Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●《明らかに、小池都知事の「追悼文拒否」は歴史修正主義の虐殺否定論とヘイトに勢いを与えた》…《空疎な小皇帝》石原慎太郎元「ト」知事越え

2020年06月27日 00時00分30秒 | Weblog

[※サンデーモーニング(2017年10月1日)(三「ト」物語)↑]



小杉みすず氏による、リテラの記事【小池百合子都知事の最大の問題は極右ヘイトとの関係だ! 関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に圧力かけ「虐殺なかった」ヘイト集会にお墨付き】(https://lite-ra.com/2020/06/post-5472.html)。
日刊ゲンダイの記事【小池都知事が再出馬会見で見せた“私がルール”の身勝手態度】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/274560)。
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/自衛が必要なのは小池都知事ではないか】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202006150000074.html)。
水鳥純子氏による、マガジン9の書評【マガ9レビュー/『女帝 小池百合子』(石井妙子著/文藝春秋)】(https://maga9.jp/200617-5/)。

 《東京都知事選の告示まで1週間を切るなか、「学歴詐称疑惑」が再燃している小池百合子都知事。6月11日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、関連団体や都が巨額を支出したPR会社と小池氏の秘書をめぐる不動産取引など新たな疑惑が報じられているが、小池知事にはもうひとつ知事の資格を疑うべき大きな問題がある。それは、本サイトが以前から警鐘を鳴らしてきた“極右ヘイトとの親和性”だ》。
 《ようやくの表明で見せたのは「私がルールブック」と言わんばかりの身勝手な態度。振り返れば、コロナ対応も話題性や人気取り優先でメチャクチャだ。…エジプトの名門「カイロ大学卒業」という経歴への疑念をノンフィクション作家の石井妙子氏が新著「女帝 小池百合子」で再燃させた。切り込んだのは、小池知事に指名されたフリーランスライターの畠山理仁氏。やりとりはこうだ…》。
 《★女帝も、カイロ大学のように新型コロナウイルスをコントロールすることはできないようだ。14日、東京都が確認したコロナウイルス感染者は47人。…事実上の第2波到来といえる》。
 《本書によれば彼女のアラビア語の能力は、英語で言えば「This is a pen」レベルだというのだから(そう言えば、アラビア話で話しているのを聞いたことがない)、それが本当なら、卒業証書があろうがなかろうが、学位にふさわしい学力を有しているとはとても思えない…いつも「小池百合子ファースト」なのだ》。

   『●金平茂紀さん《…政府の方針、頭がクラクラしてきます。ウィルスの
      せいではありません。魚と組織はアタマから腐ると言われています》

 《これに従わなければ中止や不許可にされても「異存ありません」とする内容の「誓約書」を交わすよう要請してきた》そうです。知りませんでした。都庁の役人は、一体どうなっているのでしょうか? 「ト」知事という〝御頭〟が腐ると、都庁の内部までグジュグジュに腐敗していくの? 《つまり都の「誓約書」は逆に、ヘイト団体の集会へ利益をもたらそうとしているのだ》…もはやデタラメ…。《小池都政とヘイト団体「そよ風」が一体となった「朝鮮人犠牲者追悼式典」潰しの策謀》…アノ最悪な《空疎な小皇帝石原慎太郎「ト」知事越え。
 《歴史の事実は消すことができない。当たり前のことに、小池百合子東京都知事は疑問符をつけるのだろうか》?

 そんな中、二選を目指し、都知事選に立候補されました。この4年間、何の成果もなく。アベ様同様、<それにつけてもアベ様の無能さよ>と同レベル。民主党を破壊するという〝成果〟以外に何をやった? 「おっさん政治をつぶして新おっさん政治を始めたにすぎない」。この4年間の都政を見て、また再選させるつもりですか、都民の皆さん? 宇都宮健児さん、頑張ってほしい!

   『●「おっさん政治をつぶして新おっさん政治を始めたにすぎない」
                      自民党亜種トファが本領発揮
   『●小池百合子「ト」知事警報でレインボーブリッジと都庁を赤く染めても、
         ねぇ? 自身の足元ではエジプトアラートが鳴り響いてますが?

 いまだ、エジプトアラートは止まず。《学位にふさわしい学力を有しているとはとても思えない》とのこと。

 リテラの記事【小池都知事のコロナ対応は都知事選のことしか考えてない! 感染者増加の原因はすべて「夜の街」のせいにして東京アラートなし】(https://lite-ra.com/2020/06/post-5476.html)によると、《小池都知事と同じように安倍首相や西村康稔・新型コロナ担当相も東京都の感染者増加を「夜の街」の問題であり「集中的に検査をおこなった」と成果を誇るような発言をしているが、小池都知事は「いままでとは性質が違う」などと強調し、ニュースでも「夜の街」が連呼される状態となっている》。
 検査不足を自ら認めた様なものだね。今まで「集中的」にはやってなかったんだ? …非「夜の街」の方はどれほどいるの? そもそも、検査件数は? これでは、収束するわけもない。

   『●《コロナの死者数が欧米に比べて相対的に少ないのは東アジアに
     共通した現象…アジアの中では日本の死亡者数はむしろ群を抜いて多い》

=====================================================
https://lite-ra.com/2020/06/post-5472.html

小池百合子都知事の最大の問題は極右ヘイトとの関係だ! 関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に圧力かけ「虐殺なかった」ヘイト集会にお墨付き
2020.06.13 12:40

     (小池百合子オフィシャルサイト)

 東京都知事選の告示まで1週間を切るなか、「学歴詐称疑惑」が再燃している小池百合子都知事。6月11日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、関連団体や都が巨額を支出したPR会社と小池氏の秘書をめぐる不動産取引など新たな疑惑が報じられているが、小池知事にはもうひとつ知事の資格を疑うべき大きな問題がある。それは、本サイトが以前から警鐘を鳴らしてきた“極右ヘイトとの親和性”だ。

 小池氏は、2010年に在日コリアンの虐殺まで扇動するヘイト市民団体「在特会」(在日特権を許さない市民の会)の関連団体である「日本女性の会 そよ風」主催、在特会女性部協賛の集会で講演をおこなっている。この「そよ風」という団体は、慰安婦問題関東大震災朝鮮人虐殺否定などを主張しており、2013年には大阪・鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを扇動したヘイトデモに協力している。小池氏はそんな団体の講演会に平気で出かけていたのだ

 しかも、小池氏は都知事に就任するや、そのヘイト団体との関係性を立証する行動に出た。関東大震災が発生した9月1日に毎年、墨田区の都立横網町公園で行われている「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」では、1974年以降、歴代の都知事たちが追悼文を寄せてきたのだが、周知のように、小池知事はこの朝鮮人犠牲者に対する追悼文を2017年、突如として取り止めてしまったのだ。


 そして、この小池知事の動きと軌を一にするように、同年、同じ時刻に横網町公園内で、小池氏がかつて講演を行なった排外主義団体「そよ風」が集会を開始。「朝鮮人犠牲者追悼式典」にぶつける形で、「そよ風」関係者らが「朝鮮人が暴動を起こし、日本人を虐殺した」「日本人が朝鮮人を殺したのは正当防衛だった」などと典型的なヘイトデマをがなり立てるようになった。念のため強調しておくが、関東大震災直後に流布された「朝鮮人が井戸に毒をいれている」「暴動や放火をしている」なる噂は完全なデマであったことが確定しており、逆に、そうしたデマに踊らされた人々が徒党を組んで朝鮮人らを襲撃・殺害して回ったことは膨大な証言が残されている事実だ。明らかに、小池都知事の「追悼文拒否」は歴史修正主義の虐殺否定論とヘイトに勢いを与えたのである。

 それだけではない。こうした小池氏の「追悼文拒否」や「そよ風」のヘイト集会に対する都の認可に抗議の声があがると、2019年12月、東京都は逆に「朝鮮人犠牲者追悼式典」実行委員会の許可申請に対し「公園管理上支障となる行為は行わない」「拡声器は集会参加者に聞こえるための必要最小限の音量とする」などと様々な条件をつけ、これに従わなければ中止や不許可にされても「異存ありません」とする内容の「誓約書」を交わすよう要請してきたのだ。


内田樹、香山リカ、島田雅彦、中島京子、星野智幸ら知識人が東京都の対応に抗議声明

 今年5月、「朝鮮人犠牲者追悼式典」実行委員会は〈こうした内容の誓約を求めることは、本来自由・自主である集会運営を萎縮させる恐れがある〉などとして、誓約書要請の撤回と従来通りの申請受理を求める声明文を発表。実行委員会の赤石英夫氏は、取材に対してこう話す。

「横網町公園の占有許可については例年、管理事務所側との簡潔な書面のやりとりで認められてきたのですが、昨年9月に初めて申請受理を拒否された上、年末に要求された誓約書にサインしない限りは認められないといった状況が今も続いています。ですが、私たちが都に、これまで『誓約書』にある条件に反する行いをしたことはあるのかと文書で質問すると、都からは『今回設けた条件に合致している』との回答がありました。つまり、これまで通りで問題ないという認識を示しているのです。実際に、私たちは法要の際には拡声器の音量を出さないなど神経を使いながら、厳粛で穏やかな追悼を行ってきました。むしろ、『誓約書』の条件に違反してきたのは『そよ風』の集会のほうでしょう。都は『そよ風』にも同じ誓約書を求めたことで『公平』と説明していますが、私たちが行っている犠牲者の追悼と『そよ風』のヘイトスピーチとはまったく相入れないもので、同列に扱うのは本末転倒だと思います」

 実際、「そよ風」の集会では、大音量のスピーカーで「朝鮮人が日本人を虐殺した」などのヘイト言説が垂れ流されている。本サイトでも2017年9月1日、「そよ風」が横網町公園で行った初の集会の模様をレポート(https://lite-ra.com/2017/09/post-3426.html)したが、そこでは極右政治団体「維新政党・新風」元代表の鈴木信行氏や「外国人参政権に反対する市民の会」東京代表・村田春樹氏など、ヘイト界隈でおなじみの顔ぶれが関東大震災での朝鮮人虐殺を正当化する趣旨の発言をしていた。

 さらに「そよ風」のブログを見ると、今回の都による「誓約書」の要請について、〈理不尽とは言え、誓約書を書けば、今後、公園で、晴れてもう一つの慰霊祭の存在が認められるという事です。小さい一歩とは言え、40年間反日左翼だけの言論空間だった公園が、両論併記になったのです〉(2月21日)と評価すらしている。つまり都の「誓約書」は逆に、ヘイト団体の集会へ利益をもたらそうとしているのだ

 こうした状況のなか、6月11日には、内田樹氏、香山リカ氏、島田雅彦氏、中島京子氏、星野智幸氏といった学者・研究者・作家・弁護士など知識人117人と1団体が連名で〈慰霊のための公園の、しかも9月1日という慰霊の日に、ほかならぬ関東大震災に関わる死者たちを冒涜し、虚偽によって貶める集会をそのまま容認することは、横網町公園の開園趣旨を真っ向から否定することにほかならない〉などとする声明を公開。〈「慰霊の公園」としての横網町公園の趣旨に鑑みて、関東大震災時の死者を冒涜し民族差別を煽動する「そよ風」の集会に対し、東京都人権尊重条例の精神に基づいて対処するべきである〉と訴えた。


小池都政とヘイト団体「そよ風」が一体となった「朝鮮人犠牲者追悼式典」潰しの策謀

 今回の知識人声明をとりまとめたのは、『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』『TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(2冊とも、ころから)の著書があるノンフィクション作家・加藤直樹氏だ。加藤氏は本サイトに対し、都の「誓約書」と「そよ風」の集会の問題点をこう指摘する。

「『そよ風』の集会は『真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭』と銘打っていますが、実際には集会内で石原町の犠牲者に対する言及はほとんどなく、何を『慰霊』しているのかさえわかりません。『朝鮮人虐殺はなかった』という虐殺否定の主張がメインであることは明らかで、むしろ『朝鮮人犠牲者追悼式典』の方にスピーカーを向け、『不逞朝鮮人が暴徒と化し、日本人を襲って略奪、暴行、放火を行い、日本人が虐殺された』などと浴びせかけるなど、いわば“歴史わい曲の演説大会”のような様相を呈しています。『そよ風』の狙いは、ヘイトと歴史修正に抗議する人たちを挑発し、なんらかのトラブルを誘発することで、『朝鮮人犠牲者追悼式典』が都の『誓約書』に違反したとして潰すことではないでしょうか

 事実、『そよ風』のブログには「英霊の名誉を守り顕彰する会」の佐藤和夫会長の〈そよ風さんは双方の追悼式典がなくなるまで戦って欲しい〉なるFacebook投稿が引用されている(2020年6月12日)。また、前述の村田春樹氏が〈我々の当面の目標は、来年からは彼我両方の慰霊祭が許可されず、秋篠宮両殿下の静粛な慰霊祭のみが執り行われることです〉などと書いていることも「そよ風」関係者のブログで確認できる。やはり、都の誓約書を悪用して「朝鮮人犠牲者追悼式典」自体を中止に追い込むことが目的としか思えない。

 本サイトでも追及してきたように、「そよ風」は横網町公園の朝鮮人犠牲者追悼碑の撤去を目指し、その集会は朝鮮人虐殺否定のための周到な計画に基づいていた。たとえば2017年3月の都議会で自民党の極右政治家・古賀俊昭議員(当時)が横網町公園の朝鮮人犠牲者追悼碑を問題視し「(朝鮮人犠牲者追悼碑の)撤去を含む改善策を講ずるべき」「今後は追悼の辞の発信を再考すべき」と迫ると、小池知事が「私自身がよく目を通した上で、適切に判断をいたします」と応答。その年から朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文を取り止めた

 実は、「そよ風」はこの都議会でのやりとり以前に古賀議員を訪問するなどロビイングを行なっており、古賀議員が「そよ風」主催の会合で講演していたこともわかっている。さらにいえば小池氏自身が、上述のとおり2010年に「そよ風」主催の講演会で登壇した過去もある。再び加藤氏が語る。

「東京都は、様々な国籍や属性の方が生活する“多民族の都市”であって、多様性の尊重こそが東京のよさだと思います。その東京でかつて、大震災に乗じた朝鮮人虐殺が起こされた。だからこそ、この“負の歴史”を教訓とし、本来は東京都知事や行政が率先して振り返る必要があるはずです。にもかかわらず、小池知事は朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文の取り止めなど、レイシストを煽るようなことをして、都はヘイト団体の集会に許可を与えています。荒唐無稽な虐殺の否定やヘイトスピーチを放置していれば、同じ悲劇が繰り返されかねません

 あらためて言うが、関東大震災の朝鮮人虐殺を否定し、朝鮮人犠牲者追悼式典を潰そうという歴史修正とヘイトの動きは、まぎれもなく、小池都政のなか、排外主義団体や極右政治家と結びつくかたちで着々と準備されてきた。その局面はいま、「そよ風」のヘイト集会に引きずられた行政によって結実の目前まできている。今月11日には、都に朝鮮人犠牲者追悼式典への条件を撤回し、速やかな横網町公園の占有許可を求めるオンライン署名が提出された。すでに届けられた署名数は3万筆以上で、署名活動は現在も継続中だ(Change.org「小池百合子さん、差別をやめて関東大震災で虐殺された朝鮮人の追悼式典に横網町公園を使わせてください!」)。狡猾なヘイトと歴史修正に打ち勝つためには、一人一人が声をあげなくてはならい。

小杉みすず
=====================================================

=====================================================
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/274560

小池都知事が再出馬会見で見せた“私がルール”の身勝手態度
2020/06/13 14:50

     (卒業証書を掲げたら?(C)日刊ゲンダイ)

 決戦まで3週間に迫った東京都知事選(18日告示、7月5日投開票)をめぐり、再選を狙う小池知事が12日、出馬表明した。新型コロナウイルスの感染拡大を警戒する「東京アラート」の発動や、学歴詐称疑惑の再燃でたびたび先送り。ようやくの表明で見せたのは「私がルールブック」と言わんばかりの身勝手な態度。振り返れば、コロナ対応も話題性や人気取り優先でメチャクチャだ

 午後3時に終了した定例会見からほぼ3時間後、小池知事はイメージカラーの緑色のスカーフでドレスアップし、再び会場入り。新たなキーワード「東京大改革2.0」を引っ提げて余裕の笑みを浮かべていたが、ある質問に一瞬で頬をこわばらせた。学歴詐称疑惑だ。エジプトの名門「カイロ大学卒業」という経歴への疑念をノンフィクション作家の石井妙子氏が新著「女帝 小池百合子」で再燃させた。切り込んだのは、小池知事に指名されたフリーランスライターの畠山理仁氏。やりとりはこうだ。

畠山 前回の選挙公報に〈カイロ大学卒業〉とお書きになっていました。他の立候補予定者も経歴を証明するために卒業証書ですとか、卒業証明書を提示される。都の職員も採用時には提出されると思います。小池さんご本人が証明書の原本をご提示いただくということは可能でしょうか。

小池 このー、卒業うんぬんについてはですね、すでに何度も私自身が、カイロ大学が認めているということを申し上げてまいりました。きょうも一部のメディアで、原本そのもの、かつて公表しておりますので、それを載せて掲載しているところがございました。あのー、すでに公表もしているということでございますので、必要な条件、要件等々を検討しながら進めていきたいと思っております。

小池 おひとり1問でお願いします。はい、はい。

 大手メディアには2問、3問の質問を許しながら、追及された途端シャットアウトだ。小池知事は「公表済み」と繰り返すが、自著の表紙に一部を掲載したり、判読困難な小さなサイズで週刊誌に載せたり、親密メディアでチラ見せしただけ。そもそも、渦中のカイロ大がこのタイミングで動いたのも不可解だ。8日付で〈1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する〉との声明を発表し、法的措置までチラつかせているのだ。


■すべて小池劇場の小道具だったのか

 小池知事のこうした身勝手さは、コロナ対策にも露骨に表れている。休業要請の緩和行程を3段階で示したロードマップをめぐり、1日にステップ1からステップ2に移行。当初、「2週間単位をベースにして状況を評価して段階的に緩和する」としていたのに、わずか1週間でステップアップ。それでいて、翌2日には東京アラートを発動。ブレーキとアクセルを同時に踏み込むような対応に都民が混乱する中、11日、東京アラートを唐突に解除した。

 そして、12日はステップ3に移行。都知事選告示翌日の19日には事実上、全面解除する。鳴り物入りで始めたはずのロードマップも東京アラートも、それでオシマイ。すべて小池劇場の小道具だったのか。自分の都合でルールを作っているようにしか見えない。

「小池さんは、4年前に掲げた公約の1つでも達成したでしょうか。結局、築地移転に象徴されるように実績にもならないことを自分の都合でやってきただけでしょう。頼みの五輪もどうなるか分からない。くすぶる学歴詐称疑惑は、大学側の説明のみを掲げて“強行突破”しようとしている。そんな状況で『都民に審判を仰ぐ』だなんて、都民はナメられたものです」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

 こんな人物に再び都政を任せていいのか。
=====================================================

=====================================================
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202006150000074.html

コラム
政界地獄耳
2020年6月15日8時38分
自衛が必要なのは小池都知事ではないか

★女帝も、カイロ大学のように新型コロナウイルスをコントロールすることはできないようだ。14日、東京都が確認したコロナウイルス感染者は47人。そのうち新たに始まった新宿・歌舞伎町での集団検査でホストクラブ従業員ら18人の感染が判明したという。院内感染が7人、「夜の街」関連が4人いるといい、事実上の第2波到来といえる。

★都は今月2日に「東京アラート」を発令し、11日に解除したばかり。アラートが発令された2日の感染状況は、1日の新規感染者が16・3人と基準を下回っていた。12日に会見した都知事・小池百合子は「自粛から自衛の局面に入った」として、これからは自己責任と強調していた矢先。そもそも東京アラートとは小池独自のルールで自らハードルを作り、都知事選挙直前に解除する自作自演のような代物。これでは、都庁とレインボーブリッジの色を赤や青にしたかっただけではないのか。事実、アラートを10日間発令して47人の感染者では効果はなかったともいえる。

★だが、本当に自衛が必要なのは小池の方だろう。18日告示の都知事選挙で再選を誓ったが「もう1度新たな気持ちで都知事選に臨む観点から、推薦は求めない」と格好のいいことを言い出した。確かに自民党幹事長・二階俊博も9日の会見では「最善、最適の候補だ。直ちに推薦し、積極的に応援する」としていたが、自民党都連との距離は縮まなかった。4年前の出馬会見では「都議会自民党と都民の間に距離がある」「どこで誰が何を決めているのか不透明なことが多い。ブラックボックス」といい、「都議会を冒頭解散したい」と都議会自民党を最大の敵として攻め上げた小池。今回「東京大改革2・0」を掲げたが、そこに数値目標はない。先の都知事選の公約では待機児童ゼロ、介護離職ゼロ、残業ゼロなど7つのゼロを掲げたが達成できたとは言い難く、「公約よりも当選後、約束してないことをどんどんやりだす。これは首相・安倍晋三の選挙とそっくり。数値目標など出せるわけがない」(都関係者)。その検証は都民の役割だ。(K)※敬称略
=====================================================

=====================================================
https://maga9.jp/200617-5/

マガ9レビュー
『女帝 小池百合子』(石井妙子著/文藝春秋)
By マガジン9編集部 2020年6月17日

 「正直者はバカをみる」。彼女はそう思いながら上だけを向いて、これまでの人生を生きてきたのだろうか。

 本書は政治家・小池百合子氏の評伝であるが、彼女の輝かしい学歴――カイロ大学を首席で卒業したこと――が、あまりにも疑わしいものであることを、著者は丹念な取材によって私たちに明示している。時にはカイロにまで飛び、小池百合子氏がカイロ時代に同居していた女性に会い、一緒に当時を知る人を訪ね歩いて、数多くの関係者の証言を得ている。最近カイロ大学が、小池氏は卒業しているとの声明を出し、小池氏本人も記者会見で卒業証書を記者の前に提示したようだが、本書によれば彼女のアラビア語の能力は、英語で言えば「This is a pen」レベルだというのだから(そう言えば、アラビア話で話しているのを聞いたことがない)、それが本当なら、卒業証書があろうがなかろうが学位にふさわしい学力を有しているとはとても思えない

 この学歴に関する疑惑は、彼女がついてきた、と言われる数々の「嘘」の中でも「核」となるものであり、彼女についてまわってきた「女性初の●●」という輝かしい肩書き──たとえば防衛大臣や自民党総裁候補、そして今日の都知事の地位──を得るために、大きな役割を担っていたと言える。もちろんどんな世界においても、学歴はその能力を表す全てではない。しかし「カイロ大学」を優秀な成績で卒業し、それゆえ中東問題に精通した国際派だろうという、多くの人が受け取った「刷り込み」によって、彼女は今日までのポジションを築いてきた。もちろんそれを真に受けて流布したマスコミにも大きな責任があると思うが、政治家にとって学歴詐称は公職選挙法違反に問われる罪である。

 彼女に同情的な目で見れば、日本に帰国してから自立のためにどうしても仕事を手に入れなければならない、親にも頼ることができず(芦屋のお嬢様という触れ込みだが、実際には父親の事業の失敗などで苦労をしていたようだ)、出来心から履歴書を捏造して書いてしまったのかもしれない、と思ったりもした。しかし読み進めていくにつれ、彼女が自分の希少価値を高めるための「物語を仕立てるために、息をするように虚偽を重ねていく人だということがわかる。

 そのように「平気で嘘をつくことと同意語なのかもしれないが、彼女がこれまでの政治姿勢や公約についても、自分の発言を簡単に翻してきたことを思い出す。最近のことで特に印象が深いのは、築地市場の豊洲移転問題と「希望の党」の設立・解散をめぐるゴタゴタであろう。

 4年前の都知事選挙の最大の焦点は、やはり「築地・豊洲移転問題」だったと思う。小池氏は公約で「移転白紙」とは打ち出さなかったものの、「いったん立ち止まり、豊洲の環境調査などを行い、みんなが納得できる結論を出したい」と訴えており、それを期待して一票入れた人も少なくなかっただろう。特に築地市場関係者はそうだ

 それにしても、なぜ中高年の女性たちはあんなにも小池氏に熱狂し期待をしたのか? メディア戦略に長けていたから? ファッションセンスがいいから? 印象に残るキャッチフレーズを使うのがうまいから? それもそうだが、それだけなのか。

 あの時確かに、小池氏は、かつての石原慎太郎的な「オッサン政治」という古いしがらみと決別してくれる「女性たちの味方」のように見えていた。彼女が何か言うたびに、胸がすくような思いにとらわれた人も、また多かったことだろう。

 熱狂はその後の都議会議員選挙まで続き、小池氏が率いる「都民ファーストの会」が圧勝した。しかしその後の展開は、期待したようなものではなかった。小池氏が知事に当選後、豊洲は調査を進めるたびに汚染されていることが明らかになっていく。しかし、彼女はそれに対して十分な対策を講じることはできず、結局納得のいく説明もないまま、移転の判断をする。そして多くの問題を抱えながら、豊洲市場はオープンへと突き進んでいった。そのあたりの都議会でのやりとり、それを傍聴にきた「築地女将さん会」のメンバーらの声などが、本書には生々しく描かれている。

「女性だからと信じてしまった。共感してもらえると思った私たちがばかだった」
「女の人が嘘をつくなんて。私、思わなかった……」と。

 「希望の党」設立から解散にいたるまで、いったい何がどうなっていったのかについても、この本に詳しく書かれているので、ここでは説明はしない。最近、当時の民進党代表・前原誠司氏の側近だった衆議院議員の小川淳也氏が、この希望の党騒動がどうして起こったかなどについてYouTubeの番組でも語っている。また封切りされたばかりの、小川氏を追ったドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』の中でも、大混乱の中、選挙戦を戦う小川氏が苦悩の表情を浮かべなんでこんな変なことになってしまったのか……敵は(安倍だと思っていたのに)小池だったのかとつぶやく様が描かれており、小池氏がそうやって多くの人たちを様々に翻弄してきたことが伺い知れる。

 小池氏は、男性であろうが女性であろうが、自分がより高い場所に行くために人を利用するだけ利用し、後ろは振り返らないという潔さというか、冷たさを持っていると感じる。いつも「小池百合子ファースト」なのだ。そうしたことが世間にも知れるところになり、メディアの小池熱も急速に冷めていき、小池氏が率いる「都民ファーストの会」も昨年春の地方統一選挙では、完全に埋没した。このままでは、地域政党としても長続きはしないだろう、(早晩自民党に吸収されるのかな?)と私は見ていたのだが……。

 そんなところに新型コロナウイルスである。この対応をめぐり、現職知事として3月から驚異的に露出が増えている小池氏。「トリプルスコアで小池氏が勝利する」と予測する人もいるが、有権者はそんなにも忘れっぽいものだろうか。7月5日、東京都知事選挙の投開票日まで、あと1ヶ月を切った。本書を投票前にぜひ、有権者には読んでもらいたい。読み物としても、スリリングでスピード感があり、実名政治家もたくさん出てくるので、永田町ドラマとしても楽しめる。

 と、ここまで書いたところで、れいわ新選組党首の山本太郎氏が都知事選に立候補するというニュースが入ってきた。ここで野党リベラル票が割れるのではないか、と心配する声も少なくないようだが、私は山本氏の立候補は、小池浮動票を奪う一助になると思っている。どちらも民衆の心をつかむのが、その方向性は違うが、天才的にうまい二人である。小池氏と山本氏のガチンコ討論が見られると思うと、俄然、都知事選が楽しみになってきた。

(水鳥純子)
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●「取締役レベルで決定した確信犯的」ヘイト企画・「差別ビジネス」のツケ…これで幕引きでいいのですか?

2018年10月05日 00時00分42秒 | Weblog

[※ 『国民のしつけ方』(斎藤貴男著、インターナショナル新書010)…《それは調査報道…「番犬(ウォッチ・ドッグ)」としての役割》↑]



沖縄タイムスの田嶋正雄記者によるコラム【[大弦小弦]1988年の米映画「トーチソング・トリロジー」はゲイの中年男と…】(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/320879)。
今日の東京新聞』(http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/)から、再びすいません、コピペ・マゴビキさせて頂きました。【本音のコラム「差別ビジネス」 斎藤美奈子】(http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2018/09/26/100034)。
リテラの記事【「新潮45」休刊声明の嘘! 杉田水脈擁護、LGBT差別は「編集部」でなく「取締役」がGOを出していた】(https://lite-ra.com/2018/09/post-4277.html)。

 《▼社長も企画に「偏見」があったと認めたが、どの部分かは明かしていない。当事者への謝罪もなかった…▼東京の青山ブックセンター本店は「ヘイト本は一切置かない」という。…「売上は重要だけれど、ヘイト本を売り続けた先の想像力が足りないのではないか」。職業人としての矜恃に100%同意する》。
 《「休刊したから、はい終わり」ではなく、このまま差別ビジネスを続けるのか、反省して社の体質改善に取り組むのか、新潮社は本気で考え直すべきだろう。部数低迷に直面し、原稿チェックがおろそかになった そんなの言い訳になんないよ》。
 《周知のように、この特集のなかで、安倍首相のブレーンである自称文芸評論家・小川榮太郎が、「LGBTを認めるなら、痴漢の触る権利も保障せよ」というとんでもない差別的文章を掲載し、これについて、各方面から厳しい批判が寄せられていた…編集部のずさんな体制、不備が招いたものだとすべての責任を編集部に押し付けたわけだが、実際はそうではない。10月号の杉田水脈擁護特集は、編集部レベルの判断でなく、担当取締役がお墨付きを与え、原稿もチェックしていたのだ…取締役レベルで決定した確信犯的企画》。

 アサヒコムの記事【「あのヘイト本、Yonda?」 新潮社の看板に落書き】(https://www.asahi.com/articles/ASL9T3474L9TUCVL00F.html?iref=comtop_8_03)によると、《月刊誌「新潮45」の企画が批判を受けている新潮社(東京都新宿区)の看板に、同誌を批判する内容の落書きが見つかった。同社宣伝部によると、本社のすぐ横に設置された新潮文庫の広告「Yonda?」のキャッチコピーに、「あのヘイト本、」の文字が書き加えられているのを24日午前までに確認した。「あのヘイト本、Yonda(読んだ)?」と読めるようになっていたという。新潮社は同日、ブルーシートで落書き部分を覆った。「警察に届けるかなど、対応は今後検討する」としている》…そうだ。

   『●ヘイトさへも隠蔽、自民党はヘイト政治屋だらけ…
      自民党壊憲草案「基本的人権の制限」に向けて着実に
   『●山本太郎さん×久米宏さん対談、「安倍政権とカジノ、
        杉田水脈を徹底批判し、原発タブーや創価学会…」


 《「編集部」でなく「取締役」がGOを出していた》、ヤッパリネ。多様な人々は居ても、社の「頭部」は「クソッタレ」な訳です。そして、結局、ホトボリが冷めれば、彼女は何事も無かったように…。「クソッタレ新潮文春にな~んにも期待してはいけない、というのがブログ主の結論。休刊にし、いずれ廃刊になったら、それで問題は解決なんですか? 

   『●『別丁 石川真澄 という人がいた』読了(3/3)
    《あのとき僕はつくづく思ったんだけど、みんな表現の自由を問題にし、
     応援したくもないクソッタレ文春を弁護しなけりゃならないことに
     ウンザリしながらやってました。それ自体はまあ正しいとしても、
     その副作用として「表現の自由すなわちメディアの自由」と強調されすぎた。
     …「メディアの自由」と思われたらメディア側の負け

   『●『産経』新聞韓国大統領名誉棄損事件:
      『朝日』叩きで大ハシャギな『産経』が「クソッタレ文春状態」

   『●自公議員や、『産経』や『読売』、『文春』、『新潮』は 
             『朝日』叩きに熱狂する資格があるのか?
   『●阿部岳さん、《基地問題への見解の違いも…
       デマで攻撃された因縁も関係ない。今回は…産経の側に立つ》

 斎藤美奈子さんの至言、《差別ビジネス》。田嶋正雄さん、《老舗出版社が少数者を傷つける差別表現を商売》に。リテラは《ただのショーバイ》。お嫌いな「朝日」君を否定するためには、何でもやる。ヘイトや差別だって利用する。《「休刊したから、はい終わりではなく、このまま差別ビジネスを続けるのか、反省して社の体質改善に取り組むのか、新潮社は本気で考え直すべきだろう。部数低迷に直面し、原稿チェックがおろそかになった? そんなの言い訳になんないよ》。「クソッタレ」が《反省して社の体質改善に取り組む》なんてあり得ません。加えて、きっと他のニセウヨク紙・誌が今回の《休刊》の件を「朝日」君のせいだ、「LGBT」の皆さんのせいだ、と《差別ビジネス》に邁進するに決まっている。

==================================================================================
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/320879

[大弦小弦]1988年の米映画「トーチソング・トリロジー」はゲイの中年男と…
2018年9月27日 08:37

 1988年の米映画「トーチソング・トリロジー」はゲイの中年男と同性愛を認めない老母の葛藤を描く。全て分かり合えなくても人間は尊重し合える。性的少数者(LGBT)を「生産性がない」と言う人にこそ見てほしい名作だ

▼LGBTへの差別表現が批判された月刊誌「新潮45」が休刊を決めた。8月号の杉田水脈衆院議員の論文を擁護する10月号にはLGBTを「ふざけた概念」とし、痴漢が触る権利の保障を叫ぶ暴論も掲載された

新潮社は「部数低迷」からの「試行錯誤」で「編集上の無理が生じた」と釈明した。老舗出版社が少数者を傷つける差別表現を商売にした理由として納得できるはずもない

▼社長も企画に「偏見」があったと認めたが、どの部分かは明かしていない。当事者への謝罪もなかった

▼一連の論文には弱者、少数者の権利保障への強い嫌悪感が漂う。違う価値観を理解しようとする姿勢もない書き手たちが今後、別の媒体で憎悪をまき散らし続けるなら、何も解決しない

▼東京の青山ブックセンター本店は「ヘイト本は一切置かない」という。書店員の山下優さんが日刊工業新聞ニュースサイトのインタビューで理由を語っている。「売上は重要だけれど、ヘイト本を売り続けた先の想像力が足りないのではないか」。職業人としての矜恃(きょうじ)に100%同意する。(田嶋正雄
==================================================================================

==================================================================================
http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2018/09/26/100034

今日の東京新聞
購読している東京新聞の記事を紹介します。読者の応援ブログです。

2018-09-26
本音のコラム「差別ビジネス」 斎藤美奈子

 思い出した人もいるのではないだろうか。
 1995年、ナチのホロコーストはなかったとする論文を載せた月刊誌「マルコポーロ」(文藝春秋)は廃刊になった。
 2012年、橋下徹氏の出自に関する差別的な記事を載せた「週刊朝日」(朝日新聞出版)は記事を撤回し、編集長は更迭、社長が引責辞任した。
 そして、今度は「新潮45」の休刊である。この件が前二者とちがうのはきわめて確信犯的なことだった。8月号の杉田水脈(みお)氏の寄稿があれほど批判されたのに、それを擁護する特集を10月号で組む。私たちは反省してませんという姿勢を同誌は一度は表明したわけで、佐藤社長の声明も中途半端なものだった。
 排外主義をあおり、差別を助長するヘイト記事を載せる雑誌やヘイト本を出す出版社は、近年、少なくない。新潮社も例外ではなかった。商売になれば何でも出す。LGBTだけではなく、嫌韓反中も在日コリアン差別も目に余るものがある差別に乗じて利益を上げている以上、それは「差別ビジネス」で、普通の差別より悪質なのだ。
 「休刊したから、はい終わりではなく、このまま差別ビジネスを続けるのか、反省して社の体質改善に取り組むのか、新潮社は本気で考え直すべきだろう。部数低迷に直面し、原稿チェックがおろそかになった そんなの言い訳になんないよ。 (さいとう・みなこ/文芸評論家)
==================================================================================

==================================================================================
https://lite-ra.com/2018/09/post-4277.html

「新潮45」休刊声明の嘘! 杉田水脈擁護、LGBT差別は「編集部」でなく「取締役」がGOを出していた
2018.09.26

    (休刊した「新潮45」)

 昨日夕方、新潮社が「新潮45」を休刊にすると発表した。これはもちろん、同誌10月号に掲載された、右派論客らによる杉田水脈衆院議員擁護特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」をめぐって下された決定だ。周知のように、この特集のなかで、安倍首相のブレーンである自称文芸評論家小川榮太郎が、LGBTを認めるなら、痴漢の触る権利も保障せよというとんでもない差別的文章を掲載し、これについて、各方面から厳しい批判が寄せられていた。

 それは、同社と縁の深い作家や書店も例外ではなかった。『俺俺』など何作も同社から出版し新潮新人賞の選考委員を務めたこともある星野智幸は〈社員や書き手や読者が恥ずかしい、関わりたくない、と思わせるような差別の宣伝媒体を、会社として野放しにするべきではない〉と指摘し、「新潮」に掲載された「日蝕」で芥川賞を受賞し、多数の著書を同社から出している平野啓一郎も〈どうしてあんな低劣な差別に荷担するのか〉と批判。そのほかにも複数の作家や翻訳家らから「新潮社の仕事はしない」という表明が相次ぐ事態となっており、同社の書籍の取り扱いを拒否する書店も出ていた。

 そんななか、21日に佐藤隆信社長が声明文を出し、昨日とうとう休刊発表となったわけだ。しかし、これは、新潮社がグロテスクな差別を掲載した自社の責任に向き合った結果ではない

 実際、新潮社がLGBT差別についてまったく反省していなかったことは、これまでの動きを見れば明らかだ。今回、新潮社は「新潮45」休刊の発表に際して、こんな談話を発表している。

ここ数年、部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めません。その結果、「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」(9月21日の社長声明)を掲載してしまいました。このような事態を招いたことについてお詫び致します。
 会社として十分な編集体制を整備しないまま「新潮45」の刊行を続けてきたことに対して、深い反省の思いを込めて、このたび休刊を決断しました。


 また、昨日夜の新潮社の広報担当役員の会見でも、該当号が役員らに配布されたのは発売当日朝だったと説明した。

 ようするに、編集部のずさんな体制、不備が招いたものだとすべての責任を編集部に押し付けたわけだが、実際はそうではない。10月号の杉田水脈擁護特集は、編集部レベルの判断でなく担当取締役がお墨付きを与え、原稿もチェックしていたのだ。新潮社社員がこう証言する。

実は、『新潮45』の若杉良作編集長は、もともとオカルト雑誌『ムー』の編集者で、右派思想の持ち主でもなんでもない。押しが強いわけでもなく、上の命令に従順に従うタイプ。最近のネトウヨ路線も、売れ行き不振の挽回策として、担当取締役の酒井逸史氏から命じられていた感じだった。酒井取締役は元『週刊新潮』の編集長でイケイケタイプですからね。10月号の擁護特集も酒井取締役が事前にGOを出している。会社は役員が読んだのは発売当日になってからという意味のことを言っていたが、そんなわけがない。少なくとも酒井取締役は事前にゲラも読んでいると思いますよ。それどころか、『ここで反論すれば売れると企画そのものを焚きつけた可能性もある

 取締役の関与を証言しているのは、この社員だけではない。昨日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でも、「新潮社の現役社員」の話として、「編集長、編集部のトップよりもさらに上の担当役員レベルのGOサインがあった」という情報を紹介していた。

 いずれにしても、10月号のグロテスクな差別記事は、「編集部の不備」でもなんでもなく、取締役レベルで決定した確信犯的企画だったということらしい。


■新潮社の社長声明はたんに「作家への対応」にすぎなかった

 しかも、「新潮45」10月号が発売され、批判が高まった直後も、上層部はまだ強硬姿勢を崩していなかった。たとえば、新潮社のSNS公式カウントのひとつ「新潮社出版部文芸」が、「新潮45」や新潮社を批判するツイートを次々とリツイートしたことが話題になったが、実は新潮社上層部は当初、これを削除させようとしていた

 先日、AbemaTV『AbemaPrime』の取材に匿名で応じた新潮社の編集者がこう証言していた。

朝いちばんに役員が編集部に来て『ツイートをやめさせろ』と言ったのですが、誰がツイートしているのかわからないので、できなかった

 新潮社は「新潮社出版部文芸」のツイートについて、〈各部署、社員の個人の意見表明に関して言論統制のようなことは従来より一切行っておりません〉などと表明していたが、真っ赤な嘘だったというわけだ。

 では、強硬姿勢を示していた新潮社上層部がなぜ一転して、社長の声明発表、さらには「新潮45」の休刊という対応をとったのか。別の新潮社社員が語る。

新潮社の社長が声明を出したのも、休刊の決断をしたのも、作家の執筆拒否の動きが広がるのを恐れたため。それが一番の理由です

 たしかに、弱者には強く出る新潮社だが、売れっ子作家にはとことん弱い。たとえば、有名なのが、百田尚樹の『カエルの楽園』をめぐるトラブルだ。同社から出版された『カエルの楽園』は、中韓に対するヘイトを織り交ぜながら憲法9条を腐した“寓話”作品だが、百田氏は明らかに村上春樹氏をモデルにしたキャラクターを登場させ揶揄している。ところが、その村上氏のキャラについて、新潮社が百田氏に「(村上氏だとばれないよう)名前を変えてくれ」と求めてきたのである(過去記事参照https://lite-ra.com/2016/05/post-2259.html)。つまり、新潮社は、作中の中韓のヘイト表現はスルーする一方、村上春樹という看板作家を刺激することだけを問題視していたというわけだ。

 今回の対応もこうした同社の体質の延長線上に出てきたものだ。前述した19日の『AbemaPrime』でも「多くの作家がコメントしているので、上の人たちは作家対応をどうするか協議しているようだ」という新潮社社員の証言があったが、騒動直後から作家対策に奔走。社長の声明は『とくダネ!』(フジテレビ)や『5時に夢中!』(MXテレビ)などにも出演している同社の名物編集者・中瀬ゆかり氏らが主導するかたちで、まさに作家対策として行われたのだという。

最近、中瀬さんは文芸担当取締役に昇進したんですが、社長に『このままだと作家に逃げられてしまう』と声明を出すことを進言したらしい。実際、21日の社長声明については文芸編集者にのみ事前に通達されました。完全に作家対策だったんですよ」(前出・新潮社社員)

 もっとも、これは逆効果になった。なにしろ、その声明というのが〈常識を逸脱した偏見や認識不足に満ちた表現〉があったとしながら、誰に対する、どのような問題があったと考えているのかは一切示さず、謝罪もなし。その上、〈今後とも、差別的な表現には十分に配慮する〉などと、いま現在も差別的表現に配慮しているかのように言い張るという、ひどいシロモノだったからだ。


■すべてが「ショーバイ」でしかなかったことを露呈した「新潮45」の騒動

 いずれにしても、佐藤社長が中途半端な声明を出したことで、さらに批判は拡大。それで、今度は一気に休刊という事態に発展していった。

休刊については、佐藤社長のツルの一声だったらしい。『新潮45』は部数低迷でいつ休刊になってもおかしくなかった。印刷部数で約1万6千部、実売は1万部を切っていた。おそらく年間数億円の赤字を出していたはずです。そんなところにこの問題が起きて、そのせいで、作家からの批判が殺到した。このままだと、もっと大きな動きになるかもしれない。だったら、いい機会だからすぐに休刊にしてしまおう、ということになったんでしょう」(前出・新潮社社員)

 そう考えると、今回の新潮社の対応は最初から最後まで、「ただのショーバイ」でしかなかったということだろう。雑誌を売るために、安易にネトウヨ、ヘイト路線に飛びついてLGBT差別の扇情的な記事を載せ、それに対して抗議が広がり、作家から執筆拒否をちらつかされたとたん、慌てて雑誌を休刊にしてしまう。「新潮45」の休刊決定をめぐっては、言論の自由を奪う結果になったという声が出ているがそもそも、新潮社の側に「言論」という意識などあったのか。新潮社OBもこうため息をつく。

新潮社は昔から『週刊新潮』などで、差別的、人権を侵害する問題記事を連発していましたが、それでもメディアとしての最低限の矜持があった。でも、いまは、たんにショーバイでやってるだけ。だから、やっていいことと悪いことの区別がつかないし、抗議を受けると、すぐに万歳してしまう。醜悪としか言いようがない

 実際、新潮社は大きな抗議運動に広がり、作家が声を上げたLGBT差別については対応したが、一方で、中韓や在日、社会的弱者を攻撃するヘイト本や雑誌記事はいまも出版し続けている

 しかし、これは他の出版社も同様だ。中小出版社だけではなく、小学館や文藝春秋などもヘイト本やヘイト記事を多数出しているし、講談社も、ケント・ギルバートによる中韓ヘイトに満ちた『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』を出版。ベストセラーになったことで、社員を表彰までしている

 そして、これらの出版社の動機はすべてショーバイでしかない。出版不況で本が売れないなどという理由で、安易に売れ筋のヘイト本に群がり、その結果、差別や排外主義を蔓延させているのだ。

 「新潮45」の問題をきっかけに、こうした出版社の姿勢そのものが見直されるべきではないのか。

(編集部)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●ニッポンは民主主義国家? 《明白な事実や数字を権力者が都合のいいように変え、信じ込ませようと》…

2018年04月09日 00時00分11秒 | Weblog

[※ 東京「ト」迷惑防止条例壊悪案 (『サンデーモーニング』2018年3月25日)↑]



ニッカンスポーツのコラム【政界地獄耳/改ざんも隠ぺいも税金の無駄遣い】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201804040000137.html)。
今日の東京新聞』(http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/)から、再びすいません、コピペ・マゴビキさせて頂きました。【論壇時評「思考を奪う言葉の操作」中島岳志】(http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2018/03/30/080159)。

 《だが、いずれも国民の税金だ。さらに、前国税庁長官が就任後、記者会見も開かず、雲隠れし続けた。税金の無駄遣いの議論で言うならば、前国税庁長官も同罪だろう。公文書改ざんは、他に議論すべき大事なことの後回しにされるべき事柄ではない民主主義の根幹を揺るがし、決済後の文章が改ざんされる事態は歴史の修正であり、民主主義国家がやることではない》。
 《安倍内閣で次々に起きているのは、何者かによって恣意(しい)的に言葉が書き換えられ、消去されるという事態である。ここに現在の政治や行政の本質が現れていると思った時、真っ先に手に取った本がある。ジョージ・オーウェル 『1984年』だ。これは1949年に出版された近未来小説で、高度な全体主義が張り巡らされたディストピア(反ユートピア)がテーマとなっている》。

 《言葉が書き換えられ、消去されるという事態》…ニッポンは民主主義国家なのか?
 《後回しにされるべき事柄ではない》…《断固反対》だったはずのTPPの方が大事なんていう方・財務相もいましたけれどね。東京新聞の記事【「TPPより森友、重要か」 麻生氏が日本の新聞報道を批判】、でっ、デマ三連発の赤っ恥。

   『●『東京番外地』読了
   『●キケンすぎるキケンと選挙制度上の欠陥
   『●「沖縄の怒り」 『週刊金曜日』
       (2014年1月17日号、975号)についてのつぶやき
    「【佐々木実の経済私考/安倍政権の“ニュー・スピーク”浸透する
     官製の物語】、「「政治と言葉」といえば、ジョージ・オーウェル
     小説『1984年』が思い起こされる。“ビッグ・ブラザー”が統治する
     全体主義社会…」」

   『●『自然と人間』(2014年8月号、Vol.218)についてのつぶやき
   『●アベ様のデンデン王国ニッポンこそ、
       既にオーウェルが描いた『一九八四年』の「世界」へと
    《ジョージ・オーウェルの『一九八四年』…「“もう一つの事実”を示したのだ」
     ▼明白な事実や数字を権力者が都合のいいように変え、
     信じ込ませようとする。それこそオーウェルが描いた世界ではないか》

   『●「平成の治安維持法」…「先輩たちが歌うことすら制限する米軍に抗い、
                                勝ち取った自由が危機にある」
   『●当局の解釈次第で恣意的に内心を罰し、
       お互いを監視・密告しあう社会…「平成の治安維持法」の完成
   『●「誰が見ても安倍政権による政治的弾圧」…
          山城博治さん「沖縄の大衆運動を潰す政府の方策」
   『●斎藤貴男さん「人間が人間であるために、最後まで抗おう」
              と呼びかけ…コンナ「裸の王様」に負けたくない
    《暴政に右も左もない。かつ現代日本の監視社会において民衆は、
     ジョージ・オーウェル『一九八四年』式の「ビッグ・ブラザー」による
     支配に加え、これに相乗りする民間企業のダイレクト・マーケティングの
     海に漬からざるを得ないのだ》

 ジョージ・オーウェルの小説『1984年』の《ディストピア(反ユートピア)》…そして、「ビッグ・ブラザー」。
 ニッポンではとっくに、斎藤貴男さんの言う《明白な事実や数字を権力者が都合のいいように変え、信じ込ませようとする》社会に。

 いつもタイミングよく(?)、アベ様を救って(?)くださる某国では…日刊ゲンダイの記事【北が取材制限謝罪 “報道自由度”日本が金正恩に抜かれる日】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226375)によると、《「南側記者を北に招待したからには、自由に取材活動や撮影ができるようにする義務が我々にはある」「取材活動を制約して自由に撮影をできなくするのは間違っている。北側当局を代表してこうしたことは間違っていたと謝罪したい」 ナント! 取材活動を制限したのは間違っていたと頭を下げたというのだ…少なくとも「自由な取材活動の保障」が重要という認識はあるようだ。 ■一方の安倍政権は締め付け強化》。
 報道の自由度ランキング72位のニッポンと(調査国中の最下位)180位の某国(2017年のランキングはコチラ)。その差はもっと縮むかもね。

==================================================================================
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201804040000137.html

政界地獄耳
2018年4月4日9時35分
改ざんも隠ぺいも税金の無駄遣い

 ★森友学園の問題は、たかだか8億円の値引きの話。国会が1年以上かけて議論するようなものではない。国会には、もっと大切で議論すべき問題が山積みする。こういう声をよく耳にする。また、この8億円のいきさつについて調べるため、国会議員の給料や調査費、官僚の資料作成など、8億円以上の費用がかかっているとの指摘もある。なるほど、そういう視点の当て方もあるのかと、考えさせられる。

 ★だが、いずれも国民の税金だ。さらに、前国税庁長官が就任後、記者会見も開かず、雲隠れし続けた。税金の無駄遣いの議論で言うならば、前国税庁長官も同罪だろう。公文書改ざんは、他に議論すべき大事なことの後回しにされるべき事柄ではない民主主義の根幹を揺るがし、決済後の文章が改ざんされる事態は歴史の修正であり、民主主義国家がやることではない。それをエリート中のエリート財務省の官僚が、組織ぐるみで行っている実態の解明よりも、やるべきこととは何か。その審議内容すら改ざんされる恐れがあるのに先に進めろということだろうか。また、趣旨が同じだから問題ないという議論にも、くみしかねる。

 ★政治家の関与があろうがなかろうが、改ざんすることを良しとする文化が中央官庁にあることに、重大な不安を覚えている。まだ開示請求や国会での議論の最中に、公文書や資料が紛失した、または破棄したという。ほとぼりが冷めたころ、「見つかりました」と言いだす中央官庁の“手口”にもあきれる。最近も同様の事態が続くが、これも文書改ざんと同罪ではないか。大臣がぶら下がりで「おわび」を言う程度で、国会での審議や追及の時間の無駄はどうなるのか。8億円の追及が無駄と言うのなら文書隠しも相当の無駄だと思うが。うっかりや勘違いが横行する国会は、中央官庁になめられっぱなしだ。(K)※敬称略
==================================================================================

==================================================================================
http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2018/03/30/080159

2018-03-30
論壇時評「思考を奪う言葉の操作」 中島岳志

 南スーダンPKOの現地部隊の「日報」破棄問題、そして、学校法人「森友学園」ヘの国有地売却に関する決裁文書改ざん問題。安倍内閣で次々に起きているのは、何者かによって恣意(しい)的に言葉が書き換えられ、消去されるという事態である。

 ここに現在の政治や行政の本質が現れていると思った時、真っ先に手に取った本がある。ジョージ・オーウェル 『1984年』だ。これは1949年に出版された近未来小説で、高度な全体主義が張り巡らされたディストピア(反ユートピア)がテーマとなっている。

 主人公のウィンストン・スミスは、真理省の役人で、過去の記録の改ざん作業を行うことが仕事だった。「過去は現在の情況に合致するように変えられる」。党が発表する内容がすべて正しくなるように文書が改ざんされ、破棄される過去が刻々と改変され、破壊されるのだ

 権力者は、国民の論理的思考能力を低下させ、国家への反対を抑えるために、「ニュースピーク」という言語体系を導入する。これは語彙(ごい)を制限・消去し、単語の意味を書き換え、文法を極度にシンプルにした言語で、普及の暁には反体制的な思考そのものが不可能になるという。言葉をコントロールすることによって、政府にとって不都合な現実を、存在しないものにしてしまうのだ。

 確かに、安倍内閣は言葉の操作によって、問題が解消されるかのように振る舞うことがある。WEBサイト LITERA(1月22日)に掲載された編集部による記事「安倍首相の空疎すぎる施政方針演説!『非正規という言葉を一掃する』は真っ赤な嘘、裏に格差温存のカラクリ」では、通常国会冒頭の安倍首相の施政方針演説が取り上げられ、批判されている。

 演説の目玉に据えられた「働き方改革」の中で、安倍首相は「『非正規』という言葉を、この国から一掃してまいります」と述べた。しかし、2012年から16年までの4年間、非正規雇用者は207万人も増加する一方で、正規雇用者は22万人増加でしかなく、「雇用者数の9割が非正規というのが実態」である。就業者数が増え、雇用が改善したと言っても、不安定な非正規雇用者を増加させた結果でしかない。「騙(だま)されてはいけないのは、安倍首相はけっして『非正規雇用をなくす』あるいは『正規と非正規の格差をなくす』と言っているわけではない、ということ。たんに『非正規』という言葉を使わないというだけの話なのである」

 この指摘は重要だが、問題はさらに深刻である。安倍首相は『非正規』という言葉を一掃することで不安定雇用問題の存在自体を消去しようとする意図があるように思えるからだ。そもそも「言葉を一掃する」という言葉の中に、安倍内閣の本質が現れていると見るべきである。これはまさに「ニュースピーク」の世界。言葉の操作によって、現実を操作する手法だ

 2014年から15年にかけて安保法制が大きな話題となったが、その際、集団的自衛権の行使容認の要件として閣議決定されたものに「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」という文言がある。具体的な武力行使については、かなり高いハードルが設けられているので、よほどのことが起こらない限り集団的自衛権は発動されないと強調されたが、どうしても「明白な危険」という言葉が気になる。どのような事態を「危険」と見なすのかについては、はっきりとした定義が存在しない。最終的に、「危険」の基準は、為政者の主観に依拠する。要するに、いくらでも操作可能な文言が、武力行使についての決定的な箇所に導入されているのである。

 安倍内閣の本質は、言葉の支配と操作にある。人間は言葉の動物だ。言葉によって存在や認識が規定されている。言葉が世界を作り、構成する。その言葉を権力者が恣意的にコントロールすると、私たちは世界を奪われる

 作家の星野智幸は3月12日のツイッターで、公文書改ざんを「国家が言論を独占しようとする行為にほかならない」と警告する。「国家が言葉を独占したら、法律は骨抜きに成り、機能しなくなるおそれがある。なぜなら、法律は言葉で書かれているから。そして、最も厳密な意味の使用を求めているから。つまり、意味の運用の範囲を決める司法も機能しなくなるということ」

 星野の作品に『夜は終わらない』という小説がある。ここでは、言葉を支配しようとする人間に対して、豊穣(ほうじょう)な物語を奪還するダイナミズムが描かれている。小説が現実以上の現実を描き出している。

 私たちは言葉を奪われてはならない。この世界を「ニュースピーク」が支配するディストピアにしてはならない。公文書改ざん問題をめぐる論争は、言葉をめぐる為政者との闘いにほかならない。(なかじま・たけし=東京工業大学教授)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●「橋下(徹)行政最大の負の遺産はヘイトスピーチの隆盛」…そんな彼らが今やアベ様をバックアップ

2016年01月09日 00時00分23秒 | Weblog


asahi.comの『書評/誰が「橋下徹」をつくったか―大阪都構想とメディアの迷走 [著]松本創』(http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2015122000004.html?iref=comtop_fbox_d2_03)。


 《彼が政治家になった7年半で、ずいぶん荒っぽい言葉が社会に蔓延するようになった。それまではネットの中にとどまっていた攻撃的で排他的、汚い言葉遣いで誰かを罵るような人が増えた。彼の悪影響は大きいと思います…橋下行政最大の負の遺産はヘイトスピーチの隆盛》。

   『●対橋下元〝ト〟知事、どうすべきか?
    《人の弱点を見つけたら、その一点を突破口に徹底的に叩く
     橋下のやり口弁護士時代そのものだが、逆に反撃されると
     ムキになってやり返す。まさに子供のケンカだが、こんなやりとりを
     橋下はなんと30分近くも続けたのだから、呆れるこんな男が
     次の総理候補? 冗談か寝言でしかない

 《人の弱点を見つけたら、その一点を突破口に徹底的に叩く橋下のやり口は弁護士時代そのもの》……昔から何も変わらない橋下徹元大阪「ト」知事。下記の書評によると、《橋下行政最大の負の遺産はヘイトスピーチの隆盛》だそうです。恐ろしい世の中になったものです。そして、今や彼らは自民党との「連携」に意欲を示し、アベ様の自公政権と共に壊憲したくてしようがないそうです。橋下徹元大阪「ト」知事らに投票し得る人たちの気持ちを理解できない。
 《橋下氏をなぞるように暴力的な物言いをし、表現の自由だと主張する者たちも、それを黙ってやり過ごす私たちも、言葉を乗っ取られている》……壊憲がこのまま進めば、「乗っ取られているのは言葉」だけでは済まない。

   『●無節操の図: 橋下元大阪〝ト〟知事も
      十分に〝ト〟、そして自民党も同じ穴のムジナ
    「橋下元大阪〝ト〟知事といい、西村真悟衆院議員といい、
     稲田朋美行革相といい、(元?)弁護士というのは
     いったいどういうこと? どんな人権感覚?」

   『●「俺様王国」ニッポン、
       「俺様王国」大阪「ト」を造りたい強権的政治手法好きな二人

   『●橋下元「ト」知事「「安倍首相とは考えが合う」
      とヨイショしまくり、安倍首相―橋下市長の蜜月」…トホホ
   『●アベ様から「慰労」してもらえる間柄の
     元大阪「ト」知事・弁護士橋下徹氏がアベ様との「連携」を確認

=====================================================
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2015122000004.html?iref=comtop_fbox_d2_03

書評
誰が「橋下徹」をつくったか―大阪都構想とメディアの迷走 [著]松本創
[評者]星野智幸(小説家)  [掲載]2015年12月20日

     (表紙画像
      著者:松本創  出版社:140B  価格:¥1,512)


 「彼が政治家になった7年半で、ずいぶん荒っぽい言葉が社会に蔓延(まんえん)するようになった。それまではネットの中にとどまっていた攻撃的で排他的、汚い言葉遣いで誰かを罵(ののし)るような人が増えた。彼の悪影響は大きいと思います」

 彼とは、橋下徹・前大阪市長。大阪のテレビ局で行政を取材してきたベテラン記者の感想である。

 橋下氏が大阪府知事選に出馬してから現在に至るまでの、メディアとの関係を詳細に検証した本書を読んで、私がまず思ったのも、橋下行政最大の負の遺産はヘイトスピーチの隆盛だということだ。

 著者によれば、報道メディア、特にテレビ局は橋下氏をタレントとして育てたとの身内意識があるから、政治家転身の際に親身にサポートする姿勢が強かった。だが、熱狂を呼び起こすその弁舌に異例なまでのスポットライトを浴びせ続けるうち、メディア自らが、敵を作って支持を集める橋下氏の手法の餌食になっていく。橋下氏に依存状態になったメディアは、どれほど侮蔑的で事実無根の罵倒を浴びせられても、それを批判して影響力圏を脱することはできなくなっていた。橋下氏が維新の党の公式文書を通じて、都構想に批判的な識者を出演させるなテレビ局に圧力をかければ、その意向を汲(く)んだ配慮をするありさまだった。

 橋下氏は、民主主義、言論の自由、公正中立といった「マスメディアが食いつき、賛同しないわけにはいかない言葉」で己を武装し、「メディアが機械的に唱えるうちに空洞化してしまったその言葉の意味を、自らに都合よくねじ曲げて声高に主張する」、と著者は分析する。メディアは「『言葉』を橋下に乗っ取られてしまった」のだ。

 橋下氏をなぞるように暴力的な物言いをし、表現の自由だと主張する者たちも、それを黙ってやり過ごす私たちも、言葉を乗っ取られている

    ◇

 140B・1512円/まつもと・はじむ 70年生まれ。元神戸新聞記者。『日本人のひたむきな生き方』など。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする