goo blog サービス終了のお知らせ 

路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【日本銀行】:「政府の子会社」意識から脱却せよ 金利上限「引き上げ」なのに「緩和維持」の矛盾

2023-08-15 06:28:50 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【日本銀行】:「政府の子会社」意識から脱却せよ 金利上限「引き上げ」なのに「緩和維持」の矛盾

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日本銀行】:「政府の子会社」意識から脱却せよ 金利上限「引き上げ」なのに「緩和維持」の矛盾

 日銀が不可思議な説明を繰り出している。先月下旬の金融政策決定会合で、異次元緩和策の柱である「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の修正を決定。長期金利の上限を「0.5%程度」から1.0%に引き上げました。

<picture>植田日銀が不可思議な説明(C)共同通信社</picture>

   植田日銀が不可思議な説明(C)共同通信社

 金利の上限を大幅に引き上げたわけですが、植田総裁は異次元緩和策からの正常化を否定し「YCCの持続性を高める動きだ」と説明。金利の上限を上げたのに「金融緩和を維持する」というのは、おかしな理屈です。

 そんなつじつまの合わない説明をせざるを得ないくらい、日銀は追い込まれているということでしょう。現状、物価は高騰し、賃金も上がってきています。欧米は金利上昇が一服しつつありますが、また上昇局面が訪れる可能性もある。すると、欧米との金利差から、輸入物価高騰の原因である円安を招きかねない。端的に言って、今は緩和策を続ける理由がない状況です。日銀が金利の目標水準を上げながら「緩和を継続する」と苦しい説明をするのは、緩和策終了を印象付けてしまえば国債の利回り上昇を招き、政府が財政不安に陥りかねないからでしょう。

 そもそも、安倍政権時の黒田日銀のもとで始まった異次元緩和とは、物価目標を掲げていたものの、実態は政府発行の国債を日銀が引き受ける「財政ファイナンス」だった。植田総裁は本音では「今どき、こんな緩和策を続けている場合じゃない」と考えていると思います。それでも不可思議な説明をせざるを得ないのは、黒田日銀時代に理屈に合わない「財政ファイナンス」を始めてしまった結果です。

 理屈に合わないことをやるからこうなるわけで、「ざまあみろ」と言いたくなるけれど、打撃を受けるのは国民ですから、そうも言ってはいられない。この際、日銀にはこれまでの政策を猛省してもらい、次の危機には思い切って「もう理屈に合わないことはやめます」「だから政府も覚悟してください」と、中央銀行らしい気概を示してもらいたいものです。

 しかし、いまの日銀からはそうした気骨は感じられず、態度はムニュムニュとしたもの。今は亡き「アホノミクス」の大将である安倍元首相は、かつて公然と「日銀は政府の子会社」と言い放っていた。そういうスタンスの政府に対し、日銀は「その通りでございます」という態度を貫いているのです。

 その関係は、アホノミクスを丸パクリし「アホダノミクス」を続ける岸田政権になっても変わっていません。岸田首相も「財政ファイナンス」してもらわないと困ると考えているのは明らかです。大軍拡予算を組み、その一部を建設国債で賄う。バラマキにしか見えない異次元の少子化対策だって財源が曖昧な状態です。そんな中での国債の利払い負担増は、どうしても避けたいということなのでしょう。

 岸田氏には、安倍氏のように「日銀は子会社だ」と言い放つ勇気はないのかもしれませんが、両者のスタンスは全く同じ。日銀を“打ち出の小づち”扱いするなど、決して許されません。植田日銀にも、金融政策の総括責任者としての義務をキチンと果たしてもらいたい。

浜矩子
著者のコラム一覧
 ■浜矩子 同志社大学教授

 1952年、東京生まれ。一橋大経済学部卒業後、三菱総研に入社し英国駐在員事務所長、主席研究員を経て、2002年から現職。「2015年日本経済景気大失速の年になる!」(東洋経済新報社、共著)、「国民なき経済成長」(角川新書)など著書多数。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・日本銀行・金融政策】  2023年08月12日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経済ニュースの核心】:日銀が金融政策に続き株価操作を修正か…1300円続落でもETF買いに動かず

2023-08-15 06:28:40 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【経済ニュースの核心】:日銀が金融政策に続き株価操作を修正か…1300円続落でもETF買いに動かず

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【経済ニュースの核心】:日銀が金融政策に続き株価操作を修正か…1300円続落でもETF買いに動かず

 先週3日、日経平均株価は2日続落で約1300円も下落、4日は小反発にとどまった。機関投資家が米国債格下げによる投資リスクを警戒し、売り注文が広がったためだ。

<picture>植田和男日銀総裁の発言に注目(C)共同通信社</picture>

  植田和男日銀総裁の発言に注目(C)共同通信社

 加えて、日銀の金融政策の修正による長期金利の上昇を警戒する動きも出ていたようだ。従来なら、このような株価急落時には、日銀がインデックスETF(以下ETF)を買い付けて、株価を下支えしただろう。

 日銀は2010年12月以降、株式市場に“介入”。ETFで日経平均株価の採用銘柄などの浮動株を買い付けて、株式需給を改善していた。

 しかし、今月3日は日銀のETF買い付けがなかった。日銀は10年12月から開始した異次元緩和のETF購入策を変更したのだろうか。

 証券会社のストラテジストは「織り込みは進んだ。売りが一巡すれば買い戻しが入る」といつもの「万年強気」のポジショントーク。これには呆れる。

 ■株価の暴落も

 日銀は、金利政策に続いて、“株価操作”も修正を行うのだろうか。足元、日経平均株価が33年ぶりに高値更新と好景気のように報じられているが、日銀のETF買い付けのない33年前の日経平均株価とは株式需給が全く異なり、売買高の盛り上がりもない高値更新である。

 また、日経平均株価に採用されている225銘柄は33年前とは様変わりし、見方によっては、いまの日経平均株価は株価が上がりやすい値がさ株の塊と化している。日銀の金融政策が正常化に向けた「出口戦略」で、保有ETFの売却をにおわせただけで、株価は暴落するだろう。

 景気先行指標としての株価指数は歪められ、いまは景気実態に合わないような株高だろう。だから、生活が物価高で苦しい庶民には「なぜ33年ぶりの株高なのか」わからない。生活実態とは違和感があろう。

 8月に日銀の金融政策決定会合はないが、多額の有価証券を保有する民間金融機関は9月中間決算期を控えて、株価暴落など市場の混乱は好ましくない。日銀自身も財務諸表の健全性などの見地から、混乱は回避させなければならない構図でもある。

 ■日本株のアクティブ投信の設定は19年以来

 植田日銀総裁は8月24~26日の米国ジャクソンホール経済シンポジウムで、どのような発言をするのだろうか。

 アセットマネジメントOneは、年内に日本株のアクティブ投信を複数投入する。バブル崩壊後の33年ぶりの高値にある日本株は注目されており、パフォーマンスも期待できるとみているという。日本株のアクティブ投信の設定は19年以来である。

 金融庁が4月に出した「資産運用業高度化プログレスレポート」でも、日本ではパッシブ運用の割合が高く、アクティブ運用の拡大余地が大きいと指摘している。

 この背景には、日銀が保有ETFを売却しないという想定があるだろう。8月はバカンスで株式市場の参加者が減少する。

 暴落は起きるのか。「閑散に売りなし」との相場格言が試されよう。

中西文行
著者のコラム一覧
 ■中西文行 「ロータス投資研究所」代表

 法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。現在は「ロータス投資研究所

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・日本銀行・金融政策】  2023年08月11日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:骨太の方針 財政も「正常化」すべき時期だ

2023-06-17 05:00:55 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【社説①】:骨太の方針 財政も「正常化」すべき時期だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:骨太の方針 財政も「正常化」すべき時期だ

 コロナ禍への対応で、日本の財政状況は急激に悪化した。政府はその実態を直視し、財政の健全化に向けた具体策を国民に明示するべきだ。 

 政府は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定した。新型コロナウイルス対策で財政支出が膨張したことを踏まえ、「歳出構造を平時に戻していく」と明記した。

 コロナ禍を受け、2020年度以降、大型の補正予算が相次いで組まれた。国債などによる国の借金の残高は3年間で150兆円以上増え、22年度末に約1270兆円に達した。国内総生産(GDP)の2倍以上となる。

 もともと先進国で最悪の水準にあった日本の財政が、さらに深刻化したことは明らかだ。国民の将来不安が高まりかねない。

 経済活動の正常化に伴い、財政支出の規模をコロナ禍前の状態に戻していくのは当然である。

 今秋にも補正予算案の編成が想定されており、物価高を理由に、再び与党から多額の財政出動を求める圧力が強まる可能性がある。政府は、骨太の方針の記述を着実に実行しなければならない。

 財政を「平時に戻す」だけでは不十分だ。政府は「これまでの財政健全化目標に取り組む」と盛り込んだが、国と地方の基礎的財政収支(PB)を黒字化する目標年次である「25年度」は、昨年に続き具体的に記述しなかった。

 目標自体は堅持したとするものの、それをどう達成するのかは示していない。一方、24年度に経済と財政の改革の進み具合を点検するとしている。改革の具体策についても議論する必要がある。

 個別分野では、少子化対策を「最も有効な未来への投資」と目玉に位置づけたが、その財源は結論を先送りした。重点施策とするからには、財源確保も不可欠のはずだ。このままでは、安易な借金頼みとなる懸念が拭えない。

 岸田首相が掲げる「新しい資本主義」に関連する項目では、学び直しによる労働者の能力向上や、成長分野への労働力の移動を支援し、「構造的な賃上げ」に導いていくことを打ち出した。

 また、国内での投資を増やす施策として、半導体やバイオなどの分野で、大規模な工場や研究拠点の設置を促すとしている。

 狙いは理解できるが、今回の骨太の方針も、各省庁の施策や目標を寄せ集めた印象が強く、実現への方法論が見えにくい。首相が描く国の将来像が、国民に伝わるような内容にしてもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日銀】:トンズラ黒田の大罪、植田総裁の宿痾…また繰り返される無責任とカタストロフ

2023-05-07 06:28:50 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【日銀】:トンズラ黒田の大罪、植田総裁の宿痾…また繰り返される無責任とカタストロフ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日銀】:トンズラ黒田の大罪、植田総裁の宿痾…また繰り返される無責任とカタストロフ 

 10年ぶりにシャッポが代わった日銀が先月末、金融政策決定会合を開いた。アベノミクスの深掘りで日本経済をヘタらせた黒田東彦前総裁から、植田和男総裁に体制が移行してから初めての会合だ。下馬評通り、異次元緩和の全面継続を決定。長期金利の上昇を人為的に低く抑え込む「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の修正にも手を付けなかった。植田は「拙速な引き締めは2%の物価目標を実現できなくするリスクの方が大きい」などと説明したが、公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」はアベコベの内容だった。1月の展望リポートと比べ、生鮮食品を除くコアCPIは上方修正された。2023年度はプラス1.6%から1.8%へ、24年度は1.8%から2.0%へと引き上げ。今回、初めて見通しを示した25年度は1.6%とした。


 累積した「負の遺産」をどうさばくのか(日銀の植田和男新総裁)/(C)日刊ゲンダイ

 そうでなくても、足元の物価上昇は加速していて、インフレ圧力はどんどん強まっている。

 総務省が先月末に発表した4月の東京23区の消費者物価指数(中旬速報値)は、事前予想を大きく上回る伸びだった。コアCPIは前年同月比3.5%上昇。上げ幅は3月と比べ0.3ポイント大きくなり、3カ月ぶりに拡大した。上昇は20カ月連続だ。生鮮とエネルギーを除くコアコアCPIも3.8%上昇し、3月の3.4%から上げ幅が大きくなった。東京の動きは全国の物価の先行指標だ。

◆作為的数字が並ぶリポート

 経済評論家の斎藤満氏はこう言う。

 「『生鮮食品を除く食料』が8.9%も上昇し、物価全体を3.14%押し上げている。価格転嫁の影響です。これでも、政府による電気・都市ガスの負担軽減策でコアCPIは1%程度抑えられている。2月請求分(1月使用分)から10月請求分までの時限措置なので、このままいけば秋にはその1%が確実に乗っかってきますし、電力各社は値上げを申請しています。植田総裁が言うようなプラス幅が縮小する要素は見当たりません。サービスの比率が高い東京でこの数字ですから、19日に公表される全国の消費者物価指数はさらに上振れし、コアコアCPIは4%を超える可能性が高い。植田総裁も何かに縛られ、抗しがたい力に抑え込まれている印象です。『物価目標2%、達成期間2年、マネタリーベース2倍』を掲げた黒田前総裁の下、この10年間の展望リポートはハズレっぱなし。修正、修正、を繰り返していた。今回のリポートも非常に作為的な数字が並んでおり、次回の6月会合で修正を余儀なくされるのではないでしょうか」

 一方、植田は1998年以降の金融緩和策の「レビュー」を始めることも決定。16年の「検証」、21年の「点検」は実施を決めてから2~3カ月でまとめられたが、レビュー作業は1年から1年半程度を想定し、「残りの任期である程度は役に立てたい」とした。

 ◆デフレそのものがウソ、金融緩和の方便だった


ゴキゲンで退任(日銀の黒田東彦前総裁)/(C)日刊ゲンダイ

 日銀は99年にゼロ金利政策を導入以降、量的緩和や量的・質的緩和、マイナス金利など、「非伝統的」といわれる手法を繰り出したものの、景気浮揚を後押しすることはできなかった。成れの果てが「黒田の10年」だ。アベノミクスが掲げる「経済の好循環」の実現に血眼になり、ジャブジャブの金融緩和で国債を大量に買い入れ、金利を低く抑えて円安に誘導。輸出企業を儲けさせ、株高演出の片棒を担いだ。国債頼みの政策乱発、事実上の財政ファイナンスも常態化。結果、日銀の国債保有割合は発行残高の5割を超え、バランスシートはズタズタとなり、債務超過リスクで利上げはままならなくなった。

 「大規模な金融緩和は、政府のさまざまな施策とも相まって、経済・物価の押し上げ効果をしっかりと発揮しており、わが国は物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなった」

 「長きにわたるデフレの経験から、賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行、いわゆるノルムが根強く残っていたことが影響し、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現までは至らなかった点は残念」

 これは誰あろう、退任会見での黒田の発言だ。庶民を苦しめる物価高の元凶は最後まで自己正当化を貫き、何の責任も取らずにシレッと退場だからやりきれない。何度も書くが、日本経済をメチャクチャにしながら、反省どころか居直った前日銀総裁の罪を総括せずに再生があり得るのか。1年なんて悠長なことを言っている時間があるのか。

 トンズラした黒田の大罪を迅速かつキッチリ検証し、ドラスチックな修正をかけなければ、この国の経済は1ミリも浮上できない。

 「そもそも、この国の経済はモノの値段が下がるデフレではありませんでした。この30年間平均の物価上昇率は0.1%で、世界で稀有なほど物価が安定していた。安倍政権は自民党を応援する大企業を潤わせるため、金融緩和をする方便としてデフレだと言い張ったのです。この間、賃金が上がらなかったのは、企業が過去最高益でウハウハでも人件費に回さなかったから。企業本位の搾取経済がアベノミクスの本質なのです」(斎藤満氏=前出)

 ◆正常性バイアス1億総作動

 植田は「日銀が行っている金融政策は適切」などと言っているが、誰に遠慮しているのか。財務省か、日本を食い物にする国際金融資本か。あるいは、日銀から去っても口うるさいリフレ派の連中か、自民党最大派閥の安倍派か。宿痾を抱える植田日銀はまたも無責任を繰り返し、この国はいよいよカタストロフに向かっていくのだろうか。国民が尻拭いの挙げ句、破局に道連れなんて御免こうむる。

 共著「現代カタストロフ論」を上梓した淑徳大大学院客員教授の金子勝氏(財政学)はこう言った。

 「金融緩和は短期的には効果を発揮するけれども、長期的にはリスクの累積となる。これは通説です。無視して突っ走った日銀は国債を大量に抱え込んで身動きが取れなくなり、金融政策の柔軟性を失った。円安に甘えた企業は技術開発や新たなビジネスモデルの構築を怠り、この国は経済成長できず、財政赤字を拡大し、国債買い入れ拡大の悪循環にハマり込んでいる。にもかかわらず、国全体が麻薬漬けでマヒし、危機に気づくことができない。破綻まで突っ込んでいきかねない危ういところまで来ています」

 安倍政権が正常性バイアスを1億総作動させたがゆえの国家沈没。来るところまで来た。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・金融・財政】  2023年05月05日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【特別寄稿】:目覚めよ岸田首相、目覚めよ植田総裁…グローバル経済は複雑数奇な「ハイブリッド危機」  ■浜矩子 同志社大学教授

2023-05-07 06:28:40 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【特別寄稿】:目覚めよ岸田首相、目覚めよ植田総裁…グローバル経済は複雑数奇な「ハイブリッド危機」  ■浜矩子 同志社大学教授

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特別寄稿】:目覚めよ岸田首相、目覚めよ植田総裁…グローバル経済は複雑数奇な「ハイブリッド危機」  ■浜矩子 同志社大学教授

 グローバル経済のヤバさが次々と顕在化してきた。「OPECプラス」が突如として原油の減産に向かい、インフレの火に油を注ぐ形になり、各国の金融政策の運用がますます難しくなっています。グローバルサウスと呼ばれる国々の債務問題が相当に深刻になるだろうともいわれています。


危機的状況下においても人気取り主眼では…(岸田首相)/(C)共同通信社

 各国の中央銀行は、金融を引き締めなければいけないと考えているものの、引き締めれば引き締めるほど金融機関や巨額の債務を抱えた国々を危機に陥らせることになる。デフォルトラッシュになったらどうするのかということで、あちらを立てればこちらが立たずの状況に当面しています。

 そんな中で日銀の体制が変わり、植田総裁が就任した。しかし、YCC(イールドカーブ・コントロール)とマイナス金利政策、量的緩和政策は変えるつもりがないという。それで本当に乗り切れるのかどうか。グローバル経済の諸問題について、どういう分析をしているのか。その分析に基づいて考えた時に異次元緩和の継続で大丈夫なのか。植田氏はどうも「それはそれ、これはこれ」と「仕切り線」を設けているように見える。

 岸田首相にしても花粉症対策だとか言ってる場合なのか。グローバル経済の危機的状況下においても人気取り主眼では、次元が違いすぎる。状況をしっかり整理し、分析し、危機の真相を見極めるという政策態度が、ことのほか日本において見られないのは、とても恐ろしい。

 「目覚めよ、岸田首相。目覚めよ、植田総裁」と言いたい。

 舵取りは本当に難しいと思います。金利を上げていかなければ、インフレに歯止めがかからない。それで生活苦が増せば、大不況に陥るかもしれない。物価賃金スパイラル的な現象が米国では見えてきた。インフレだからと便乗して収益マージンを広げる企業行動も出ており、それに後れを取ってはならずと賃金引き上げ要求も高い。そうした歯止めのない舞い上がりも加わり、複合危機、ハイブリッド危機がグローバル経済に襲いかかろうとしているのです。

 そこに今回は地政学的な思惑も絡む。ロシアや中国は政略的な利益を確保するためには何でもやるという感じになっていて、彼らの態度が中東産油国の姿勢をも変えている。皆でなんとかグローバル経済の均衡を保持しようという発想がなくなり、それぞれが自国の利益のために独り善がりになるので、完全につじつまが合わなくなる。行き着く先は一体なんだとなって、この先、あちこちでミサイルが飛ぶようなこともあるんかい、という感じで、日本の安全保障政策の大転換などというものも出てきてしまった。

 まさに今のグローバルな風景は、そういう複雑怪奇で高度なハイブリッド危機だという認識を、あらためて整理しておく必要がある。ところが、日本においては非常に低次元の日和見性が前面に出ているので本当に危うい。かたや安保政策の大転換で、抜本的に防衛力を強化すると平気で言い、それと花粉症対策が並行して動いているというおかしな状況です。

 もっとレベルの高い政策判断、現状分析、それに基づいたきめ細かな政策運営を、声を大にして求めていかないといけない。


 ■浜矩子 同志社大学教授

 1952年、東京生まれ。一橋大経済学部卒業後、三菱総研に入社し英国駐在員事務所長、主席研究員を経て、2002年から現職。「2015年日本経済景気大失速の年になる!」(東洋経済新報社、共著)、「国民なき経済成長」(角川新書)など著書多数。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・金融・財政】  2023年05月05日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【自民党】:茂木幹事長「新たな基金創設」案に大ブーイング!《今以上に無駄な税金が必要になる》

2023-05-05 06:30:50 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【自民党】:茂木幹事長「新たな基金創設」案に大ブーイング!《今以上に無駄な税金が必要になる》

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:茂木幹事長「新たな基金創設」案に大ブーイング!《今以上に無駄な税金が必要になる》

 《よりによって「子どもの日」を前に...何たる愚策なのか》

 岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の財源について、社会保険料の活用を示唆し、世論の反感を買っていた自民党茂木敏充幹事長(67)。今度は新たな基金を作ることを検討していることを明かし、再び批判の声が渦巻いている。

<picture>茂木幹事長(C)日刊ゲンダイ</picture>

        茂木幹事長(C)日刊ゲンダイ

 茂木氏は訪問先のキューバで記者団の取材に応じ、少子化対策の財源について、あらためて「既存の保険料収入の活用で、できる限り確保したい」と明言。そして、「国民の負担増とならない新たな方策を考えたい」「会計上の区分をしっかりした方がいい」として、新たな基金創設に踏み込んだのだのだが、このニュースが報じられると、SNS上では困惑と怒りの投稿が相次いだ。
 
 《結局は社会保険料の増額で賄うことに変わりはない。社会保険料は海外では「税金」扱い。まるで増税しないかのような説明だが、間違いなく増税だろう》

 《何度も言っているが、若者の負担を増やせば少子化はさらに進む。なぜ、今の予算のムダの見直しや組み換えに踏み込まないのか》

 そして、最も目立った意見が「新たな基金創設」の考え方に対する反発だ。

 《新たな基金を作れば、そこで働く新たな人件費や設備投資が必要。今以上に余分な予算が必要になる。過去の自民党政権で何度も繰り返されてきた》

 《まさに天下の愚策というよりほかない。税金が基金維持のために使われ、厚労省などの天下り職員が跋扈するだけ。無駄遣いも当然、スルー。財源がないのに、なぜ、新たな財源を必要とする組織を作るのかがナゾ》

 政府は6月の「骨太の方針」までに、子ども関連予算の倍増に向けた方向性を示す考えだが、これまで与党から示された案は、どれも国民に負担を強いる策ばかり。本気で取り組んでいるとは思えない。外遊先で気前よく、相手国にン百億円単位の財政支援を約束している岸田文雄首相(65)は果たしてどう考えているのか。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・政局・自民党・岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の財源】  2023年05月05日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②】:植田日銀初会合 物価の動向を丁寧に見極めよ

2023-04-30 05:00:40 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【社説②】:植田日銀初会合 物価の動向を丁寧に見極めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:植田日銀初会合 物価の動向を丁寧に見極めよ

 日本銀行の植田和男新総裁の下で、初の金融政策決定会合が開かれた。まずは、大規模な金融緩和策の継続を決めたが、いずれ政策を修正するとの見方が多い。 

 物価高の動向を注視しながら、安定的な経済成長に向けて、柔軟な政策運営に努めてほしい。

 日銀は会合で、短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度に誘導する政策を維持した。

 日本経済はコロナ禍からの持ち直しの途上にあり、力強い回復には至っていない。米国では3月に中堅銀行が相次いで破綻し、欧米で金融不安がくすぶっている。

 日銀が、粘り強く金融緩和を続けることは理解できる。

 ただ、現状の金融緩和は、長期化したことで多くの副作用が生じていると指摘されている。

 日銀が大量の国債を買い入れているため、国債市場にひずみが生じている。日米の金利差が拡大して、円安も進んだ。

 銀行の収益を悪化させたほか、低金利が業績のふるわない企業の存続につながって、経済の活力を奪っているとの分析もある。

 植田総裁は記者会見で、「副作用が出ていることは認めざるを得ない」と述べた。新体制で論議を深め、副作用を和らげる政策の修正を検討してもらいたい。

 日銀は、経済や物価の先行きを示す「展望リポート」も発表した。物価上昇率の見通しでは、2023年度は1月に予想した1・6%から1・8%に、24年度は1・8%から2・0%に引き上げた。25年度は1・6%と見込んだ。

 22年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年度比で3・0%上昇し、41年ぶりの高い伸び率となった。日銀が金融政策の目標とする2%を上回っている。

 日銀はエネルギー価格の高騰など、輸入物価の上昇が主因で、賃上げを伴う物価上昇ではないとみて、金融緩和を続けている。

 一方、今春闘では、大手企業で労働組合の賃上げ要求に対して満額回答が相次いだ。連合が求めた5%を超える賃上げや、非正規雇用の処遇改善も目立った。

 今後の金融緩和の継続に際しては、賃上げの動きが物価にどのような影響を与えるのか、精査することが大切になる。

 また、日銀は会合で、1990年代後半以降の金融緩和策について、多様な角度から点検し直すことも決めた。1年から1年半程度かけて行うという。過去の政策の効果や副作用を分析し、新体制の政策運営に生かす必要がある。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年04月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②》:日銀の長期緩和検証 金融政策の限界明らかに

2023-04-30 02:05:40 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

《社説②》:日銀の長期緩和検証 金融政策の限界明らかに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:日銀の長期緩和検証 金融政策の限界明らかに

 四半世紀に及ぶ金融緩和策が、どのような効果と副作用をもたらしたのか。虚心坦懐(たんかい)に検証し、その限界を明らかにすべきだ。

 日銀は、1990年代後半以降の緩和策について、1年以上かけて検証することを決めた。

 就任後初めての金融政策決定会合を取り仕切った植田和男総裁は、「将来の政策運営に有益な知見を得るためレビューを行う。目先の政策変更と結びつけるものではない」と説明した。

 バブル経済の崩壊後、日銀はゼロ金利や量的緩和など「非伝統的」な政策を繰り出してきた。デフレに対処するためだ。特に2013年から10年間続いた黒田東彦・前総裁時代には、極端な緩和策が取られた。

 国債を大量購入する異次元緩和に乗り出した。マイナス金利を導入し、長期金利に誘導目標を設定するなど、「禁じ手」とも言われた政策まで取り入れた。

 大企業の収益が改善したものの、賃上げを伴う経済の好循環には至っていない。一方で、日銀が保有する国債は発行残高の半分を超え、購入した上場投資信託(ETF)は50兆円規模に膨らんでいる。これらが市場機能をゆがめ、日銀の財務状況を悪化させるリスクも高めている。

 検証では、こうした政策の問題点を徹底的に洗い出すべきだ。外部の経済学者らの意見も取り入れ、多角的で客観性の高いものにすることが重要になる。

 2%という物価安定目標が適切なのかも精査すべきだ。消費税増税の際や、エネルギー価格が急騰した昨年を除くと、長らく実現していない。目標達成にこだわり、硬直的な政策を続けた結果、過度の円安を招いた経緯もある。

 緩和による間接的な影響も見過ごせない。超低金利が企業にぬるま湯的な経営を許し、産業の新陳代謝を遅らせたとの指摘がある。国債の大量発行が可能になり、政府の財政規律を失わせている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年04月30日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【焦点】:日銀「緩和25年」検証へ 植田総裁就任後初の決定会合

2023-04-30 02:04:00 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【焦点】:日銀「緩和25年」検証へ 植田総裁就任後初の決定会合

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【焦点】:日銀「緩和25年」検証へ 植田総裁就任後初の決定会合

 日銀は28日まで2日間の日程で、植田和男総裁の就任後初めてとなる金融政策決定会合を開いた。

  • 記者会見を終え、会場を後にする日銀の植田和男総裁=東京都中央区の日銀本店で2023年4月28日午後4時32分、和田大典撮影
   記者会見を終え、会場を後にする日銀の植田和男総裁=東京都中央区の日銀本店で2023年4月28日午後4時32分、和田大典撮影

  「異次元」と称される大規模な金融緩和を維持する一方で、1990年代後半以降、約25年間にわたって続く金融緩和策のレビュー(検証)に着手することを決めた。

 戦後初の学者出身の総裁として、まずは過去の金融政策の点検、分析から入る「らしさ」をにじませた。、残り2165文字(全文2334文字)

 ※この記事は有料記事です。「ご登録日から1カ月間は99円」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【焦点】  2023年04月29日  02:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日銀】:植田新総裁は早々から打つ手なし…世界に逆行する金融緩和修正なら日本は3度目の“大やけど”

2023-04-12 08:55:10 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【日銀】:植田新総裁は早々から打つ手なし…世界に逆行する金融緩和修正なら日本は3度目の“大やけど”

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日銀】:植田新総裁は早々から打つ手なし…世界に逆行する金融緩和修正なら日本は3度目の“大やけど”

 日銀の植田新体制が10日スタート。植田和男新総裁の初会見は、金融緩和の修正に関する質問が相次いだ。植田氏は「現行のイールドカーブ・コントロール(YCC)の枠組みを継続することが適切だ」と強調したが、市場では早期修正の見方が広がっている。

<picture>就任早々「打つ手なし」/(日銀の植田和男新総裁)/(C)共同通信社</picture>

 就任早々「打つ手なし」/(日銀の植田和男新総裁)/(C)共同通信社

 QUICKと日経ヴェリタスの調査(3月6~8日実施)によると、市場関係者75人の約半数が4月か6月の金融政策決定会合で修正されるとみている。この観測に、金融ジャーナリストの森岡英樹氏は首をかしげる。

 「世界各国の懸念はインフレから景気後退へとシフトしつつあります。米国の利上げは5月でいったん停止し、景気次第では年内の利下げもささやかれている。3月上旬の米SVB(シリコンバレー銀行)の経営破綻以降、世界的に金利が低下しています。日本の長期金利も日銀が設定する上限利回り0.5%以下で推移している。国債市場も安定しており、早期にYCCを修正する必要性はなくなっています」

 YCC修正は事実上の利上げを意味する。再び金融緩和へと向かう世界の潮流に逆行し、植田氏は周回遅れの引き締めを決断するのか。想起されるのは、日銀の世界的な危機対応をめぐる2度の“前科”だ。

 2000年8月。ITバブルへの懸念が指摘され始めていたのに、当時の日銀・速水総裁は楽観視し、ゼロ金利解除に踏み切った。その後、バブルがはじけ、景気は急降下。翌01年3月に慌てて金融緩和に転じざるを得なかった。

 米国でサブプライムローン問題が広がっていた08年6月。白川総裁(当時)は「たぶん、危機、最悪期は去ったのだろう」として、政策金利を据え置いた。わずか3カ月後、リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに「リーマン・ショック」が発生。同年10月末には利下げに追い込まれた。

 世界情勢を読み切れず、後手対応により2度も“大やけど”。3度目の過ちはまっぴらごめんだ。

 「00年のゼロ金利解除に、日銀審議委員だった植田氏は反対しています。植田氏は足元の世界情勢を見て早期の緩和修正には踏み切らないでしょう。ただ、植田氏ができることは緩和の維持まで。速水氏や白川氏の時は金利を下げる余地があったのですが、今はゼロ金利。植田氏の場合は利下げしようにもできない。利上げを繰り返してきた各国は景気後退に対抗して、利下げに踏み切れます。ところが、植田氏には“打つ手”がないのです」(森岡英樹氏)

 日本だけが取り残されるのか。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・日銀の植田新体制が10日スタート】  2023年04月12日  13:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説①》:植田日銀が始動 国民本位で柔軟な政策を

2023-04-12 02:05:50 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

《社説①》:植田日銀が始動 国民本位で柔軟な政策を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:植田日銀が始動 国民本位で柔軟な政策を

 課題が山積する中での登板となった。金融緩和一辺倒の弊害を取り除きつつ、経済を下支えする手腕が期待される。

 経済学者の植田和男氏が日銀総裁に就任した。記者会見で、大規模な緩和策について「継続するのが適当」と述べ、2%の物価安定目標の達成に「全力を挙げたい」と意気込みを語った。

 日本経済は今、正念場を迎えている。

 原材料価格の高騰や世界経済の減速を背景に、製造業の景況感は5四半期連続で悪化している。食品など生活必需品が値上がりし、国民生活も苦しい。

 追い打ちをかけたのが、欧米の金融不安だ。

 中央銀行が急ピッチで利上げを進める中、米国では3月、中堅銀行が相次いで破綻した。欧州の大手金融機関も救済合併に追い込まれた。金融市場の混乱が企業活動を萎縮させ、世界経済のさらなる減速を招く恐れがある。

 こうした下押し要因を考えれば、日銀が当面、緩和的な政策を続けることは理解できる。

 一方、今春闘の賃上げ率は、約30年ぶりの高水準になる見通しだ。これを来年以降の持続的な賃金上昇につなげ、経済の好循環を実現できるかが焦点となる。

 植田氏が取り組むべき最大の課題は、金融政策の正常化だ。まずは、前総裁の黒田東彦氏が10年間も続けた緩和策の弊害などを検証する必要がある。

 長期金利を人為的に抑え込む政策により、日銀は大量の国債購入を強いられている。保有額は発行残高の半分を超え、巨大すぎる日銀の存在が債券市場の機能を著しく低下させている。

 金利上昇を一定程度容認するなど、政策を柔軟化することが不可欠だ。景気に与える影響に目配りしながら、慎重に進めるべきだ。 

 政治との距離感も問われる。

 黒田緩和はアベノミクスの中核を担い、政府・日銀は蜜月関係を築いた。超低金利政策が財政の膨張を招いている。政府も日銀頼みの経済運営を見直すべきだ。

 経済や物価を一気に安定化させるような「魔法のつえ」はない。植田氏には、国民にとって真に必要な政策を見極め、丁寧に説明することこそが求められる。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年04月12日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【植田日銀新総裁】:緩和路線「ただちに見直す必要ない」 就任記者会見

2023-04-10 20:41:30 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【植田日銀新総裁】:緩和路線「ただちに見直す必要ない」 就任記者会見

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【植田日銀新総裁】:緩和路線「ただちに見直す必要ない」 就任記者会見

 日銀の植田和男新総裁は10日、就任記者会見を開いた。前任の黒田東彦氏が続けてきた大規模金融緩和について、植田氏は「継続する」とした上で、「強力なのは間違いない。インフレ(物価上昇)率を見極めて適切なタイミングで正常化に行かないといけない」と述べ、現行の緩和策を当面続けながら、元の状態に戻す時期などを模索する意向を示した。

植田和男氏

 植田氏は9日付で32代目の日銀総裁に就いた。任期は5年で学者出身の総裁は戦後初めて。10日夕には岸田文雄首相と官邸で会談した。終了後、植田氏は記者団に「日銀と政府で意思疎通を密にして、経済情勢に応じた機動的な政策を行っていく」と語った。日銀と政府が2013年の共同声明で掲げた物価上昇率を2%で安定させる目標については「ただちに見直す必要はないという点で一致した」と述べた。会談には松野博一官房長官や鈴木俊一財務相、後藤茂之経済再生担当相も同席した。

 10日夜には副総裁2人を伴って就任会見に臨み、緩和政策の点検作業について「もう少し力の入った長い目で見た点検を行うべきかどうか議論していきたい」と述べた。

 植田氏はマクロ経済学や金融論が専門の経済学者。東京大経済学部教授などを経て1998年から05年にかけて、日銀で金融政策を決める審議委員も務めた。その後も日銀金融研究所の特別顧問を務めるなど、金融政策に精通している。

 前任の黒田氏は物価が前年比2%の安定した上昇を続ける「物価安定目標」の実現を目指し、国債を大量に買い入れて景気を下支えする大規模金融緩和を10年続けたが達成できなかった。長年続けたことで「市場機能をゆがめた」「安易な国債発行を招き財政を悪化させた」などと批判も根強い。米欧では急速なインフレを抑えるため、昨年以降、利上げを継続。緩和策を続ける日本との金利差が拡大し、円安を招いて原材料など輸入品の価格を高騰させる要因にもなっている。

 植田・日銀は物価安定目標の実現を目指し、超低金利路線を続ける構えだが、金融機関や市場からは「副作用」を抑えるための修正を求める声も強まっており、会見では副作用にも配慮する姿勢を見せた。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 経済 【金融政策・財政】  2023年04月10日  20:41:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日銀】:緩和路線10年、見えぬ出口 植田新総裁が直面する「副作用」

2023-04-10 20:20:30 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【日銀】:緩和路線10年、見えぬ出口 植田新総裁が直面する「副作用」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日銀】:緩和路線10年、見えぬ出口 植田新総裁が直面する「副作用」

 「植田・日銀」が本格始動した。日銀の植田和男新総裁は10日の就任記者会見で、前任の黒田東彦氏が主導した大規模な金融緩和路線を当面維持する考えを示した。ただ、大規模緩和の長期化による「副作用」は拡大しており、顔ぶれが一新した正副総裁には「待ったなし」の対応が求められる。植田・日銀が直面することになるハードルとは。

 

植田和男・日銀総裁

植田和男・日銀総裁

 ◆黒田・日銀が残した「宿題」も

 「これまでの経験を生かし、物価安定の総仕上げに尽力したい」

 岸田文雄首相から辞令を受け取った後、日銀本店に入った植田氏は総裁として初の会見に臨み、こう意気込んで見せた。

 日銀と政府は2013年1月に発表した共同声明で、消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年比で2%上昇する環境を実現する「物価安定目標」の達成を掲げた。黒田氏は達成に向けた具体的な手段として大規模緩和を打ち出したが、10年かけても実現することはできなかった。

 植田氏は2月の国会での所信聴取で、2%目標を賃上げを伴う形で持続的、安定的に達成するには「なお時間を要する」と指摘。「金融緩和を継続して経済をしっかりと支えることで企業が賃上げできる環境を整える」と述べ、大規模緩和を継続する必要があるとの見方を示した。10日に岸田氏と会談した際も共同声明はすぐには見直さないことで一致したという。

 植田氏の任期は5年ある。この間に…、残り1796文字(全文2363文字)

 ※この記事は有料記事です。「全ての有料記事が読み放題 春得 最初の2カ月間は無料」 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません。 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 経済 【金融政策・財政】  2023年04月10日  20:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①】:週のはじめに考える 「ミスター2%」の後で

2023-04-09 07:37:50 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【社説①】:週のはじめに考える 「ミスター2%」の後で

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 「ミスター2%」の後で 

 「ミスター2%」。八日に日銀総裁を退任した黒田東彦氏は、後年こう呼ばれるでしょう。どんなに批判されても消費者物価の前年比上昇率2%達成を目指して金融緩和を続けたことが、その理由です。
 
 
 実は、黒田氏の悲願は統計上は達成されています。全国の消費者物価指数は一時4%を超え、今年二月も3・1%と高水準でした。達成の理由は黒田氏が望む内容とはかけ離れていましたが…。
 
 日銀の幹部に「黒田氏が望む2%とは」と質問したことがあります。答えは「賃金が上がって消費が伸び投資も増える。つまりデフレから抜け出して資金の好循環を起こすのが狙いで、その結果が2%という数字で表れると理解してほしい」というものでした。
 
 黒田氏の「2%」は、資金がスムーズに流れ、暮らしが豊かになることが理想だったのです。
写真・図版
 退任の記者会見をする日銀の黒田東彦総裁=2023年4月7日午後、東京都中央区、代表撮影

◆賃金上昇伴わぬ物価高

 ところが、昨年から国内物価は賃金を伴わないまま上昇し始めます。ロシアのウクライナ侵攻を背景とする資源高が欧米に急激なインフレ(物価上昇)をもたらし、その大波が押し寄せたのです。
 
 米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレを抑えようと金利を上げましたが、円とドルとの金利差拡大で大幅な円安が起き、輸入コストの増大という形で日本の物価高に拍車をかけました。
 
 急激な通貨安には金利を上げて対応するのが常道です。しかし、今の日本では景気を一気に後退させる危険が高く大幅な利上げに踏み切ることは難しい。
 
 日銀が昨年十二月に実施したのは、国債の利回りを示す長期金利の変動許容幅を拡大するという小規模な利上げでした。
 
 ただ、物価上昇は止められませんでした。日銀はデフレとインフレの同時進行の中で立ち往生したのです。この時点で「黒田日銀」の限界がきたと考えられます。
 
 黒田氏にもう一つ異名を付けるなら「ミスター国債」です。黒田時代の金融緩和は国債引き受けで実施していました。結果、日銀の国債保有残高(今年一月時点)は国の当初予算の五年分に当たる約五百六十五兆円に膨れ上がり、国債発行残高の半分を占めます。
 
 日銀による国債買い支えは国の野放図な財政出動の温床となりました。九日に就任した植田和男新総裁は積み上がった国債と向き合う必要があります。
 
 賃金上昇や企業業績向上により税収が増え中身の濃い予算が組める。これが健全な財政の姿です。借金である国債を当てにして組む予算は基礎の弱い建物と同じく不安定です。国債自体が投機の標的となり国の信用が低下する恐れがあるからです。国債依存型予算からの脱却は大きな課題です。
 
 植田氏が実際に向き合うのは政府や与党です。国債増発を求める政治家や官僚を説得し、景気を冷やさず金融緩和からの離脱時期を慎重に探る。新総裁には政治と付き合う胆力と金融政策を巧妙に操る実行力の双方が必要です。
 
 日銀は五日、日本経済の需給ギャップが昨年十〜十二月期で十一期連続のマイナスとなったと公表しました。供給が需要を上回るデフレが依然続いている実態を裏打ちしています。食料品や電気・ガス代の急騰というインフレの下には、巨大な地底湖のようにデフレが横たわっているのです。
 
 黒田氏の十年はデフレと格闘した日々でした。その結果、雇用安定は統計上実現しました。誤算は新たな成長戦略が登場せず、国が金融政策ばかりに頼る構造が定着したことです。金融政策だけでは雇用を守るのが精いっぱいだったともいえます。
 
 「ミスター好循環」。植田氏が総裁退任時にこう呼ばれることを期待します。そのためには国全体が「稼ぐ力」を付けなければなりません。金融政策は成長の養分となる経済環境を整えることが目的で、「稼ぐ力」を紡ぎ出す「魔法の杖(つえ)」にはなり得ません。
植田和男氏=2月24日、衆院第1委員室 (矢島康弘撮影)

 ◆活力を蘇らせるために

 植田氏が最優先すべきは、暮らしの現実を自分の肌で理解し、物価抑制に最大限の努力を払うことです。その上で金融政策をゆっくりと正常軌道に戻し、投機がもたらしかねない不安を取り除かねばなりません。ただ、日銀の出番はそこまでです。
 
 バブル経済崩壊時に日銀総裁だった三重野康氏(故人)から「日本人が秘めるバイタリティー(活力)は捨てたものではない」との言葉を聞いたことがあります。その活力を蘇(よみがえ)らせる舞台を作ることこそが、日銀最大の使命です。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年04月09日  07:37:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ニュース裏表】:「安倍回顧録」で詳述〝ザイム真理教〟の恐ろしさ 「私を引きずり下ろそうと…」官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感

2023-03-18 23:56:50 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【ニュース裏表】:「安倍回顧録」で詳述〝ザイム真理教〟の恐ろしさ 「私を引きずり下ろそうと…」官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感

 【ニュース裏表】:「安倍回顧録」で詳述〝ザイム真理教〟の恐ろしさ 「私を引きずり下ろそうと…」官僚の本分を超え政治の領域を侵犯、安倍氏が強い危機感

 『安倍晋三回顧録』が話題だ。

 トランプ前米大統領、中国習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らへの評価が面白い。個人的に注目しているのが、財務省への評価だ。消費増税の先送りを決めたときに、財務省が安倍降ろしを画策したと安倍元首相は同書で発言している。

<button class="sc-kxWrTZ dfffwL" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-kxWrTZ dfffwL" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">安倍晋三回顧録(中央公論新社)</button>
  安倍晋三回顧録(中央公論新社)(株式会社 産経デジタル)

 ■【ランキング】最も負担に感じている税金は?

 「安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策した。彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」。穏やかではない。この点を国会の質疑で問われた岸田文雄首相は、財務省の安倍降ろしを「感じたことがない」と否定した。〝財務省ムラ〟の住人である岸田首相らしい答弁である。

 この財務省の政治介入とでもいうべき動きは、安倍政権下でもマスコミで話題になっていた。2014年12月の衆院選の時だ。私も当時、ネット媒体で「安倍首相、消費増税めぐる財務省の政界工作を示唆 省益優先で不況下に緊縮財政の罪」と題する論説まで書いている。回顧録でも明言されているが、この衆院選は消費税10%への引き上げを先送りするために、国民の真意を問い、それによって財務省の政治介入を防ぐ狙いがあった。

 当時、安倍氏自らが「財務省が『善意』ではあるが、すごい勢いで(消費再増税に向けて)対処しているから党内全体がその雰囲気だった」として、この増税ありきの雰囲気を転換するためだったと報道番組で明言している。

 財務省の攻勢が、官僚の本分を超えて、政治の領域を侵犯していることに、安倍氏が強い危機感を抱いていたことがわかる。回顧録では、その点をより明白に語っている。財務省の「善意」の増税攻勢を受けていたはずの、岸田首相が気付かないはずはない。もし気が付かないのであれば、それは財務省が増税を説得するまでもなく、陣営(財務省ムラ)の一員だったからだろう。

 安倍氏は選挙に勝利して消費税を延期し、さらにもう一度再延期を成し遂げた。だが、財務省には議員たちを説得する以上の工作も可能だ。予算編成の権力を利用して、安倍政権では最初の13年度以外はすべて緊縮財政を押し付けた。このため金融緩和だけに頼る形になり、それでも雇用や経済成長は大きく改善したが、デフレ脱却はできなかった。

 消費税10%を最後は防ぐことができなかったが、むしろ安倍政権だからこそ2回も延長できたのだろう。回顧録は、「ザイム真理教」の恐ろしさを伝えてもいる。 (上武大学教授)

 元稿:夕刊フジ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・ニュース裏表 田中秀臣】  2023年02月15日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする