれ国民である。間違った査定をしないよう、イメージに惑わされず、事実を吟味して正確に評価する目を持ちたい。(論説副委員長)

=2018/07/22付 西日本新聞朝刊=

  元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【時代ななめ読み】  2018年07月22日  11:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【時代ななめ読み】:首相はグラウンドに出よ

2019-01-24 08:14:30 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁・朝鮮総連・朝鮮学校】

【時代ななめ読み】:首相はグラウンドに出よ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【時代ななめ読み】:首相はグラウンドに出よ 

 ここ数週間、米朝首脳会談を巡る関係各国の動きは実にめまぐるしかった。

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は短期間に2回訪中し、習近平主席と会談した。そこへトランプ米大統領が「会談中止」を発表。するとすかさず文在寅(ムンジェイン)韓国大統領が金氏と会い、米朝間を取り持って会談の可能性をつないだ。

 こうした熾烈(しれつ)な外交ゲームから、日本は取り残されているように見える。

 ゲームはまさに始まり、トランプ、金正恩、習近平、文在寅の各首脳がユニ
ホームに着替えてグラウンドに出ている。しかし安倍晋三首相だけが応援席で「アメリカ頑張ってー」と声援を送っている-。そんなシーンを連想してしまう。

 一方で安倍首相は、インタビューなどで、北朝鮮が話し合いを求めてきたのは「まさに日本が国際社会をリードしてきた成果だ。決して日本が蚊帳の外に置かれているわけではない」とアピールしている。 

 「日本は蚊帳の外」説と「蚊帳の外ではない」説。どちらが本当なのか。

   ◇    ◇

 田中均・元外務審議官に見解を聞いてみた。田中氏は、北朝鮮と秘密接触を重ね、小泉純一郎首相と金正日(キムジョンイル)総書記との日朝首脳会談(2002年、04年)の開催へと導いた外交官だ。北朝鮮の行動パターンを熟知する人物である。

 田中氏によると「今は、日本が『蚊帳の外』でも『蚊帳の中』でも、どちらでもいい」のだそうだ。「北朝鮮が非核化に向かうのなら、その中で必ず日本の出番が来る。今後のプロセスで結果を出せればいい」

 しかし、田中氏は「日本の対北朝鮮政策に戦略を感じられない」と憂慮している。日本にとって最大の課題である拉致問題の解決をどう図っていくか。

 「日本が『とにかく圧力だ』と言い続けても、拉致問題を解決することはできていない。日朝ともに結果的にウィンウィン(どちらも得する)になる状況をつくらないといけない」

 「拉致に対価を与えることはできないので、大きな土俵をつくる(包括的に解決する)ことが必要だ。米朝交渉の後で6カ国協議に持ち込み、そのプロセスの中で拉致問題の『解』を見いださなければならない」

 局面が変われば、これからが正念場ということだ。

   ◇    ◇

 もし日本が拉致問題を解決し、日朝関係を正常化しようとすれば、北朝鮮との直接交渉が不可欠だ。ただし交渉はリスクを伴う。最大のリスクは、北朝鮮に見返りを与えることに対する国内からの批判だろう。

 そういう意味で、日本の政治家にとって、グラウンドの外から「北朝鮮はけしからん」と叫び続けることが、実は一番リスクのない道だった。その方が世論受けもいい。しかし政治家や外務省が「火中の栗を拾わない」姿勢では、貴重な時間が過ぎていくばかりだ。

 小泉首相は電撃的な訪朝で日朝平壌宣言に署名し、拉致被害者5人の帰国を実現させた。しかし拉致問題の解決には至らず、北朝鮮の核開発を止められなかった。小泉訪朝は半ば成功半ば失敗だった。ただ、当時の小泉氏と田中氏がリスク覚悟して動いたことは間違いない。

 安倍首相はもう、グラウンドに出る準備ができているだろうか。 (論説副委員長)

 =2018/06/03付 西日本新聞朝刊=

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【時代ななめ読み】 2018年06月03日  10:59:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER】:地元福岡で低下する麻生太郎財務相の求心力

2019-01-24 07:25:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【HUNTER】:地元福岡で低下する麻生太郎財務相の求心力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:地元福岡で低下する麻生太郎財務相の求心力 

 往生際悪い政治家増えた昨今、代表格が麻生太郎副総理兼財務相であることは衆目一致するところ。財務省内の文書改竄や国会における虚偽答弁問題では責任をとらず、事務次官のセクハラ騒ぎでは「セクハラ罪という罪はない」などと開き直って世の批判を浴びた。かつての自民党内閣なら間違いなく更迭されていたケースばかりだが、暴言毒舌反省する気配さえない。
 “安倍晋三首相を支える盟友”という立場老いた権力者傲慢助長しているのであるが、地元福岡県ではただの迷惑老人。その求心力は、急速低下している。

麻生太郎.png

 ■県知事選巡るドタバタ劇
 今年3月、麻生氏の地盤である嘉麻市の県会議員補欠選挙で、麻生氏が推した候補が惨敗した。敗れた候補者は麻生氏の元秘書で、麻生氏の不人気ぶりが際立つ結果だった。2016年10月に行われた衆院福岡6区の補欠選挙でも、麻生氏が選対本部長を務めた候補が敗れており、元総理の威光に翳りがみえる状況となっていた。

 候補者調整の場面でも、力の低下が顕著である。来年1月の北九州市長選を巡っては、4選を目指す北橋健治市長の対抗馬擁立を模索したものの、結局失敗。地元福岡県内での選挙であるにもかかわらず、麻生財務相の思惑は次々と外れている。求心力低下に拍車をかけそうなのが、来年4月に予定される福岡県知事選を巡る動きだ。

 知事選に向けて、候補者調整が続く福岡県。注目されているのは、自民党が3選を目指す現職・小川洋氏を推薦するかどうかだ。小川知事の生みの親は、麻生財務相と麻生渡前知事で、2011年の知事選では両氏の強力な後押しで小川県政が誕生した。

 小川氏とダブル麻生の関係が崩れたのは、2016年に行われた衆院福岡6区の補欠選挙からだとされる。小川知事が、県連推薦候補への応援要請を断ったことで、同陣営の選対本部長を務めていた麻生氏の逆鱗に触れたのが発端だったという。何があったのか判然としないが、その頃から小川氏と麻生前知事との関係も悪化。今回の知事選にあたり、ダブル麻生は「反小川」の急先鋒となっている。

 “小川つぶし”にこだわる麻生財務相に引きずられる形で、自民党県議団も連動する。6区の補選時に知事が腰痛のため検査入院したことを巡って、自民党県議がその状況を公表するよう迫ったのにはじまり、事あるごとに知事を揺さぶり続けてきた。今年10月には、自民党が多数を占める県議会で、県が提出した2017年度一般会計決算を例のない「不認定」としている。

 県連は今月に入って小川県政の検証作業をスタートさせ、16日には知事候補を公募することを正式決定。二度の知事選で支えてきた現職を差し置き、他の候補者と並べて検討対象にするという極めて異例の展開だ。

 現職参院議員やテレビコメンテーターなど複数の候補者名が囁かれていたが、12日にそのうちの一人である谷口博文九大教授が県連に推薦願を提出しており、公募に応じるものとみられている。

 一方、県連幹部に口頭で推薦を要請していた小川知事は、菅義偉官房長官の福岡入りに合わせて事実上の立候補表明。今後、知事が県連の公募に応じるかどうかが注目だ。

 県連内部は“麻生シンパ”の数が圧倒的で「谷口推薦」が現実味を帯びるが、ある県政界関係者は「谷口ではまとまらない」とした上で、こう解説する。
「谷口さんを後押ししているのは麻生財務相と麻生前知事。県連は、谷口氏を推薦候補にするかもしれない。しかし、党本部の考えは違う。谷口さんはピエロになる」

 ■党本部は小川氏推薦で固まる
 国会議員の公認権が党本部にあるのは言うまでもないが、県知事・政令市長の選挙も党本部マターだ。県連が小川氏以外の人間を選んだとしても、党本部の決定が優先される。いかに麻生氏が「反小川」を訴えようと、党の執行部が小川氏を選べばそれまでとなるのだ。

 福岡6区の補選では、党本部が麻生の推した県連推薦の候補者を公認せず、勝った候補者を追加公認する形で県連の決定を覆した。今回の知事選も同じ流れ。二階俊博幹事長も菅官房長官も「小川支持」で、「麻生派以外の派閥は、小川推薦で固まりつつある」という実情になっているという。16日のに福岡入りした菅官房長官の動きは、小川推薦に向けた地ならしだという見方が広がっている。

 背景にあるのは、麻生財務相と菅官房長官の確執だ。両者の不仲は公然の事実となっており、もはや修復不可能な状態だという。加えて、麻生氏と犬猿の仲である県連所属の武田良太衆院議員は、二階幹事長の側近。政権の要であるはずの麻生財務相といえども、実力者二人にはかなわないということだ。

 地元の選挙で連戦連敗の麻生氏。県連内からは、次のような声さえ上がっている。
「衆院6区の公認争いで敗れ、県議補選では自分の秘書を落選させた。北九州市長選に続き、知事選でも候補者擁立に失敗となれば、麻生さんの威光は地に堕ちる。そもそも、北九州市長や知事が誰になろうと、総理大臣まで務めた人にとってはどうでもいいことではないのか。黙っていれば、相手から挨拶に来る立場なんだから、無理を通す必要などない。これでは、太郎さんの求心力は落ちる一方。そのうち、誰も相手にしなくなる。権力の頂点を極めた人とは思えないわがままぶりに、多くの党員が呆れているんじゃないか」

 ◆下品な国会みやげ

 2018年5月14日 13:39 

 

20180514_os04.jpg 

 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入った湯のみやカップの他、国会に関連する菓子類など様々な土産物がある。写真はその中の一つ。

 

 どう見ても、今や女性の敵となったセクハラの擁護者、麻生太郎を主役にしたものだ。国会もずい分と下品になった。

 

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2018年12月18日  08:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【僭越ながら論】:「税金で学校」の何が悪い!

2019-01-24 07:25:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【僭越ながら論】:「税金で学校」の何が悪い!

  『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【僭越ながら論】:「税金で学校」の何が悪い! 

 この人は、やはり“日本の恥”だ。麻生太郎、78歳。総理大臣まで務めた政治家が、感情をむき出しに、東京大学卒の北橋健治北九州市長を「人の税金を使って学校に行った」と批判した。自分が何を言ったのか分かっていないのだろうが、公費に頼って学校に行くことのどこが悪いのか!

ba5ffcc55c90ef8caa15a0e641083beda34eeecc-thumb-200xauto-24279.png

 「教育」に税金投入するのは国の責任であり、安倍政権は現行制度を超える教育無償化看板政策に掲げている。自民党も教育無償化を総選挙の公約として明記していたはずだ。憲法が保障した「教育を受ける権利」を否定するかのような麻生暴言に、怒りを禁じえない。

 ◆暴言の麻生、娘は東大卒
 問題の発言は、18日投開票の福岡市長選で、自民党が地元を無視して支持を決めた高島宗一郎氏の応援演説で飛び出した。麻生財務相は、自他共に認める高島氏の指南役。初当選以来支えてきた同氏を持ち上げるのに、人口減に悩む北九州市を引き合いに出し「(福岡市は)一番元気が良くて、住みたくなる町だ」「北九州市は、人口も税収も減らしている」――。よほど北橋氏が憎いのか、「(北橋氏は)人の税金を使って学校に行った。東京大学出たんだろ」とまくしたてた。

 東大は国立大学。学費が私立大より安いのは、確かに税金で支えられているからだ。秀でた学力があるからこそ北橋氏は東大に入学できたのであって、何も悪いことはない。しかも、北橋氏は東大卒業後、衆議院議員を6期、北九州市長を3期も務めているのだから、同氏のために使われた税金は決して無駄ではなかったということだろう。

 税金を使って学校に行くのが悪いというのなら、この国の教育は成り立つまい。憲法は、『すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する』と規定する一方、すべての国民に「教育を受けさせる義務」を負わせている。国や地域社会を支えているのは人だが、人を育てるのが教育。教育に力を入れない先進国など、世界中のどこを探してもない。

 そもそも、小・中学校は義務教育だし、公立高校の授業料は旧民主党時代から無償だ。私立大学にも補助金は出ている。すべての原資は税金だが、それが悪いのか?

 国公立大学があるのは、所得の多寡にかかわらず優秀な人材を育成するという目的があるからに他ならない。それが間違いだというのか?

 炭鉱労働者を酷使して財を成した麻生家に、“学費”の心配をする必要などなかったのかもしれない。だが、国公立にしか行けない学生は山ほどいる。麻生発言は、公教育を受けるすべての日本人に対する冒涜と言っても過言ではあるまい。

 来年1月の北九州市長選を前に、麻生は北橋氏を引きずり降ろそうと画策してきた。しかし、北九州市の自民党市議団は、今月になって北橋支援を決めており、ことは麻生の思惑通りに進んでいない。イライラが高じた結果が「(北橋氏は)人の税金を使って学校に行った。東京大学出たんだろ」――。80歳になろうかという政治家にしては、あまりにお粗末な暴走だ。

 ちなみに、麻生氏は“東大卒”。「人の税金を使って学校に行った」ということになるが……。

 ◆政府方針も党の公約も否定
 麻生発言は、「いつもの舌禍」で済まされる問題ではない。閣内不一致であり、総選挙で掲げた自民党の公約にも反しているからだ。

 自民党は、昨年の総選挙で教育無償化を「政権公約」に組み入れた。党のホームページで確認してみると、具体的な施策がズラリと並んでおり、その中には「真に支援が必要な所得の低い家庭の子供たちに限って、高等教育の無償化を図ります」とある。高等教育とは、大学、高等専門学校、専門学校などで行われている教育のことだ。麻生氏は、党が掲げた高等教育の無償化に反対するというのだろうか。

自民公約1.png

 安倍政権は今年6月、昨年の衆院選で自民党が公約した教育無償化を先行させるため、人生100年時代構想会議を開き、安倍政権の看板政策である「人づくり革命」の内容を決めた。下の表は、その内容をまとめたものだ。

無償化.png

 幼児教育・保育の無償化は2019年10月から、低所得者を対象に大学の無償化は2020年4月から実施されることになっているが、麻生氏は、この「人生100年時代構想会議」の構成員(下の文書参照)。自分が参加した会議で大学の無償化を決めておきながら、「人の税金を使って学校に行った」はないだろう。明らかな自己否定。閣内不一致は歴然としている。

構成員.png

 ナチス学べ」、 「カネがないなら結婚するな」、「飲み倒した人医療費を払うのはアホらしい」、「セクハラ罪というはない」――。 麻生氏の暴言は枚挙に暇がなく、副総理や財務省を続けているのが不思議なくらいだ。今度は、税金を使った教育の否定。この人の存在自体が「国辱」である。

 ◆下品な国会みやげ 2018年5月14日 13:39 

 

20180514_os04.jpg

 

 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入った湯のみやカップの他、国会に関連する菓子類など様々な土産物がある。写真はその中の一つ。

 

 どう見ても、今や女性の敵となったセクハラの擁護者、麻生太郎を主役にしたものだ。国会もずい分と下品になった。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 【僭越ながら論】  2018年11月19日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER】:地元福岡で低下する麻生太郎財務相の求心力

2019-01-24 07:25:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【HUNTER】:地元福岡で低下する麻生太郎財務相の求心力

  『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:地元福岡で低下する麻生太郎財務相の求心力 

 学校法人「森友学園」への国有地払い下げ問題を巡って、公文書の改ざん、廃棄、虚偽答弁などを繰り返してきた財務省。事務次官がセクハラで職を追われるなど、すっかり犯罪者集団と化した同省のトップは、数々の暴言・失言で物議を醸してきた麻生太郎副総理兼財務相である。
 昔の自民党政権なら確実に大臣の首が飛んでいたはずの乱れようだが、総裁3選を決めた安倍晋三首相は、麻生氏を留任させる見通しとなっている。
 首相の盟友として政権を支える実力者であることは確かだが、じつは麻生氏、大型選挙の候補者選定でつまずくなど地元福岡県での求心力を急速に失いつつある。

ba5ffcc55c90ef8caa15a0e641083beda34eeecc-thumb-200xauto-24279.png 

 ■見つからぬ知事候補
 小川洋福岡県知事は、一昨年に行われた衆院福岡6区の補選で、県連推薦候補の選対本部長を務めた麻生氏の応援要請を断った。小川県政の「生みの親」を自負してきた麻生氏の怒りは凄まじく、来年4月の県知事選に向けて新たな知事候補の擁立を図る構えだ。しかし、福博の財界が主体となった小川3選への流れは強まる一方。候補者は見つからず、麻生氏の思いは遂げられそうにない。

 ■参院選2人公認主張も……
 知事選の候補者探しに四苦八苦する麻生氏の持論は、改選議席3の参院福岡選挙区における2人目の公認候補擁立だ。すでに候補者擁立を決めている公明党は、この動きに神経をとがらせており、自民党県連内でも「2人擁立は無理」との見方が大勢となっている。たしかに、安倍人気が下降気味である現状では参院選での2人公認は危険な賭けでしかなく、麻生の主張が真剣に受け止められる気配さえない。県連内の麻生を見る目は、冷ややかだ。

 ■北九州市長選は不戦敗?
 来年1月に予定される北九州市長選も、麻生氏の思惑とは違う方向で進んでいく可能性が高い。4選を目指す現職の北橋健司市長には特段の失政が見当たらず、市民の根強い人気もある。なんとしても自派の市長を誕生させたい麻生氏は、北橋氏に対抗できる候補者を探していというが、これも難航。北橋氏の4選を阻むことはできそうにない。

 ■弟子の福岡市長は首相べったり
 唯一、麻生氏が影響力を保っているのが県都・福岡市。高島宗一郎市長の初当選以来、自他ともに認める「後ろ盾」として、高島氏に様々なアドバイスをしてきたといわれる。しかし、高島氏は1期目の途中から安倍晋三首相に急接近。国家戦力特区を利用した都市開発や起業支援策を次々と打ち出し、いまや「福岡市は安倍政権の実験場」と言われるまでになった。

 毎年正月には市長が安倍の地元である下関の神社に出向き、一緒に記念撮影に収まるのが恒例。昭恵夫人とも昵懇だという。2016年には、ハワイでオバマ大統領(当時)との会談に臨んだ安倍首相側から声がかかり、高島氏も私的にハワイに出向いている。高島氏が日本で一番首相に近い首長であることに、異論を挟む政界関係者はいない。現状、高島市長の後ろ盾はどう見ても安倍首相。福岡市長選まで2か月を切ったが、高島氏は出馬表明を行っておらず、10月の組閣で入閣する可能性を指摘する声もある。麻生氏の影は薄くなるばかりだ。

 麻生財務相の求心力低下について、ある自民党県連関係者は、こう話している。
「麻生さんが後ろ盾になったというだけで、票を減らすのは確実だ。森友疑惑では役人だけに責任を負わせ、辞任を否定。財務事務次官のセクハラ問題では、被害者を責めたて、世間の顰蹙を買った。暴言、失言は数知れず……。こんな人の口車に乗って、立候補する人などいないだろう。師弟関係にあると見られていた高島福岡市長も、現在は安倍さんべったりだ。麻生さんが出てこなくても、選挙には勝てる。もう(麻生は)78歳。総理までやった人が、これ以上晩節を汚すのはどうか」 

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治・社会ニュース】  2018年09月26日  08:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【厚労省】:雇用保険3月から追加支給 給与最大1.2%上方修正 統計不正再集計

2019-01-24 06:15:55 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【厚労省】:雇用保険3月から追加支給 給与最大1.2%上方修正 統計不正再集計

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:雇用保険3月から追加支給 給与最大1.2%上方修正 統計不正再集計 

 毎月勤労統計の不正調査問題を受け、厚生労働省は二十三日、これまで公表していた現金給与総額などのデータを再集計し、修正値を公表した。対象は資料が保存されていた二〇一二年以降で、基本給や残業代などを合わせた一人当たりの現金給与総額は最大で1・2%上方修正されることになった。 

写真

 不正調査で雇用保険などの過少支給が発生している問題を巡り、政府は二十三日、雇用保険を現在受け取っている約八十万人に対し、三月中に追加支給を始める方針を固めた。船員保険は四月に、労災保険は五月から、いずれも現在の受給者に対し支給を始める。

 衆参の厚生労働委員会は二十四日、この問題で閉会中審査を開く。不正が起きた経緯や責任の所在、組織的隠蔽(いんぺい)に関し、根本匠厚労相に説明を求める。与野党とも厳しく追及する構えだ。

 政府統計でこれだけ大規模なデータ修正が行われるのは異例。厚労省はこれまでに、勤労統計を基に算出する雇用保険や労災保険などの過少支給対象者が延べ約二千万人、追加支給の総額は計約五百六十億円に上ると公表しているが、今回の修正で影響人数や金額に変更はない。

 再集計結果によると、最も上方修正されたのは一六年六月分など。修正前の給与総額は四十三万一千二百六十二円だったが、1・2%上昇し四十三万六千五百十八円となった。これ以外では最小0・2%上昇し、下方修正はなかった。

 一方、一八年一~十一月は一人当たりの現金給与総額の伸び率(前年同月比)が全て下方修正された。同年五月は0・7ポイント下がり、最大の修正となった。

 不正調査が始まった〇四年から一一年は再集計に必要なデータが残っておらず、一二年以降は抽出調査のデータを基に、全数調査に近づけるための統計上の処理をした。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・毎月勤労統計の不正調査問題】  2019年01月24日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【外務省】:日韓「徴用工」平行線 韓国がレーダー協議継続要請

2019-01-24 06:15:50 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【外務省】:日韓「徴用工」平行線 韓国がレーダー協議継続要請

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【外務省】:日韓「徴用工」平行線 韓国がレーダー協議継続要請 

 【ダボス=共同】河野太郎外相は二十三日、スイス・ダボスで韓国の康京和(カンギョンファ)外相と会談した。韓国最高裁が新日鉄住金に賠償を命じた元徴用工訴訟を巡り、個人請求権の問題は日韓請求権協定によって解決済みだとして、問題解消へ政府間協議の受け入れと韓国政府の適切な早期対応を要請した。康氏は文在寅(ムンジェイン)大統領が十日の記者会見で司法判断の尊重を表明したことを踏まえ、同様の主張を繰り返し、平行線をたどった。

 韓国国防省は二十三日、日本の哨戒機などが今年に入って三回、韓国軍艦艇に低高度で接近する「威嚇飛行」をしたと発表。外相会談では、それぞれが相手への抗議の意を示し応酬となった。外交当局間で意思疎通を緊密にすることが重要だとの認識では一致した。

 韓国海軍艦艇による自衛隊機への火器管制レーダー照射問題も協議。康氏は、日本の対応に憂慮を表明。「両国の国防当局間の協議を通じて早期に解決する必要がある」と述べ、日本が打ち切り方針を決めた実務協議の継続を要請した。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・外交・韓国】  2019年01月24日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:ゲノム編集の子 神の手を勝手に使うな

2019-01-24 06:10:15 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、残留孤児、国家による抑圧統治】

【社説①】:ゲノム編集の子 神の手を勝手に使うな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ゲノム編集の子 神の手を勝手に使うな 

 中国で遺伝子を改変した双子の女児が生まれた。使われたのは品種改良や病気の治療にも役立つと期待の技術。だが、技術があれば人間を改造しても良いのか。研究者任せにせず、よく考えたい。

 昨年十一月、中国・南方科技大の研究者がクリスパー・キャス9(ナイン)と呼ばれる技術を使って受精卵の遺伝子を改変、エイズウイルスに感染しない双子の女児が生まれた、と発表した。当時は真偽がはっきりしなかったが、広東省の調査チームが事実と認定した。

 遺伝子は四種類の文字からなる文のようなもので、字が一つ変わるだけで全く違うことが起きることもある。遺伝子を含むDNAは約三十二億文字の文章で、ゲノムと呼ばれる。クリスパーは狙った部分を探して、字を削除したり、付け加えたりすることができる。

 これまでは突然変異に期待していた品種改良が、計画的にできるようになった。通常よりも大きなブタやマダイ、日持ちの良いトマトなどが開発された。

 人間への応用はどうか。遺伝子に原因のある病気は多く、治療法としての期待が大きい。受精卵などの遺伝子を改変して知能指数の高い子や、容姿の良い子をつくることも可能だとされる。今回は治療ではなく、これに近い。一方、受精卵や精子、卵子に適用すると、改変は子孫に引き継がれる。

 遺伝子の働きがすべて解明されたわけではない。現状では不利な遺伝子に見えても特殊な状況では有利な場合もある。改変のミスによる未知の危険性も心配される。

 クリスパーの発明者の一人ジェニファー・ダウドナ米カリフォルニア大教授は著書の中で「ブタの顔を持つヒトラーが利用法を知りたいと語りかけてきた」という表現で、悪用の危険性を訴えている。社会との対話が必要と考え、会議も開催している。それでも中国人研究者は「名誉と利益のために」実施したという。

 クリスパーは比較的安価で、高度な技術も必要ないという。遺伝子を改変された赤ちゃんが次にどこで生まれるのか分からない。

 教授は「核兵器の轍(てつ)は踏まない」と書くが、歴史を振り返ると、使える技術を使わせないというのは難しい。米国防総省はすでに巨額の予算を注ぎ込んでいる。

 将来世代に遺伝子改変が伝わらないように、新たな生物兵器が出現しないようにするルール作りが必要だろう。核兵器の失敗を繰り返さないためにも、である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年01月23日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:米ミサイル戦略 軍縮に舵切る賢慮こそ

2019-01-24 06:09:55 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①】:米ミサイル戦略 軍縮に舵切る賢慮こそ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:米ミサイル戦略 軍縮に舵切る賢慮こそ 

 米政権が発表した「ミサイル防衛見直し(MDR)」。終わりなき軍拡競争に突入した、との心配が頭をよぎる。いま必要なことは脅威への対抗ではなく、軍縮へと舵(かじ)を切る賢明な思考ではないか。

 ミサイル防衛を巡る米戦略文書の見直しは、オバマ前政権当時の二〇一〇年以来九年ぶりとなる。

 前回は「弾道ミサイル防衛見直し(BMDR)」として北朝鮮とイランの弾道ミサイルに焦点を当てていたが、今回の見直しは弾道ミサイルに限らず、中国、ロシアが開発を進める新型巡航ミサイルや音速の五倍以上で飛行する「極超音速兵器」など、ミサイルを巡る新しい脅威への対応を打ち出すことが主眼なのだろう。

 MDRは、地上レーダーで探知が難しい新型兵器を追跡するため宇宙空間に配備する高性能センサーや、迎撃システムの実現に向けて検討を進めると明記している。

 トランプ政権には、中ロ両国の新兵器開発により米国のミサイル防衛網が無力化されかねず、宇宙空間をも活用して米国の軍事的優位を保ち、抑止力を維持する必要があるとの判断があるのだろう。

 中ロ両国の新型ミサイル開発は憂慮すべきものではあるが、その要因が、米国のミサイル防衛網構築にあることも否定できまい。

 日本にとって見過ごせないのはMDRが、インド太平洋地域で米国が日本などと協力してミサイル防衛システムを構築していることに言及し、「同盟国や友好国との負担の分かち合いを拡大する」と述べていることだ。

 日本政府はすでに一基千二百二十四億円の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を二基配備する計画で、ミサイル防衛も見直しが進めば、追加的な装備の購入圧力が高まる可能性がある。

 またMDRは、日本も合計百四十七機の調達を計画している最新鋭ステルス戦闘機を、打ち上げ直後のミサイル撃墜のために活用する構想も盛り込んでいる。

 こうしたことは日本の自衛隊がすでに米国のミサイル防衛網に深く組み込まれていることを意味しているが、日本のミサイル防衛網がそもそも日本防衛のためなのか、日本の防衛力整備が世界の軍拡競争を促してはいないか、精緻な検証が必要だろう。

 自国の安全保障は必要でも、宇宙空間にまで広がる野放図な軍拡競争は、人類を滅亡の道へと導きかねない。世界のリーダーたちにいま必要なのは、軍拡の弊害と軍縮の理を説く叡智(えいち)と勇気である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年01月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:米朝首脳再会談 成果を急ぐ妥協は禁物

2019-01-24 06:09:50 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁・朝鮮総連・朝鮮学校】

【社説②】:米朝首脳再会談 成果を急ぐ妥協は禁物

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:米朝首脳再会談 成果を急ぐ妥協は禁物 

 成果を急ぐあまり、安易な妥協をしてはならない。二月下旬に開かれる予定の第二回米朝首脳会談。非核化の原則を守りながら、安定した平和体制に向け、具体的行動と成果を導き出してほしい。

 まだ、会談場所などの詳細は発表されていないものの、再会談の実現を、まずは評価したい。

 昨年六月の、初の米朝首脳会談では、北朝鮮が完全非核化への努力を約束した。

 さらに、持続的で安定した平和体制を築くため、米朝両国が新たな関係を確立することなどでも合意している。

 まずは関係改善を進め、問題解決に取り組むという新しいアプローチだった。これを受け北朝鮮は、ミサイル発射や核実験といった挑発行動を行っていない。

 韓国との南北関係では、非武装地帯(DMZ)での監視所の撤去、南北を結ぶ鉄道・道路の着工式などが実現した。米朝首脳会談の成果だといえよう。

 残念だったのは、合意文に非核化に向けた具体的な行動が書き込まれていなかったことだ。

 北朝鮮は段階的な非核化を主張し、経済制裁の緩和を求めている。米国側は非核化が実現するまで制裁は解除しないとして対立、交渉はストップしたままだ。

 そんな中、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、今年一月一日の新年の辞で、核兵器の製造、実験、使用、拡散を行わないと明言した。

 それだけ強い決意があるのなら、少なくとも核開発の主力拠点である寧辺(ニョンビョン)核施設への査察を受け入れ、廃棄に乗り出すべきだ。

 北朝鮮はすでに「米国の相応の措置」を前提に、寧辺施設を廃棄する意向を示している。

 トランプ大統領は今、内政の混乱に直面している。早々と会談実施を発表したのは、外交成果としてアピールしたいのだろう。

 ポンペオ米国務長官も最近、テレビで米朝首脳会談について「最終的には米国民の安全が目標」と語り、臆測を呼んだ。

 このため、米国は米本土を脅かす大陸間弾道ミサイル(ICBM)廃棄を優先し、制裁の一部緩和に応じるのではないかとの懸念も出ている。

 これでは事実上、北朝鮮の核保有を認めることになってしまう。日本などの周辺国をはじめ国際社会は、納得しないだろう。

 朝鮮半島の平和と安定を確実にするには、非核化での実質的な進展が欠かせないことを忘れてはならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年01月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【筆洗】:仙人がある酒館に行くと主人が酒を気前よく出してくれた。しかも、

2019-01-24 06:09:45 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・暮らしに根差した民芸】

【筆洗】:仙人がある酒館に行くと主人が酒を気前よく出してくれた。しかも、お代を取らない。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:仙人がある酒館に行くと主人が酒を気前よく出してくれた。しかも、お代を取らない。

 仙人はその後もたびたび訪れては酒をごちそうになっていた▼数年後、仙人が「酒代もだいぶたまったでしょう。今日は少し払いましょう」と言い、何を思ったか、店の壁に橘(たちばな)の皮で鶴の絵を描いた。この黄色い鶴、不思議なことに客が歌うと壁から抜け出て舞う。おかげで店は繁盛し、主人は楼を建て「黄鶴楼(こうかくろう)」と命名した。中国の伝説である▼落語ファンならば「ねずみ」を思い出すか。宿賃に困った名工、左甚五郎が借金のかたにネズミを彫る。このネズミが生きているかのように動き回る。その人気で宿屋に客が殺到する▼東京湾近くの防潮扉に描かれたネズミの絵。こっちのネズミは甚五郎作とは異なり、ぴくりとも動かぬが、世間の方は「大山鳴動」である。何でも世界的に有名な正体不明のアーティスト、バンクシーの作品である可能性があるそうだ▼本物なら東京都は甚五郎作を無料でいただいたことになるのか。あわてて扉を取り外し、大切に保管したらしい▼バンクシー側は真偽を明らかにしていないが、かつてオークションで落札された自分の作品をシュレッダーで切断するなど、カネの世に背を向ける人とお見受けする。何年間も放置されていた「落書き」を一転、お宝とあがめる世の中を冷ややかに見ている気がする。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年01月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【首相の一日】:1月21日(月)

2019-01-24 06:09:40 | 【政策・閣議決定・財政・予算・地方創生・優生訴訟・年収「103万円」の壁】

【首相の一日】:1月21日(月)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:1月21日(月) 

 【午前】9時38分、官邸。41分、河野太郎外相、谷内正太郎国家安全保障局長、外務省の秋葉剛男事務次官、森健良外務審議官、正木靖欧州局長。10時10分、野上浩太郎官房副長官加わる。40分、外務省の森、山崎和之両外務審議官、中前隆博中南米局長。11時12分、谷内国家安全保障局長、秋葉外務事務次官。

 【午後】0時48分、報道各社のインタビュー。1時10分、羽田空港。29分、ロシア、スイス歴訪のため、昭恵夫人と共に政府専用機でロシアに向け出発。

 (21日)=現地時間

 【午後】モスクワのブヌコボ国際空港。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年01月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:年金額の改定 安心の傘を広げたい

2019-01-24 06:09:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:年金額の改定 安心の傘を広げたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:年金額の改定 安心の傘を広げたい

 公的年金の二〇一九年度の支給額が決まった。物価・賃金が上がったためわずかな増額となる。だが、将来の給付額は目減りしてしまう時代だ。さらなる制度改正を通じて安心の傘を広げたい。

 年金額は物価や賃金の増減に合わせて変わる。一九年度は基準とする過去の物価、賃金とも上昇した。年金額もそれに合わせて増えるが、新年度はその上昇分より少し低く伸びを抑えられる。

 物価・賃金の伸びより上昇率を抑える仕組みが働くからだ。だから実質的には額の目減りになる。

 なぜこんな仕組みがあるのか。年金の財政を将来も維持するためだ。この仕組みを使って百年先まで財源を保つことを狙っている。 この仕組みは〇四年の制度改正で導入されたが、物価・賃金が下がるデフレ下では使わないルールだ。長くデフレが続いたため過去には一五年度に初めて動いただけで、新年度が二度目になる。

 支給開始年齢を六十五歳から引き上げるとの声もあるが、この仕組みが動く限りそうしなくても財源は確保できる想定だ。

 それに支給開始年齢の引き上げは今受給している高齢者には適用されない。若い世代が対象となる。一方、給付抑制の仕組みは今の高齢者から将来世代に財源を回す制度だ。大人世代は子や孫に持続できる制度を渡す責任があるが、そうならこの仕組みの理解が進むよう政府は粘り強く説明をし続ける責務がある。

 今年は五年に一度の年金財政の“健康診断”である財政検証が公表される。年金制度の今後百年の見通しを冷静に注意深く見たい。

 そうはいっても年金額が目減りしていくことは変わらない。課題は低年金になりやすい低所得労働者の支援だ。職場の厚生年金に加入できないパートなど非正規の人は自ら国民年金に入るしかないが、年金額は不十分だ。

 厚生年金に加入できれば保険料負担は減り年金額は増える。加入条件は一六年秋に緩和され既に約四十万人が加入したが、まだ雇用者の一部だ。非正規で働く高齢者が増えている現状では、もっと対象を拡大させるべきだ。

 既に受給している低年金高齢者の支援も必要である。消費税率が10%になるとそれを財源に最大月五千円を給付する制度が始まる。だが、これも額は十分とはいえない。高齢者も働ける環境整備や、安価な住宅の供給など複眼で高齢期の生活を支える策を考えたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年01月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:中国の月探査 宇宙に争い持ち込むな

2019-01-24 06:09:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、残留孤児、国家による抑圧統治】

【社説②】:中国の月探査 宇宙に争い持ち込むな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:中国の月探査 宇宙に争い持ち込むな 

 ベンチャー企業の人工衛星などを搭載した小型ロケットイプシロン4号機が十八日、打ち上げられた。国内では「宇宙軍」の声も聞くけれど、科学、ビジネス分野こそ、後れを取ってはならない。

 イプシロンが軌道に投入した中には、東京のベンチャー企業が開発した、流れ星をつくる世界初の人工衛星も含まれる。

 海外でもベンチャー企業が活躍し始めた。米国では有人宇宙飛行実現を競っている。中国では、人工衛星からロケットの打ち上げを撮影するといった技術力の高いベンチャーも現れている。

 科学分野でも中国が注目を集めている。無人月探査機、嫦娥(じょうが)4号が今月三日、世界で初めて月の裏側に着陸。写真が次々と公表されている。密閉した容器の中で綿花の種の発芽にも成功した。

 年内には月の石を持ちかえるため嫦娥5号を打ち上げるという。インドやイスラエルも自前で、月面探査機を送る計画だ。

 科学に関しては各国とも情報が公開されている。問題は、同じ技術が科学にも軍事にもビジネスにも使われることである。

 ビジネスの場合は、一つの企業で打ち上げから衛星の開発、運用まで行うのは無理なので、お互いが得意分野で協力していくことになるだろう。

 安全保障はどうか。米国は中国の台頭を警戒し国際宇宙ステーション(ISS)から中国を排除した。だが、結果的には、米国を脅かす存在に育った。

 トランプ米大統領は、月の軌道に宇宙ステーションを建設して火星への有人飛行を目指すゲートウエー構想を発表している。欧州連合(EU)やロシアは参加の意向だ。日本も検討している。中国は嫦娥4号の成功を受けて「月面の科学研究基地建設の可能性を模索する」としている。

 巨額の資金と大量の人材を必要とする科学技術はビッグサイエンスと呼ばれる。素粒子研究で有名な欧州合同原子核研究所(CERN)では、中国人研究者もいる。ノーベル賞を受賞したヒッグス粒子もそこで発見された。

 素粒子研究と同じようなことが宇宙開発でもできないだろうか。

 米中が世界と一緒にやれば月の資源や領土の問題はなくなる。お互いの技術力が分かれば、疑心暗鬼による軍拡を防ぐ効果も期待できる。日本はかつて宇宙の平和利用と言ってきた。米中の仲介役を果たしたい。それは日本の安全保障にもつながるはずだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年01月21日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする