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赤後家の殺人

2019年04月01日 | JDカー
「怪奇大作戦の挑戦」を買うついでに、
「赤後家の殺人」の副読本として集英社新書「死刑執行人サンソン」も買う。
著者は歴史家ではなくて文学研究家なので、小説風にながれるのは仕方ないところか。
「赤後家」創元文庫版の176ページに原注として(つまりカーがネタ本にしたと思われる)
「M・L・ルノートル氏の名著『ギロチンと断頭台』を参照」とありますが、
残念ながら「死刑執行人サンソン」にはその名前も著書も出てきません。
「赤後家」ではサンソン家の古い名前が「ロンギュヴァル」とされていますが、
「死刑執行人サンソン」ではサンソン家の初代の名が「ロンヴァル」となっていて、
たぶん「g」を発音しないのが正しいのでしょう。
カーが描くルイ16世処刑の光景と、
「死刑執行人サンソン」のその場面とではずいぶん違うことも、よくある話。

「赤後家の殺人」は、一族中の誰が「気のちがう人間か」という疑惑がテーマになっています。
「人を殺す部屋」は目くらましなので途中で立ち消えに。
殺人のあった一族の先祖が一種の精神的不安定な人であることを強調するフランス革命を舞台にした因縁話も、
「三つの棺」の「密室講義」と同じようにミスディレクションの一つと思われます。
なんとなく「Yの悲劇」の影が見えるような気もします。
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