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●《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」…「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》

2023年09月01日 00時00分40秒 | Weblog

(2023年08月28日[月])
《全責任》をどうとるつもり? 《汚染水放出そのものがすでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》。農水相は「想定外」…あぁぁ…。

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった
   『●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものが
     すでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》

 反対しているのは中国だけですか? 《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」とし、「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》…どう《全責任》を負うつもりか?
 曽田晋太郎安藤恭子両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/処理水放出、太平洋島しょ国が怒り 背景に核や戦争、大国の犠牲になってきた歴史 】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/272113)。《24日にも始まる東京電力福島第一原発事故の処理水放出に、マーシャル諸島など太平洋の島しょ国から懸念の声が上がっている。遠く離れた海の向こうの人々が異議を申し立てた背景には、戦前の日本統治や米国の核実験など大国の犠牲になってきた歴史の記憶があるという。現地を訪れている明星大の竹峰誠一郎教授(46)に、住民の思いを尋ねた。(曽田晋太郎安藤恭子)》、《◆デスクメモ 竹峰さんは、核兵器禁止条約が、核実験被害者の支援や環境汚染改善を盛り込んだことにも注目する。米国の「核の傘」に頼る日本は批准を拒むが、核抑止論は核実験被害者の犠牲の上で成り立つ論理だからだ。本来真っ先に参加すべきことをせず、この上まだ国の信用を失うのか。(本)》。

   『●「原子力の平和利用」という核発電への幻想…「原発は『プルトニウム
         をつくる装置』」(内橋克人さん)にこだわる周回遅れのニッポン
   『●「ビキニ事件は遠い過去に終わったことではなく、未来の命にかかわる」
       ――― マグロ漁船「第五福竜丸」の船員・大石又七さんが亡くなる
   『●「原子力の平和利用」という核発電への幻想…「原発は『プルトニウム
       をつくる装置』」(内橋克人さん)にこだわる周回遅れのニッポン
   『●広島サミット…サーロー節子さん「自国の核兵器は肯定し、対立する国の

     核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」と批
   『●《「被爆地・広島」の政治利用のためだけに――。こうなると、広島弁
     でいうところの「わりゃー、大概にせえよ!」の声が溢れるのも当然》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/272113

こちら特報部
処理水放出、太平洋島しょ国が怒り 背景に核や戦争、大国の犠牲になってきた歴史
2023年8月24日 12時00分

 24日にも始まる東京電力福島第一原発事故の処理水放出に、マーシャル諸島など太平洋の島しょ国から懸念の声が上がっている。遠く離れた海の向こうの人々が異議を申し立てた背景には、戦前の日本統治や米国の核実験など大国の犠牲になってきた歴史の記憶があるという。現地を訪れている明星大の竹峰誠一郎教授(46)に、住民の思いを尋ねた。(曽田晋太郎安藤恭子

     (今月中旬に開かれたマーシャル諸島の国会。3月に
      「福島原発から太平洋への放射能汚染水投棄に重大な
      懸念を表明」する決議を採択した=マーシャル諸島・
      マジュロで(竹峰誠一郎さん提供))


◆マーシャル諸島訪問の教授「頭ごなしに脅威押し付け」

 竹峰さんは国際社会論が専門。米国による核実験が繰り返されたマーシャル諸島を中心に、国内外の核被害に関する調査研究を続けている。

 13日からマーシャル諸島の首都マジュロに滞在。現地では新聞の発行が週1回しかないため、24日に処理水の海洋放出を始めると決めた日本政府の方針について「まだ限られた人しか知らないだろう」と語る。ただ、「自分たちの領内で処理できないものを太平洋に向かって一方的に流し、頭ごなしに脅威を押し付けるような行為に現地で誰も理解を示す人はいない」と明かす。

 竹峰さんによると、2021年4月に日本政府が原発処理水の海洋放出方針を決めた後、マーシャル諸島政府は懸念を表明日本側に代替策の検討や海洋環境保全のための国際的義務の履行、対話の実施などを求める声明を発表した。


◆核実験の地で反対決議

 今年2月の両国外相会談では、林芳正外相が「人の健康や海洋環境に悪影響を与えるようなことはない」として、海洋放出への理解を求めた。だが3月、マーシャル諸島の国会は「重大な懸念を表明し、より安全な代替処理計画を日本に検討するよう求める決議を採択処理水の放出が海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」とし、「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」と訴えた。

 これに対し、日本政府は現地で説得するような行動を活発化させていると竹峰さんは話す。7月、日本政府の担当者が現地で地元市長らを訪問。先週は地元紙に日本大使が海洋放出について説明する記事が載り、唯一の戦争被爆国として「核実験被害を受けたマーシャル諸島の人々の思いは理解している」という趣旨の談話が掲載されたという。


◆元大統領ら、日本の説明「遅い」

     (ヒルダ・ハイネ前大統領(中)から処理水放出への
      懸念を聞いた竹峰誠一郎さん(左)ら=21日、
      マーシャル諸島・マジュロで(竹峰誠一郎さん提供))

 竹峰さんは今月21日、国会決議を主導したヒルダ・ハイネ前大統領や閣僚らと面会。最近の日本側の対応について聞くと、「いまさら説明するのは遅い海洋放出計画を決める前に相談せず、放出開始を決める最終段階になって頭ごなしに説得されても理解はできない」と怒りをあらわにしたという。

 同じオセアニア地域では、北マリアナ諸島の議会でも同様に反対決議が採択されている。竹峰さんは「決議は、マーシャル諸島を含む太平洋の島々がこれまで大国に核実験や核廃棄物処理で好き放題使われてきた歴史を踏まえた訴えだ。島々の人たちは放射性物質の量がたとえ少量であったとしても、日本が自分たちのことを何も考えずに汚染水を太平洋に流す行為が許せないと憤っている。日本にとっては単なる海かもしれないが、島々の人たちにとっては生活の糧であり、汚染水が長期にわたって流され、暮らしの土台が傷つけられることを危惧している」と解説する。


◆マリアナ諸島から原爆投下機が出撃

 太平洋の島々と日本とは、戦争と核の歴史を通じ、深い関わりがある。

 フィリピンの東、赤道の北に広がる一帯は、かつて「南洋群島」と呼ばれた。1914年からの第一次世界大戦で、日本はドイツ保護領にあったマーシャル諸島を占領。20年に国際連盟から委任統治が認められ、実質的に支配するようになった。

 太平洋戦争中の44年、日本軍との激戦の末にサイパンテニアングアムなどマリアナ諸島を制圧した米軍は、ここから日本本土への長距離爆撃を開始。45年8月、原子爆弾を抱えたB29爆撃機「エノラ・ゲイ」「ボックス・カー」はテニアンの飛行場を飛び立ち、広島、長崎へ向かった。


◆「核の植民地主義」…終戦後は実験場に

 終戦後、マーシャル諸島は核実験場とされた。米国は46〜58年、ビキニエニウェトク両環礁で67回の核実験を実施。54年3月のビキニでの水爆「ブラボー」の実験で、マグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員やロンゲラップ環礁の島民らが放射性物質を含む「死の灰」を浴びた。

 軍事評論家の前田哲男さんによると、ロンゲラップでは島民82人が被ばく。頭痛、下痢、かゆみ、目の痛みを訴え、救助船が来たのは50時間以上後だった。「米国のみならず核保有国は、危険な水爆実験を本土でやらなかった。これは『核の植民地主義』。マーシャルの人々は広島、長崎に次ぐヒバクシャにさせられた」と憤る。


◆日本は1980年代に「核のごみ」廃棄計画

 1980年代には日本の低レベル放射性廃棄物北マリアナ諸島海域に捨てる計画が浮上したが、当時の中曽根康弘政権は国際世論を受け入れる形で断念した。原発処理水の海洋放出について、前田さんは「海は人類共有の財産。『水に流す』などという思想をふりかざすのは日本だけ。中国の反対が目立つが、太平洋の人々の声を聞くべきだ。やがて大きな反感が日本に向かう」と警告する。

 ロンゲラップ島民は米国の安全宣言でいったん帰島したが、がんや甲状腺異常などの健康障害が相次ぎ、85年に再び島を離れた。50年近く島民を取材しているフォトジャーナリストの島田興生さんは、「原発の処理水を流す海の先に住む太平洋の島の人々を想像してほしい」と訴える。

 島田さんによると、20年余り日本の統治が続いたマーシャル諸島には日本語を学んだ人たちがいて親日的。旧日本軍飛行場があった現在のエニウェトク環礁では、44年2月の米軍の攻撃で日本軍は約2600人の戦死者を出し、ほぼ全滅したとされる。従軍していた朝鮮人労働者や基地建設に動員された島民らも亡くなった。

 島田さんがロンゲラップを初めて訪れた74年、64歳の男性ナプタリ・オエミさんが胃がんで亡くなる前、病床で写真を撮らせてもらった。家族から「父は自分が苦しんでいるのは原爆のせいだ。気をつけろと言っていた」と聞いた。その2年前には1歳で被ばくした当時19歳の男性が白血病で死亡した。


◆成長不全や白血病、不妊…「いつも巻き込まれる側」

 島民たちには「放射能」という概念があまりなく、変な毒物という意味合いで「ポイズン」と口にしていた。米国の健康調査は続き、身長が伸びないなどの成長不全や白血病、不妊や流産が増えたと言われる。

 「マーシャルの人たちはいつも大国に巻き込まれる側。米国の核実験で被ばくさせられ、今度は日本が処理水を流そうとしている。かつての死の灰と違い、島の人は健康への影響を神経質に受け止めないかもしれないが、私には同じことが起きているように見えるし、日本の罪は重い」と島田さん。海洋放出への受け止めを聞くために9月、現地に向かうという。来年でブラボー実験から70年だ。

 「第五福竜丸とともに、忘れてはいけないマーシャルの人たちの歴史がある


◆デスクメモ

 竹峰さんは、核兵器禁止条約が、核実験被害者の支援や環境汚染改善を盛り込んだことにも注目する。米国の「核の傘」に頼る日本は批准を拒むが、核抑止論は核実験被害者の犠牲の上で成り立つ論理だからだ。本来真っ先に参加すべきことをせず、この上まだ国の信用を失うのか。(本)

【関連記事】水に流せない岸田首相の処理水を巡る発言録検証 「透明性」「心のケア」「風評対策」 実は政策理念なし?
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コメント
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●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】

2023年08月22日 00時00分43秒 | Weblog

[※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(20230804[])
風評どころか実害を生じさせる〝汚染水〟の海洋放出に断固反対する。キシダメ首相らのやろうとしていることのどこが、一体「科学的」なのか? まずは、デブリに水が触れないようにしてはどうなのか。〝汚染水〟を日々増やしつつ、タンクを置く土地が足りないなどと嘯くことは、愚か者のやることだ。東電が持つあらゆる土地を使い、東電が責任をもって保管すべき。〝汚染水〟の海洋放出が風評被害でおさまる保証はどこにあるのか? 汚染水の放出からX年後にどう責任をとるつもりか? 捨てて、拡散させてしまってからでは遅い。いくら希釈しても汚染物質の質量は減らない。
 1グラムの核燃料デブリさえも取り出せない。どうやって取り出し、どこに持って行くのかも示せない。スケジュールさえも。そんなデブリに触れた水を処理した〝汚染水〟。世界中、そんなものを海に捨てた例はどこにもない。〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行。核発電推進団体の《国際原子力機関IAEA)の「お墨付き」を得て岸田文雄首相が判断する》(琉球新報)…国際社会からの非難が出ても、IAEAは責任を取る気など全くないが、キシダメ氏はX年後にどう責任を取るつもりか? キシダメ氏の頭の中を覗いてみたいよ、全く。

   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

 そもそも脱原発の約束はどこにいったのかね? 《2015年に政府と東電がした「関係者の理解なしに(処理水の)いかなる処分もしない」という約束》は? 武藤類子んは《住宅などの避難者支援が打ち切られ国や福島県が避難者を切り捨てる方向が明確になってきていると指摘。政府方針である汚染水を処理した水の海洋放出を「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない、という漁連との約束を反故(ほご)にしたプロセスは、民主主義に反すると批判した》(東京新聞)。
 全漁連福島県漁連も絶対に認めてはいけない。「海は誰のものか?」 東電や政府、自公お維議員のものなのか?

   『●『松下竜一未刊行著作集4/環境権の過程』読了(5/8)
    《国民はすべて健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」
     (憲法二十五条)を有し、「幸福を追求する権利は尊重される」
     (憲法十三条)のであってみれば、それを充足するための
     よりよい環境に住む権利は基本的人権であり、それはだれからも
     侵害されない―――〈環境権〉とは、端的にいえばこのような法理であり、
     まこと私たちしろうとに理解されやすく、共感は濃い。/もっといえば、
     海の問題でこの法律はきわ立って来る。従来、海を埋め立てるには
     当該海域の漁業者が漁業権放棄をすませれば全手続きは完了した。
     背後地住民に海への権利はなく、一片の発言も認められない。だが
     〈環境権〉は、海に対する住民の権利を鋭く主張する。なぜなら、
     海は万人共有のものであり環境の主要因子だからである》

   『●海は誰のもの? ~繰り返される過ち~
   『●上関町長選での非常に残念な結果
   『●「「アイドル」を守れ!」 『週刊金曜日』
      (2014年6月6日、994号)についてのつぶやき
    「取材班【漁業補償に5年間で約36億円か 政府、「辺野古
     移設強行へ】、「民意を無視する新基地建設の強硬は、
     新たな「島ぐるみ闘争」への始まりになる」。松下竜一さんは
     「海は誰のものか?」を問うた。そして、今、沖縄と各地の原発問題で」

   『●「岩礁破砕許可」というルールを曲げてでも辺野古破壊…
            ルール無用の無「法治国家」デンデン王国の実態
   『●「菅官房長官は徹底抗戦の姿勢を崩さない 
     翁長知事を念頭に、「わが国は法治国家だ」と牽制」だって!?
   『●「環境権」を「お試し壊憲」に悪用しつつ、
      一方で、畏敬の念も無く、何の躊躇もなく「海を殺す」人達の愚
    「松下竜一さんらの提起した「海は誰のものか?」「環境権」。いまや
     「環境権」は、アベ様ら自公の「お試し壊憲に悪用されようとしており、
     その一方で《海を殺す》愚行。「海」はアベ様やその取り巻き連中の
     ものなのか?、番犬様・米軍のものなのなのか? 畏敬の念も無く、
     何の躊躇もなく《海を殺す》人達。《悲痛な海の声》は聞こえないらしい。
     あまりに愚か」

 長周新聞の記事【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27254)。《東京電力の福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故から12年が経つが、溶け落ちた核燃料デブリは今なお冷却し続けなければ再臨界する危険性をはらんでおり、事故の終息はいまだ見通せていない。ここで持ち上がっているのが、核燃料デブリを冷却するために注入した水や、流入する地下水が直接核燃料デブリに接することで発生する放射能汚染水の処理問題だ。東電はこれまで福島第一原発の敷地内のタンクに放射能汚染水を貯め続けてきたが、タンクの建設に限界があるという理由で2014年に当時の菅政府が「海洋放出」を決定した。この政府の一方的な海洋放出決定は国内の漁業者をはじめ、近隣諸国を先頭に国際的にも激しい反発を呼んだが、最近岸田首相は「春から夏までに海洋放出に着手する計画に変更はない」と改めて表明して、一段と国内外の反発の世論は高まっている。放射能汚染水の海洋放出のなにが問題なのか、海洋放出以外に処理方法はないのかなどについて専門家の意見も踏まえて再度考えてみたい》。

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27254

汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害
社会 2023年8月1日

 東京電力の福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故から12年が経つが、溶け落ちた核燃料デブリは今なお冷却し続けなければ再臨界する危険性をはらんでおり、事故の終息はいまだ見通せていない。ここで持ち上がっているのが、核燃料デブリを冷却するために注入した水や、流入する地下水が直接核燃料デブリに接することで発生する放射能汚染水の処理問題だ。東電はこれまで福島第一原発の敷地内のタンクに放射能汚染水を貯め続けてきたが、タンクの建設に限界があるという理由で2014年に当時の菅政府が「海洋放出」を決定した。この菅政府の一方的な海洋放出決定は国内の漁業者をはじめ、近隣諸国を先頭に国際的にも激しい反発を呼んだが、最近岸田首相は「春から夏までに海洋放出に着手する計画に変更はない」と改めて表明して、一段と国内外の反発の世論は高まっている。放射能汚染水の海洋放出のなにが問題なのか、海洋放出以外に処理方法はないのかなどについて専門家の意見も踏まえて再度考えてみたい。

     (福島原発敷地内に貯まり続けている汚染水タンク)

 岸田政府は7月4日、国際原子力機関(IAEA)から、東京電力の海洋放出計画は「国際的な安全基準に合致」しており、海洋放出で放射線が人や環境に与える影響は「無視できるほどごくわずか」との包括報告書を受けとり、これを錦の御旗に国内の漁業者や近隣諸国に海洋放出を認めさせようと奔走している。

 7月14日には西村経済産業相が全国漁業協同組合連合会(全漁連)を訪れ坂本雅信会長と会談し、海洋放出への理解を求めた。西村経産相はIAEAの包括報告書の内容を説明したが、坂本会長は政府が夏ごろの開始をめざす汚染水の海洋放出について改めて反対の立場を表明した。坂本会長は「われわれの唯一の望みは漁業を安心して継続したいということだ。科学的な安全と社会的な安心は違う。安心を得ないかぎり反対の立場を崩すわけにはいかない」とのべた。

 会談には福島県をはじめ青森、岩手、宮城、茨城各県の漁業団体幹部も同席した。

 西村経産相は11日にも福島県漁連に対して海洋放出への理解を求めたが、野崎哲会長は改めて反対を表明した。政府と東電は2015年に福島県漁連に対して「関係者の理解なしには(汚染水の)いかなる処分もしない」と約束している。

 福島県の漁業者をはじめ周辺各県の漁業者は東日本大震災と福島原発事故災害からの復興のために筆舌に尽くし難い努力をし、やっと震災前の漁業操業をおこなえる灯りが見えるところまできた。そこに放射能汚染水の海洋放出が持ち上がり、これまでの努力を水の泡にしかねない災いとしてふりかかっている

 香港政府は7月12日、日本政府が福島第一原発の放射能汚染水を海洋放出した場合、日本国内10都県を産地とする水産物の輸入を禁止すると発表した。東京、福島、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉の各都県が対象となっている。生鮮、冷凍、冷蔵、乾燥またはその他の方法で保存されたすべての水産物と海水由来の塩、海藻を禁輸するとしている。

 香港に続いてマカオの食品安全行政を管轄する市政署も14日、日本が海洋放出を開始した場合、輸入申請モラトリアム(事実上の禁輸措置)の対象を現行の福島県に加えて9つの最高リスク地区(千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉、東京の各都県)の野菜、果物、牛乳・乳製品、水産・水産加工品、食肉類・食肉加工品に拡大すると発表した。さらに他の地域から輸入される生鮮食品についても放射線検査証明の添付を必須とし、検査・検疫をパスすることを要件化する可能性も排除しないとした。

 中国政府はIAEAの包括報告書について「日本国内外の反対の強い声を抑えられるものではない」とし、「最新の世論調査では韓国では国民の8割以上が賛成していない。太平洋島しょ国やフィリピン、インドネシア、南アフリカ、ペルーなどの専門家や国民も抗議の声を上げている。福島の放射能汚染水海洋放出は世界の重大な公共の利益にかかわるもので、あいまいにすることは許されず、間違いは許されない。中国は日本が科学を尊重し、事実を尊重し、IAEAの報告を海洋放出の“後ろ盾”とすることなく、国際的道義的義務と国際法の義務を忠実に果たし、海洋放出計画を停止し、責任ある方法で放射能汚染水を処理するよう促す」と表明している。

 また、中国外務省は七日、松野官房長官が「中国と韓国の原発はトリチウムの濃度が比較的高い液体を海洋に放出している」と発言していることについての見解を以下の要旨で明らかにした。

 「日本は福島原発事故の汚染水世界各地の原発の正常運転による排水を一緒に論じている。これは概念のすり替えで、世論をミスリードするものだ福島原発事故の溶解した原子炉の炉心に接触した放射能汚染水と、正常に運転されている原発の炉心に直接接触していない排水本質的に異なる発生源が異なり、含まれる放射性核種が異なり、処理の難度が異なり、根本的に比較できない。とくにIAEAは日本の浄化設備の有効性と長期的信頼性を評価しておらず今後30年間、すべての放射能汚染水が処理基準をクリアすることを保証することはできない。日本が原発の正常運転による排水を持ち出し、海洋放出の誤った決定を“白”としようとするのは、科学の看板を掲げて国際社会をミスリードするものだ」としている。

 さらにIAEAの包括報告書について「IAEAが慌ただしく発表した報告は評価作業に参加したすべての各国専門家の意見を十分に反映しておらず、関係の結論には極限性と一面性があり、国際社会の懸念を解決していない。日本が今回の報告を海洋放出の“通行証”とせず、計画強行を停止し、責任ある方法で放射能汚染水を処理するよう促す」とコメントしている。

 中国政府は7月11~14日にかけて開催されたASEAN外相会議やASEAN地域フォーラムの場でも日本の汚染水海洋放出を批判し、国際会議の場でとりあげるよう促した。

 韓国でもこの間、漁業者をはじめ国民的な海洋放出反対の世論と行動が盛り上がってきていた。尹政府はそうした国民世論に対抗し、IAEA報告書に理解を示し、日本の海洋放出を容認する態度をとった。韓国で7月11~13日に全国で18歳以上を対象におこなった世論調査では、尹大統領の支持率は32%で前の週の支持率38%から6%も下落した。理由としては「福島原発汚染水放出問題」と「外交」がそれぞれ14%でもっとも多かった。支持率の下落幅はとくに福島原発汚染水の海洋放出の直接的な影響を受ける層で大きく、釜山、蔚山、慶尚南道では11㌽も下落した。

 海洋生物学者であるハワイ大学のロバート・H・リッチモンド教授は、日本政府の放射能汚染水海洋放出計画を詳細に審査した結果、同計画の安全性に疑問があると判断したと表明し、IAEAが7月4日に発表した包括報告書を認めない考えを明らかにした。

 同教授は太平洋島しょフォーラムの委嘱を受けた科学者で、福島第一原発にも足を運び、東電や日本政府、IAEAとの会議にも参加した経験を踏まえ、「日本が手配した会談の多くは政治家や政策立案者のものだった」とし、「海洋放出計画では科学は脇に置かれているようだ」とのべている。IAEAの報告書については「これは政治とカネにもとづいた決定であり、日本のこの計画はいくつかの原則に反しているだけでなく、IAEAの基準にも違反している」との見解を示している。


国際条約違反の行為 ロンドン条約など

     (原発汚染水の海洋放出に抗議する海上デモ(韓国、2021年))

 福島原発の汚染水の海洋放出が国内ばかりではなく、国際的な問題として広がっているのは海が一つだからだ。

 6月8日は「世界海洋デー」だが、昨年の「世界海洋デー」にあたって中国の報道機関は「海洋は地球上の生命の揺りかごであり、全人類がともに守るべきものである。しかし、海洋生態を公然と破壊する者たちがいる。2021年4月、日本は福島原子力発電所の原発汚染水を海洋に放出すると発表した。日本国内や国際社会から疑問や反対の声が絶えないなか、東京電力は来春から長期間かけて原発汚染水を太平洋に放出する計画だ」「専門家は原発汚染水は海洋生物を汚染するとともに、魚類の回遊を通じて海洋全体に拡散され、世界の海洋環境の安全、国際公衆衛生システム、周辺諸国の人々の基本的利益を著しく損なうと指摘する。ドイツの科学機関は、日本の発表したスピードで原発汚染水を放出した場合、57日足らずで太平洋の半分が汚染されると推算する」と報道した。

 海は一つであり、全人類にとっての宝であるところから、「海の憲法」とも呼ばれる「国連海洋法条約」があり、日本も批准している。この条約は「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い(中略)すべての必要な措置をとる(後略)」(194条1)とし、国家が海洋環境を保護することを義務づけている。

 とくに「毒性又は有害な物質(特に持続性のもの)の陸にある発生源からの放出」を規制し、海洋環境を汚染しないよう諸国に義務づけている。これに照らして見れば、放射性物質を含む汚染水の海洋放出は国連海洋条約に違反する行為であることは明らかだ。

 また、廃棄物その他の物の投棄による「海洋汚染の防止」に関する国際条約としては「ロンドン条約」があり、日本も批准している。1993年の改正であらゆる放射性廃棄物の海洋投棄が全面禁止され、その後放射性排水も対象となった

 2011年の福島第一原発事故によって海が放射能で汚染されることについて、ロンドン条約の会議では加盟国から懸念の声があいついだ。

 日本政府は1993年3月30日の閣議決定で「1993年度原子力開発利用基本計画」の「低レベル放射性廃棄物の海洋投棄については、関係国の懸念を無視しておこなわない」とした。また、1993年11月2日の原子力委員会決定では「わが国としては今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として海洋投棄を選択肢としない」としている。

 福島原発の汚染水の海洋放出はロンドン条約をはじめこうした閣議決定や原子力委員会決定にも明らかに違反している。

 ところが、2020年に原子力委員会は「低レベル廃棄物は固体廃棄物や固化した廃棄物を海洋に投棄して処分することを指す」とし、「液体である福島第一原発のトリチウム汚染水の海洋放出は海洋投棄には該当しない」との詭弁を弄している。

 ロンドン条約では「海洋投棄が禁止される“廃棄物その他の物”とは、あらゆる種類、形状又は性状の物質をいう」と定義し、「廃棄物その他の物の投棄(その形態及び状態のいかんを問わない)を禁止する」と明記している。固体以外の液体なら除外されるという理解そのものがロンドン条約違反となっている。

 また、2019年には英ロンドンの国際海事機関(IMO)本部で開催されたロンドン条約およびロンドン議定書の締約国会議で、初めて福島第一原発の汚染水の海洋放出問題が正式議題にのぼった。

 締約国会議に出席した中国とチリの代表団が原発汚染水の海洋放出の可能性に懸念を表明した。ガーナ出身の議長は、今後も引き続き議論するとし、日本に情報公開を求めた。

 日本が実際に汚染水を放出したときには、締約国会議で正式に問題提起し、これがロンドン条約およびロンドン議定書に違反すると判断されれば強制力を持つ決議案を提出することもできる。

 それまで日本政府は汚染水の海洋放出問題は、海洋投棄について定めたロンドン条約およびロンドン議定書ではなく、IAEAで話し合う問題だとの立場を主張してきた。それは違反が明らかなロンドン条約を基準にした論議の場ではなく日本やアメリカ政府の影響力が及ぶIAEAを舞台とした論議に絞りたいという思惑が透けている


デブリに接した汚染水 高濃度に汚染

 では、汚染水はどこから生まれ、どういった問題を含んでいるのか。

 2011年の福島第一原発事故では1~3号機はメルトダウン事故を起こした。すべての電源を喪失して冷却機能が失われ、炉心の温度が異常に上昇し、核燃料の大部分が溶融し、圧力容器の底に溜まったメルトダウン、さらには高温により圧力容器の底が溶かされて燃料が容器の底を突きぬけたメルトスルー(溶融貫通)に至ったともいわれる。溶け落ちた核燃料は核燃料デブリ状態となっているが、冷却水を注入して冷却し続けないとふたたび重大事故になりかねない危険な状態が続いている。福島原発事故はいまだに終息していないし、終息の見通しも立っていないのが現実だ

 溶け落ちた核燃料を冷却するために当初は1日400㌧の冷却水を注入し、それに地下水などの流入も加わり汚染水の発生は1日500㌧にのぼっていた。12年経過した今日も、冷却水を循環型にしたことによる減少があるものの、汚染水の発生は1日当り100㌧に達している。それらは直接核燃料デブリに接触した水であり、高度の放射能汚染水だ

 東電は、この汚染水を汲み上げ、多核種除去設備=ALPS(アルプス)に送り、薬液による沈殿処理や活性炭などの吸着素材により放射性物質をとり除くとしている。東電の発表では、ただ放射性物質のトリチウムだけはとり除けないとし、そのままタンクに溜められてきた。これを海水で薄めてトリチウムの濃度を国の基準の40分の1となる1㍑当り1500ベクレル未満まで下げ、地下の入口から海底トンネルを通って沖合い1㌔の地点で放出するという計画だ。

 だが、東電の発表とは裏腹にタンクに溜まった汚染水の7割はトリチウム以外の62の放射線核種の濃度が全体として濃度基準をこえ、最大で1万9909倍になっていることがメディアのスクープで明らかになった。残存している核種のおもなものは、ストロンチウム90、セシウム137、セシウム134、コバルト60、アンチモン125、ルテニウム90、ヨウ素129などだ。

 東電がそれまでALPS小委員会に提出していた資料では、トリチウム以外の核種はALPSにより除去できているとのデータのみを示していた。その後東電もトリチウム以外の放射性物質を含んだ原発汚染水がタンクに貯蔵されていることを認めざるをえなくなった。こうした放射線核種が残存しているのは、汚染水が溶け落ちた核燃料デブリに直接接触したものであるためで、正常運転の原発から排出される温排水などと同等には論じられない

 東電や政府は「ALPSで処理したトリチウム水は安全で、水とほとんどかわらず、しかもさらに希釈して海洋放出するから問題はないあるとすれば風評被害だけだと宣伝している。

 だが、政府のALPS小委員会の報告書では、トリチウムは「他の放射性物質と比較して健康への影響は低い放射性物質」だが、「影響が出る被ばく形態は内部被ばくであることを認めているわずかであっても内部被ばくは生物に蓄積され、食物連鎖のなかで濃縮されていくわずかであってもトリチウムが海藻に付着し、魚介類に摂取されれば、体内に蓄積され、何十年もの長期にわたって食物連鎖のなかで濃縮されていく

 また、トリチウムが人体を構成する水素と置き換わったときには、近隣の細胞に影響を与え、DNAを構成する水素と置き換わった場合はDNAが破損する影響が起きる。

 トリチウムは水素の同位体で、三重水素とも呼ばれ、化学的性質は普通の水素と同一だが、β線を放出する放射性物質だ。半減期は12・3年である。

 トリチウム水の分子構造は水とほとんど変わらないため、人体にそれほど重大な影響は及ぼさないと政府はいうが、分子生物学者はむしろそれは逆だと指摘する。人の体重の約61%は水が占めている。人体はトリチウムを水と区別できず、容易に体内の組織にとり込みやすい。トリチウムを体内にとり込むと、体内では主要な化合物であるタンパク質、糖、脂肪などの有機物にも結合し、有機結合型トリチウム(OBT)となり、トリチウム水とは異なる影響を人体に与える。長いものでは15年間も体内にとどまり、その間、人体を内部被曝にさらし続ける場合がある。

 トリチウムが染色体異常を起こすことや、母乳を通じて子どもに残留することが動物実験で報告されている。動物実験ではトリチウムの被曝にあった動物の子孫の卵巣に腫瘍が発生する確率が五倍増加し、精巣萎縮や卵巣の縮みなどの生殖器の異常が観察されている。日本の放射性物質の海洋放出の基準は1㍑当り6万ベクレルで、これはICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に則ったものだ。しかし分子生物学者らは、ICRP勧告はトリチウムのOBTとしての作用を明らかに過小評価していると指摘している。

 東電や政府はトリチウムを海水で希釈するので安全だといっているが、どの程度希釈するかよりも放出する総量が問題だが、海洋放出するトリチウムの総量については示していない。

 政府と東電の計画では福島第一原発の廃炉完成予定が2041~51年としているが、現実には事故から12年たっても核燃料デブリがどこにあるかも、どのような方法でとり出すのかもわかっておらず、廃炉の見通しはまったく立っていない状況だ。核燃料デブリのとり出しが完了するまで冷却水を注入して冷やし続けなければならず、これからも際限なく汚染水は溜まり続ける。こうしたなかで海洋放出が一旦開始されれば、延々と放出が続けられることになり、総量も確定できない

 一旦放出した放射性物質は回収できず、何世紀にもわたって環境を汚染し続ける。世界的な規模での人体や生態系への影響は計り知れず、漁業や農業への長期的な風評被害も深刻だ。


他にもある可能な技術 トリチウム分離も

 汚染水の処理は海洋放出以外にはないのか。

 ALPS小委員会は、技術的に可能な5つの処分方法を検討している。①地層注入=186・5億円以上、②海洋放出=34億円、③水蒸気放出=349億円、④水素放出=1000億円、⑤地下埋設=2431億円となっており、これを受けて2021年4月に菅政府がもっとも安くて済む海洋放出を決定した。

 この決定に対して中国は「海洋放出がもっとも低コストに抑えられるからだ。日本のやり方は非常に無責任かつ利己的なものだ。自国の財政難を口実に利用して、災いを近隣諸国に押しつけるような手法をとってはならない。これは国際社会の支持するルールではない」と反発した。

 「国連海洋法条約」では、「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い、かつ、自国の能力に応じ、単独で又は適当なときには共同して、この条約に適合するすべての必要な措置をとるもの」とある。陸上保管という実行可能な最善の手段」があるにもかかわらず、海洋放出するということは、海洋環境保護の観点に反しており、認められないとの国際世論が高まった。

 また、実際にトリチウム分離の成功例も出てきた。近畿大学工学部の井原教授、近畿大学原子力研究所、東洋アルミニウム株式会社および近大発のベンチャー企業・株式会社ア・アトムテクノル近大らの研究チームは2018年に、放射性物質を含んだ汚染水から放射性物質の一つであるトリチウムを含む「トリチウム水」を分離・回収する方法と装置を開発したと発表した。

 研究で中心的な役割を担ってきた井原特別研究員は「さらなる研究のため」として政府系の補助金を申請したが、通らなかった。また、実用化に向け、大量のトリチウムを扱ったさいにどんな課題が生じるのか試験する必要があり、東電に第一原発の敷地内で試験がおこなえないか打診したが東電は協力を拒否した。

 当時の梶山経産相は「近畿大の研究技術は承知している」「まだ実験室レベルでの研究」と突き放し、この2カ月後に海洋放出を処理方針とした。

 このほかトリチウム分離技術はアメリカなどでもおこなわれている。技術的に難しいとはいえ、民間や海外で新技術への挑戦が続き、成功例も出ているにもかかわらず、政府や東電は検討もせず、コストの安い「海洋放出ありき」で突き進んでいる。重大事故を引き起こした責任の重さからみてもあるまじき対応だ。

 福島第一原発の重大事故を引き起こした責任は東電と政府にあり、被災者への補償、生活の復興に尽力することは当然だ。ところが、被災者の生活や生業の復興も道半ばにある現段階で、今度は大量の放射能汚染水の海洋放出を強行し、新たな放射能被害を押しつけようとしている。しかも、世界の海に与える影響は二の次で、汚染水をかかえる東電の事情を第一にし、「コストがかからないことだけを基準にした無謀な計画だ。このような海洋放出計画が国際社会からも激しい反発を受けるのは当然のことだ。東電と政府は、重大事故を引き起こした反省に立つならば、現代の科学技術の成果に真摯に学び、環境中に放射能を放出しないやり方での汚染水処理を真剣に追求する責任がある。
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●「古い原発」を廃炉にするので「新しい原発」は再稼働オッケー・・・なんて言語道断

2014年09月07日 00時00分38秒 | Weblog


asahi.comの社説【原発の廃炉―実現できる準備を急げ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p)。

 「いずれも運転開始から40年を超える古い原発であり、敷地内に断層問題も抱える」・・・・・・朗報!!、と安心してはいけない。「古い原発」を廃炉にするので、「新しい原発」は再稼働オッケー、なんて言語道断。日本で再稼働して良い原発は存在しないし、古かろうが新しかろうが再稼働してはいけない。建設作業中のものもすぐさま中止すべき。騙されてはいけない。

   『●核のゴミと云う地獄:「王様は裸」
   『●「回らない核のサイクル」六ヶ所村:

             どちらも「地獄」という二択だったのか?

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

原発の廃炉実現できる準備を急げ
2014年9月6日(土)付

 ようやく、というべきであろう。

 関西電力が美浜原発1、2号機について、廃炉の検討に入った。いずれも運転開始から40年を超える古い原発であり、敷地内に断層問題も抱える。

 廃炉は合理的な選択であり、早く正式決定すべきだ。

 東京電力福島第一原発の事故後、原発の運転期間を「原則40年」とする法改正や新規制基準の導入で、古い原発や安全対策の費用がかさむ原発には廃炉が促されてきた。

 にもかかわらず、これまでのところ、東電が福島第一の1~6号機全ての廃炉を決めただけだった。

 原発は廃炉にして核燃料を取り出さない限り、事故やテロに対して安全にはならない。

 現在国内には、この美浜も含めて原発が48基ある。なかには再稼働が容易に望めない原発も少なくない。各電力会社は美浜にならい、そうした原発の廃炉を真剣に考えるべきだ。

 ただ、廃炉を決めれば全ての問題が解決するわけではない

 まず、その費用だ。電気料金から積み立ててはいるものの一部では不足が見込まれる。

 経済産業省は原発で発電した電気に基準価格を設けて費用を確保する制度案を打ち出している。が、これは新増設費用までまかなう原発優遇策になりかねない。廃炉費用だけに絞って財源を確保する方策を検討する必要がある。

 さらに深刻なのが廃炉で生じる大量の廃棄物の行方である。

 1998年に国内の商業用原発で初めて廃炉になった日本原子力発電東海原発は昨年、今年度から予定していた原子炉の解体作業着手を遅らせ、全体の廃炉完了時期を2025年度に5年間先送りした。

 原子炉内の部品など「低レベル放射性廃棄物」は50~100メートルの地下に埋める計画だが、その処分地が決まっていないためだ。処分地で安全を保つための基準さえできていない

 東海に限らず、日本は、使用済み燃料から、こうした原子炉内の部品まで最終的な行方が決まっていない。現在の原発敷地内に置いたまま、という事態になりかねない。

 安倍政権のもとでは、原発再稼働に向けた動きばかりが目立って、廃炉に備える手立ては進んでいない。

 廃棄物問題に代表される廃炉の課題は、原発推進、脱原発の立場に関係なく解決が迫られている。

 政府は課題を直視し、解決に全力を挙げるべきである。
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●原発人災・汚染の原因者が「税金による事業で利益をもたらす」醜悪な構図

2013年11月22日 00時00分05秒 | Weblog


asahi.comの記事【核ゴミ処分のPR車売却へ 公費4億円、実働199日】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311020640.html?ref=com_top6。東京新聞の記事【除染下請けに東電系企業 税金で肩代わり 利益は還流】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110702000102.htmlと社説【原発処理枠組み 国民負担の最少目指せ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013110702000123.html。最後に、asahi.comの記事をもう一つ【東海原発、廃炉先送りへ 解体後のごみ処分場決まらず】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311170282.html)。

 1番目や2番目のような記事にある、こういう現実を見せつけられると、国費投入に反対せざるを得なくなる。「汚染の原因をつくっておきながら除染の責任を十分果たそうとしない東電側に、税金による事業で利益をもたらす構図」や「利益を還流」する構図なんて、醜悪。「NUMOの事業費も電気料金で賄われているため、市民の負担は今後も続く」なんて、腹立たしい限りである。
 福島第一原発4号炉の未使用の核燃料の取り出しが始まったが、より一層厳しい使用済み核燃料の取り出し、さらに、1~3号炉のメルトダウン、メルトスルーした核燃料の取り出しという非常に困難な作業が待っている。一方、「東海原発、廃炉先送りへ 解体後のごみ処分場決まらず」とあるにもかかわらず、東電は柏崎刈羽を再稼働させたくてしょうがないらしい。原子力人災の「直後」だというのに、原発人災・汚染の原因者が「税金による事業で利益をもたらす」醜悪な構図の下で、東電は一体何を望んでいるのだろうか?

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http://www.asahi.com/articles/TKY201311020640.html?ref=com_top6

核ゴミ処分のPR車売却へ 公費4億円、実働199日
2013年11月4日07時25分

【大谷聡】経済産業省は、原発の「高レベル放射性廃棄物」(核のゴミ)を処分する事業を宣伝するために作った自動車を、認可法人「原子力発電環境整備機構(NUMO)」(東京)に売却することを決めた。車の製造・維持に計4億円の公費が投入されたが、車の実働は10年間で計199日。売却先のNUMOの事業費も電気料金で賄われているため、市民の負担は今後も続く。

 売却されるのは、「高レベル放射性廃棄物地層処分模型展示車」。8トントラックを改造したもので、側面から展示スペースが張り出す構造。放射性廃棄物や処分場の模型を積んでいる。

 経産省資源エネルギー庁によると、2002年度に9800万円をかけて製造し、さらに03~12年度の10年間に運営費や改造費計2億9700万円を費やした。原発広報事業の一環で、市民が支払う電気料金がもととなるエネルギー対策特別会計で行われてきた。

・・・・・・・・・。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110702000102.html

除染下請けに東電系企業 税金で肩代わり 利益は還流
2013年11月7日 朝刊

(ブログ主注: 図「除染を受注した東電の関係企業」の説明は以下の通り。
  ・川俣町(大成JV187億円) アトックス(役員に東電OB) 放射線測定(1次)
  ・田村市(鹿島JV33億円) 東電工業(東電の子会社) 道路など除染(2次)
                    尾瀬林業(同) 森林など除染(2次)
  ・川内村(大林JV81億円) 東電工業 除染(2次)
  ・樽葉村(前田JV338億円) 東京パワーテクノロジー(東電の子会社)
                                              放射線管理指揮監督(1次)
                                              放射線測定(2年連続で1次)
                                              除染(二つの工区・いずれも1次)
                    アトックス 放射線測定(1次))

 東京電力福島第一原発事故で汚染された地域で国が費用を立て替えて進めている除染事業で、東電の子会社や東電OBが役員を務めるファミリー企業が、下請けとして参入していたことが分かった。政府・与党内では、除染を国費で負担する機運が高まっている。汚染の原因をつくっておきながら除染の責任を十分果たそうとしない東電側に、税金による事業で利益をもたらす構図になっている。 (大野孝志)

 こうした実態は、本紙が、発注者の環境省福島環境再生事務所に情報公開請求して得た資料で判明した。

 下請け企業の態勢などが記された八市町村分の資料を見ると、元請けはゼネコンだが、うち四つの市町村で東電のファミリー企業が下請けに入っていた。いずれも一次か二次の上位の下請けだった。

 福島県田村市の除染事業では、発電所保守を主業とする「東電工業」(東京都港区)が道路、山林管理業の「尾瀬林業」(荒川区)が森林をそれぞれ担当していた。両社は東電の100%子会社で、ゼネコンの鹿島を筆頭とする共同企業体(JV)の二次下請けに入っていた。東電工業は川内村の除染でも二次下請けに入っていた。

 両社は今年七月に合併して「東京パワーテクノロジー」(江東区)となり、合併後も、楢葉(ならは)町でゼネコンの前田建設JVの一次下請けに入り、除染作業をしていた。放射線測定も来年三月まで契約している。

 また、東電OBが役員を務める保守管理業「アトックス」(中央区)も、楢葉町と川俣町で一次下請けとして放射線測定を担当していた。同社は全国の原発内に事務所があり、福島第一の事故収束作業もしている。

 除染で国が元請けと契約した金額は、四市町村で計六百三十九億円。ファミリー企業にいくら流れているかについては、各社とも明らかにしなかった。

 総額数兆円にのぼるとみられる除染費用をめぐっては、復興予算で肩代わりしている国に対し、東電は返済を拒否。与党内では、今後の事業に関しては国費で進める案も検討されている。

 発注者の福島環境再生事務所は、本紙の取材に対し、「暴力団や反社会的勢力との契約は認めていないが、それ以外は民間同士の契約なので、特定企業の排除を指示することはできない」と答えた。

<東京電力の話> 東電グループとして住民の一日も早い帰還、安心につながる除染に尽力している。人的、技術的に展開することは重要な使命だ。

<東京パワーテクノロジーの話> 今後も引き続き「福島復興」に貢献できるよう、東電グループの一員として除染に取り組む。

<アトックスの話> 放射線管理の専門知識と経験で「福島復興」の役に立ちたい。復興への参画は、雇用維持の点でも重要だ。

<元請けのゼネコン各社の話> 個別の取引内容なので、回答は差し控えたい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013110702000123.html

【社説】
原発処理枠組み 国民負担の最少目指せ
2013年11月7日

 政府与党は東京電力福島第一原発の事故処理で国が前面に出る方針だが、安易な税金の投入は許されるはずもない。東電の全費用負担を変えるのなら、破綻処理の方が現実的だ。

 現在の事故処理の枠組みは、当時の民主党政権が二〇一一年八月に成立させた原子力損害賠償支援機構法に基づき、事業者である東電に責任を負わせている。その上で、政府の原子力損害賠償支援機構が賠償や除染費用について東電に五兆円を上限に貸し出し、東電や電力他社に返済させる仕組みであった。

 しかし、東電は除染や廃炉費用を合わせると負担が十兆円を超える可能性があるとして、昨年十一月には国に支援を求めた。だから現状の枠組みは、すでにこの時点で破綻していたのである。

 安倍政権は汚染水問題が東京五輪招致に悪影響を与えかねないと懸念するに及んで、今年九月に四百七十億円の国費投入を決めた。なぜ、それまで国が前面に出ることができなかったかといえば、東電をつぶさず、あくまで民間企業として延命させて事故処理させる枠組みだったからである。

 東電の負担能力は限界に達しているうえ、安全対策の費用にも節約に走る企業体質では、存続させるのはむしろ危険である。政府与党は東電存続にこだわる理由を「賠償や除染費用が出なくなり、金融市場にも混乱を来す」というが、本当にそうか。

 国が前面に出て国民の血税を投入する以上、東電に投資や融資してきた株主、金融機関に負担を求めるのは筋であり、破綻処理して責任を明確化すべきだ。新たな法的枠組みをつくるのは、その後である。それもせず、やみくもに東電存続にこだわるのであれば、東電と政界・官界との癒着や、東電延命のために当局と金融機関とが歩調を合わせているなどと勘繰られても仕方あるまい。

 新しい枠組みとしては、東電を破綻処理したうえで、事故処理や廃炉に専念する原発部門と、事業収益で負債を返済していく発送電部門に分社する方が現実的ではないか。電気事業法で優先弁済を定められた電力債(約四兆四千億円)は全額保護するとしても、借入金については債権放棄を求める。

 原賠機構から東電への貸し出し(交付国債)に伴う利払い費で七百億円近い国民負担が生じているのである。無責任な形で、これ以上の税投入を許してはならない。
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http://www.asahi.com/articles/TKY201311170282.html

東海原発、廃炉先送りへ 解体後のごみ処分場決まらず
2013年11月18日05時57分

【松浦新】国内の商業用原発として初めて廃炉を決めた日本原子力発電東海原発(茨城県)が、来年度から予定している原子炉の解体作業を先送りし、廃炉が遅れる見通しになった。原子炉内の部品や制御棒など、解体後に出る「廃炉のごみ」を埋める処分場がいまだに決まっていないからだ。

 商業用原発では、2008年に中部電力浜岡原発(静岡県)の1、2号機、11年に事故を起こした東京電力福島第一原発(福島県)の1~4号機の廃炉が決まり、5、6号機も廃炉が検討されている。ほかに運転を始めてから30年以上の古い原発も15基あり、「原則40年」で運転を終えるなどして廃炉が相次ぐ見通しだ。だが、いずれも処分場のめどは立たず、廃炉の道筋はできていない。

 東海原発は66年に国内初の商業用原発として運転を始め、98年に運転を終えた。これを受けて政府は、廃炉のため、原子炉内の部品などを「低レベル放射性廃棄物」として50~100メートルの地下に埋める「余裕深度処分」の方針を示した。
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●破廉恥な行為: 「首相自ら途上国への原発セールスに駆け回る」

2013年06月21日 00時00分04秒 | Weblog


asahi.comの「社説 脱原発政策―廃炉促進へ専門機関を」http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup、6月3日)、東京新聞の一連の記事(「コラム筆洗」http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013060302000117.html「【社説】週のはじめに考える お地蔵さんはなぜ怒る」http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060902000107.html、「原子炉など処分場未定 中程度汚染 事業者も決まらず」http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013061102000100.html「核燃料取り出し 20年度前半にも  課題山積のまま 前倒し」http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013061102000101.html「【社説】福島廃炉計画 言葉より成果を見たい」http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013061202000159.html「もんじゅ研究、継続を確認 文科省部会、推進の方針変えず」http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013061201001965.html)。

 税金投入には反対ではない。でも、まず、電力会社と自民党(元)議員の責任を明確化すべきだ。原子力ムラ住人の責任の明確化を。税金の投入の前に、彼らに経済的な責任も取らせるべきである。処理法も処分法もないのに、いまだに原発推進を図り、輸出までするような破廉恥なマネはやめてほしい。

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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup、6月3日】

2013年6月3日(月)付
社説
脱原発政策―廃炉促進へ専門機関を

 できるだけ早く、原発に頼らないエネルギー社会をつくる
 福島の原発事故を経験して、多くの人たちがその思いを強くした。
 ただし、原発の後始末はやっかいだ。強い放射能に汚染された構造物や使用済み核燃料の処分には、時間もお金もかかる。技術的な課題も多い。電力会社は、負担の重さから廃炉に二の足を踏みがちだ。

■先送りへの懸念
 こうしたなか、経済産業省が廃炉を促す環境づくりに乗り出した。廃炉にともなう損失の計上をめぐって、会計処理を弾力化させる見通しだ。
 方向性には賛成する。ただ、これだけで原発の処理が一気に進むわけではない。
 廃炉の決定や放射性廃棄物の管理・処理を、国が主導する仕組みに改めなければならない。あわせて、業務を担う専門機関の設立も検討すべきだ。
 日本は原発について「国策民営」をとってきた。原発は各社の資産であり、廃炉も使用済み燃料の取り扱いも、一義的には事業会社が責任を負う。
 事業者は巨額の建設費を回収するために、原発を極力長く使い、その間に廃炉費用を積み立てるのが前提だった。
 だが、事故を機に状況は大きく変わった。
 日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)は建屋の真下を活断層が走っていると、原子力規制委員会から認定された。今後も、新しい知見にもとづく規制基準を満たすことができず、廃炉を前倒しで求められる原発が出てくる。
 ところが、電力会社の経営は厳しい。火力発電の燃料代がかさみ、大手10社の3月期決算では原発を持つ9社のうち8社が赤字となった。純損失の合計は1兆6千億円近くに達する。
 このままでは、事業者の経営上の問題から、廃炉が先送りされるおそれがある。
 経産省が廃炉に対する特例を設けるのも、そのためだ。
 事業者が当初の計画より早く原発を閉める場合に、費用の積み立て不足や資産価値の目減りによる損失を、複数年度に分割して計上するのを認める方針という。

■世界では政府が関与
 世界を見渡すと、原発が国営だったなごりもあり、後処理に政府が関与する体制が目立つ。
 最終処分場の候補地選び、核不拡散やテロ対応など、国内外において粘り強い交渉や協調が求められるからだ。
 たとえば、英国は05年に「原子力廃止措置機関(NDA)」を設立し、原子力関連施設の解体にともなう政策や監視体制を一元化した。
 実際の廃炉は、国際入札を経て事業者を選び、ライセンスと目標を与え、運営が非効率にならないようにしている。使用済み核燃料のリサイクルで生じるプルトニウムの管理・処分も、NDAの管轄だ。
 ドイツでは、電力大手が所有する原発は自己負担での廃炉が前提だ。このため、メルケル政権が原発全廃を決めると、複数の社が政策変更による廃炉で損害が生じるとして、国に賠償を求める訴訟を起こした。
 一方、旧東独圏内にある老朽原発を主な対象とする廃炉専門の国営企業(EWN)があり、こちらは政府が廃炉を担う。
 そこで、電力大手も実際の廃炉作業では、将来の廃炉ビジネスをにらんで業容拡大をはかるEWNに委託するか、自ら取り組むか、損得をはかりながら両にらみで模索している。

■税金の投入も選択肢
 日本でも、原発の後始末を進めるには、会計処理の弾力運用だけでは不十分だろう。
 福島事故を教訓にすれば、新しい規制基準をクリアしても、事故の際の住民避難が現実的に難しい原発などは閉じていく必要があるからだ。
 廃炉の決定権が事業者側にある限り、こうした原発の廃炉は進まない。
 まず国が廃炉に関与するルールを定める。そのうえで、海外とも知識や情報を共有する専門機関を設立し、対象となる原発を移管すれば、効率よく脱原発を進められるのではないか。
 もちろん、処理に必要な費用をだれがどのように負担するか、各社の資産である原発をどう専門機関に引き継ぐか、など数多くの課題がある。
 廃炉費用は国民が払う電気料金から積み立てられているのだから、いっそのこと税金を投入して廃炉を急ぐ。あるいは、当面は最小限の原発は動かし、その原発も専門機関に移して、売電で得られる収益を廃炉費用にまわす――。さまざまな考え方がある。
 世界的な廃炉ビジネスへの参入を想定すれば、電力業界が率先して組織を設けてもおかしくない。原発専業の日本原電の改組も一案だろう。
 政府は早く検討の場を設け、論点を整理し、国民的な議論にかけるべきだ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013060302000117.html

【コラム】
筆洗
2013年6月3日

 高速増殖原型炉もんじゅの点検漏れ問題で辞任した日本原子力研究開発機構(原子力機構)の鈴木篤之前理事長への退職金支払いが検討されている、という記事があった▼「こういう組織が存続していること自体が問題だ」。原子力規制委員会から痛烈に批判された原子力機構は理事長辞任後も、茨城県東海村の実験施設で研究者ら三十四人が被ばくする放射性物質漏えい事故を起こしている▼解任以外、退職金を支払う規定になっているという言い訳を聞き、二年前の「更迭騒ぎ」を思い出した。更迭されたはずの経済産業省の松永和夫事務次官(当時)以下三人の幹部の退職金が千二百万円ほど上積みされた。組織上の都合で退職を求めるため、勧奨退職扱いになるという話だった▼「ほとぼりが冷めれば、三人は天下りするのだろう」。当時、小欄でそう書いたが、案の定、一年もたたずに、松永氏は損保ジャパンなどの顧問に、細野哲弘資源エネルギー庁長官はみずほコーポレート銀行の顧問に納まっていた▼高級官僚の方々は、もうほとぼりは冷めたと判断したのだろう。国民を愚弄(ぐろう)するにもほどがある安倍政権は原発の海外への売り込みや再稼働に積極的だが、原発事故が風化することを内心、歓迎しているなら大間違いだ。きのうも数万の市民が国会議事堂を囲んだ。地からわき上がる声を侮らない方がいい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060902000107.html

【社説】
週のはじめに考える お地蔵さんはなぜ怒る
2013年6月9日

 福島の事故などないかのように、政府は原発の輸出に突き進む電力会社はひたすら再稼働を急ぎます人はこうして、過ちを繰り返してしまうのか
 ことし三月、宮城県気仙沼市の山の手に、一軒の地蔵堂が建立されました。
 発願は俳優の滝田栄さん(62)。二十年前、母親の供養のために仏像を彫り始め、これまでに約二十体を手がけています。
 地蔵堂の建設費千五百万円は、全国からの寄付で賄いました。
 滝田さんがそこに安置した「気仙沼みちびき地蔵」は、クスノキの一木造り。高さ百三十センチの地蔵菩薩(ぼさつ)立像で、光背や台座を含めると二メートルに届きます。
 長野県原村のアトリエにこもって、四カ月で彫り上げました。
 目を閉じて、果てしない廃虚を思い浮かべた。その中に自分を立たせ、誰かに救いを求めようとした時に、地蔵菩薩の姿が見えた。
 お地蔵さんは、あらゆる命をはぐくむ大地のような力を宿し、苦悩する人々を無限の慈悲で包んでくれるといわれています。
 気仙沼のみちびき地蔵も、路傍の石地蔵のように丸い柔和な顔立ちです。
 ところが、じっと見ていると、時折不動明王のような厳しさをのぞかせることもある。作者自身もそう言います。
 なぜか。
 滝田さんは三十三歳の時、NHK大河ドラマ「徳川家康」の役作りを通じて仏教に触れ、釈迦(しゃか)の生き方に共感し、五十二歳で「レ・ミゼラブル」の舞台にひと区切りをつけたあと、インドに渡ってその足跡を追いかけました。

何を求め、何を急ぐ
 滝田さんは振り返る。
 「お釈迦様はおっしゃいました。悲しみや苦しみの原因をつくってはいけません。煩悩とか、欲とかいうのは、本当に苦しみの種をまいて歩いているようなものだから。一時のそれに目がくらみ、人生を誤るようなことをしてはいけません-。実はね、これしか言っていないんですよ」
 3・11は戦後最大の転換点だと思われます。
 日本は、私は、どこで、何を間違えたのだろうかと来し方を振り返り、本当にこのままでいいのだろうかと行く末を占うために、滝田さんはお地蔵さんを彫り、人々が集うことのできるお堂を建てたのでしょうか。
 「失敗や過ちは必ずある。でも、それを繰り返すのは無知だから。無知は罪」
 みちびき地蔵が、そう語りかけてくるようです。
 過去から学び、大切な何かを見いだして、今を改めなければいけない時なのに、なかなかそれがかないません。
 滝田さんの言葉を借りれば「原発を見ても、経済界や社会の動きを見ても、もうすでに“お金に向かって走れ”の昔」に戻りつつあるのでしょうか。
 政府の顔色をうかがいながら、電力会社はあからさまに原発再稼働を急いでいます。経営の安定が何より大事と言いたげに。
 原発事故に故郷を追われた人々がいまだ十五万人もいて、十分な補償も受けられず、「原発がなければこんな悲劇は起こんねえ」と、声を振り絞っているのにです。
 政府は成長戦略に余念なく、福島事故の原因が究明されていないにもかかわらず、首相自ら途上国への原発セールスに駆け回る。
 事故現場では、絶え間なくわき出る放射能汚染水の行き場さえ見つからず、廃炉への道筋も付かないままに。
 公表されたばかりの「環境白書」の中からは、前の年には強調された原発リスクの大きさや原子力規制行政への期待を表すくだりが、姿を消してしまっています。
 その変わり身に、慈愛あふれるお地蔵さんさえ、いや、慈愛に満ちていればこそ、いら立ち、あきれ、お不動さんの憤怒の相をのぞかせてしまうのでしょう。

津波の来ない高台で
 地蔵堂は、津波の来ない高台に建てられました。そこに人々が集まって、震災後の生き方やまちづくりについて考え、話し合ってもらえるように。
 落慶法要の当日は、抜けるような晴天でした。揺り戻される時間の中から、映画の場面が心に浮かんできます。
 宮崎駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」。肥え太った人々が、有り余るごちそうに群がり、むさぼるあのシーン。
 これ以上過ちを繰り返さないために、私たちはどのように暮らしていくべきか。お地蔵さんにみちびかれ、自分自身で答えを見つけなければなりません。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013061102000100.html

原子炉など処分場未定 中程度汚染 事業者も決まらず
2013年6月11日 朝刊

 原発の運転や廃炉作業で出る放射性廃棄物のうち、原子炉や制御棒など放射線量が中程度のものを地下に埋める処分場の選定作業が全く進んでいないことが分かった。これらの廃棄物は地下五十~百メートルに埋設する規定になっており、「余裕深度処分」と呼ばれるが、事業主体も決まっていない。今後本格化する廃炉作業の遅れが懸念される。 
 原発から出る使用済み核燃料は再処理され、残った放射性廃液はガラスで固めて三百メートル以深の地層に最終処分する。放射性廃棄物は、この「高レベル」と、それ以外の「低レベル」の二つに大きく分けられる。
 余裕深度処分の対象となる廃棄物は「低レベル」の範囲に含まれ、放射線量が比較的高めの部材だ。制御棒をはじめとする原子炉内の構造物や原子炉圧力容器、一定レベルの廃液などが当てはまる。
 余裕深度処分は、国の原子力委員会が一九九八年に示した「低レベル放射性廃棄物処分の基本的考え方について」という文書に初めて盛り込まれた。
 その後、電力全十社でつくる電気事業連合会(電事連)などで検討を開始。日本原燃が運営する核燃料サイクル施設(青森県六ケ所村)の敷地内で地盤などの調査に着手。二〇〇三年から長さ約一キロ、深さ約百メートルの試験坑道が掘られ、〇六年に完成した。〇七年から経済産業省資源エネルギー庁から委託を受けた研究機関が調査、研究を続けている。
 高レベル廃棄物は、原子力発電環境整備機構(NUMO(ニューモ))が候補地となる自治体を探しているが、現時点で応募はない。余裕深度処分の処分場の選定作業も放置されたままとなっている。
 現在、東海原発(茨城県東海村)、浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)で廃炉作業が進行中だ。さらに、直下に活断層がある敦賀原発2号機(福井県敦賀市)や稼働四十年以上の老朽化原発が続々と廃炉になる可能性がある。
 電事連広報部は、余裕深度処分に関して「処分場の場所は現段階では決まっていない。各電力会社共通の課題として考えていくべきものと認識している」と話している。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013061102000101.html

核燃料取り出し 20年度前半にも  課題山積のまま 前倒し
2013年6月11日 朝刊

 東京電力は十日、福島第一原発の廃炉作業で、原子炉内に溶け落ちた核燃料の取り出しを、最も早くて二〇二〇年度前半に始める計画案を発表した。しかし、未解決の課題も多く、見込み通りに作業が進むか不透明だ。
 東電は建屋上部にクレーンを設け、核燃料を取り出す計画。1、2号機でそれぞれ三通り、3号機で二通りの工程を示した。作業状況を見て、どの工程で進めるか決める。
 最も早い工程では、二〇年度前半から1、2号機の核燃料を取り出し始める。米スリーマイル島原発事故を参考にまとめた従来計画より一年半の前倒しとなる。これ以外の工程では従来より二~三年遅れる。
 がれきが多く残る3号機は、早くても従来と同じ二一年度後半の開始になる。
 取り出し作業を始める前提として、格納容器を水で満たす必要がある。溶けた核燃料が出す強い放射線を遮るためだが、水漏れしている容器をどう補修すればいいか分かっていない溶けた核燃料の状態も確認できておらず、取り出し作業にどれだけの時間がかかるかも見通せていない
 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は「廃炉作業の完了時期がどうなるかは言えない」と述べた。計画案は、地元の意見を聴いた上で正式決定する。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013061202000159.html

【社説】
福島廃炉計画 言葉より成果を見たい
2013年6月12日

 メルトダウンした核燃料を一年半早く取り出せるかもしれない-。政府と東電は、福島第一原発の廃炉計画を見直して言う。だが避難を強いられた住民、また国民は、何より、着実な成果を見たい。
 福島1、2号機では、圧力容器を突き破って固まっている、核燃料の「デブリ」の回収を始める時期が、これまでの見通しより一年半ほど前倒しされるかもしれないという。
 デブリとはもともと、破片とか残骸を指すフランス語。溶融燃料は文字通りそんな状態だろう。
 前倒しと言っても、実際に作業の準備が整うまでにあと七年。しかも構内の除染が進み、建屋の上部にクレーンなどが順調に取り付けられた場合のことである。
 それよりも、溶け落ちた核燃料が、どこへ、どんな状態で散らばっているのか、現段階では分からない。作業はおろか、放射線が強く、人が近づけるような状態ではない。前倒しの見通しは、甘いというしかないだろう。
 日本で初めて廃炉作業に取りかかった茨城県東海村の東海原発は、一九九八年に営業運転を終了し、二〇〇一年に燃料棒の取り出しを終えた。だが準備作業の遅れから、原子炉の解体にかかるのは、来年にずれ込んでいる。
 一九七九年にメルトダウンを起こした米国のスリーマイル島原発では、圧力容器内の溶解だったが、すべての燃料取り出しには十一年の年月を費やした。
 八六年に大爆発した旧ソ連のチェルノブイリ原発では、核燃料は飛散状態でもあり、取り出すことをあきらめ、コンクリートで固める「石棺」にした。しかし、その石棺も腐食が進み、それをさらに覆う棺が必要になった。
 事故がなく、炉内の様子を把握できても、原発を安全に葬ることは極めて難しい。
 ましてや福島の場合、複数基爆発という世界に例のない難事業、甘い見通しは禁物である。
 事故から二年三カ月。技術大国のはずなのに、作業ロボットはなぜまだできないのか。地下水はなぜ止められないのかと、福島県民は気をもんでいるだろう。
 時間がたてば、施設全体の劣化は進む。余震のたびに、不安を募らせている人も多いに違いない。
 長期の見通しはもちろん必要である。だが今大切なのは、少しずつでも具体的な成果を示し、安心安全が近づいていると実感できることではないか。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013061201001965.html

もんじゅ研究、継続を確認 文科省部会、推進の方針変えず
2013年6月12日 20時47分

 高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)の今後の研究計画を検討する文部科学省の作業部会は12日、夏をめどに策定する計画について今後も議論を続け、予定通り策定する方針を確認した。もんじゅは多数の機器の点検漏れが発覚し、原子力規制委員会が事実上の運転禁止命令を出したが、作業部会は研究推進の方針を変えない姿勢を示した。
 この日の会合で、文科省の担当者は「研究成果の取りまとめや、核廃棄物の減量化に向けた研究計画について引き続き議論する」と説明。異論はなかった。
 会合では、運営主体の日本原子力研究開発機構の組織見直しを集中的に議論した。

(共同)
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●借金と死の灰、どちらが本当の負の遺産なのか?

2012年08月18日 00時00分17秒 | Weblog


今頃から廃炉の研究なんて、なんて無責任な人たちなんだ、という東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012081302000081.html)。

 赤字国債なんてなんのなんの、こちらこそ真の意味での子や孫の世代への負の遺産。低レベル放射性廃棄物で300年、高レベル放射性廃棄物、つまり核廃棄物・死の灰では、子や孫どころではなく、10,0000年100,0000年。一体何世代やら?
 東京電力原発人災の炉が冷温停止「状態」なんて、現実からほど遠い。原発再稼働や輸出、建設再開なんて、絶対にダメだ。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012081302000081.html

福島廃炉で研究チーム 産官学連携し技術開発
2012年8月13日 朝刊

 政府は、民間の原発関連会社や大学などの研究機関と連携し、東京電力にも協力を求め、福島第一原発の廃炉処理に向けた技術開発を進める研究チームを九月にも発足させる方針を固めた。福島のように炉心溶融(メルトダウン)した原子炉を廃炉にする技術がないのに加え、今後は老朽化した原発の廃炉処理が相次ぐため、政府主導で技術を確立させる必要があると判断した。政府は廃炉の財政支援も検討する。
 ただ、福島第一原発の廃炉費用は数兆円に上る見通し。東電は自力で賄うのが困難になった場合、新たな支援を政府に要請するとしている。政府は、福島の復興には廃炉処理が不可欠として理解を求めていく考えだが、技術開発を進めるうちに、なし崩しに国民の税金で廃炉費用を負担する仕組みができる懸念もある。
 経済産業省など関係省庁は、技術確立の研究費として二〇一三年度予算案の概算要求に約一億円を計上する。民間も資金を出し、総額は数億円。研究チームは一三年度予算の成立を待たず、先行して民間資金で運営する。
 研究チームが開発を目指す技術は、炉心溶融した核燃料を取り出す機械や、高い放射線量下でも誤作動しないコンピューターなど。日本では現在、廃炉技術を持つのは東電などに限られており、民間の技術を政府に集積する狙いもある。
 廃炉費用については、今の法律では政府が直接支援できない。政府は国策として原発政策を進めてきた経緯を踏まえ、廃炉処理に関与できるようにすることも含め、廃炉手続きを定めた原子炉等規制法の改正や新法制定を検討する。
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●戦争と原発: 伊丹万作さん「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」

2012年08月16日 00時00分02秒 | Weblog


戦争責任に関するasahi.comの記事(http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000901112220002)。戦争と原発についての東京新聞の二つの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012081502000144.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012081590135501.html)。関電に騙されたという話の東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012081502000108.html)。最後に、原発輸出についてasahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/intro/TKY201208140565.html)。

 数日前の朝日新聞生活欄に伊丹万作さんの記事が出ていたので、検索したが出てこず。その代り、同様な内容の古い記事『声を上げない国民性 またも』が出てきた。
 伊丹監督の言葉。「多くの人が戦争でだまされていたというが、だまされるということ自体がすでに一つの悪である/だますものだけでは戦争は起こらない/だまされていた、といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう」。

   『●『戦争の世紀を超えて』読了
   『●『スクリーンの日本人 ~日本映画の社会学~』読了(2/3)
   『●『だまされることの責任』読了(1/3)
   『●『だまされることの責任』読了(2/3)

いままさに、原発再稼働で「騙されることの責任」が生じようとしてはいないだろうか? あの「戦争」とこの「原発」、同じじゃないのか? 東京電力原発人災以降に、原発再稼働原発輸出、「平気でいられる国民」であってはならない。
 「関西電力管内の最大電力需要が二千六百八十一万キロワットで、猛暑だった二〇一〇年夏よりも四百十四万キロワット、率にして13%下回っていたことが分かった」そうだ。またしても、「だまされるということ自体がすでに一つの悪」をなしてしまったのかもしれない。

 もちろん、騙す者が最大の悪ではある。そして、原発輸出でベトナムトルコ・リトアニア・ヨルダンの人たちを騙す側に。東京電力原発人災で、損害賠償などしようもないことが分かった我々が。

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http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000901112220002

回顧2011みえ
声を上げない国民性 またも
2011年12月22日

 「原発」と「戦争」を同列に論じるのは、乱暴かもしれない。だが、「芦浜原発」阻止を訴える詩を残した錦米次郎(よねじろう)には、重なり合って見えたに違いない。
 8月に連載した「戦争と詩人」の取材で、その生涯をたどった。農家の日々の生活から社会を見つめた詩作の原点は、3度の戦場体験にあった。
 最初は、満州事変後の中国東北部(旧満州)に出征。大虐殺と国際的な非難を浴びた南京事件の現場にも立たされた。そして、再召集された南部仏印(ベトナム)で終戦を迎え、数多くの農民の餓死や対仏解放運動を目の当たりにした。
 戦場では、弱い立場の人々が犠牲を強いられる生活、人生、命、すべてが踏みにじられる。そして、貧しい農家の錦がそうだったように、同じ立場の人々が最前線で「加害者」にもさせられる。戦場の本質は、いつの時代も変わらない。
 錦は「芦浜原発」の立地計画があった南伊勢町と大紀町境の予定地に自ら足を踏み入れ、漁民たちから話を聞いた。誰もが受ける電気の恩恵のために、なぜ地方だけがリスクを負わされなければならないのか。漁民の生活はどうなるのか。建設の先に錦が見たのは、戦場と同じ犠牲だったのだろう。
 80年前、この国は満州事変を起こし、破滅の道を突き進むように15年近く戦争を続けた。「大東亜共栄圏」「五族共和」「自存自衛のための聖戦」。大多数の国民が信じた。錦自身も「国家の絶対を疑わなかった」と戦後に書き残した。
 錦の言葉に考えをめぐらせながら、映画監督の故・伊丹万作が終戦翌年に書いた「戦争責任者の問題」という一文を思い出した。

   《多くの人が戦争でだまされていたというが、
    だまされるということ自体がすでに一つの悪である/
    だますものだけでは戦争は起こらない/
    だまされていた、といって平気でいられる国民なら、
    おそらく今後も何度でもだまされるだろう》

 「戦争」を「原発」に置き換えると、錦の視点がとらえた戦後社会の本質が理解できるように思える。それは、終戦の後も変わらなかった社会構造であり、自分で考え、声を上げることが少ない国民性ではないか。連載を終え、そう感じている。(中村尚徳)

◎錦米次郎
 1914~2000。戦後、三重詩話会を立ち上げ、今年60周年を迎えた「三重詩人」を創刊。四日市公害、長良川河口堰(かこうぜき)、成田空港建設といった社会問題に関心を持ち続けた。1937年の南京事件を題材にした「南京戦記~わが軍隊手帳」(85年)などの作品のほか、代表的な詩集に「百姓の死」がある。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012081502000144.html

【社説】
戦争と原発に向き合う 未来世代へ責任がある
2012年8月15日

 広島、長崎の原爆忌を経て、六十七回目の終戦記念日です。東日本大震災と福島第一原発事故後の八月は、戦争と原発に向き合う月になりました。
 毎週金曜夜に恒例となった首相官邸前の反原発デモは、ロンドン五輪の晩も、消費税増税法成立の夜も数万の人を集めて、収束どころか拡大の気配です。政府の全国十一市でのエネルギー政策意見聴取会でも原発ゼロが七割で「即廃炉」意見も多数でした。
 二〇三〇年の原発比率をどうするのか。原発ゼロの選択は、われわれの価値観と生活スタイルを根元から変えることをも意味します。その勇気と気概、覚悟があるか、試されようとしています。

内なる成長信仰なお
 それまで散発的だった各地の反原発抗議行動の火に油を注いだのは、関西電力大飯原発の再稼働を表明した野田佳彦首相の六月八日の記者会見でした。安全確認がおざなりなうえに、「原発を止めたままでは日本の社会は立ちゆかない」と、再稼働の理由が経済成長と原発推進という従来の国策のまま。「夏場限定の再稼働では国民の生活は守れない」とまで踏み込んでいました。
 反原発や脱原発の市民が怒る一方で財界、産業界が安堵(あんど)、歓迎したのはもちろんです。最大手全国新聞の主筆は野田首相の「反ポピュリズム」的決断と評価、「電力・エネルギー不安を引き金とする経済破局は避けられるに違いない」と論評しています。
 原発に関する世論調査では奇妙な傾向に気づきます。新聞やテレビの調査では、原発ゼロを求める声は、街頭に繰り出しているような勢いがなく、日本経済のために原発推進が少なくないことです。四十年前、水俣病の原因がチッソ水俣工場の廃液だったことが判明したあともチッソ擁護市民が少なくなかったように、フクシマ後も。われわれの内なる成長信仰は容易には変わらないようです。

倫理と規範と人の道
 しかし、経済以上に忘れてはならない大切なものがあります。倫理や規範、あるいは人の道です。
 作家村上春樹さんは、昨年の六月、スペイン・バルセロナのカタルーニャ国際賞授賞式のスピーチで、福島原発事故をめぐって「原発を許した我々は被害者であると同時に加害者。そのことを厳しく見つめなおさないと同じ失敗を繰り返す」と語りました。
 村上さんの悔恨は、急速な経済発展の途上で、「効率」という安易な基準に流され、大事な道筋を見失ってしまったことでした。核爆弾を投下された国民として技術と叡智(えいち)を結集、原発に代わるエネルギーを国家レベルで追求、開発する。それを日本の戦後の歩みの中心命題に据えるべきだった。そんな骨太の倫理と規範、社会的メッセージが必要だった。世界に貢献できる機会になったはずだったというのです。我々は原発に警告を発した人々に貼られたレッテルの「非現実的な夢想家」でなくてはならないのだ、とも。
 日本の原発は老朽化の末期症状から大事故の危険性があり、廃炉の研究も十分には進んでいません毎日大量に生み出される低レベル放射性廃棄物で三百年、高レベルだと十万年の厳重な隔離管理が必要です。人知が及ばない時空、利便や快適な生活のために危険な放射性廃棄物を垂れ流しているとすれば、脱原発こそが、われわれの未来世代に対する倫理であり、人の道だと思えるのです。
 千年に一度の大震災と原発事故は、人々を打ちのめしましたが、日本が受け入れてきた西洋文明や思想、科学技術について考える機会ともなりました。文明の転換期のようです。成長から脱成長の時代へ。どんな時代、国、社会へと変わっていくのかは不確かですが、この国には信じ、愛するに足る人たちがいます。
 文学者のドナルド・キーンさんは、日本への帰化に際して、作家高見順が戦争中に日記に書いたのと同じ結論に至ったと打ち明けました。高見順は東京上野駅での空襲の罹災(りさい)民たちが、おとなしく健気(けなげ)、我慢強く、謙虚で沈着なのに感銘して、日記に「こうした人々と共に生き、死にたいと思った」と記したのでした。それは大震災での東北の人々と同じでした。

幸せな生き方さまざま
 在野の思想家の渡辺京二氏が「逝きし世の面影」で紹介したのは、幕末に訪れた外国人の目に映った日本と日本人のすばらしさでした。
 「貧乏人は存在するが、貧困なるものは存在しない」。貧しいけれど人間の尊厳が守られた幸せな人たち。当たり前のことながら、幸せは物質の豊かさではない。かつても、これからも、幸せな生き方はさまざまであることを教えています。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012081590135501.html

惨禍二度とないよう 父は戦死 故郷は汚染
2012年8月15日 13時58分

 「戦争と原発事故がなければ」。大震災による東京電力の福島第一原発事故の影響で、東京都内に避難中の福島県大熊町の多門幸一さん(68)は、追悼式に参列し、失ったものの大きさをかみしめた。戦争で父を、原発事故で代々の土地と生活を奪われた。「二度と惨禍が起きないように祈ります」

 父、七郎さんは終戦前の一九四四年春、会津若松にあった陸軍の連隊に召集された。幸一さんは生後六カ月。七郎さんはすぐに中国・湖南省に出征し、同八月に戦病死した。二十八歳だった。
 戦後、家に届いたのは戦死公報と石ころ一つだけだった。「父の面影さえない。時代とはいえ、意味のない死だった」と話す。
 家は代々のコメ農家で、母親は農作業に追われながら、幸一さんら子ども三人を育てた。母親は苦労の中でも夫のことを口にしなかった。幸一さんは、「父がいてくれたら」と幾度となく思った。
 やがて幸一さんは農業を継ぎ、家庭を築いた。その生活は昨年三月十一日の大震災で一変した。家は福島第一原発から約七キロメートル。家は壁が壊れた程度だが、町の呼びかけで「訳が分からないまま妻や町の人と郡山市に避難した」という。原発事故を知ったのは二日後のニュースだった。
 今は東京都練馬区内の娘夫婦の家に身を寄せる。大熊町の家にも何度か一時帰還した。田は荒れ、両親が眠る墓も倒れたまま。放射線量の高い町の除染はまだで、大部分が帰還困難区域となる可能性が高い。「原発は安全」としてきた国や東電に対し、「町は原発の恩恵も受けたけれど、裏切られた思いです」と言葉少なに話す。
 昨年、大熊町から追悼式に参列したのは一人もいなかった。幸一さんも「行ける状態ではなかった」。ただ、欠かさなかったお盆の墓参りも、今までのようにはいかない。「生きているうちに家に戻れるかどうかも分からない。式で父に震災を報告し、農作物を作れないことを謝ります」と話した。 (星野恵一)

(東京新聞)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012081502000108.html

猛暑の10年より13%低く 関電管内 節電要請6週間 最大需要
2012年8月15日 朝刊

 政府が七月二日に始めた節電要請から六週間の八月十二日までの間、関西電力管内の最大電力需要が二千六百八十一万キロワットで、猛暑だった二〇一〇年夏よりも四百十四万キロワット、率にして13%下回っていたことが分かった。
 最大需要を記録した日の最高気温は今夏も一〇年夏もほぼ同じだが、今夏は東京電力福島第一原発事故を背景に企業や家庭の節電が需要を押し下げた。
 政府や関電は「一〇年並みの暑さになれば電力が大幅に不足する」として大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町、いずれも出力百十八万キロワット)を再稼働する根拠にしていた。関電広報室の担当者は「節電協力のおかげ。今後は気温上昇による需要増加や発電所のトラブルも想定され、需給が厳しくなる可能性もある」と説明した。
 これまでの最大需要は、大阪市の最高気温が三六・七度に達した八月三日午後二時台。一〇年夏は八月十九日に最大需要を記録したが、その時の気温は三六・六度だった。
 関電管内は大飯3、4号機が七月二十五日までにフル稼働した。直前の需要予測に基づいた電力供給量に対し実際どれだけの電力が使われたのかを示す電力使用率は最大需要を記録した八月三日でさえ、89%で10%以上の余裕があった。
 今夏は企業や家庭の節電が定着し、気温が三五度を超える平日の猛暑日でも最大需要は二千五百万~二千六百万キロワット台で推移した。
 本紙が今夏の発電実績を参考に原発を除く関電の発電設備能力を調べたところ、火力、水力、揚水、地熱・太陽で計二千八万キロワット。これに中部電力など他社からの融通電力など七百四十二万キロワットを加えると、計二千七百五十万キロワットで、これまでのところ大飯3、4号機のフル稼働がなくてもカバーできた計算になる。
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http://www.asahi.com/national/intro/TKY201208140565.html

2012年8月15日03時00分
原発事故賠償の整備協力 輸出拡大狙い、ベトナムと覚書

 日本政府は、原発を売り込もうとしているベトナムと14日、事故が起きた場合の損害賠償制度の整備で協力することで合意した。国際的な受注競争を有利に進める狙いがのぞく。しかし日本国内では原発輸出には反対が根強いうえ、賠償もしっかりできておらず、批判が高まりそうだ。
 ベトナムにも原発事故が起きた・・・・・・。
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●東京電力原発人災以降も続く無責任の連鎖

2012年08月04日 00時00分47秒 | Weblog


SPEEDIについての東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012072802000109.html)。玄海原発のボヤ騒ぎについてのasahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/intro/SEB201207270058.html)と、玄海原発1号機の健全性についての記事(http://www.asahi.com/national/update/0727/TKY201207270489.html)。もんじゅにの誤警報についての東京新聞のニュース(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012073002000232.html)。

 原発人災直後の最も重要な時期に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」のデータを公開せずに、多くの人たち、特に、子供を被爆させておいて、何も問題がなかったとでも文科省は言いたげである。ほとんどの人がそんなシステムがあることさへ知らず、しかも、巨費を投じて、「その時」のために開発されたにもかかわらず、結果として何の役目も果たさなかった。誰も責任をとらないし、なあなあでコトを済ませている。我が国に連綿と続く無責任の連鎖の一つ。
 ボヤが起きた九電玄海原発では、漏電の原因になる機械の故障や作業ミスはなく、原因がわからないまま調査をやめたそうだ。早く再稼働したいものね、臭いものには蓋を!! また、経済産業省原子力安全・保安院は玄海原発1号機の老朽化問題について、検討を終え、報告書をまとめるそうだ。「脆性遷移温度が急激に高まっているにもかかわらず、「十分に健全だ」と主張している。「1993年に取り出した金属片は56度だったのが、2009年は98度にまで上昇」し、「予測値を14度超えていた」にも係らずである。つまり、高い温度でも原子炉の材料がガラスのように脆くなり、破壊されてしまう恐れが高まっていることを意味している。保安院は「事故時に原子炉を急激に冷やすと壊れないか検証」し、原子炉内に設置していた金属片について「取り出した金属片を分析し、圧力容器の溶接部を調べたが、異常は見つからなかった」ので、「急激に冷やしても圧力容器が耐えられることも確認した」そうである。どこが原子炉が破壊されない「」になっているのか。むしろ、リスクが上がっていることが確認」されたのではないのか。電力会社や原子力ムラの住人のいい加減さ、それを見過ごした専門家や我々一般市民・利用者にも責任があったはずだ。東京電力原発人災で少なくとも我々は気づいたはずで、このままズルズルと原発再稼働・原発輸出・原発建設再開という「無責任」を続けてはならない。
 さらに、発電もしていないもんじゅ」にバカみたいなカネがかかり、そのお守りに手がかかっているという、どいつもこいつも無責任な話。これも「警報が作動した原因は不明」だそうだ。「もんじゅは原子炉停止中だが、炉内には核燃料が装荷されており、冷却のために一次系、二次系でナトリウムが循環している」という、物理的・工学的・化学的に本当に本当に恐ろしいことが続いていて、加えて、巨大な投資・建設費だけでなく、1円分も発電していないというこちらも経済的に本当に恐ろしい話がいまも続いている。誰か責任をとったのでしょうか? 自民党の何方かが謝罪の一つでもしたのでしょうか??

   『●増殖もしない、発電もしない「もんじゅ」でも儲かる仕組み
   『●パンドラの箱を開けたのは誰だ?

 東京電力原発人災以降も連綿と続く無責任の連鎖、このまま本当に見過ごしていて良いのでしょうか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012072802000109.html

非公表 理由示さず SPEEDI いつ、誰が不明のまま
2012年7月28日 朝刊

 東京電力福島第一原発の事故後、政府は緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」で放射性物質の拡散方向などを予測しながら、当初公表しなかった問題で、文部科学省は二十七日、同省の対応を検証した最終報告を発表した。だが、誰がなぜ公表しないよう決めたのかなど肝心の部分は明らかにしなかった「無用の被ばく」をしたとされる福島県浪江町の避難者からは文科省の姿勢に怒りの声が上がった。 
 SPEEDIは、昨年三月十五日、午後から翌未明にかけ、放射性物質が原発から北西方向に拡散するとの予測結果をはじき出していた。同じころ、南相馬市や浪江町の住民の中には、北西方向の飯舘村方面に避難しようと動いていた。
 文科省が予測結果を公表していれば、住民の被ばくを防げたのではないかというのが最大の問題点だ。
 文科省は十五、十六日に高木義明文科相(当時)ら政務三役と事務方でSPEEDIについて協議。政府事故調の中間報告は「公表すると無用の混乱を招く恐れがある」と出席者から意見が出た、と指摘した。
 文科省の検証チームは、当時三役だった五人全員から話を聞いたものの、いつ、誰が、なぜ非公表を決めたのか、検証結果が一切示されていない
 わずかに、十五日夕の省内打ち合わせで、「(公表すれば)被災地での医療崩壊、ガソリン・医薬品の枯渇などが進み、救急活動などに悪影響を与えかねない」旨の発言があった、とだけ記述。
 公表していれば、被ばくを防げたのかという点に関しては、「否定することまではできない」と記した。公表方法については「関係機関に何らかの助言を行うことを検討すべきだった」と、自らには直接的な公表の責任はないとの認識を示した。
 SPEEDIは、昨年三月二十三日以降、徐々に公開し始めた。
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http://www.asahi.com/national/intro/SEB201207270058.html

2012年7月28日03時00分
「原因分からない」まま調査終了 玄海原発火災で九電

 九州電力は27日、玄海原発(佐賀県玄海町)で照明用のケーブル管が焦げた火災について、原因がわからないまま調査をやめたと発表した。溶接機から漏電したが、その原因になる機械の故障や作業ミスは「なかった」と主張している。
 火災は6月15日、低レベル放射性廃棄物の処理施設でおきた。九電によると、・・・・・・。
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http://www.asahi.com/national/update/0727/TKY201207270489.html

2012年7月27日20時26分
玄海原発1号機「十分に健全」 老朽化問題で保安院報告

 経済産業省原子力安全・保安院は27日、定期検査で運転停止中の九州電力玄海原発1号機(佐賀県)の原子炉圧力容器が予想以上に老朽化しているとの専門家の指摘に「十分に健全だ」とする検証結果をまとめた。保安院はこの日で専門家会合での確認を終え、8月中に報告書をまとめる。
 圧力容器は核燃料から出る中性子で劣化する。電力会社は運転開始時に圧力容器の中に同じ材質の金属片を入れ、取り出して調べている。運転から36年がたつ玄海1号機は、劣化の目安となる「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」が1993年に取り出した金属片は56度だったのが、2009年は98度にまで上昇していた。予測値を14度超えていた。
 保安院は昨年11月から、事故時に原子炉を急激に冷やすと壊れないか検証してきた。09年に取り出した金属片を分析し、圧力容器の溶接部を調べたが、異常は見つからなかった。激に冷やしても圧力容器が耐えられることも確認した。ただ、「予測精度が十分ではない」として学会に見直しの検討を求めた。
 一方、専門家会合では委員から「データが十分でなく炉の状態を把握できない。健全性には疑問がある」(井野博満・東大名誉教授)との指摘も出た。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012073002000232.html

ナトリウム漏れ もんじゅ誤警報 原因不明
2012年7月30日 夕刊

 日本原子力研究開発機構は三十日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で同日午前三時四十分ごろ、二次冷却系の冷却材ナトリウムの漏えいを知らせる警報が作動したと発表した。実際のナトリウム漏れや環境への影響はなかった。
 警報が作動した原因は不明で、同機構が詳しく調べ、結果を経済産業省原子力安全・保安院に報告する。
 もんじゅは原子炉停止中だが、炉内には核燃料が装荷されており、冷却のために一次系、二次系でナトリウムが循環している。
 警報が作動したのは、原子炉補助建屋にある、二次系配管周辺に設置された検出器の一つ。部品を交換したり、作業員が現場を目視で点検したりしたが、ナトリウム漏れは確認できなかったという。
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●核燃サイクルという幻想に、まさに金をドブに湯水の如く

2012年01月10日 00時00分14秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012010590070500.html)。

 こういうことをまさに、金を「ドブに」とか「湯水の如くに」とか言うのでしょう。随分少なく控え目に見積もって十兆円が45年間で「ドブに」「湯水の如くに」捨てられた訳です。何か成果があり社会に貢献できたのならまだしも、「絵に描いた餅」でした。いやそれどころか害悪をまき散らす「毒饅頭」でした。核燃サイクルを続けるかどうかの答えは既に出ていますし、議論しても時間の無駄なのですが、原子力ムラの住人は原子炉の再稼働のために是が非でも核燃サイクル事業を「継続」するでしょう。この事業が実りあるものになるかどうかなど知ったことではなく、「継続することがこの事業の目的になっています。その事業の「継続」の結果として日本という国土が破壊されてしまっては、事業の「継続」も出来はしないというのに。
 東京電力FUKUSIMA原発人災にまつわる種々の問題を金だけで議論するつもりはないのですが、それにしても、「MOX燃料の製造費用は「非公表」(東京電力)」などという事を許していいのでしょうか? なんだかすごく腹立たしいのですが、私だけ??

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012010590070500.html

45年で10兆円投入 核燃サイクル事業めどなく
201215 0705

 原発から出る使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」事業に、この四十五年間で少なくとも十兆円が投じられたことが本紙の調べで分かった。税金や電気料金として支払ったお金が、関連施設の建設費や研究費に使われてきたが、事業が軌道に乗るめどは立っていない。計画の延期を繰り返しても、国策として進めてきたことから費用が膨れ上がった。国は総費用を集計していない。
 福島第一原発事故を受け、政府はエネルギー・環境会議でエネルギー政策の見直しを進めている。今夏、方向性を決める予定だが、今後も膨大な費用が見込まれる核燃料サイクルを続けるのかどうかが大きな焦点だ。
 本紙は、経済産業、文部科学両省や電力事業者などへの取材により、高速増殖炉の開発が国家プロジェクトに指定された一九六六年からこれまでの間、核燃料サイクルに投じられた金額を集計した。その結果、判明分だけで累計九兆九千九百億円余に上った。低レベル放射性廃棄物の処分など使用済み核燃料を再利用する、しないにかかわらず、必要になるとみられる費用は除いている。
 核燃料サイクルで使うプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料の製造費用は「非公表」(東京電力)のため、集計に含まない。過去の金額は現在の貨幣価値に換算しておらず、これらの点も考慮すると、実質的な事業費はさらに膨らむことになる。
 両省が投じた予算の主な財源は、電気料金に上乗せされる電源開発促進税。電力会社が払った資金の大半も、原資は同税とは別に電気料金に上乗せされ、いずれも消費者が間接的に負担している。
 核燃料サイクルをめぐっては、国が主に負担してきた高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の建設費などで一兆円、電力会社が負担してきた再処理工場(青森県六ケ所村)の建設費で二兆円の計三兆円が事業総額であるかのような印象を与えてきた
 しかし、このほかにも電力会社は使用済み核燃料を再処理する費用として、電気料金に上乗せする形で既に二兆四千四百億円を積み立て。再処理後に出る高レベル放射性廃棄物の処分費用八千二百億円の積み立てや、高速増殖炉の研究費六千四百億円など、関連費用も膨大な額に上る
 内閣府原子力委員会の事務局は「核燃料サイクルの事業費の累計について、これまで聞かれたことがないので集計していない」と説明している。

(東京新聞)

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●山下教授へ「被爆に〝しきい値〟など存在しない」

2011年06月29日 00時00分04秒 | Weblog


WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)に出ていた記事http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/06/03/zakzak-jun3/)。いつも本当に有難うございます。

 どこぞの山下教授とは全く異なる見解です。どちらを福島県のアドバイザーとすべきかは明確だと思いますが? 福島の人たち、特に子供達、を被爆し続けさせようとするその意図が分かりません。東電にとってありがたい存在だからでしょうか。犯罪的だと私には思えます。

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http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/06/03/zakzak-jun3/

63 安全な被曝は存在しない 小出裕章 (zakzak)

2011
年6月3日、ZAKZAKに小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)に取材した記事が掲載されました。転載させていただきます。


「低線量でも“安全な被曝”は存在しない」(2011.06.03)

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 最近、「放射線レベルが低いから安全」とか「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」と“専門家”が解説しているのをよく耳にします。しかし、放射線には「しきい値」はありません「安全な被曝」などないのです。


 「しきい値」とは、放射線を浴びて体に症状が出る最低の被曝量を言います。でも、しきい値以下でも、細胞の分子結合が損傷を受けるのは避けられません

 私のこの主張は、低レベル放射線の影響を長年調べてきた米国科学アカデミー研究審議会(BEIR)が’05年に出した見解――「被曝のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。最小限の被曝であっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある」――で裏付けられました。低レベルの被曝であっても、がんの発症率が上がるとの研究結果が出ています。どんなに低線量でも、被曝しないことにこしたことはありません。まして、放射性廃棄物をリサイクルして使用するなど、絶対にあってはならない。

 人形峠のウラン残土の問題でも、「安全です」と繰り返し残土を放置した機構(当時は動力炉・核燃料開発事業団)は、人形峠全体の0.6%にしかすぎない残土すら適切に処理できなかったのです。

 そして、ウランレンガを生産した鳥取県の三朝町では、それを2万個使って公園を造りました。自治体はいい加減な解決に手を貸すべきではないと思います。子供たちが遊ぶ公園に、放射性廃棄物が使われているのです

 残土に限りません。原発からは、運転中も運転停止後も核のゴミが排出されます。そのうち低レベル放射性廃棄物は300年もの管理が必要です。300年後まで責任を持って管理するというのも、非常に大変なことです。

 さらに、原発から排出される高レベル放射性廃棄物は、その管理に100万年必要で、日本では既に広島型原爆110万発分の廃棄物が溜まっています。しかし、この高レベル放射性廃棄物の処分方を確定できた国は世界に一つもないのです

取材・文・撮影/樫田秀樹
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