【社説②】:孤独・孤立対策 一人一人に寄り添って
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:孤独・孤立対策 一人一人に寄り添って
担当相を置くなど、政府が社会的な「孤独・孤立」の対応に本腰を入れ始めた。コロナ禍の中で自殺者が増えているのも、孤独問題と無縁ではあるまい。命を守る観点から対策を加速させてほしい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月08日 07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:孤独・孤立対策 一人一人に寄り添って
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:孤独・孤立対策 一人一人に寄り添って
担当相を置くなど、政府が社会的な「孤独・孤立」の対応に本腰を入れ始めた。コロナ禍の中で自殺者が増えているのも、孤独問題と無縁ではあるまい。命を守る観点から対策を加速させてほしい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月08日 07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説①》:自殺遺族への賠償請求 重い負担減らす仕組みを
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:自殺遺族への賠償請求 重い負担減らす仕組みを
新型コロナウイルス感染の収束が見通せない中、自殺の増加が懸念されている。防止策を講じるとともに、これまで見過ごされてきた遺族の経済的な負担にも目を向け、支援する必要がある。
2006年に施行された自殺対策基本法は遺族らの名誉や生活に十分配慮するよう求めている。
だが賃貸住宅で命を絶った場合に遺族が家主から多額の損害賠償を要求されるケースが目立つ。
例えば部屋のリフォーム代に加え、新しい借り手が見つからないという理由で数年分の家賃を請求される。「おはらい料」を求められることもある。
請求額が数百万円に上る場合も多い。だが、どこに相談していいか分からず、そのまま応じてしまう遺族が少なくない。
肉親が自殺した人の精神的負担は計り知れない。そのうえ、経済面でも過重な負担を強いられれば、さらに追い詰められる。
こうした状況を変えようと、弁護士の有志が10年に「自死遺族支援弁護団」を作り、活動を続けている。法的な知識の乏しい遺族の相談に乗り、家主との交渉や裁判を通じて、請求額を減額させてきた。しかし遺族と家主とのトラブルは依然として絶えない。
自殺に対する長年の意識が影響している。自殺が社会から忌み嫌われるという理由から、不動産の価値が下がるという考えだ。
そもそも「自分の意思で命を粗末にした行為」という偏見が背景にある。だが世界保健機関(WHO)によると、自殺した人のほとんどは何らかの精神障害の状態だったとされている。
病死と区別し、家主が多額の賠償を求めるのは妥当なのか。裁判所も近年、遺族側に立った判断を示すようになってきたという。
行政も遺族の相談窓口を設けたり、対応のガイドラインを作ったりすることが求められる。家主の経済的負担を減らすため、一定の家賃収入を補償する保険制度の充実も必要だ。
自殺をめぐっては、生命保険の支払いが滞るなど、遺族に重い負担がかかるケースはほかにもある。改善すべき点は多い。
遺族の心のケアはもちろん、経済的な負担を減らす仕組みを作らなければならない。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年02月22日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【自殺者の急増】:相談窓口新たに 6日から、コロナ禍の長期化で
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自殺者の急増】:相談窓口新たに 6日から、コロナ禍の長期化で
コロナ禍の長期化で自殺者数の増加が加速しかねない状況にあるとして、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」は4日、7都道府県にある11支援団体と連携し、電話相談窓口「#いのちSOS」を6日から新設すると発表した。窓口は年中無休。相談員約70人が正午~午後10時に受け付ける態勢でスタートし、将来は200人以上での24時間対応を目指す。電話番号は(0120)061338。
元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」・コロナ禍の長期化で自殺者数の増加が加速】 2021年02月04日 19:16:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【クローズアップ】:自殺者、11年ぶり増加 思い詰める前に相談を コロナ禍、女性と若者顕著
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【クローズアップ】:自殺者、11年ぶり増加 思い詰める前に相談を コロナ禍、女性と若者顕著
2020年の全国の自殺者数(速報値)は11年ぶりに前年を上回った。女性と若者の増加が目立ち、厚生労働省は「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活苦や学業の悩みが背景にある」とみる。コロナ禍は長期化の様相を呈し、支援強化が急がれるなか、「つらい時は誰かに気持ちを打ち明けて」と専門家は呼びかける。【谷本仁美、信田真由美、田倉直彦】
東京都内の事務所で、母親からの相談に応じるNPOしんぐるまざあず・ふぉーらむの職員=同法人提供
自殺を考える人の声を聞く「愛知いのちの電話協会」によると、「生きていても仕方ない」という訴えは、これまで男女差は小さかった。しかし、昨年夏ごろから女性の相談が増え、11月は男性の約1・6倍だったという。
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元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【クローズアップ】 2021年01月24日 02:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【ミニ論点】:自殺者、11年ぶり増加 予期せぬ拡大、後手に ■いのち支える自殺対策推進センター代表理事・清水康之氏
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ミニ論点】:自殺者、11年ぶり増加 予期せぬ拡大、後手に ■いのち支える自殺対策推進センター代表理事・清水康之氏
10年から一貫して減少してきた自殺者数が増加に転じた背景には、新型コロナウイルスの感染拡大に社会全体が翻弄(ほんろう)され、官民で取り組む自殺対策についても予期せぬ事態に十分対応しきれなかった点はあると思う。
特徴として、女性の自殺が増加した。著名人の自殺報道の翌日から7月と9月に急増しており、その影響が大きい。ただ、19年と比べ6月から増加傾向に転じていることを考えると、こうした報道がなくても増加に転じていた可能性が高い。そもそも日本の女性の自殺率は世界的に見て高い。実数で見ると男性より少ないが、生きづらさを感じている女性が多いのではないか。新型コロナの感染拡大で不安定な雇用や育児、介護での孤立、配偶者からの暴力悪化が影響した可能性もある。また、若年層の自殺も増えたが、15~34歳の死亡原因の第1位が自殺…、
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元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【ミニ論点】 2021年01月24日 02:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【金口木舌】:なぜ自殺がいけないのか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:なぜ自殺がいけないのか
なぜ自殺をしてはいけないのか。問われると、意外と答えるのが難しい問いかもしれない。解剖学者の養老孟司さんは、著書「死の壁」(新潮新書)で、この問いに答えている
▼一つは自殺は殺人の一種であること。もう一つは自殺は周囲の人に大きな影響を与えてしまう「二人称の死」であるとする
▼息子を自殺で失った私の知人は、10年以上たった今でも、なぜ止められなかったのかと、自身を責め続けている。残された者が心に負う傷は深い
▼7月以降、自殺者の数が大幅に増えている。自殺者数は過去10年減少を続けてきたが、今年は前年同月比で7月以降5カ月連続の増加。特に女性は10月は82.8%増、8月は44.2%増と深刻である
▼コロナ禍では多くの非正規雇用の女性が仕事を失っている。「いのち支える自殺対策推進センター」は「無職の女性」「同居人がいる女性」が自殺死亡率を押し上げ、感染拡大による経済面や家庭での悩みが影響している可能性があるとみている
▼まずは生計の安定である。政府の緊急小口資金や住居確保給付金の支援が年内で途切れる人もいる。延長を検討すべきではないか。SOSの声を上げやすくするのも重要だ。自殺は、その多くが追い込まれた末の死である。生きることを阻害する要因は何か。取り返しがつかない命を救うため、私たちの社会ができることはある。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2020年12月17日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:増える自殺 命守る態勢強化が急務
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:増える自殺 命守る態勢強化が急務
厚生労働省と警察庁がまとめた全国の自殺者数は7月以降、3カ月連続で前年を上回った。
専門家は新型コロナウイルスの感染拡大による影響が大きいと指摘する。
経済的な打撃や、長引く自粛生活による疲れが重くのしかかってきているとみられている。
生きづらさを感じたり、人と会う機会が減る中で孤立を深めている人も少なくないという。
国は自殺者が増加に転じた原因を詳細に分析し、徹底した対策を講じていくべきだ。
いま支えが必要な人たちの命を守るため、セーフティーネット(安全網)を再点検し、きめ細かく張り巡らせることが急務である。問題解決まで寄り添うような相談体制の充実も求められる。
自殺者数はこの10年は減少傾向にあった。今年も1~6月は前年を下回っていたが、7月から増加に転じた。9月の自殺者数は1805人(速報値)で前年同月に比べ143人増えた。
専門家はコロナ禍の影響の差が顕著となり「周囲と比べ自分が恵まれていないという不遇感は大きくなっている」と分析する。
中でも女性の増加が際立つ。8月の統計では特に40歳未満の女性が7割以上増加した。
新型コロナ関連の解雇や雇い止めは全国で6万5千人を超えた。非正規雇用が比較的多い女性は影響を受けている可能性が高い。
家で過ごす時間が増え、子育てや家事でのストレスに加え、家族間の距離が近くなり、心理的な負担が増しているとの指摘がある。在宅勤務による家庭内暴力のリスクの高まりも危ぶまれている。
社会全体でこうした事態に気づくために、自治体や保健所などの関係機関が連携を強めていく必要があろう。
相談体制では、全国の「いのちの電話」の存在が改めて注目されている。「北海道いのちの電話」(札幌)にはコロナ関連の相談が増えている。
春先は感染への漠然とした不安が多かったが、最近は生活苦そのものの相談が目立つ。コロナ絡みの相談の2割が自殺をほのめかす深刻なものだという。
民間や行政の相談窓口はコロナの影響に加え、慢性的な人手不足が続いている。財政面などで国の手厚い支援は欠かせない。
生活苦に陥っている人たちを支援するための各種給付金など救済制度の充実、継続が必要なのは、言うまでもない。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年10月21日 05:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:[コロナ下の自殺対策]命つなぐ「網」広げよう
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[コロナ下の自殺対策]命つなぐ「網」広げよう
人気俳優の竹内結子さんが40歳という若さで他界した。自殺とみられる。
芸能界では7月以降、ドラマや映画で活躍する俳優の自殺が続き、驚きと悲しみが広がっている。
対人関係の悩み、雇用不安や経済的困窮…。自殺は、さまざまな要因が複雑に絡み合って起きるケースが多い。悩みの深さは他人には見えにくい。
相次ぐ著名人の自殺に加藤勝信官房長官は「悩みのある人が孤立しないように、(周囲が)温かく見守る社会を一緒に構築してほしい」と語り、相談窓口の活用を呼び掛けた。
国内の自殺者は2019年、統計上過去最少となったが、警察庁によると今年7月から増加に転じ、8月は速報値1849人で、前年同月に比べ246人増えた。特に女性の増加が顕著で、前年比4割増の650人となった。
自殺者の増加は、新型コロナウイルス感染拡大と無関係ではないだろう。
外出自粛を余儀なくされ、親族にさえ会えない期間が続いた。休業で収入が減った人も多い。収束が見通せない中、不安感や閉塞(へいそく)感が社会に広がった。
世界保健機関(WHO)は「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題」と明言する。
コロナ下、自殺対策はより重要な社会問題になっている。正面から向き合い、1人も取り残さない対策を模索したい。
■ ■
WHOの自殺予防の手引きによると、自殺の危険が高い人の心理状態には、「生きたい」と「死にたい」という相反する願望が激しく揺れ動く「両価性」、「衝動性」、思考や感情、行為の幅が狭くなる「頑固さ」の大きく三つの特徴がある。
うつ病やアルコール依存症も自殺のリスクを高める要因となる。
自殺リスクが高い人への接し方で鍵になるのが、相手の訴えに真摯(しんし)な態度で耳を傾ける「傾聴」だ。
悩みを誰かに話すことで、ストレスが和らいだ経験のある人は多いだろう。
ただ、今、対面で話をしたり、聞いたりすることが難しい中、人と人とのつながりをどうつくるかは課題だ。
対面に代わるユンタク(おしゃべり)の手段として、会員制交流サイト(SNS)やウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」なども有効だろう。
■ ■
誰かとつながることで、自殺を思いとどまる人がいるかもしれない。砦(とりで)となるのが相談窓口だ。
「いのちの電話」など民間の支援団体が運営する相談窓口はボランティアに支えられている。コロナ下、相談件数は各地で急増しているが、活動資金や人手不足の問題を抱える。
国や自治体は公的な相談体制を拡充するとともに、民間を積極的に支援するべきだ。
一人一人の命はかけがえのないものだ。1人のSOSも聞き漏らさず、安全網で受け止められる社会へ。できることに力を尽くしたい。
元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年09月30日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【金口木舌】:それぞれが門番に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:それぞれが門番に
「悲しいのは僕らも同じだから、ファンも今こそ強くいてほしい」。ロックバンドの「X JAPAN」メンバーだったYOSHIKIさんが1998年5月、記者会見で呼び掛けた。数日前にギタリストのhideさんが急逝し、ファンに動揺が広がっていた
▼人気俳優の竹内結子さんが急逝した。プロレスラーの木村花さんや俳優の三浦春馬さん、芦名星さんら芸能界で自殺とみられる事例が相次いでいる。著名人の死は社会的影響が大きく、86年に歌手の岡田有希子さんが亡くなった後にも問題化した
▼芸能人は一般的な印象より孤独な職業だという。識者は周囲の人々が自殺を防ぐ役割を担うことができると指摘している。厚生労働省は悩みを抱える人に「いのちの電話」などの活用を呼び掛ける
▼警察庁によると2019年の自殺者数は2万169人。過去最少だったが10代の自殺死亡率が上昇するなど課題は残る。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を不安視する声もある
▼かつて自殺率の高かったフィンランドは自殺の動機を分析し、関係機関に情報提供した。地域や企業にメンタルヘルス重視を促し、自殺率を改善させた
▼自殺を個人だけの問題にしてはならない。悩みを抱えた人を孤立させないよう行政が対策を講じ、周囲がそれぞれの立場でゲートキーパー(門番)の役割を果たす必要がある。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2020年10月02日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:SNSでの中傷 防ぐ手だては熟議経て
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:SNSでの中傷 防ぐ手だては熟議経て
フジテレビが「テラスハウス」の制作と放映中止を発表した。番組に出演し、会員制交流サイト(SNS)で中傷された女性が死亡したためだ。SNS上で起きる問題の克服には熟議が必要だ。
番組は、若い男女が共同生活する姿を追ったもので人間模様の展開が軸だ。フジ系列の地上波で放映され、インターネット上でも動画配信されていた。
番組に出演していた女子プロレスラーの木村花さん(22)は二十三日、遺書のようなメモを残して亡くなった。自殺の可能性が高い。木村さんは番組での他の出演者とのトラブル後、激しい中傷を受けるようになった。
同様の番組は米英などでも放映されている。SNS上の中傷で出演者が自殺に追い込まれたケースもあり、類似の問題が起きることは予測できたのではないか。番組中止はやむを得ない。制作側には猛省を求めたい。
この問題では高市早苗総務相が「匿名での中傷は許し難い。制度改正を含めスピード感をもってやっていきたい」と述べた。
SNS上の中傷削除や発信者の情報開示は「プロバイダ責任制限法」が規定している。しかし現状では裁判に訴えても時間や費用がかかり被害者救済がスムーズに行われていない。情報開示の簡略化を軸とした制度改正なら、一定の理解はせざるを得ない。
韓国でもSNSをめぐって芸能人の自殺が相次いでいる。二〇〇七年には十万人以上の利用者がいるサイトに実名制を義務付けた。だが韓国最高裁で違憲判決が出た上に効果も薄く廃止された。
民主主義社会では言論の自由が保障されており、SNS上での他者への批判投稿を完全に排除することは難しい。だからといって度を越した中傷や差別を野放しにすることは許されない。加害者の多くは相手のダメージへの配慮が欠けている。安易な意識での投稿が悲劇の温床となっている。
一方、SNSを通じて社会の不公正や権力の横暴が明るみに出るケースもある。発信者の情報開示が政権批判や社会を正す動きを封じることになってはならない。ルールを改正するなら、どういった場合に投稿者の情報開示を簡略化できるのか議論を尽くすべきだ。
SNSは災害などで人命を救うこともあれば命を奪うこともある「両刃(もろは)の剣」だ。権力の不要な介入を排除しながら使いこなす高度な知恵が求められている。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年05月29日 08:24:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:「テラハ」出演者の急死 守る仕組みが不十分では
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:「テラハ」出演者の急死 守る仕組みが不十分では
あまりにも痛ましい出来事だ。
共同生活を送る男女の日常や恋愛模様を見せるリアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが急死した。
番組内での他の出演者とのやりとりについて、ネット交流サイト(SNS)上で「早く消えて」などと誹謗(ひぼう)中傷する匿名の投稿が集中した。自殺をうかがわせる遺書が自宅で見つかったという。
番組はフジテレビで放送され、動画配信サービス「ネットフリックス」で世界各国に配信されていた。フジテレビは番組の制作と放送の打ち切りを決めた。
リアリティー番組は、予測できない展開が視聴者を引きつけ、世界でも人気のコンテンツだ。「テラスハウス」も台本がないと宣伝していた。
しかし、実名で生身の自分をさらけ出すことになる。番組内で注目が集まれば、SNSなどで個人攻撃の的になる危険性もあった。
木村さんはSNSで悩みを訴えていた。匿名での心ない言葉に、全人格が否定された思いがしたのではないか。
英米でもリアリティー番組出演者の自殺が問題になっている。
フジテレビは、スタッフが出演者と連絡を取り合っていたと説明する。だが、精神面での支えや、ネット上の嫌がらせから守る仕組みは十分だったのか。検証し、視聴者に説明する責任がある。
ネット上のいじめや誹謗中傷の問題は深刻化している。総務省に昨年度寄せられた相談は、5198件に上った。2010年度の約4倍だ。
悪意ある投稿を抑止するため、高市早苗総務相は情報発信者を特定しやすくする制度改正に取り組む意向を示した。ソーシャルメディアの事業者団体も、嫌がらせをする人は利用停止にするなど、対応の強化に乗り出す。
人権を侵害するような行き過ぎた投稿は規制が必要だ。一方で、「表現の自由」や「通信の秘密」は保障されなければならない。この機に実効性ある対策について、議論を深めるべきだ。
他人を傷つけるような行為は、実社会ではもちろん、ネット空間でも許されない。投稿する前に手を止めて考えてほしい。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年05月29日 02:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【余禄】:清少納言は自分のゴシップ好きを…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:清少納言は自分のゴシップ好きを…
清少納言(せいしょうなごん)は自分のゴシップ好きをあっけらかんと枕草子(まくらのそうし)に書いた。「人のうわさをすると怒る人がいるのは、わけが分からない。……わが身を差し置いて言う他人の悪口や批評ほど言いたいものは他にあろうか」▲ただ本人の耳に入って恨まれるのは面白くないというから、まあ勝手な話である。後の世には、わが身を差し置いて匿名で他人に悪口の矢を浴びせられる仕掛けができる。そう聞いたら、平安の才女はその恐ろしさに気づいたろうか▲先日急死した女子プロレスラーの木村花(きむら・はな)さんがネットで中傷されていた問題が波紋を広げている。会員制交流サイト(SNS)の事業者団体は緊急声明を出し、侮辱を意図した投稿者にはサービス利用停止措置を取るなどと表明した▲出演したテレビ番組での発言について「SNSいじめ」「SNSリンチ」ともいわれる激しいバッシングを受けていた木村さんだった。その痛ましさに、ネットでの誹謗(ひぼう)中傷の規制強化を求める声がにわかに高まったのも無理はない▲さっそく国会では与野党が中傷対策のルール化の検討を始め、総務相は発信者の情報開示をめぐる制度改正に言及した。ただ匿名発言も含め、事は表現の自由にかかわる。ここは諸外国の例もふまえた周到な論議を省いてはなるまい▲「呪(のろ)いはヒヨコのようにねぐらに戻る」とは英語のことわざだ。他人を呪う言葉は自分に返ってくるとの意味で、ヒヨコのたとえに意表を突かれる。SNSで呪いの言葉を発する前に思い出してほしい。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2020年05月28日 02:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【筆洗】:英国のある女性議員が当時のチャーチル首相を批判してこう言っ…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:英国のある女性議員が当時のチャーチル首相を批判してこう言っ…
英国のある女性議員が当時のチャーチル首相を批判してこう言ったそうだ。「私があなたの妻なら、きっとコーヒーに毒をいれるわ」。チャーチルは答えた。「万が一、あなたが私の妻ということなら私はそのコーヒーを飲むだろう」。女性議員の悔しそうな顔が浮かぶ▼米国作家ラッセル・ラインズの悪口を優雅に受け止める方法を池澤夏樹さんがエッセーで紹介していた。最も優雅なのは無視。無視できない場合は最初の悪口を上回る悪口。それもできない場合は笑い飛ばせ。チャーチルのは二番目か▼どこの誰かが分かった相手との言い合いなら、この対処法も有効だろうが、SNSでの匿名による誹謗(ひぼう)中傷の「洪水」には無力だろう。耐えきれなかったか。若い女子プロレスラーが亡くなった。SNSでの悪意ある言葉を苦にしていたという▼無視しろと言われても気になるだろう。下手に言い返せば、事態はさらに悪化する。笑い飛ばせる状況ではなく、チャーチルも青ざめる▼有名人に限らぬ。誰もがこうしたネット上のリンチの対象になり得る時代である。高市総務相が発信者の特定を容易にする制度改正を検討すると表明したが、まずは、ネットの誹謗中傷の恐ろしさを認識したい▼匿名で人を傷つけ、追い込む。臆病で、卑劣なやり方にチャーチルが使った別の悪口を連想する。「羊の皮をかぶった羊」である。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2020年05月27日 08:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【金口木舌】:立ち止まって
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:立ち止まって
「誰も助けてくれない/助けられない/私の現在は錯乱している/きっと未来も/ならば/終止符をうとう/解放という名の終止符を」。「南条あや」の名前でウェブ上で日記を公開していた女性が残した詩だ。女性は1999年に18歳で亡くなった
▼日記には小中学校でのいじめを背景に自傷行為などを繰り返す日常がつづられ、同世代の多くの人たちが共感した。女性の死はファンや自殺防止に取り組む人々に衝撃を与えた。日記は書籍化もされた
▼警察庁の統計で2019年の自殺者数は2万169人。統計開始以来最少だが、沖縄県は29人増の249人だった。増加者数は全国2位だ。10代の自殺は全国的に増加が続く
▼10代の自殺原因で最も多いのは人間関係などの学校問題だ。次いでうつ病などを含む健康問題だった
▼10年前、級友とのトラブルを機に自傷行為などを経験した高校生を取材した。精神科にも通院したが、症状が改善するきっかけはインターネットの掲示板で同じ悩みを抱える人と出会ったことだった。「話を聞いてくれる人がいると楽になる」と話していた
▼身近な人の変化に気付き、声を掛ける。苦しんでいる人を気遣える優しい社会であるべきだ。相談を毎日受け付ける「いのちの電話」もある。追い詰められている人も、一度立ち止まってほしい。話を聞いてくれる人は必ずいる。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2020年03月20日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【神戸市】:教育委員会係長が自殺か 東須磨小問題に対応
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【神戸市】:教育委員会係長が自殺か 東須磨小問題に対応
9日午前6時15分ごろ、兵庫県芦屋市陽光町の「東灘芦屋大橋」から男性が飛び降り、搬送先の病院で死亡が確認された。芦屋署などによると、神戸市教育委員会総務課の男性係長(39)。同署は自殺とみて調べている。
関係者によると、男性係長は教育委員が集まる会議の調整を担当。2019年10月に発覚した神戸市立東須磨小の教諭間暴行・暴言問題が会議で取り上げられることもあったという。
同署によると、同日午前4時10分ごろ、男性係長の家族から「家に置き手紙をして、いなくなっている」と110番があった。
その後、捜索中の同署員2人が橋の上を歩く男性係長を発見。署員がパトカーから名前を呼んでも反応がなかったため、下車しようとすると、男性係長は突然走りだし、橋の側壁(高さ1・1メートル)を乗り越えて飛び降りたという。同署は「現場での対応に問題はなかった」としている。
自宅に置かれていた手紙には自殺をほのめかす内容があったという。
元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社会 【事件・事故】 2020年02月09日 14:09:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。