Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●《省エネの進展と再生可能エネルギーの増加で原発が稼働しなくても電力不足は生じず、温暖化対策も両立できる》…トドメは刺されている

2020年08月17日 00時00分15秒 | Weblog

[※【国内の発電電力量と二酸化炭素(CO2)の推移】(東京新聞2020年3月10日)↑]



レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 第265回/ヴェルナー・ブーテ監督『グリーン・ライ~エコの嘘~』/自然を食いものにする大企業の犯罪】(http://www.labornetjp.org/news/2020/kinosita265)。
中崎裕記者による、東京新聞の記事【<東日本大震災9年>原発なしでもCO2減 火力で増加の懸念覆す】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/CK2020031002000117.html)。
吉田央記者による、沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]3・11から9年 「喉元過ぎれば」ではいけない】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/545457)。

 《グレタ・トゥンベリが、経済の発展やお金のことばかり語り合って自然破壊や急激な気候変動を生みだしている世界の企業家や政治家たちに「恥ずかしくないんですか」と叱咤したことにわたしは感動した。ここに彼女の危機意識を裏づける一本の映画がある。…世界のあちこちを旅しながら「環境にやさしい」をうたい文句に、うわべだけ取りつくろった商品やその生産現場の惨状を暴いている。目隠しされた自然破壊の実態をわたしたちにみえるように記録している。これに衝撃を受けないものはいないだろう》。
 《二〇一一年の東京電力福島第一原発事故後、電気の発電量が事故前より一割近く減少し、原発停止に伴う火力発電の増加で懸念された二酸化炭素(CO2)の排出量も一三年度をピークに一割以上減ったことが分かった。省エネの進展と再生可能エネルギーの増加で原発が稼働しなくても電力不足は生じず、温暖化対策も両立できることを裏付けた形だ。(中崎裕)》。
 《▼コールセンターで働きながら脱原発を学ぶも、政府は再稼働に突き進む。感じたのは住民が直接、民意を示す重要性。スイスの専門家を招いた講演会を開くなど、奔走した▼昨年の県民投票は投票者の7割以上が新基地建設に反対したが工事は止まらない。「法定数の署名を集めても議会が認めないと成立せず、結果に法的拘束力もない」。住民の意思を尊重する制度設計が必要と考える▼国会も喉元過ぎれば事故忘れる、だろうか。野党が提出した原発ゼロ基本法案は2年間たなざらし再稼働を重視する政権の姿勢と対立するからか審議さえしない》。

 何度もすいませんが、再度、貼ります。《世界は電力タダの時代に》…核発電を続けたい、という「麻薬」中毒者達の気が知れない。復興五輪」どころか、「復興原発などというふざけた言葉も耳に入ってくる。最近は、「経済性を度外視して、核発電をやらなけらばならない」といった支離滅裂な言説も出てきているようだ。ニッポンは世界中に迷惑を振りまく続けている…。


【【金子勝の言いたい放題】NO5 世界は電力タダの時代に エネ転が拓く経済転換(飯田哲也さんと) 20191230】
https://www.youtube.com/watch?v=eMDjFFFo3qY&t=186s

 COVID19の対策は遅々として進まず、一方、金(カネ)色の五つの輪の新たな日程はさっさと決まる。もう中止にすべきでしょうに。こんな猛暑の中、競技者やボランティアスタッフを死の危険にさらすつもりか。政府の無為無策ぶり、腐敗は止まるところを知らない。「復興五輪」? 《オリンピック聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》。「復興原発」? 東京電力核発電人災の被災者をバカにしているのか?

   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
            聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●核発電所を再稼働したい? 《女川いのちの石碑…十三番目の石碑
     …<故郷を 奪わないでと 手を伸ばす> この痛切な願い》を聞けよ!
    《女川原発は、震源に最も近い原発です。福島同様、激しい揺れと津波に
     襲われました。到達点よりわずかに高い所にあったため、辛うじて難を
     逃れたにすぎません。…東北の被災原発を再稼働に導いて、「復興原発
     にしたいのか
。原発は安全です、ちゃんと制御
     アンダー・コントロールできていますと、五輪を前に世界へ
     アピールしたいのか》。

=====================================================
http://www.labornetjp.org/news/2020/kinosita265

木下昌明の映画の部屋/ヴェルナー・ブーテ監督『グリーン・ライ~エコの嘘~』

●木下昌明の映画の部屋 第265回/ヴェルナー・ブーテ監督『グリーン・ライ~エコの嘘~』
自然を食いものにする大企業の犯罪

 16歳の環境活動家として一躍有名になったグレタ・トゥンベリが、経済の発展やお金のことばかり語り合って自然破壊や急激な気候変動を生みだしている世界の企業家や政治家たちに「恥ずかしくないんですか」と叱咤したことにわたしは感動した。

 ここに彼女の危機意識を裏づける一本の映画がある。それは『グリーン・ライ~エコの嘘~』といういっけん地味なタイトルのドキュメンタリーだ。監督はオーストリアのヴェルナー・ブーテで、環境活動家、カトリーン・ハートマンと2人で世界のあちこちを旅しながら「環境にやさしい」をうたい文句に、うわべだけ取りつくろった商品やその生産現場の惨状を暴いている。目隠しされた自然破壊の実態をわたしたちにみえるように記録している。これに衝撃を受けないものはいないだろう。

 2人はまずスーパーに出かけて食品表示に「持続可能」とうたう「パーム油」について問答する。パーム油は、安価で多くの食品に含まれているという。日本では、パーム油ではなく、「植物油脂」とあいまいな表示にしている。それで通用させているのだ。

 では、この油の原産地はどうなっているのか? 2人はインドネシアのスマトラ島へ飛ぶ。島は一面緑緑したパームやしのプランテーションが広がっている。現地にはパームやし反対の運動をつづけている青年の事務所があって、2人はそこを訪れる。監督はやおらポケットからチョコボールを取り出して青年に差し出す。これを目にして青年は「気分が悪くなる」と首をふる。「これはインドネシア人の血なんだ」と。「パーム油の生産はある種の新植民地主義で、強制労働や低賃金労働をこの国にもたらしている」と語る。企業は、熱帯雨林を焼き払って住民の共同体をこわし、強制移住をしいている、とも。

 2人は、青年の話を確かめるためにバリ島で開催している世界のパーム油会議に報道人として参加する。そこでは企業の幹部や農園主でもある政治家が集まって、会場は華やかな催しや展示物がいっぱい。何かの大臣が壇上から「インドネシアはパーム油産業のお陰で繁栄している」と高らかにアピールする。2人はパーム油生産のマーキンググループのCEOに「あなたの会社は焼畑していませんか?」と尋ねると「絶対にしていない。現場へいってみてくるといい」と断言する。

 そこで2人は先の反対運動の青年とともにマーキングの農園の島に飛ぶ。ところが現場は、不法にも原生林を焼き払ったばかりで黒くこげた大地が広がっている。オランウータンの親子が煙に逃げまどうシーンもあった。インドネシアでは2015年に大規模な森林火災があり、そのとき多くの死者と煙害を出した。それは日本でもニュースとして流れたが、実は企業が自然災害のようにみせかけて人工的に焼いたものだった。――おいしいチョコレートのこれが裏の現実だ。

 つぎに2人が向かったのはメキシコ湾内にある小島。そこは2010年4月20日、ブリテッシュ・ペトローリアム(BP社)が海底油田を掘削中に爆発が起こり、石油が大量に噴出した事件があった現場だ。いったい、石油まみれの海はいまどうなっているのか? いまも、それらしい櫓(やぐら)が砂浜から遠望できる。砂浜にはあちこち黒いタールボールがちらばっている。その原油の塊は有害物質と化して、素手でさわると危険だという。当時、原油は1日あたり1500万リットル、87日間にわたって噴出しつづけて海を破壊してきた。ところがBP社は「この事件は下請けと子会社が起こしたものだ」と。そして「責任をもって当社が回収します」と宣言。では回収したのか?

 この島で“えび王”と呼ばれているエビの卸業を営んでいる男がいて、2人はかれの事務所を訪ねる。えび王はBP社のやり方に憤まんやる方ない、と怒る。海に浮かんだ原油は回収すれば、また自然が戻ってくる。でも回収すれば費用がかかるので、有害な化学物質を使って海底に沈めた、というのだ。それも深夜に飛行機で散布したと。かれは水揚げしたばかりのエビを水槽から取り出し、その黒い腹部をみせていう、「原油を吸い込んでいる」と。にもかかわらず、BP社のCEOはテレビで「3年前に原油はすべて除去した」とのたまっている。しかし、えび王は「石油会社のせいで海はすっかり汚れちまったよ」と嘆く。2人は顔を見合わせるしかない。

 映画の後半――2人はドイツでテスラ社の電気自動車にのって高速道路を突っ走っる。が、そこにもごまかしがあって、「環境にやさしい」はずのリチウムの燃料のため自然(塩湖採掘)を破壊しているとか――。2人が車で向かうドイツ最大の石炭採掘場は、巨大な露天掘りで、粉じんが隣国にまで舞っているとか――。さらに2人はアマゾンに飛ぶ。食品企業はジャングルを焼き払い、先住民を村から追いだしたり殺したりして、牧場をつくり、大豆やとうもろこしをつくっている――。

 環境破壊は地球規模にまで広がっている。資本主義の担い手である国際的巨大企業は、つぎつぎと自然を食いものにし、大地を虫食いだらけにして、人間と動植物の〈いのち〉をないがしろにすることで生きのびようとしている。それでいいのか。グレタの恥を知れ!の怒りを映画ははからずも裏付けている。自然を破壊しなければ生きられない企業はもういらない――と宣言しよう。

 映画は、2人の調査の旅のなかで「いまや体制全体の変革が必要だ」と訴えるノーム・チョムスキーとの対話も挿入している。新型コロナ騒動のなかでも、大企業の地球資源の略奪とそのための破壊は進行している。

※3月28日シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
=====================================================

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/CK2020031002000117.html

<東日本大震災9年>原発なしでもCO2減 火力で増加の懸念覆す
2020年3月10日 朝刊



【国内の発電電力量と二酸化炭素(CO2)の推移】
[https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/images/PK2020031002100041_size0.jpg]

 二〇一一年の東京電力福島第一原発事故後、電気の発電量が事故前より一割近く減少し、原発停止に伴う火力発電の増加で懸念された二酸化炭素(CO2)の排出量も一三年度をピークに一割以上減ったことが分かった。省エネの進展と再生可能エネルギーの増加で原発が稼働しなくても電力不足は生じず、温暖化対策も両立できることを裏付けた形だ。(中崎裕)

 環境省によると、国内のCO2排出量は一三年度の十三億一千七百万トンをピークに減り続け、一八年度は一九九〇年度以降で最も少ない十一億三千九百万トンに。うち発電所などの排出量は全体の四割を占める四億五千六百万トンで、一三年度比で13・1%減った。

 同省が排出減の要因に挙げるのが、電力の「低炭素化」と省エネだ。一四~一八年度の国内の年間総発電量は、一〇年度と比べて一割近く少ない水準で推移。資源エネルギー庁によると、CO2を多く出す石油と石炭を合わせた発電量は事故後二、三年は大きく増えたが、その後減少し一八年度は一〇年度を下回った。代わりに太陽光は一〇年度の二十倍近くに増加。再生可能エネルギー全体では水力を含め16・9%を占めた。

 太陽光の出力合計は、一九年九月末時点で五千万キロワットを超え、事故前の全原発五十四基分を上回る。全国の需給状況を監視する電力広域的運営推進機関によると、一九年夏に全国の需要が最も大きくなった際には全体の供給力の15%を占め、原発なしでも十分まかなえる計算となる

 産業技術総合研究所の歌川学主任研究員は「福島の事故を契機に省エネが進展、再エネも増加した。原発に頼らず温暖化対策ができ、需給バランスも取れる。原発は放射性廃棄物の問題など課題があり、使うかどうかは国民的議論で決めればいい」と指摘している。
=====================================================

=====================================================
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/545457

[大弦小弦]3・11から9年 「喉元過ぎれば」ではいけない
2020年3月11日 07:50

 「震災も原発の危険性も『喉元過ぎればで、忘れられていないでしょうか」。東日本大震災後、千葉県から沖縄に移住した女性(53)がこう話す。震災後、1カ月ほどで原因不明の頭痛と圧迫感に悩まされ、膝から下には内出血が広がった▼広島市の出身。幼いころから学校で原爆被害者の証言を聞いた。重度なやけどの話が多かったが、ある体験者の「放射能は遺伝子を破壊する」という言葉が自身の体調不良に重なり、移住を決意した▼コールセンターで働きながら脱原発を学ぶも、政府は再稼働に突き進む感じたのは住民が直接、民意を示す重要性。スイスの専門家を招いた講演会を開くなど、奔走した▼昨年の県民投票は投票者の7割以上が新基地建設に反対したが、工事は止まらない。「法定数の署名を集めても議会が認めないと成立せず、結果に法的拘束力もない」。住民の意思を尊重する制度設計が必要と考える▼国会も喉元過ぎれば事故忘れる、だろうか。野党が提出した原発ゼロ基本法案は2年間たなざらし再稼働を重視する政権の姿勢と対立するからか審議さえしない原発や基地には、そこから利益を得る既得権益層がいる。女性は言う。「変えるためには、つながること」。住民投票や再生可能エネルギーの先進国との連帯が、岩盤を突き崩す一歩になると信じている。(吉田央
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《TPPは社会的共通資本を破壊させる》と唱えた宇沢弘文さん…《宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定》

2020年06月25日 00時00分37秒 | Weblog

[※ 宇沢弘文さん『人間の経済』 (https://www.shinchosha.co.jp/images_v2/book/cover/610713/610713_l.jpg)↑]



2019年11月の志真秀弘氏による、レイバーネットの書評【〔週刊 本の発見〕宇沢弘文『人間の経済』 ひたすらな探究心をなにが支えたか? 『人間の経済』(宇沢弘文、新潮新書、720円、2017年4月刊)/評者:志真秀弘】(http://www.labornetjp.org/news/2019/1121hon)。

 《社会的共通資本とは何か? 宇沢によると大気、森林、河川、水、土壌などの自然環境道路、交通機関、上下水道、電力・ガスなどの社会的インフラストラクチャー教育、医療、司法、金融制度などの制度資本が社会的共通資本の重要な構成要素である。これらを安定して運営することで豊かな社会の発展がえられ人間の自由と尊厳が保障される。それはソ連社会主義の崩壊、グローバル資本主義の矛盾の進行などを見据えて考え抜かれたいわば第三の道ともいえる》。

   『●「大切なものは決してお金に換えてはいけない」:
        「宇沢弘文氏が蛇蝎の如く嫌った新自由主義」
    《宇沢氏こそ、アベノミクスが推し進め、竹中平蔵慶大教授が
     旗を振っている「新自由主義」に真っ向から反対し、猛烈な批判を
     浴びせていたことだ。晩年の宇沢氏は「TPPは社会的共通資本
     破壊させる」と唱え、「TPPを考える国民会議」も立ち上げた。
     宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定になるのである》

   『●投票者自身の首を絞めてはいけない:「格差是正のための
             税制を求め、豊かな層に多く課税すべき」
    「日刊ゲンダイからの再引用「宇沢氏は40年以上前、
     ベトナム戦争を批判された米国防長官が経済効率性を理由に胸を
     張ったことに愕然とし、「言葉に言い尽くせない衝撃を受けた
     と語っている。以後、平等・公正・正義ではなく
     「稼ぐ」ことだけを目的とした経済学に批判を投げかけてきた。
     人材派遣大手・パソナの会長として、巨額の報酬を得ながら、
     産業競争力会議のメンバーにもなって、パソナが得をする
     雇用改革を推し進めている竹中氏などは、宇沢氏にしてみれば
     論外で、蛇蝎のごとく嫌う存在だったのである」(…)。東京新聞
     「経済とは、経世済民。世をおさめ、民をすくう。言葉の本来の
     意味の経済学者だった」(…)」

 《宇沢氏の功績=アベノミクスの全否定》。《「大切なものは決してお金に換えてはいけない。人生で一番大きな悲劇は、大切なものを国家権力に奪い取られたり、あるいは追い詰められてお金に換えなければならなくなった時です」》とも。《経済とは、経世済民。世をおさめ、民をすくう。言葉の本来の意味の経済学者だった》宇沢弘文さん。

=====================================================
http://www.labornetjp.org/news/2019/1121hon

〔週刊 本の発見〕宇沢弘文『人間の経済』
毎木曜掲載・第134回(2019/11/21)
ひたすらな探究心をなにが支えたか?
『人間の経済』(宇沢弘文、新潮新書、720円、2017年4月刊)/評者:志真秀弘

 本書は2009年から2010年にかけて行われた宇沢弘文による講演やインタビューをまとめたもの。2008年9月に起きたリーマン・ショック後の経済社会の混迷を解き明かすことを目的に編集されていたが、かれは2011年3月東日本大震災のさなかに倒れ、2014年に他界してしまう。2017年に刊行されたこの本は文字どおりラスト・メッセージになった。それだけにかれの経済思想の根幹「社会的共通資本」の考えがうまれる道筋がわかりやすく描かれている。

 社会的共通資本とは何か? 宇沢によると大気、森林、河川、水、土壌などの自然環境道路、交通機関、上下水道、電力・ガスなどの社会的インフラストラクチャー教育、医療、司法、金融制度などの制度資本が社会的共通資本の重要な構成要素である。これらを安定して運営することで豊かな社会の発展がえられ人間の自由と尊厳が保障される。それはソ連社会主義の崩壊、グローバル資本主義の矛盾の進行などを見据えて考え抜かれたいわば第三の道ともいえる。

 宇沢はリーマン・ショック以後の世界の混迷ははかり知れず、80年前の恐慌の比ではない。パックス・アメリカーナという一(いち)時代の「終わりの始まり」とみる。これを牽引したのはミルトン・フリードマン市場原理主義にほかならない。シカゴ大学で宇沢の同僚でもあったフリードマンの主張を、宇沢は(かね)がすべての似非経済学と喝破する。この新自由主義に対するデヴィッド・ハーヴェイの批判を宇沢は評価する。ハーヴェイはマルクス主義者だからというような狭い了見と宇沢は無縁だ。ケインズ=ベヴァリッジにはじまる近代経済学に学ぶことから出発して、しかし、そこに閉じこもらないで、宇沢はさらにみずからの考えを創り上げる。

 そこには1966年のシカゴ大学事件も関わっていた。ヴェトナム反戦運動のメッカになったシカゴ大で、成績を徴兵委員会に送るなと要求して学生たちが大学本部を占拠する。成績にかこつけてまず活動家たちから先に前線に送ろうとする政府に反対する行動だった。当時シカゴ大教授だった宇沢は、成績をつけないことを提案し、それが通り占拠は解かれる。が、いくつもの傷が宇沢にものこる。かれとともに調停作業をした助教授の一人は、懲役10年の刑に服する。かれは、のちに宇沢に会い「ノーム・チョムスキーはえらい。54回も逮捕されている。わたしは1回だけだ」と語ったという。

 これらのエピソードは宇沢が信義と友情にあつい人であることを物語るだけではない。数学者育ちの思考力と合わせて、かれにはいのちを、人間を、人の心をこそ大切にする宗教心がある。ケインズは、支配者側の心のままだったが、石橋湛山には「仏の心」があったと終章に書かれている。この「仏の心」はほかならぬ宇沢のものでもあって、宗教心も宇沢の経済学への道を貫くものと思えてならない。

 かれが数学者の道から経済学研究に転向する契機は、河上肇の『貧乏物語』を読んだこと。万人の生活を良くする道を探究しようとして宇沢は経済学を選んだが、かれにも河上肇と共通する実践的求道者の魂が脈うっていたのだろう。水俣をはじめとする反公害闘争、成田闘争などとの深い関わりからも宇沢の経済思想は生まれた。この本はかれという人間を知る最良の手引きでもある。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●2010年11月の沖縄知事選の選択はやはり誤りだった ~そうさせた「本土」の重い責任~

2014年01月18日 00時00分43秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【『沖縄知事、基準適合で辺野古承認 年頭あいさつ「理解賜りたい」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014010601000787.html)と、
【普天間移設 米識者ら反対 「即時返還」沖縄を支持】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014010890135759.html)。
asahi.comの記事【沖縄・仲井真知事の理屈がわからない】(http://webronza.asahi.com/politics/2014011000004.html?iref=comtop_fbox_d2_03)。
再度、東京新聞の記事【普天間移設争点に2氏立候補 沖縄・名護市長選が告示】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014011201001163.html)。

 「米識者ら反対」の声は、もっと米政府や世界に。
 沖縄県知事は、結局、完全に自公側へ。2011年10月の知事選で、やはり選んではいけなかった、誤った選択肢だった。そうさせた「本土の重大な責任

   『●国外移設どころか、やはり辺野古埋立承認へ:
                            2010年11月の沖縄知事選の予想が現実に

 次の名護市長選が最大のヤマ場。ここであちら側の人が選ばれてしまえば完全にアウトだ。今度こそ(2010年11月の沖縄知事選のように)選択を誤ってはいけない大事な選挙容認派を当選させてはいけない、絶対に

   『●杭打ちで解決するのか?
   『●何の反省もない強者の傲慢
   『●謝罪すべき対象が違うでしょッ!
   『●沖縄県が普天間飛行場移設のアセス受入
   『●沖縄の「屈辱の日」を祝う神経

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014010601000787.html

沖縄知事、基準適合で辺野古承認 年頭あいさつ「理解賜りたい」
2014年1月6日 12時17分

 沖縄県の仲井真弘多知事は6日午前、米軍普天間飛行場宜野湾市)の県内移設に向けた名護市辺野古沿岸部の埋め立てを昨年末に承認した理由を「環境保全措置が取られ(公有水面埋立法が定める)基準に適合しているためだ」とあらためて説明した。県庁での職員に向けた年頭あいさつで語った。

 名護市民には「苦労をお掛けするが、ご理解とご協力を賜りたい」と訴えた。これに関連し、名護市の稲嶺進市長は市役所での職員への年頭訓示で「知事のやり方は本当に無責任で、あるまじき行為だと言わざるを得ない」と批判した。

(共同)
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014010890135759.html

普天間移設 米識者ら反対 「即時返還」沖縄を支持
2014年1月8日 13時57分

【ワシントン=竹内洋一】米国を中心とする海外の有識者や文化人ら二十九人が七日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古に移設する計画に反対する声明を発表した。ベトナム戦争をテーマとした映画「プラトーン」などで米アカデミー賞を受賞したオリバー・ストーン監督らが名を連ね「沖縄県内の新基地建設に反対し、平和と尊厳、人権と環境保護のために闘う沖縄の人々を支持する」と表明。普天間飛行場を即時・無条件で沖縄に返還すべきだと訴えた。

 声明には、ストーン氏のほか、北アイルランド紛争の解決に尽力したノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア氏、言語哲学者ノーム・チョムスキー氏、ピュリツァー賞を受賞した知日派の歴史学者ジョン・ダワー氏、映画監督マイケル・ムーア氏ら世界的な著名人や識者が名を連ねた。

 声明では、普天間の辺野古移設について「人間と環境を犠牲にして沖縄の軍事植民地状態を深化し、拡大させる」と批判。米軍が沖縄戦の最中に住民の土地を奪って普天間飛行場をつくった経緯に触れ「終戦後、(沖縄に)返還されるべきだった。返還に条件がつくことは本来的に許されない」と述べた。

 県外移設を公約して再選された沖縄県の仲井真弘多知事が昨年末、辺野古の埋め立てを承認したことは「沖縄県民に対する裏切りだ」と非難した。安倍晋三首相が「経済振興をエサ」に仲井真氏から埋め立て承認を引き出したと述べた。

 さらに、米兵による犯罪や米軍機の騒音、環境汚染によって「戦後ずっと、沖縄の人々は米国の独立宣言が糾弾する『権力の乱用や強奪』に苦しめられ続けている」と指摘。普天間の辺野古移設は「沖縄の人々の苦しみを恒久化させることにもつながる」と非難した。

(東京新聞)
================================================================================

================================================================================
http://webronza.asahi.com/politics/2014011000004.html?iref=comtop_fbox_d2_03

沖縄・仲井真知事の理屈がわからない
2014年1月11日

 年末、沖縄の仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場の辺野古(名護市)移設のための埋め立てを承認、年が明けての県議会でも「県外移設を求める公約は変わっていない」との主張を繰り返した。普天間飛行場は「5年以内の運用停止」を訴えるから県外移設を求めるという公約には矛盾しないというのだが、これには県内からも海外からも猛反発の声があがっている。近く承認取り消しを求める訴訟も起こされ、また映画監督のオリバー・ストーンやマイケル・ムーア、ジョン・ダワーなど文化人からは辺野古移設への反対声明が発表された。1月19日には名護市長選の投開票がある。仲井真知事はこの無理筋の「理屈」を言い続けるのだろうか?
================================================================================

================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014011201001163.html

普天間移設争点に2氏立候補 沖縄・名護市長選が告示
2014年1月12日 09時26分

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題が最大の争点となる名護市長選が12日、告示された。いずれも無所属で、新人の前県議末松文信氏(65)=自民推薦=と、再選を目指す現職稲嶺進氏(68)=共産、生活、社民、沖縄社大推薦=の2人が立候補を届け出た。19日に投票、即日開票される。

 日米両政府が普天間の移設・返還で合意した1996年以降、移設が争点の市長選は5回目。前々回までの3回は容認派が勝利し、前回初めて反対派の稲嶺氏が当選した。今回は、反対を掲げる稲嶺氏に移設推進の末松氏が挑む構図で、激戦が予想される。

(共同)
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●壊憲: 国内問題ではなくて、もはや国際問題

2013年05月06日 00時00分04秒 | Weblog


神保哲生さんのvideonews.comの記事(http://www.videonews.com/on-demand/621630/002755.php)。

 押し付けられた憲法、らしいですよ。帝国憲法だって、軍部の押しつけでしょうに。番犬様・アメリカに尻尾振りながら、押しつけもヘッタクレもないと思うけれども。
 ツイッターで見かけましたが、「96条」を使って「96条」改悪って法的に大丈夫なのか? 自らの縛りを国民の縛りに改悪しよう、というとんでもなさですから、何でもアリ?

   『●トンデモな両元〝ト〟知事がリーダーの「維新」を支持する価値はあるのか?
   『●改憲などしている場合か? ~壊憲派に勝たせてはならない~
   『●教育壊革!? ~忠魂碑と教育塔~
   『●「9条が危ない! 自民党の暴走」『週刊金曜日』(2013年4月26日、941号)
   『●・・・であるのならば、壊憲派を勝たせてはいけない
                 ~「“悪魔”を阻むハードル」を下げてはならない~
   『●壊憲: 自らの鎖を解放ち、その鎖を国民に巻こうとしている

 憲法9条破壊は、もはや国内問題ではないようだ。

   「ジャン・ユンカーマン監督は「日本国憲法、特に憲法9条は
    国際的に日本の平和に対する姿勢の現れとして見られている。
    だから日本の憲法改正論議は国内問題ではなく、国際的な問題だ」
    と話す。その先駆けとなった日本が平和条項を改正すれば、
    それは日本の国際的な信用を損ねるのみならず、
    日本に倣って平和憲法を作った国々にも大きな落胆をもたらすだろう。
    ユンカーマン氏は、今日の日本の政治家たちにその視点が
    欠けていることに大きな危惧を抱くという」

================================================================================
http://www.videonews.com/on-demand/621630/002755.php

マル激トーク・オン・ディマンド 第629回(2013年05月03日)
世界は日本国憲法をどう見ているのか
ゲスト:ジャン・ユンカーマン氏(映画監督・ジャーナリスト)

 憲法改正を目指す政権の下で5月3日、日本は66回目の憲法記念日を迎えた。
 世論調査などの結果を見ても、憲法改正への抵抗感は明らかに弱まってきているようだ。安倍首相はまず、憲法改正のために衆参両院の3分の2以上の賛成を求めている第96条の国会発議の要件を引き下げ、過半数の賛成で可能にする改正の意向を示している。しかし、言うまでもなく安倍首相、そして自民党の目指す憲法改正の最終目標は第96条ではない。自民党は既に、基本的人権条項などを削除した独自の日本国憲法改正草案を発表しているし、戦争放棄を謳う憲法第9条の改正が自民党の長年の念願であることも周知の事実である。
 日本国憲法の「平和条項」は1947年の施行当時は画期的なものだった。世界中を巻き込んだ悲惨な戦争の直後に、戦争の当事国だった日本が平和条項を含む憲法を持ったことの意味は、その後に新たな憲法を制定する国々や独立する国々の憲法にも大きな影響を及ぼした。日本に続いて憲法に平和条項を盛り込む国が相次ぎ、今では世界の約200カ国のうち150カ国の憲法に何らかの平和条項があるという。
 その日本が今、憲法第9条を改正した場合、国際的にはどのような意味を持つのか。
 『映画 日本国憲法』の中でジョン・ダワー氏やノーム・チョムスキー氏ら世界の知識人12人のインタービューをしたジャン・ユンカーマン監督は「日本国憲法、特に憲法9条は国際的に日本の平和に対する姿勢の現れとして見られている。だから日本の憲法改正論議は国内問題ではなく、国際的な問題だ」と話す。その先駆けとなった日本が平和条項を改正すれば、それは日本の国際的な信用を損ねるのみならず、日本に倣って平和憲法を作った国々にも大きな落胆をもたらすだろう。ユンカーマン氏は、今日の日本の政治家たちにその視点が欠けていることに大きな危惧を抱くという。
 改憲論者の多くは、現在の日本国憲法は占領下でアメリカから押し付けられた憲法だから、改正をして独自の憲法を作らなければならないと主張する。しかし、現実はわれわれ日本人が自ら進んでこの憲法を受け入れ、寄り添い、その理念を懸命に護ってきた。ユンカーマン監督の映画に登場する識者たちも、日本がこの憲法が謳う崇高な理念を体現できるかどうかに、世界中が注目していると語る。
 また、アメリカの核の傘に護られながら、憲法9条を掲げるのは一国平和主義ではないかとの指摘もある。しかし、『映画日本国憲法』の中でジョン・ダワー氏は「なぜ日本はもっと自信を持ってアメリカに向かって自己主張をしないのか」と苦言を呈する。せっかく憲法の中で崇高な理念を掲げながら、アメリカに対する精神的な隷属から抜け出せないことこそが、戦後の日本の悲劇であり、またそれが昨今の浅薄な改憲論議の根底にあるのではないかと言うのだ。
 いま日本は憲法を変えるべき時なのか。変えるとすれば、どのような改正が求められるのか。われわれは憲法を変えても大丈夫なのか。改正した憲法によってわれわれはどんな社会を実現しようとしているのか。『映画日本国憲法』を通じて「世界の目」という視点から日本国憲法に焦点を当てたジャン・ユンカーマン氏と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。


今週のニュース・コメンタリー
   ロシア: 政権批判のロックバンドの収監続く
   米: グアンタナモ収容所で100人超がハンガースト
   EU: ネオニコチノイド系農薬の使用を禁止へ


関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第217回(2005年05月25日)
憲法シリーズ第3
9条は宝の持ち腐れに終わるのか

ゲスト:土井たか子氏(前社民党党首)

マル激トーク・オン・ディマンド 第212回(2005年04月24日)
憲法シリーズ第2回
日本人にはまだ憲法は書けない

ゲスト:小室直樹氏(政治学者)


プロフィール

ジャン・ユンカーマンJohn Junkerman
(映画監督・ジャーナリスト)

1952年米国ミルウォーキー生まれ。74年スタンフォード大学東洋文学語科卒業。ウィスコンシン大学大学院修士課程修了。監督作品に『劫火 - ヒロシマからの旅-』(88年・米国アカデミー賞記録映画部門ノミネート)、『夢窓~庭との語らい』(92年・エミー賞受賞)、『チョムスキー9.11』(02年)など。
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●左らしき「反戦平和」主義者の9・11陰謀論とその迷惑(2/2)

2010年04月02日 04時41分36秒 | Weblog

●左らしき「反戦平和」主義者の9・11陰謀論とその迷惑(1/2)から
=======================================
【http://d.hatena.ne.jp/Gomadintime/
                           20070920/p3】
ラムズフェルド: よし、もう十分だ。統合参謀本部、連邦航空局、ニューヨークにワシントンD.C.、消防局、ルディ・ジュリアーニ、三大テレビ局全部、架空の定期航空便犠牲者千人の家族、MI5、FBI、FEMA、NYPD、ラリー・イーグルバーガー、オサマ・ビンラディン、ノーム・チョムスキーその他計画実行に必要な5万人に電話だ。一刻も無駄にはできぞ!
ブッシュ: こないだの選挙で100万ドルを寄付してきたウォール街の大物連中全員にも電話を忘れるなよ。複雑怪奇、知能指数ゼロの現代版議事堂火災計画の一部として処刑対象になったと知ったら、やつら喜ぶぞ! まったく、殉死者を用意しなきゃならないなら、選挙の集金係以上の適役はないよな。メリル・リンチのやつら、ニューヨークのオフィスを改装したいって言ってたな?
ラムズフェルド: ああ、改装できるでしょう、間違いなくね。「ビッグ・ウェディング」にきっかり間に合いますよ!
三人:(高笑い)ムワッハッハッハ!

 何を言いたいかわかったろう。こういうたわごとはまったく意味を成さないのだ。独裁的権力を握る言い訳が必要なだけなら、なぜシャンクスヴィルの飛行機墜落を偽装する? 爆弾を使うなら、なぜハイジャックを偽装する? なぜリモートコントロールされた飛行機を使う? もし政府機関全部が悪巧みに加担しているなら、なんでいちいちこんなひどい手間をかける? 1年後、この攻撃に責任があると(誤った)非難すらされていない国と戦争するためにか? 〈9/11の真実〉の言い伝えでこうした点が探られているのを自分は見たことがない。というのも、彼らが描く陰謀は何から何までありえなさすぎて、ザッカー兄弟の映画でもなければ不可能だからだ。思いつきとしては信じがたいほどバカげており、無意味にこみ入っていて、細部はやりすぎなのに、完璧に実行され、具体的な証拠は何一つ残らず、数万の人間が彼らの役割について秘密を永遠に守る、なんてのは。
 われわれは、ブッシュの無数の共謀者たちは誰一人として、うっかりして本物の犯行の証拠を残したりしなかったと考える必要がある。だからこそ、ドキュメンタリー映像作家の三脚がタワー崩落前に揺れていたことなどから、この大犯罪を演繹しなくてはならない(ほら、あの揺れをみなよ──大統領と数万の仲間が仕掛けた爆弾にちがいない!)。リチャード・ニクソンはブッシュの百倍頭が切れたが、それでも1ダースの緊密な同盟者のなかから、リークや、苛まれたニセの良心の叫びが飛び出してくるのを防げなかった。だが、9/11陰謀論によれば、犯行現場を封鎖した最下級のFBI捜査官までもが、一言たりとも秘密を洩らさないというのだ。馬鹿馬鹿しい
=======================================
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする