[※ 宇沢弘文さん『人間の経済』 (https://www.shinchosha.co.jp/images_v2/book/cover/610713/610713_l.jpg)↑]
2019年11月の志真秀弘氏による、レイバーネットの書評【〔週刊 本の発見〕宇沢弘文『人間の経済』 ひたすらな探究心をなにが支えたか? 『人間の経済』(宇沢弘文、新潮新書、720円、2017年4月刊)/評者:志真秀弘】(http://www.labornetjp.org/news/2019/1121hon)。
《社会的共通資本とは何か? 宇沢によると①大気、森林、河川、水、土壌などの自然環境、②道路、交通機関、上下水道、電力・ガスなどの社会的インフラストラクチャー、③教育、医療、司法、金融制度などの制度資本が社会的共通資本の重要な構成要素である。これらを安定して運営することで豊かな社会の発展がえられ人間の自由と尊厳が保障される。それはソ連社会主義の崩壊、グローバル資本主義の矛盾の進行などを見据えて考え抜かれたいわば第三の道ともいえる》。
『●「大切なものは決してお金に換えてはいけない」:
「宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った新自由主義」』
《宇沢氏こそ、アベノミクスが推し進め、竹中平蔵慶大教授が
旗を振っている「新自由主義」に真っ向から反対し、猛烈な批判を
浴びせていたことだ。晩年の宇沢氏は「TPPは社会的共通資本を
破壊させる」と唱え、「TPPを考える国民会議」も立ち上げた。
宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定になるのである》
『●投票者自身の首を絞めてはいけない:「格差是正のための
税制を求め、豊かな層に多く課税すべき」』
「日刊ゲンダイからの再引用「宇沢氏は40年以上前、
ベトナム戦争を批判された米国防長官が経済効率性を理由に胸を
張ったことに愕然とし、「言葉に言い尽くせない衝撃を受けた」
と語っている。以後、平等・公正・正義ではなく、
「稼ぐ」ことだけを目的とした経済学に批判を投げかけてきた。
人材派遣大手・パソナの会長として、巨額の報酬を得ながら、
産業競争力会議のメンバーにもなって、パソナが得をする
雇用改革を推し進めている竹中氏などは、宇沢氏にしてみれば
論外で、蛇蝎のごとく嫌う存在だったのである」(…)。東京新聞
「経済とは、経世済民。世をおさめ、民をすくう。言葉の本来の
意味の経済学者だった」(…)」
《宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定》。《「大切なものは決してお金に換えてはいけない。人生で一番大きな悲劇は、大切なものを国家権力に奪い取られたり、あるいは追い詰められてお金に換えなければならなくなった時です」》とも。《経済とは、経世済民。世をおさめ、民をすくう。言葉の本来の意味の経済学者だった》宇沢弘文さん。
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【http://www.labornetjp.org/news/2019/1121hon】
〔週刊 本の発見〕宇沢弘文『人間の経済』
毎木曜掲載・第134回(2019/11/21)
ひたすらな探究心をなにが支えたか?
『人間の経済』(宇沢弘文、新潮新書、720円、2017年4月刊)/評者:志真秀弘
本書は2009年から2010年にかけて行われた宇沢弘文による講演やインタビューをまとめたもの。2008年9月に起きたリーマン・ショック後の経済社会の混迷を解き明かすことを目的に編集されていたが、かれは2011年3月東日本大震災のさなかに倒れ、2014年に他界してしまう。2017年に刊行されたこの本は文字どおりラスト・メッセージになった。それだけにかれの経済思想の根幹「社会的共通資本」の考えがうまれる道筋がわかりやすく描かれている。
社会的共通資本とは何か? 宇沢によると①大気、森林、河川、水、土壌などの自然環境、②道路、交通機関、上下水道、電力・ガスなどの社会的インフラストラクチャー、③教育、医療、司法、金融制度などの制度資本が社会的共通資本の重要な構成要素である。これらを安定して運営することで豊かな社会の発展がえられ人間の自由と尊厳が保障される。それはソ連社会主義の崩壊、グローバル資本主義の矛盾の進行などを見据えて考え抜かれたいわば第三の道ともいえる。
宇沢はリーマン・ショック以後の世界の混迷ははかり知れず、80年前の恐慌の比ではない。パックス・アメリカーナという一(いち)時代の「終わりの始まり」とみる。これを牽引したのはミルトン・フリードマンの市場原理主義にほかならない。シカゴ大学で宇沢の同僚でもあったフリードマンの主張を、宇沢は金(かね)がすべての「似非経済学」と喝破する。この新自由主義に対するデヴィッド・ハーヴェイの批判を宇沢は評価する。ハーヴェイはマルクス主義者だからというような狭い了見と宇沢は無縁だ。ケインズ=ベヴァリッジにはじまる近代経済学に学ぶことから出発して、しかし、そこに閉じこもらないで、宇沢はさらにみずからの考えを創り上げる。
そこには1966年のシカゴ大学事件も関わっていた。ヴェトナム反戦運動のメッカになったシカゴ大で、成績を徴兵委員会に送るなと要求して学生たちが大学本部を占拠する。成績にかこつけてまず活動家たちから先に前線に送ろうとする政府に反対する行動だった。当時シカゴ大教授だった宇沢は、成績をつけないことを提案し、それが通り占拠は解かれる。が、いくつもの傷が宇沢にものこる。かれとともに調停作業をした助教授の一人は、懲役10年の刑に服する。かれは、のちに宇沢に会い「ノーム・チョムスキーはえらい。54回も逮捕されている。わたしは1回だけだ」と語ったという。
これらのエピソードは宇沢が信義と友情にあつい人であることを物語るだけではない。数学者育ちの思考力と合わせて、かれにはいのちを、人間を、人の心をこそ大切にする宗教心がある。ケインズは、支配者側の心のままだったが、石橋湛山には「仏の心」があったと終章に書かれている。この「仏の心」はほかならぬ宇沢のものでもあって、宗教心も宇沢の経済学への道を貫くものと思えてならない。
かれが数学者の道から経済学研究に転向する契機は、河上肇の『貧乏物語』を読んだこと。万人の生活を良くする道を探究しようとして宇沢は経済学を選んだが、かれにも河上肇と共通する実践的求道者の魂が脈うっていたのだろう。水俣をはじめとする反公害闘争、成田闘争などとの深い関わりからも宇沢の経済思想は生まれた。この本はかれという人間を知る最良の手引きでもある。
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『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。
今週のブログ主のお薦めは、横田一さん【今月の百田尚樹NHK経営委員/国会議員を中傷し「国会に呼べ」 『正論』講演会でも暴言を連発】と【佐々木実の経済私考/知識人とは何か 宇沢弘文の「自己を見返す力」】。
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■①『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 創刊21周年記念号『葬られる戦後平和主義 安倍首相と戦争』。まさのあつこ氏【安倍首相が国際法曹協会で「法の支配」スピーチ 参加弁護士からは批判の声】。アベ様の「闇社会」「暴力団人脈」問題なんて観点からも冗談としか思えない(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/beae9170eb3ab970e4aa27aaf77124cc)
■②『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 松岡瑛理・兼子草平氏【東京大行進の裏で在特会は〝ひっそり〟デモ 差別のない社会を呼びかけ】、「差別のない世界を、子どもたちへ」。自民党には「在特会のシンパ」まで居る始末ですョ(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/62a82250c5ba66a70f10829a76237225)
■③『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 永田浩三氏【籾井会長に元職員ら1700人 「辞任」か「罷免を」】、「まだまだ増える勢いで、理事や局長クラスの経験者を含め、元職員の10人にひとりが署名」。 百田尚樹氏、長谷川三千子氏ら経営委員問題からして酷い(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/58e212b5dfd5f86bcc2fa64d5d490603)
■④『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 北村肇さん【風速計/「道徳」教科化を笑う】、「・・・・・・一方で笑いをかみ殺す自分がいる。単にばかばかしいだけではない・・・・・・自らの首を絞める愚策に気づかない愚かさを笑うのだ・・・・・・原発やヘイト・スピーチについてはどうやってテーマから外すのか」
■⑤『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 北村肇さん【風速計/「道徳」教科化を笑う】、「「積極的平和主義」・・・・・・「愛国主義」との整合性をどう図るのかという難問が生じる・・・・・・安倍的「道徳」は迷走するしかない」。「●石坂啓さん「道徳心とか愛国心とかがコドモたちにとって安全かどうか、なぜ疑ってかからない」」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/dc4c24b29918e25ab0b0fc84e0bc0a3b)
■⑥『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 【大村アスカの政治時評/女性の看板、通用せず 自民とカネの病巣深く】、「姫と普通の人と。どちらもがはまってしまうところに、政治とカネの問題の根深さがある」。アベ様はカネに意地汚いだけでなく「闇社会」「暴力団人脈」・・・(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/beae9170eb3ab970e4aa27aaf77124cc)
■⑦『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 【佐々木実の経済私考/知識人とは何か 宇沢弘文の「自己を見返す力」】、「宇沢は、ミルトン・フリードマンを頭目とするシカゴ学派を指弾」。「●「大切なものは決してお金に換えてはいけない」: 「宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った新自由主義」」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/6bee2c20c8956375296f62c17808d11b)
■⑧『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 横田一さん【今月の百田尚樹NHK経営委員/国会議員を中傷し「国会に呼べ」 『正論』講演会でも暴言を連発】、「土井たか子氏への「売国奴」発言と報道・・・・・・公平中立が求められるNHKに、こんな経営委員が居座っていいのか」
■⑨『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 俵義文さん【徹底追及「慰安婦」問題の本質 自民党による教育への介入で何が起きたか こうして「慰安婦」記述は教科書から消された】、「自民党政府は「河野談話」を継承すると言いながら、そこで約束された「慰安婦」問題の教育を妨害してきた」
■⑩『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 【公開誌上討論1/本多勝一氏×藤岡信勝氏】、「(藤岡氏 南京戦はあったが)南京事件はなかった 「被害者」はゼロ」「(本多氏)「現場」は生存者の記憶にある」。【・・・・・・「公開質問」】(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/00779ae3f3a025e746bcaa10e8e90cc9)
■⑪『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 【対談 軍拡のドミノ倒しが始まる 半田滋×山口二郎】、「理屈付ければ何でもOK・・・・・・後方支援だって戦争・・・・・・9条が自衛隊を守った」。「自衛隊の活動している所は非戦闘地域」内外では一体何が起きていたのか?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b7bf174830af46389179f7c8999df6c9)
■⑫『週刊金曜日』(2014年11月7日、1015号) / 鎌倉孝夫氏【やはりおかしい新自由主義政策 アベノミクスで進む窮乏化と戦争の危機】、「1 ばれる安倍首相の虚言・・2 搾取・収奪で窮乏化が進展・・3 帝国主義的戦争の危機」。ドアホノミクス(© 浜矩子さん)推進中(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eed491456e904b2a247a479b9638cc50)
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nikkan-gendaiの記事【世界的経済学者・宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った「新自由主義」】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153687)と、
東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014092702000151.html)。
『●アベ様と竹中平蔵氏:
「新自由主義」「規制緩和(寄生緩和)」というお題目の裏で・・・・・・』
先日亡くなられたそうですが「宇沢氏こそ、アベノミクスが推し進め、竹中平蔵慶大教授が旗を振っている「新自由主義」に真っ向から反対し、猛烈な批判を浴びせていたことだ。晩年の宇沢氏は「TPPは社会的共通資本を破壊させる」と唱え、「TPPを考える国民会議」も立ち上げた。宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定になるのである」。
この世はカネカネカネ・・・・・・市場原理主義・新自由主義の権化・竹中平蔵氏のような経済学者ばかりかと思っていましたが、宇沢弘文氏は竹中氏とは対極の経済学者だった訳です。「経済とは、経世済民。世をおさめ、民をすくう。言葉の本来の意味の経済学者だった」。
また、「経済学者・宇沢弘文さんはその言葉に怒りを感じたそうだ。「大切なものは決してお金に換えてはいけない。人生で一番大きな悲劇は、大切なものを国家権力に奪い取られたり、あるいは追い詰められてお金に換えなければならなくなった時です」」。すばらしい。アベ様に聞かせてあげたいものです。と言っても、聞く耳持たずでしょうがね。それに加えて、「竹中氏のようなエセ学者が跋扈しないようにメディアは宇沢氏の功績と懸念をもっと伝えなければならないが、大マスコミ自体が新自由主義に毒されているのだから、どうにもならない」。
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【http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153687】
世界的経済学者・宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った「新自由主義」
2014年9月28日
(竹中平蔵パソナ会長/(C)日刊ゲンダイ)
「日本を代表する経済学者」といわれた宇沢弘文東大名誉教授が今月18日、肺炎のために死去した。大手新聞は一斉に訃報と、その業績、生きざまを書いていたが、そこにすっぽり抜け落ちていた部分がある。宇沢氏こそ、アベノミクスが推し進め、竹中平蔵慶大教授が旗を振っている「新自由主義」に真っ向から反対し、猛烈な批判を浴びせていたことだ。晩年の宇沢氏は「TPPは社会的共通資本を破壊させる」と唱え、「TPPを考える国民会議」も立ち上げた。宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定になるのである。
宇沢氏は1951年に東大理学部数学科を卒業した。経済学に転じたのは「世の中を救うのは経済学である」と考えたからだ。米スタンフォード大准教授、カリフォルニア大助教授、シカゴ大教授を経て、東大教授に。70年代以降は市場原理を優先する経済理論や、それを推進する学者の浅ましさを徹底批判したことで知られている。
最晩年にインタビューし、宇沢氏が2011年、脳梗塞で倒れた後も親交を結んでいたジャーナリストの佐々木実氏はこんな思い出を語ってくれた。
「宇沢氏は新自由主義者のノーベル経済学者、フリードマンと
シカゴ大で一緒でした。ある日、みんなでランチを一緒にしていると、
フリードマンが怒っている。ポンド切り下げを見越して、
空売りをしようとしたら、銀行から断られたというのです。それで
怒っているフリードマンの言動に宇沢氏は心底あきれて、
このエピソードを話されていた。稼ぐが勝ちという新自由主義も
おかしければ、それを唱える学者の人間性にも怒っていた。
ノーベル賞クラスの学者でしたから、竹中平蔵氏を名指しで
非難はしていませんが、その政策や生きざまには批判的でした。
実は宇沢氏と竹中氏は日本開発銀(現・日本政策投資銀)の
研究所で一緒だった時期があるのです。その時に竹中氏が
共著にすべき論文を単著で出して大問題になった。それを収めたのが
宇沢氏なのですが、その竹中氏が新自由主義の旗振り役となって、
日本をおかしくしているのですから、皮肉なことだと思います」
宇沢氏は40年以上前、ベトナム戦争を批判された米国防長官が経済効率性を理由に胸を張ったことに愕然とし、「言葉に言い尽くせない衝撃を受けた」と語っている。以後、平等・公正・正義ではなく、「稼ぐ」ことだけを目的とした経済学に批判を投げかけてきた。人材派遣大手・パソナの会長として、巨額の報酬を得ながら、産業競争力会議のメンバーにもなって、パソナが得をする雇用改革を推し進めている竹中氏などは、宇沢氏にしてみれば論外で、蛇蝎のごとく嫌う存在だったのである。
「宇沢氏は学者が政府の会議に入ることにも批判的でした。
宇沢氏の存在があったからこそ、教え子の学者たちは政府の会議で
緊張していた。その重しがなくなると、どうなるのか、心配です」(佐々木実氏)
竹中氏のようなエセ学者が跋扈しないようにメディアは宇沢氏の功績と懸念をもっと伝えなければならないが、大マスコミ自体が新自由主義に毒されているのだから、どうにもならない。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014092702000151.html】
【コラム】
筆洗
2014年9月27日
国が子どもたちへの金融教育に力を入れ始めたころ、時の日銀総裁が講演で、こんなことを話した。「自分の持っている大切なものを手放してお金に換えても、そのお金は価値をきちんと保全し、次に必要なものを手に入れる時に役立ってくれる」▼先日、八十六歳で逝去した経済学者・宇沢弘文さんはその言葉に怒りを感じたそうだ。「大切なものは決してお金に換えてはいけない。人生で一番大きな悲劇は、大切なものを国家権力に奪い取られたり、あるいは追い詰められてお金に換えなければならなくなった時です」▼宇沢さんは十七歳で終戦を迎えた。貧困と失業、経済混乱に苦しむ人々の姿を見て経済学の道を歩み始めた。もともとは医師志望。「経済学は社会を癒やす学問」と考えてのことだ▼数理経済学でノーベル経済学賞候補に挙げられるほどの成果を挙げた頭脳は、社会・経済の病理に苦しむ人に向けられた。その深い洞察力が認められ、ローマ法王の助言役を務めたこともある▼生活の糧の海を大企業の利益のため汚され、健康と命を「換金」させられた水俣の人々や、国策による開発で先祖伝来の地を「換金」させられた人々…。そういう人たちの心が救われるまで「日本経済の貧困は解決できない」と言っていたそうだ▼経済とは、経世済民。世をおさめ、民をすくう。言葉の本来の意味の経済学者だった。
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IMFと世界銀行についての東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101602000116.html)。市場原理主義者 竹中平蔵氏についてのzakzakの記事(http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121015/plt1210151719003-n1.htm)。神保哲生さんのvideonews.comに出ていた、また、CMLに出ていた、これもIMFと世銀の記事(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002556.php、http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-October/020440.html)。
もうすでに数週間が過ぎてしまいましたが、目についた一連のIMFや世銀に関する記事。
ワシントンコンセンサスやブレトンウッズ体制の権化、IMFや世銀に未だに期待を寄せることなんてできるのでしょうか? 近年、IMFや世銀の「マネー」で幸せになった国ってどこかにあるのか? 消費税増税を促すような口出しまでされて(口出しするよう外圧を加えさせて?)、何も感じない? 消費税増税で我が国も不幸のどん底になり、IMFや世銀のおかげで不幸になった国の一例になるのかもしれない。
「小さな政府」という幻想を振りまく竹中平蔵氏が元・大阪〝ト〟知事のバックに、ブレインに。と~ってもお似合いだ。彼らが、大阪市民・府民や日本の国民のことなど何も考えていないことがよく分かるよ。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101602000116.html】
【社説】
IMF・世銀 役割をどう見直すか
2012年10月16日
国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会など東京での一連の会議が閉幕した。世界経済の処方せんを探ったが、具体策を見いだすことはできなかった。国際機関としての役割に問題はないか。
一連の会議では、長引く欧州の財政・金融危機が新興国の経済にも悪影響を及ぼし、世界経済全体が減速する「負の連鎖」をどう断ち切るかが問われた。
米国は急激な財政引き締めが起きる「財政の崖」問題、日本は中国や韓国との対立といった個別リスクも指摘したが「迅速な行動が必要」(ラガルドIMF専務理事)、「自国の利益のみを追求する時でない」(キム世界銀行総裁)と言うばかりで、具体的な進展が見られなかったのは残念である。
その一方で先進国と新興国の対立が目立った。日米欧が九月に実施した金融緩和によりダブついた資金が新興国に流入し、物価高や資源高を招いたとの主張である。こうした新興国側の不満は、IMFの発言権が低く抑えられていることへのいらだちが背景にある。
出資額に比例した発言権は二〇一〇年に見直しが決まったがもう二年も棚上げされたままだ。早急な出資比率の変更や先進国でほぼ独占してきた幹部人事の不透明な手順も見直しが必要ではないか。
肝心の役割についても、IMFは「通貨の安定を守るための世界経済の監視役」という本来の使命を果たせないでいる。今回の欧州危機でも、未然に危機の芽を摘むことはできず、その存在感を示したのは危機が起きてからの救済融資の場面である。
IMFと世銀は、設立された第二次大戦直後から四半世紀は、それぞれ為替相場の安定、途上国支援を役割に世界経済の復興発展に大きく貢献した。しかし、冷戦終結後からIMFは、米国の対外経済戦略「ワシントン・コンセンサス」を実現すべく、規制緩和や市場原理など自由主義的な価値観を全世界に広める役割を担うようになった。アジア通貨危機の対応で固有の文化や慣習を壊すなど負の側面もあった。
もはや米国主導の世界経済でないことは明らかである。先進国だけでは物事を決められず、新興国を含めたG20体制に移行した。IMFが果たすべき役割も必然的に変わる必要がある。アジアや欧州版IMFといった地域組織も視野に、多極化時代を反映した協調の枠組みを整えなければならない。早急に世界で知恵を絞るべきだ。
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【http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121015/plt1210151719003-n1.htm】
維新の経済政策「小さな政府」に逆風! 竹中平蔵氏は諸刃の剣
2012.10.15
次期衆院選で、大量の議席獲得が目されている橋下徹大阪市長率いる新党「日本維新の会」。このところの世論調査では支持率が低下しているが、あまり注目されていない経済政策にも落とし穴がある。キーワードは「小さな政府」と「竹中平蔵氏」だ。
■崖っぷちにある「大きな政府」の民主政権
「これって、小さな政府ですよね」
広島支局から東京政治部に異動となり、半年あまりたった平成14年の早春のころだったと思う。ある大臣秘書官にこんな質問をした。
米国ではブッシュ大統領の政策が「小さな政府」と喧伝されていた。時の小泉純一郎首相も道路公団改革や「三方一両損」による医療制度改革など、その政策は明らかに「小さな政府」を志向しているように見えた。
小泉政権の発足からいえば、1年近く経っていたが、日本では「小さな政府」という言葉を表だって聞くことはなかった。だから、「これって?」と、おっかなびっくりの体で問うたのだったが、答えは「そうですよ」という拍子抜けするほど簡明なものだった。
あれから10年余り。米国では共和党から政権を奪取した民主党が、日本では自民党から政権を奪った民主党が、それぞれ政権を明け渡すかもしれない状況にある。
そして、日本の政局の中心にいるのが、橋下徹大阪市長、松井一郎大阪府知事が代表と幹事長に座る「日本維新の会」。その政策「維新八策」には、首相公選制や国会議員の歳費3割カット、省庁の次官・局長級幹部の政治任用など、波紋を投じた政策が多い。
このため、経済政策はあまり注目されていないが、その理念は明瞭だ。「財政・行政・政治改革~スリムで機動的な政府へ」の中では、明確に「小さな政府」を謳っている。
■「援軍」竹中氏の公募委員長就任
そして、来る総選挙に向け、「日本維新の会」の衆院選候補者を選定する「公募委員会」委員長に就任したのが、小泉政権で構造改革を強力に推し進めた竹中平蔵元総務相だ。
竹中氏は「日本維新の会」の公開討論会にも有識者の立場で出席するなど、その政策に陰に陽に大きな影響力を発揮し、「小さな政府」を推進していく援軍になるとみられる。しかし、この援軍は吉と出るのか、凶と出るのか。
日米の民主党政権はともに、「大きな政府」を志向し、財政赤字はともに悪化した。財政赤字の縮小のためには、「小さな政府」を志向することは悪いことではない。国内総生産(GDP)の2倍となる1千兆円もの債務を抱える日本にとっては、民間活力を最大限活用し、財政支出を抑える「小さな政府」はむしろ、歓迎されるべきだ。
しかし、「小さな政府」の理論的根拠にもなってきた米国の経済学者、故ミルトン・フリードマンが率いてきたシカゴ学派は旗色が悪い。97~98年に発生したアジア通貨危機は乗り越えたものの、2008年のリーマン・ショックに続き、欧州債務危機を招いたのが、シカゴ学派の流れを汲む理論と目されているからだ。
銀行と保険、証券会社の垣根を取っ払い、国や企業の破綻に賭けることができるようなクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などを世界中に巻き散らかして、今の危機を招いたのではないか。
直接的な危機の原因が金融機関によるCDSの乱用といったモラルハザードなどであったとしても、そうみなされてしまいがちなのには理由がある。新自由主義と呼ばれ、時には市場原理主義の呼び名で批判されてきたシカゴ学派の流れが、規制緩和を求め、市場の自主性を最大限に尊重するよう求めてきたからだ。
そして、小泉政権の主要閣僚を歴任してきた竹中氏は、一部から日本を代表する市場原理主義者と目されてきた。そのイメージこそが、政策能力にも発信力にも長けている竹中氏という援軍が諸刃の剣になりかねない所以だ。
■修正求められる市場原理主義
欧米ではこの危機を脱するため、緩和し続けてきた金融機関に対する取引規制などを強化する方向で議論がなされている。これは明らかに、市場原理主義的なものを修正する動きだ。
東大で経済理論や経済思想を学んだ佐伯啓思・京大大学院人間・環境学研究科教授はその著書「経済学の犯罪~希少性の経済から過剰性の経済へ」のなかで一連の動きを分析。「新自由主義体制の破綻を誰の目にも示したのがリーマン・ショックであり、それに続く世界経済危機であった」と指摘している。
もちろん、金融面における挫折が即、「小さな政府」の全面的な否定につながるわけではない。「民にできることは民に」という小泉首相のキャッチフレーズに今も魅力を感じる人は多いはずだ。
しかし、順風のなかで「小さな政府」を掲げるのと、逆風のなかで掲げるのとでは、その効果には大きな違いが生じるはずだ。
「維新八策」には、「無駄な公共事業の復活阻止」や「社会保障制度の世代間・世代内不公平の解消」など、多くの人の賛同を得られそうな事柄も多い。しかし、「解雇規制の緩和」や「混合診療の完全解禁」など、「小さな政府」に賛同する立場からも異論が出そうな政策が散見される。
「日本維新の会」は近く、次期衆院選に向けたマニフェスト(政権公約)を策定するが、中身次第では国民からの支持率がさらに低下することもありそうだ。
(飯塚隆志)
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【http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002556.php】
ニュース・コメンタリー (2012年10月13日)
IMF・世銀総会NGOの視点
中国の台頭がブレトンウッズ体制にも波及
ゲスト:松本悟氏(法政大学国際文化学部准教授)
第二次世界大戦の戦勝国が、戦後の世界秩序を取り決めた「ブレトンウッズ体制」の中核を成す世銀・IMFまでが、中国を始めとする新興国の台頭によって揺れている。
今週は世界銀行(世銀)、IMF(国際通貨基金)の年次総会が東京で開かれているが、これまでこうした国際金融機関による途上国の開発援助などに批判的だったNGOなどの市民セクターが、今回ばかりは妙に静かだ。
世銀、IMF年次総会は180を超える国・地域の財務相、中央銀行総裁などが一同に会する場で、参加者は約2万人にものぼる。元々会場に予定されていたエジプトが政情不安のために急遽東京に変更しての開催だったが、総会開催は東京オリンピックの1964年以来48年ぶりとなる。また、今年は日本の世銀、IMF加盟60周年という記念の年でもあった。
環境NGOメコン・ウォッチの代表として長年にわたりIMF・世銀総会を見てきた松本悟法政大学准教授は、先進国のNGOの間で世銀・IMF批判が以前ほど大きくならない背景に、国際金融機関の変質と中国の台頭があると説明する。
これまで国際金融機関の開発援助はNGOや市民セクターからの不断の監視に晒されることで、厳しいチェックを受けてきた。環境負荷が高いものや、移住など地域住民に負担が掛かるものは、地域の反対運動と同時に、先進国内でも反対運動が起こるのが常だった。
しかし、近年、アフリカなどで国際金融機関の融資基準では融資ができない開発プロジェクトに、中国が独自に開発援助を行うケースが増えてきている。
西側の崇高な理念を掲げるのはいいが、そのために結果的により環境破壊のひどいプロジェクトが、中国の援助で実施されてしまう。多少問題はあっても世銀が国際社会監視の下で行う開発プロジェクトと、外部の監視の目が届かない中で中国が先導する開発プロジェクトでは、どちらの方がよりましなのか。NGOはそのような難しい問題に直面し始めていると松本氏は言う。
国の規模や拠出金に関係なく平等に一国に一票が割り当てられている国連総会とは異なり、元々世銀・IMFでは出資金に比例して投票力が割り当てられてきた。だからこそ、これまでは先進国の独壇場でもあった。NGOからは先進国側の勝手な論理で開発援助が行われているといった批判がぶつけられてきた。ところがここに来て、中国を始め、ロシア、インド、ブラジル、サウジアラビアなどの新興国の出資比率が増え始め、それに応じてそれらの国々の発言権が増してきている。
特に、中国の出資比率の増額に対しては欧米諸国から反対の意見が強いと、松本氏はいう。しかし、EUの金融不安などに対応するために、国際金融機関といえどもある程度中国マネーに頼らざるを得ない。2015年までに予定されている世銀・IMFの出資比率の変更では、中国はアメリカ、日本に次いで世界で第三位の出資国となるほか、ブラジル、ロシア、インドなどの新興国の出資比率も、イタリアやカナダを抜き、イギリス、フランス並みになる計画だ。当然それに見合った投票権が与えられることになり、世銀、IMF自体が変質を余儀なくされている、と松本氏はいう。
中国や新興国の台頭がもたらす開発援助への影響について、松本悟氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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【http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-October/020440.html】
[CML 020631] 【論説】マネーをどれだけ注ぎ込んでも経済危機は解決できない~IMF・世銀総会を受けて
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2012年 10月 24日 (水) 20:26:22 JST
昨年秋、ドイツ緑の党の国会議員で会派(議員団)副代表であるベーネル・ヘーンさんが、京都精華大学での講演会において、「ドイツで原発を推進しているのは金融資本であり、だからこそ脱原発のためには金融資本への規制が必要であり、緑の党はトービン税を提案している」とお話されているのを聞いて、緑の党は私の所属しているATTACと同じではないかと思ったのですが、実はドイツでは緑の党の青年部とATTACとはかなり重なっているとのことを、ドイツの環境首都フライブルグで開催されたATTAC欧州主催の国際会議に参加したATTAC京都のメンバーからお聞きしました。
グローバル資本主義の破滅的な暴走を止めるためには、投機的な金融資本への規制と国際金融システムのラディカルな変革こそが求められています。
ATTACも緑の党もジュビリーも含めて、国際金融システム(IMF・世銀)と真正面から闘う社会運動が日本でも全世界的な99%運動(オキュパイ運動)のように求められています。
【論説】マネーをどれだけ注ぎ込んでも経済危機は解決できない~IMF・世銀総会を受けて
http://greens.gr.jp/seimei/3564/
2012/10/22
マネーをどれだけ注ぎ込んでも経済危機は解決できない
――新自由主義経済を主導してきたIMF・世銀体制こそ貧困と環境破壊の元凶
2012年10月22日 緑の党運営委員会
去る10月14日から19日、IMF・世銀の総会が日本で開催されました。主要国の共同声明は「世界経済は減速し、いちじるしい不確実性と下振れリスクがある」として強い危機感を表明しています。
世界経済が抱えるリスクの一つ目は、ユーロ危機です。南欧諸国への金融支援の条件とされる緊縮財政政策は人びとの激しい抵抗に遭っているばかりか、それ自体が経済を委縮させ失業を増やし税収を減らすという悪循環を招いています。二つ目は、米国経済が来年初めに「財政の崖」(急激な財政支出削減と減税打ち切り)を転がり落ちて、失速するおそれです。三つ目は、リーマンショック後の世界経済の回復を牽引してきた中国経済が減速し、日中間の領土紛争がこれに拍車をかけていることです。
これまでIMFと先進国は、各国政府の借金の膨張が国債価格の暴落と金融危機をもたらしたとの立場から、財政赤字の削減を最優先してきました。しかし、経済の失速の危機に直面し、これを軌道修正して経済成長促進政策との両立を打ち出しましたが、財政出動が困難な現在、成長政策は中央銀行がマネーを大量に注ぎ込む金融緩和に頼るしかありません。
ところが、各国が争って金融緩和を進めても、高い経済成長が過去のものになった今日、中央銀行がいくらマネーを市中銀行に供給しても個人や企業は積極的に借りようとせず、効果がありません。むしろ、大量のマネーが先進国から溢れだして新興国や発展途上国に流れこみ、株や不動産のバブルを引き起こし、食料品の価格を高騰させ、人びとを苦しませています。自民党の安倍総裁や民主党の前原国家戦略相もいっそうの金融緩和による成長戦略を主張していますが、問題の解決にはならないのです。
そもそもIMF・世銀体制は、発展途上国の債務危機につけこんで構造調整プログラムを押しつけ、公共政策を解体させて途上国の経済を新自由主義とグローバル企業の利益の下に従属させ、貧困と環境破壊を拡大し、先進国でも産業の空洞化と雇用の劣悪化を引き起こした元凶です。今回の総会でも、世界経済を危機に陥れている投機的なマネーの動きを放置し、有効な危機解決策を何も打ち出すことができていません。
私たちは、人びとの生活と生存を優先する立場から、経済の「成長」ではなく「安定」をめざした次の政策が緊急に必要であると考えます。
投機的なマネーに対する規制をすみやかに実行する。EUの多くの国が導入している金融取引税や通貨取引税をより実効性の高いものにしながら全世界で導入する。
環境や再生可能エネルギー、医療やケアや教育、食や農業の分野に資金を投入し、地域から雇用と仕事を新しく創りだす。
社会的弱者への犠牲を強いる緊縮政策をやめて、社会保障を拡充する。正規-非正規労働者の賃金格差を解消し、労働者の所得を引き上げる。
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『松嶋×町山 未公開映画を見る本』読了、1月に読了。松嶋尚美・町山智浩著。集英社、2010年11月第1刷発行。
きらきらアフロ並みの松嶋氏の合いの手が笑える。
『ビン・ラディンを探せ! ~スパーロックがテロ最前線に突撃!~』(Where in the World is Osama Bin Laden?)、「松嶋 ・・・『スーパーサイズ・ミー』で30日間・・・。/町山 そう! 観ました?/松嶋 観てないよ(きっぱり)。/町山 観てないかー(笑)。・・・。・・・ビン・ラディンは俺が見つけてやる!って言ってるんです。/松嶋 見つかるわけないやん! ・・・。見る前にわかるやん」(p.31)。
いまニュースの中心、エジプトのムバラク大統領。「町山 ・・・宗教じゃなくて、貧乏のせいです。・・・そういう不条理な状況を許しているのはいったい何かというと、独裁政権・・・。そんな独裁政権を守っているのはアメリカなんですね。/・・・。/松嶋 30年間も同じ大統領?/町山 ・・・。そんなヤツにアメリカは大量に武器を与えたり、支援し続けてる。だからエジプト国民は、「アメリカがヤツをのさばらせてるんだ」って怒ってる。だから、みんなアメリカが大嫌いになっちゃう。/松嶋 よー嫌われてるよね、アメリカ」(p.32)。爆笑!!
新自由主義経済への鋭い批判(p.7、65、107、111、116、165、173、222)。それを通しての(内部からの)アメリカ批判。「・・・ブッシュは、80年代のレーガン政権から続いた新自由主義経済と宗教保守の連合の暗黒面を一気に加速させました」(p.7)。
キリスト教原理主義の行きつく先。『ジーザス・キャンプ ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~』(jesus camp)。「・・・説教に笑い、陶酔し、涙する子供たち。彼らは、「神の名の下に国を統一した大統領」であるブッシュを祝福し、・・・。・・・そんな子供たちのひとりだ。親の方針で学校には通わず、自宅学習する彼は、『物理学から見た天地創造』を学び、進化論を否定する」(p.11)。
イワシの頭。「町山 ブッシュ大統領って、イラク戦争という、する必要の無い戦争をでっちあげて・・・。/・・・。/松嶋 すごいって言えば、すごいブッシュ(がキャンプに)出てきたね。/町山 等身大の書割ブッシュ(笑)。/松嶋 ペッラペラのブッシュやで。/町山 ペラペラブッシュを本気で拝んでんの、みんなで」(p.17)。
相対的には低下。「福音派はブッシュの失政とともに政治から手を引いたかに見えたが、オバマ政権の支持率低下とともに再び勢力を取り戻しつつある。/・・・サラ・ペイリンはペンテコステ派で、進化論と人工中絶を拒否し、福音派から圧倒的な支持を集めている。聖書根本主義的な発言も多く、・・・。/とはいえ、福音派の人口比率は減りつつある。主な原因はアジア系やヒスパニック人口の増加だ。福音派の過激な政治参加は、支配者の座を追われるWASP・・・の最後の叫びなのかもしれない」(p.20)。
意外。『ザカリーに捧ぐ』(Dear Zachary)。「町山 意外ですが、無理心中って、けっこうカナダやアメリカでは多いんです。なんかイメージ的には、日本の方が多い感じがするじゃないですか。/町山 私が死んでこの子が苦労するくらいやったら・・・とか。/町山 そう、そう。それって日本的な考え方だと思うじゃないですか。でも実はアメリカに多いんです、無理心中事件って」(p.27)。
マッチ・ポンプが火に油? 負の連鎖の代償、因果応報。テロの本質とは。「町山 ・・・中東は貧富の差が信じられないくらい激しいんですよ。・・・一般の国民はめちゃくちゃ貧しい。・・・そんなひどい政府をアメリカは、石油のために支援している。・・・。だって自爆テロするとお金がもらえるんですよ。/・・・。/町山 アルカイダとかのテロリストグループから。・・・じゃあ、そのお金はどこから出ているのかというと、石油の利益が裏の裏で回ってくるんです。つまり、人々を搾取して儲けた金がテロの資金に回って自爆テロの代金になる。でも、もとをただすと、そんな石油資本を支えてるのはアメリカなんです。/松嶋 ひどいなー。/・・・。/町山 ・・・タリバンもアメリカが育てたんです。アフガンにソ連が攻め込んだときに、ソ連を撃退するためにムジャヒディーン(イスラム教徒のゲリラ)にアメリカが武器などを援助した」(pp.37-38)。
「松嶋 へー。イコールだと思ってた」(p.45)。カソリックとプロテスタントの違い。『フロム・イーブル ~バチカンを震撼させた悪魔の神父~』(Deliver Us from Evil)。「町山 ・・・その法王までもが性的虐待をする神父たちの存在を実は隠していた」(p.44)。「・・・ローマカソリックの根幹にかかわることにまで疑問が投げかけられている。/・・・。/・・・40歳を過ぎても結婚しない一人娘が、30年以上前にオグレディ神父に犯された事実を知って泣き崩れる。/「私はもう神を信じない!」/そう、彼らはもう、神にすがることすらできないのだ」(p.51)。
基本的人権としての「水」・「水へのアクセス」。『フロウ ~水が大企業に独占される!~』(Flow: For Love of Water)。「世界銀行は大規模なダム建設に年間200億ドルを投資。ボトル水の大手メーカー、ネスレ社は、全米中に取水工場を拡大している。だが、これらの事業によって潤うのは企業のみで、本当に水を必要とする貧困層は、しわ寄せを受けているのが現状だ。・・・そもそも水は自然の恵みであり、公のものではないか?」(p.63)。
「水不足につけ込んで商売する」「水男爵」(p.64)。ウォーターバロン。「水道事業はどんどん民営化され」「特に貧しい国でそれをやっている」(p.64)。
ブルー・ゴールド。世銀の構造改革要求と云うお決まりのパターン。「町山 絶対に営利団体の商売の道具にさせちゃいけないの。/松嶋 じゃあ、なんでボリビアは水道をアメリカの会社に任せたの?/町山 ボリビアは貧乏だから、世界銀行からお金を借りてるの。・・・ところが、世界銀行はボリビアに、水道を民間企業に任せなければ金を貸さないぞと言ったんです。/松嶋 何それ?/町山 世界銀行は、水道に関しては、世界水会議の方針に従ってる。・・・その水会議の役員は、さっき言った水男爵たちに占められてるんです。/松嶋 グルやー。/町山 グルですよ。世界銀行で日本やアメリカから集めた大金は、貧しい国が水道をつくるために貸し出されるけど、その水道をやってるのは先進国の水男爵。お金は彼らのところに入るだけ」(pp.66-67)。
サッチャー元首相による新自由主義経済の下、ロンドンの水道がテムズウォーター(ドイツRWEに吸収)によって民営化。ところが、漏水防止のために水圧を低下。「下水処理場も、潰して土地を売っちゃった。金儲けのためにね」(p.68)。この辺の話は以前紹介した町山さんのブログに貼りつけてあるBSドキュメンタリーに詳しい。「町山 国民の最低限健康な生活を保障することが国家の義務なんだから、採算を度外視して水だけは守ってくれないと。「水は民営ですよ」というなら、国家の役割を果たしていない。ましてや外国企業に任せちゃ絶対にダメ。アメリカでもジョージア州が1990年代に水道をフランスの水男爵スエズに民営化したら、やっぱりすぐに水圧を下げましたもんね。浄水に汚水が混じったり」(p.68)。アメリカのボトル水の25%は水道水をろ過しただけで、しかも、水道水の100倍の値段で売ってる(p.69)。
「町山 本当は小さな貯水池をいっぱいつくればいいんです。・・・。/・・・。/町山 でもそれでは儲からないんだ。大きなダムをつくれば、世界銀行とかがお金を出して・・・。だからダム、ダム、ダム!っていう方向に行く。・・・とにかく水は空気と同じで、人間が独占したり、水源を押さえたり、金儲けに使ってはいけないんですよ」(p.70)。
「ボリビアでは国民が2000年に蜂起し、死者9名を出す大暴動の果てにベクテル社を追い出した。水道はまた国家管理に戻ったが、ベクテル社はボリビア政府に対して多額の賠償金を求めている。・・・。/・・・日本は・・・、水道が公営事業として続いている国だったが、2001年には世界の規制緩和への動きを反映して水道法が改正され、民営化が可能になった」(p.72)。
唯一神教の偏狭さ。『レリジュラス ~世界宗教おちょくりツアー~』(Religulous)。「町山 ・・・そういう土着の神様達を、ユダヤやキリストやイスラム教は「みんな迷信」と言ったり、「悪魔だ」と言って蹴散らしてきた。だから唯一神教は強くなって、世界的に信者を増やしていた。そのいっぽうで、ほかの宗教への不寛容がひどい。自分の宗教以外は間違ってて、自分たち以外は救われない、と考えるから。/・・・。/松嶋 ああ、ビル・マーがすごい博物館を訪問してたね。/町山 ダーウィンの進化論を否定する創造説博物館ね」(pp.110-111)。
「アメリカ南部の各州ではずっと学校で進化論を教えることが違法とされていた」(p.116)。
マルコムX(p.131)。
お笑いテロリスト。『イエスメン ~大資本と戦うお笑いテロリスト~』(The Yes Men)。以前、町山さんのブログを紹介。「町山 イエスメンっていう名前はね、彼らが敵とする大企業や政治家に対して、NO!と抗議するんじゃなくて、YES!って賛成して、その企業や政府の人になりすまして嫌がらせするの」(p.157)。
市場原理主義・新自由主義経済信奉者への嫌がらせ! 『イエスメン2 ~今度は戦争だ!~』(The Yes Men: Fix The World)。(ミルトン・)フリードマン教の信者たち。
サンタクロースは「コカ・コーラカラー」(p.203)。『イエスのショッピング ~買い物やめろ教会の伝道~』(What Would Jesus Buy?)。「神の名のもとに商売しているクリスマス商戦は、キリストが一番怒りそうなことなんですよ」(p.203)。
イラク戦争推進プロパガンダ。『アウトフォックス ~イラク戦争を導いたプロパガンダTV~』(Outfoxed)。「・・・FOXニュースの顔みたいなニュース番組の司会者で、イラク戦争がはじまったとき、カメラを睨んで「反対する人は非国民です」って脅してた」(p.220)。
どこ彼処にも。『クローゼット ~ゲイ叩き政治家のゲイを暴け!~』(Outrage)。「町山 ・・・アメリカの場合、同性愛に政治が介入しようとするから。例えばブッシュ。/松嶋 またかー!」(p.264)。
【森田実著、『自民党の終焉 ~民主党が政権をとる日~』】
アジアとの関係の悪化。「小泉首相は靖国神社への参拝を繰り返し、中国・韓国両国民の神経を逆なでした。小泉首相のやり方は挑発的だった。これに対して小泉首相は、状況をあたかも楽しむがごとく、不真面目な態度をとりつづけた。この結果、日本はアジアで孤立状況に追い込まれた。/・・・日本のマスコミは支持した。マスコミの驚くべき頽廃である。政府もマスコミも「まとも」な感覚を失っていた」(p.83)。
傲慢になり、不真面目になった政治家たち。「第1は、・・・謙虚だった。もちろん吉田茂や岸信介のように傲慢で権力をふりかざす政治家もいたが、多くの政治家は一般国民に対して謙虚だった。・・・/第2は、ものの見方が変わった。・・・/第3は、人間の社会や人生に対する態度において不真面目な人間が増えてきた。小泉純一郎元首相や麻生太郎元外相に、精神の不真面目さを私は感じている。・・・「強気にゴマをすり、弱きを見捨てる」タイプの軽薄な政治家ばかりが目立つようになった。/第4は、エゴイストの増加である。・・・」(pp.91-93)。
はぐらかしと秘密主義・隠蔽。「郵政民営化をめぐる国会議論の中で、何人かの議員が「年次改革要望書」の存在について小泉首相と竹中平蔵郵政担当相に質問したが、二人は質問者をはぐらかし、無関係なことを答弁し、質問に真面目に正面から答えようとしなかった。2人はとぼけつづけたのである。小泉首相と竹中郵政担当相は、郵政民営化が米国政府の長年にわたる強い要求であるという事実を隠し続けた、/・・・大マスコミは小泉政権と一体化していた。マスコミ自信が情報隠しに協力するのは異常である。マスコミは戦時中と同じことをしたのだ。マスコミの自殺行為であった。/国民は、・・・知らないまま、2005年9月の総選挙において、・・・。米国保険業界の日本への進出の狙いがあることも知らないまま、・・・。大多数の国民は郵政民営化の本質を知らないまま郵政民営化に賛成した」(pp.122-123)。
愚かな政治家。「・・・前原誠司前代表のように、安倍自公連立政権のエピゴーネンで、テレビ局、テレビ番組からおだてられた、・・・安倍自公連立政権を喜ばせた愚かな政治家もいた。だが、前原氏は孤立した。」(p.131)。
日米関係と自民党の二つの政治路線。「一つは保守中道路線と云うべきもので、外交政策においては国連中心主義をとりつつ米国とも中国、韓国などアジア諸国とも友好関係を維持し、国内政策においては国民生活を重視し、・・・。・・・石橋湛山、池田隼人、田中角栄、三木武夫、大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一、・・・細川護煕、村山富市らであった。/もう一つは、・・・従米路線である。・・・岸信介、中曽根康弘、小泉純一郎であった。安倍晋三もこの路線の政治家である。/・・・両者の中間路線である。・・・佐藤栄作、福田赳夫、海部俊樹、橋本龍太郎らであった」(pp.134-135)。
ミルトン・フリードマン学派と宗教政治。「小泉・安倍政治は「アメリカのブッシュ主義」という一種のイデオロギーを重視する政治である。小泉構造改革の経済理論は新古典主義であり、フリードマン理論・・・であった。・・・。/小泉・安倍両政権が忠誠をつくしたブッシュ米国大統領が行ってきた政治は本質的には宗教政治であった。ブッシュ政権は、大統領が信ずるキリスト教原理主義の理念に従ってというより、神の予言を聞いたように感じてアフガン戦争とイラク戦争を行った。・・・米国のフリードマンに引き継がれてきた特殊な経済理論である。・・・というより強者のためのイデオロギーとでもいってよいものである。/・・・アメリカ政府崇拝イデオロギーに基づく政治だった。安倍政治は初めに憲法改正ありきであり、また、教育基本法改正ありきであった。これも右翼主義に立つ一種のイデオロギー政治である」(pp.145-146)。
以前ご紹介した記事に引き続き、再び、町山智浩さんのブログ『ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記』(http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/)に「2010-02-07 傲慢な大企業をおちょくるイタズラ二人組の逆襲!」という記事が出ています。以下に、コピペさせていただきます。
=======================================<【http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/
20100207】
『2010-02-07 傲慢な大企業をおちょくるイタズラ二人組の逆襲!』
毎週日曜日夜11時から東京MXテレビで放送中の「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」、本日2月7日の夜は『イエスメン』の続編『イエスメンが世界を直す!』をお送りします!
イエスメンは大企業や政府の広報担当者の名をかたってマスコミに登場するイタズラ二人組。前回はWTO広報官のフリをして、貧しい国を食い物にするグローバリゼーションをおちょくったが、今回は政府の介入しない自由市場、企業間の競争だけが世の中を良くすると信じる新自由主義経済が敵だ!
多国籍化学企業ダウ・ケミカルや、世界一の石油企業エクソン・モービル、それに新自由主義の教祖ミルトン・フリードマンの弟子たちを相手にイエスメンがイタズラしまくる!
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WTO、ダウ・ケミカル、「新自由主義の教祖ミルトン・フリードマン」・・・、目の付けどころが素晴らしい。町山さんの記事にはYouTubeの映像も貼ってあります。
【浜田和幸著、『ウォーター・マネー/「水資源大国」日本の逆襲/The Water Money:Japan Strikes Back ~石油高騰・食糧危機も恐くない~』】
第3章に水道民営化の各国の現状が。「水男爵」たちの蠢き。スエズ、ビベンディ、テームズ・ウォーターといったビッグ3(p.70)。中国や中東についても。
「・・・イギリスの水道会社は海外で積極的な事業展開を続けているが、国内の水道サービス事業は外国企業によって提供されるという“ねじれ現象”の下におかれているのである」(p.59)。気づかぬうちに・・・、「2007年7月、フランスの水道事業大手「ベオリア・ウォーター」が、九州の福岡県大牟田市と熊本県荒尾市で水道事業を運営する権利を獲得した。日本市場への参入を虎視眈々と狙っていた外資foreign capitalが、初めて日本に橋頭堡を築いたのである。・・・/・・・2002年に改正水道法が施行されたことで、公営水道事業の外資参入に道が開かれた。2003年には地方自治体法も改正された結果、わが国においても水道事業が内外の民間企業に制度上in theoryは解放されたのである。/これまで水道事業の民営化に関しては、広島県の三次(みよし)市の例がある。・・・/・・・これら外国のウォーター・バロンズが日本における水道事業に熱い視線を向けるのは、日本の水源地water sourcesを押さえ、日本から世界へ水を輸出する新たなビジネスプランを描いているからだ。なにせ日本の水のおいしさは世界でも指折りだからである」(pp.66-68)。そのビジネスとやらに一枚かんで金儲けするわけね。
「・・・「発展途上国の経済発展economic developmentを後押しする」という大義名分の下で、アジア、アフリカ、中南米諸国に相次いで進出するようになったのである。その際、世界銀行の融資loanをバックに、受け入れ国の政府から有利な条件conditionsで事業を展開する契約を結ぶのが常であった」(p.68、71)。フリードマンのシカゴ学派の下で洗脳された者どもによって。
「・・・逆浸透膜・・・通常の5分の1の時間でだめになってしまう。中東では5年はもつものが、中国では1年もつかもたないか。・・・日本企業でも前処理に相当な工夫が・・・」(p.81)。厳しい批判・・・、かっての日本もそうだったのに、「・・・それだけの資金力や技術力があるにもかかわらず、自国の環境浄化のために投資する資金や水浄化のための技術開発は遅れたままである。見方を変えれば、中国の今日の経済発展は環境コストを無視ignoreした結果得られたものといえるのではないか。本来であれば、安全や安心を確保するために労働者の雇用条件labor conditionや工場周辺の環境整備に投入すべき資金をすべて無視することで、国際競争力のある低価格の商品やサービスの提供に努めてきたのである」(p.83)。
【斎藤貴男・吉田司著、『石原慎太郎よ、退場せよ!』】
新銀行東京のバカ施策と元行員に対する虐め・SLAPP(p.123)。「吉田 ・・・自分の仕草や言動で、将棋の駒のように大衆心理を動かせると思っているんでしょうか。・・・/斎藤 ・・・何をやっても許されると思ってるんでしょうね。事実、都民はそうしちゃったんだから。石原に何をされても仕方ないのも現実です。新銀行の内部なんて、石原の人間性が凝縮されたようなところですよ。・・・/・・・組織ぐるみの威信的虐待―――モビングといいますが―――・・・」。
東京オリンピックでの税金の無駄遣い、それを許す都民。「斎藤 ・・・全部、税金ですよ。・・・ここでも責任転嫁です。/・・・もう見え見えの、行政が都知事のせがれに仕事をあげるための事業ですよ。それでも石原本人は・・・と居直っています。・・・/吉田 ジャーナリスト青木理のレポート・・・そもそも『公』という発想がない・・・」(p.130)。『私』しかない男。「斎藤 我田引水の塊のような人ですからね。・・・/・・・人のものは俺のもの、俺のものは俺のもの、というだけの人ですからね。・・・私に言わせれば、ただのコソ泥でしかありません」(p.133)。「コソ泥以上でも以下でもない」(p.181)。
舛添要一元厚相に言われちゃおしまい。このバカ都知事を総理にという声があるが、との問いに答えて、「・・・国会じゃ友だちいないし、鼻もちならないし、あいつはイヤって意味において、石原が総理になったって3日持たない。・・・『友だちのいない国王』は、知事だからやってられるの」、「吉田 ・・・そしてね、石原慎太郎という男は・・・リアルな政治力学に手を汚さないで済む政治家だから気楽でいいね・・・・・・と笑ってたぜ」(p.142)。
ミルトン=フリードマン(p.152)。社会ダーウィニズム(p.154)。「知性のかけらもない世界」。「・・・市場原理、競争原理。公正さを無視できるパワーこそ絶対だという、何度でも言いますが暴力団的世界観なんです」(p.159)。
「空疎な小皇帝」の時代の終わり。「吉田 ・・まず小泉純一郎が「政界引退」を宣言した。彼の「痛みを伴う」構造改革によって日本は下流社会化し、ワーキングプアな貧民大国となった。・・・/・・・世界はフリードマン型新自由主義(小さな政府)から、ケインズ的なオバマ米大統領のスマートパワー、グリーン・ニューディールや財政出動型の「大きな政府」への流れに大転換しようと急いでいる。/そんな中で「空疎な小皇帝」だった人間の役割は終わりました。・・・/斎藤 どうでしょう。退場勧告も何も、最初から私はお呼びじゃないと思っていたのですが。・・・オリンピック招致だの築地市場の豊洲移転だの、まともな首長なら言えっこないデタラメを次々に打ち出しては財界の歓心を買うことに懸命ですから・・・。・・・はっきり言ってどうかしている」(p.181-183)。
ここに尽きる。「吉田 ・・・いまなお「退場勧告」しようとしない、石原と大東京「庶民」有権者の政治的握手については、お前ぇら、死ヌマデヤッテロ!って本気で思っちゃうな。/斎藤 ・・・わざわざ権力の座に据えた方が悪い。落とす選択肢があったんですから。実際、都民は責任とらされて、自分たちの血税を、あの人の遊びと利権のために使われているんだからね。・・・批判を承知で言うけど、石原都政に本気で怒れないとしたら本物の奴隷ですよ」(pp.187-188)。
【内橋克人著、『新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環』】
「その経済学者の名はミルトン・フリードマンと言います」(p.83)。
ケインズ学派vsシカゴ学派。「・・・ネオリベラリズムの始祖とも言える、ミルトン・フリードマン・・・。/・・・マネタリズムの原則、「競争している市場は安定している」「競争市場は常に公平だ」という前提は、もう時代の現実に合わなくなっていると私は考えますが、いずれにしてもフリードマンは市場原理主義の一つの大きな思想的な柱であり、彼の存在を抜きにしては現在の新自由主義(ネオリベラリズム)を語ることはできません」(p.86)。「・・・「市場にまかせさえすれば、すべてうまくいく」という彼の理論・・・/・・・貨幣の供給量によってのみ経済はコントロールできる、公共事業や福祉事業による需要創出効果は、無駄である、というこの考えをマネタリズムとも呼びます」(pp.90-95)。
「レーガン、ブッシュ・シニア・・・クリントン政権も、・・・/これによってシカゴ学派の優位は決定的となり、アメリカ中の大学やビジネススクールでフリードマン流の自由経済学が教えられるようになります。IMF(国際通貨基金)」やWTO(世界貿易機関)、世界銀行といった国際機関や世界各国の官庁や中央銀行に自由主義経済学の洗礼を受けた卒業生が送り込まれ、「グローバリズム」の名の下に世界各国に市場原理主義を広めてゆくわけです(pp.98―99)。保険、公衆衛生の安全規制など、政府によるあらゆる規制に反対。
「フリードマンの市場原理主義を極端な形で採用した国家の軌跡」(p.107)。チリでは、CIAの〝協力〟でアジェンデ政権をクーデータにより破壊し、「政権を銃口で掌握したピノチェト」は「シカゴ大学でフリードマン流経済学を学んだ若きエコノミストたちを閣僚に登用し、極端な自由化政策を進めることになるのです。/「彼らは「シカゴ・ボーイズ」と呼ばれました」。『悪夢のサイクル』の始まり。「価格規制の撤廃、関税引き下げ、貿易の自由化、税制のフラット化、財政支出の削減、公的年金や医療保険の民営化、公企業の民営化、最低賃金の撤廃や組合交渉の違法化など労働規制の緩和、外資規制の緩和、金融取引の自由化などなどの市場原理主義政策をまさにフリードマンの教科書通りに実施・・・」(p.112)。
「ピノチェト政権に反対するチリのデモ隊からは、フリードマンは「独裁を支持した自由主義のドン・キホーテ」と呼ばれたのです」(p.114)。「ネオリべラリズムは、小さな政府を標榜しながら、実は、軍事に関しては大きな政府という形態をとります(p.170)。
「このコンセルタシオン政権下の経済成長が世界的に注目されたわけですが、その成功は、決して新自由主義政策によるものではなく、むしろ行き過ぎた市場原理主義への反省の上に立って、貧困問題や社会格差の縮小に真剣に取り組んだ結果であることは明らかです。従って、これをもって「市場主義の勝利」といった言い方をするのは、完全な間違いです」(p.118)。日本の新政権が小泉や竹中の誤った政策を、この方向で修正してくれるとよいのですが・・・。
アルゼンチンの新自由主義改革も失敗(pp.118-125)。
「ネオリベラリズムの政策によって、引き起こされるサイクルとは」(pp.126-127)。「・・・国の市場を支配し、利潤を搾取して国外に持ち去るという構造が確立・・・」(p.128)。