Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●《「ストップ・プーチン」に動く気が岸田にあるのなら、あらゆるアベ案件から直ちに撤退しなければおかしい。二枚舌は通用しない》

2022年04月18日 00時00分58秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日)↑]


(20220405[])
日刊ゲンダイのコラム【金子勝の「天下の逆襲」/二枚舌は通用しない!「サハリン」より筋悪な安倍案件「アーク2」から即撤退せよ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/302843)。
日刊ゲンダイのコラム【佐高信「この国の会社」/安倍晋三のロシア案件「アーク2」に出資する三井物産の泥沼】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/302996)。

 《ロシアが北極海で主導する液化天然ガスプロジェクト「アークティックLNG2」はさらに筋悪だ。ロシアのガス大手ノバテクを中心とするJV(共同企業体)がギダン半島に採掘施設を建設し、23年から年間最大1980万トンのLNGを生産するビッグプロジェクトなのだが、ノバテクの事実上のオーナーは「プーチンの黒い金庫番」と呼ばれるオリガルヒ(新興財閥)のゲンナジー・ティムチェンコ氏。14年のクリミア併合をめぐって欧米による対ロ制裁の対象となった人物だ。…「ストップ・プーチン」に動く気が岸田にあるのなら、あらゆるアベ案件から直ちに撤退しなければおかしい二枚舌は通用しない》。
 《3月23日付の『日刊ゲンダイ』に金子勝が「『サハリン』より筋悪な安倍案件『アーク2』から即撤退せよ」と書いている。ロシアのガス大手を中心とするLNGのプロジェクトのアーク2に出資する日本勢の権益は10%で、三井物産が25%を出資する。経産省丸抱えのこのリスクの高い事業に三菱商事は参画しなかったという》。

 《問題プロジェクトになぜ日本企業が首を突っ込んだのか。安倍元首相が「レガシー」にしようともくろんだ北方領土返還交渉が絡んでいたからだ。19年のG20大阪に出席するためプーチン大統領が来日したタイミングで三井物産などに出資契約を締結させた。プーチンの歓心を得るため、国際社会による対ロ制裁には頬かむりで献上したのだ》。《火事場ドロボー》1号アベ様…ここにも、数多のアベ様案件がまた一つ。ご病気は一体どうなったのだろう。最近のご発言、《火事場ドロボー》ぶりが酷過ぎるのだが…。

 〝四月バカ〟越えの《バカ》と未だに戦わねばならないとは、疲れる…。
 日刊ゲンダイのコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/安倍元首相「蛮行は許さない」ん? これって誤魔化しなんじゃ…】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/303288)によると、《「蛮行は許さない」(安倍晋三・元首相) これは安倍元首相の24日の発言だ。3月26日の日刊ゲンダイ、「逃げまくる安倍元首相 『ロシア外交失敗』語らず『ウクライナ派』へちゃっかり転向」という記事によれば…。ほんで、ロシアへのエネルギー投資として日本は大金を出しているけど、これからどうするの? 経済制裁って各国が足並みをそろえないと効果が薄いんでしょ? このことについてもある報道で、ロシアへの投資は安倍さんが決めたことなので、岸田さんは態度を決めかねている、みたいなことが書かれてあった。気ままな安倍さんのお守りが、日本の最重要案件ですってか?

 そのアベ様が「失敗から学べ…」って!? 《火事場ドロボー》1号がよくもまぁ、言うよなぁ。《自分がプーチンを増長させた張本人であるという事実を消し去ろうとしている》《しかし、そんな安倍氏を正面から批判する大手メディアはない。安倍氏は都合の悪いことは何でも忘れてしまうようだが、私たちは、赤木俊夫さんのこととともに、安倍元総理の罪も決して忘れてはいけない》(古賀茂明さん)。

   『●「君と同じ未来を見ている」…あぁ虚しい、《外交の安倍》と称賛、
     《安倍外交「センスある」と評価》していた皆さん、いま何を想うの?
    《■安倍がプーチンに「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」
     とネトウヨ同士の愛確認 しかし、犬っぷりがもっともひどかった
     のはやはり、この間の北方領土交渉だろう。安倍元首相はプーチン
     大統領との友情によって北方領土が返還されるかのような幻想を
     振りまいてきたが、実際は返還交渉なんて1ミリも進んでいない
    《■経済制裁のさなか、年金積立金を使ってプーチンに近い
     国営企業支援を画策した安倍政権 …会談は主に、日本の経済産業相
     ・世耕弘成となされた。交渉が合意に至った場合、その株式の購入者は、
     管理対象資産が1.4兆ドル以上をもつGPIF(年金積立金管理運用
     独立行政法人)、または独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
     (JOGMEC)のいずれかになっていた、とこの件に詳しい3人の
     関係者がロイターに話した。…そう、日本は一時、安倍元首相の側近
     である世耕弘成経産相(当時)が乗り出して、政府系ファンドに
     この株を買わせようとしていたというのだ。経済制裁の対象となって、
     経営不振にあえいでいる企業の株を引き受けようとするとは、正気の
     沙汰とは思えないが、これも安倍首相の強い意向が働いていた
     といわれ、政権はかなり本気で動いていたようだ

 近畿大卒業式のあのザマはなんなだ!? 《火事場ドロボー》1号が「失敗から学べ」と訓示って、卒業生の皆さんも戸惑われたことでしょうよ。そして、経産相として世耕弘成氏も《プーチンを増長させた張本人》の一人だ。

 《けれども、安易な対応は、己の社会をも彼らのそれへと限りなく近づけていく。冷静に、冷静に……。自壊ほどの愚の骨頂はないのである》(斎藤貴男さん)。
 東京新聞のコラム【ぎろんの森/戦争の熱狂と冷静さと】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/167893?rct=discussion)によると、《憲法九条で国際紛争を解決する手段としての戦争や武力による威嚇、武力の行使を放棄した日本は、軍事的協力はできませんが、ロシアに停戦を促すための経済制裁や戦後の復興、民生安定などできる限りの協力はすべきです。…ただ、同日の本紙特報面も報じていたように、演説後、山東昭子参院議長が「貴国の人々が命をも顧みず、祖国のために戦っている姿を拝見して、その勇気に感動しております」と述べたことには、違和感を覚えました。侵略をしたロシアが悪いと分かってはいても、国のために市民が命を賭して戦う姿を称賛することは、太平洋戦争当時の「本土決戦」「一億玉砕」のスローガンとどうしても重なってしまうのです。年配の読者の方からも「私たちが子どものときの状況と同じで心が痛みます。人ごとと思えません。私も夫も中学校教員でした。教え子たちや子、孫が平和に生きられる世界を強く望みます」との意見が届きました。ウクライナ国民と連帯することに全く異論はありませんが、それ一色に染まり、疑問や異なる意見を言い出しづらくならないようにはしたい多様な意見の存在こそが、ロシアと対極にある民主主義、自由主義の価値だからです戦争は人々を熱狂させ、為政者はそれを利用しようとしますそれが歴史の教訓でしょうだからこそ、どこかに冷静さを持ちながら議論することが、より大切になると思えてならないのです。(と)》。
 リテラの記事【山東昭子だけじゃない、ゼレンスキー大統領の演説を「国民の戦争動員」に利用する自民と維新の極右議員たち】(https://lite-ra.com/2022/03/post-6176.html)/《もっとも日本の極右連中は、その演説をまたまたご都合主義丸出しで歪曲し、悪用を繰り広げている。その典型が、ゼレンスキー大統領の演説のあと答礼の挨拶をおこなった山東昭子・参院議長の、例の発言だ。「閣下が先頭に立ち、また貴国の人びとが命をも顧みず、祖国のために戦っている姿を拝見して、その勇気に感動しております」 一方的な侵略によってウクライナ市民は生活を脅かされ、抗戦せざるを得ない状況に追い込まれ、多数の死亡者が出ているというのに、参院議長という立場にある者が「感動しております」などと口にする──。ようするに、山東氏は「国のために命をかけて戦っている」ことを称賛したのである》《だが、杉田議員よりももっとひどかったのが、日本維新の会の青柳仁士・衆院議員だ。青柳議員はゼレンスキー大統領の国会演説後、自身のTwitterにこう投稿した。〈「国を護りたい」との想いが痛切に伝わってくる演説でした。振り返れば、私たちの平和で豊かな暮らしも、日本という国をつくり、命をかけて護り続けたご先祖のお陰です。有事に国を護る気持ちがないなら、平時にも国から恩恵を受けるべきではありません。国会議員は尚更です。〉 山東議員の「命をも顧みず祖国のために戦っている姿に感動」も相当ひどい発言だが、なんと青柳議員はそのさらに上をゆき、「国のために命をかける気もない奴は平時から国の恩恵を受けるな」と言い出したのだ。ようするに、「非国民に社会保障を受ける権利なし」というわけだ》《憲法審査会でも自民党の山田宏がウクライナを使って改憲主張、西田昌司教育勅語復活を主張》。

 《火事場ドロボー》1号、2号、3号…らがウヨウヨと湧いてくる始末なニッポン。
 AERAのコラム【姜尚中「核保有論に焦点をむけず、日印中によるウクライナ停戦仲介の検討を」】(https://dot.asahi.com/aera/2022032900017.html)によると、《問題はウクライナ一国やゼレンスキー大統領、そしてプーチン大統領だけで決められることではなくなっていることです。これ以上、人の命が奪われないためには、一刻も早く停戦にもっていくような仲介の労を取らないといけません。にもかかわらず、そういうことに総力戦にならずに「核保有論」などに政治の焦点が行くこと自体、強い憤りを感じざるを得ません》。

 《火事場ドロボー》達は「本気」? 少なくとも「正気」じゃぁないね。
 デモクラシータイムス【「核共有」本気なのか 【半田滋の眼 NO.54】20220322】(https://www.youtube.com/watch?v=aT2zL1WWXJY)によると、《防衛ジャーナリスト半田滋が解説する「核共有」の現実。ヨーロッパで言われる「核共有」は、アメリカの核を共有するのではなく、アメリカの所有する核兵器を運搬するだけ。発射ボタンを持っているのはアメリカです。見捨てられる恐怖と巻き込まれる恐怖のはざまで生まれた「核共有」ですが、フランスは核共有を拒否して自前の核を持つ道を選んでいます。今時使えない核を国内に抱え、他国でアメリカが核を使えば報復される危険がむしろ高いのではないかという議論もあります。日本では、どうか。非核三原則との関係はどうするのか。「核共有」したとき近隣との関係はどうなるのか。北方領土にロシアの核がおかれるのは必至ですし、中国北朝鮮の警戒感も各段に上がるのではないでしょうか。これこそ抑止力のわな、果てしのない軍拡、軍事的緊張を引き起こすことは目に見えています。岸田政権は「核共有」議論をどう料理するつもりなのか、半田さんにうかがいます》。

 一方、電力会社。「供給力不足のリスク」で脅す九電。《意図的な航空機衝突などのテロ攻撃を受け原子炉が大規模に破壊された場合でも…》、それどころでないリスクは?
 西日本新聞【「前から分かっていた」玄海3、4号機とも停止へ 供給力不足のリスクも】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/899493/)によると、《九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)で建設中のテロ対策用「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成が遅れることになった。来年1月までに3、4号機のいずれも発電できない期間が計6カ月も生じるため、九電は計画停止を予定していた石炭火力を稼働させるなどして乗り切る方針。九電にはトラブルにより供給力不足に陥らないような発電所の運営が求められるのに加え、代替発電によるコスト増が重くのしかかることになる。...》

 成田三樹夫さん《権力にへたへたする役者じゃ意味がない。…バカがどんどん図にのるんだよ、ハハハ》。
 日刊ゲンダイの記事【追悼・宝田明さんが取材に語った反戦と平和「時の政府におべっか使う必要なんてない」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/302981)によると、《「若い人は言いにくいだろうから、僕らの世代が言わなきゃ」 一方、反戦と平和についての思いは誰よりも強く、自身の意見を発言し続けた人でもあった。取材当時は安倍政権全盛時だったが、集団的自衛権を強行に閣議決定し、9条改憲に突き進む政府を名指しで批判していた。戦争中、ソ連兵に腹を撃たれ死の恐怖を味わった体験を背景にした言葉には説得力があり、断固としてゴジラの脅威から人類を守ろうとする映画での姿と重なって見えた。当時は政府批判をしたキャスターや文化人が次々と干され、政治的発言については皆が躊躇していた時代。だが宝田さんは「時の政府におべっか使う必要なんてないでも若い人は言いにくいだろうから、僕らの世代が言わなきゃね。どうせ10年も生きられないんだからさ」と、おなじみの人懐っこい笑顔で語った》。

 最後に、清水潔さんのつぶやき。《暴論併記》《暴論兵器》(なすこ@nasukoBさん)に次ぐ、《暴論平気》:

--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1509094004788379649

清水 潔@NOSUKE0607

真実と嘘を並べて書く事を
両論併記とは言わない。
暴論平気だ。

午後6:03  2022年3月30日
--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》
   『●斎藤貴男さん《ロシア軍のウクライナ侵攻をダシにした、帝国主義への
     妄執と言うべきか…日本の対米従属度が、いっそう高められるだろう》
   『●《火事場ドロボー》1号、2号、3号…を支持し、投票する人々に、
     壊憲して戦争する国になる自覚はあるのか? 予想されるその結果は?
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●「失敗から学べ」? 《火事場ドロボー》1号がよくもまぁ…《自分が
     プーチンを増長させた張本人であるという事実を消し去ろうとしている》
   『●火事場ドロボー…《このような状況で便乗型の様々なショック・ドクト
     リンが出てきている…その一つが安倍晋三元首相による「核の共有論」》

=====================================================
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/302843

金子勝 立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。

金子勝の「天下の逆襲」
二枚舌は通用しない!「サハリン」より筋悪な安倍案件「アーク2」から即撤退せよ
公開日:2022/03/23 06:00 更新日:2022/03/23 06:00
今だけ無料

     (ただただプーチン大統領(右)の歓心を得るために献上…
      (安倍首相と。2019年当時)/(C)ロイター)

 ロシアのウクライナ侵攻に対する岸田政権の経済制裁は尻抜けだ。米英は戦争財源となるロシア産の原油や天然ガスを禁輸し、依存度が高いEUも2027年までの脱却で合意した。ところが、岸田首相は「エネルギー安全保障の追求」を名目に、安倍政権時代の負の遺産を整理しようとしない。対ロ制裁はやっているフリ。プーチン大統領の戦争に協力するかのような二枚舌を使っている

 前回は極東ロシアの資源開発事業「サハリン1」「サハリン2」が抱える問題を指摘したが、ロシアが北極海で主導する液化天然ガスプロジェクト「アークティックLNG2」はさらに筋悪だ。ロシアのガス大手ノバテクを中心とするJV(共同企業体)がギダン半島に採掘施設を建設し、23年から年間最大1980万トンのLNGを生産するビッグプロジェクトなのだが、ノバテクの事実上のオーナーは「プーチンの黒い金庫番」と呼ばれるオリガルヒ(新興財閥)のゲンナジー・ティムチェンコ氏。14年のクリミア併合をめぐって欧米による対ロ制裁の対象となった人物だ。

 アーク23000億円超を出資する日本勢の権益は10%。出資割合は三井物産が25%、経産省系の独立行政法人JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が75%だ。協調融資の形を取って国際協力銀行が2200億円超、三井住友銀行が数百億円規模を用立て、三井住友銀の融資分は、これまた経産省系のNEXI(日本貿易保険)が保険を提供。つまり、経産省丸抱えで、裏を返せばそれほどリスクが高い事業だということ。実際、三菱商事は参画を見送った。国際ビジネス感からいって当然だ。

 さらに商船三井や日本郵船が砕氷LNG船の長期定期傭船契約を締結したが、LNGの主な供給先は中国。実態はロシア発中国向けのプロジェクトで、日本のエネルギー安全保障とは関係ない

 問題プロジェクトになぜ日本企業が首を突っ込んだのか。安倍元首相が「レガシー」にしようともくろんだ北方領土返還交渉が絡んでいたからだ。19年のG20大阪に出席するためプーチン大統領が来日したタイミングで三井物産などに出資契約を締結させた。プーチンの歓心を得るため、国際社会による対ロ制裁には頬かむりで献上したのだ

 「ストップ・プーチン」に動く気が岸田にあるのなら、あらゆるアベ案件から直ちに撤退しなければおかしい二枚舌は通用しない
=====================================================

=====================================================
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/302996

佐高信 評論家
1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

佐高信「この国の会社」
安倍晋三のロシア案件「アーク2」に出資する三井物産の泥沼
公開日:2022/03/28 06:00 更新日:2022/03/28 06:00

     (三井物産の社長、会長を歴任したの池田芳蔵氏
      (C)日刊ゲンダイ)

 3月23日付の『日刊ゲンダイ』に金子勝が「『サハリン』より筋悪な安倍案件『アーク2』から即撤退せよ」と書いている。ロシアのガス大手を中心とするLNGのプロジェクトのアーク2に出資する日本勢の権益は10%で、三井物産が25%を出資する。経産省丸抱えのこのリスクの高い事業に三菱商事は参画しなかったという。

 この事実を知ってすぐに思い出すのは物産の屋台骨を揺るがしたイラン石油化学プロジェクト(IJPC)だろう。どうも、物産はあれから教訓を得ていないようである。物産のトップは池田芳蔵や籾井某など、その後、NHKの会長になって問題を起こした人物を輩出している。トップにふさわしい人物が選ばれているようには見えないのである。

 日本とイランの合弁のIJPCは1979年のイスラム革命で盤石を誇ったパーレビ体制が崩壊し、その後、イラン・イラク戦争が始まって、完成を目前にしたコンビナートは、工事中断を余儀なくされる。

 高杉良の『バンダルの塔』(講談社α文庫)はIJPCがモデルだが、高杉は小説の結び近くで、ある中堅社員にこう言わせている。

「僕は、長谷川社長(モデルは池田)が首を吊るんじゃないかと心配です。罪の深さを考えたら、夜も眠れないでしょう。たとえ革命であれ、オイルショックであれ、経営者は結果が問われるわけですから、責任をとるのは当然です。それに、IJPCの歴史をふりかえったら、間違いだらけで、べからず集をまとめたら、優に一冊の本ができるんじゃないですか。徹頭徹尾、失敗の繰り返しです」

 これは実際に物産の社員が高杉に語った言葉だというが、トップの決断が、たとえ誤っていたとしても、ミドルはその決断に従って、そのプロジェクトを進行させなければならない。そこにミドルを含めた社員の悲哀がある。

 高杉がこの小説を書こうと思ったのは、イラン革命を予言した総領事がいた、と聞いたからだった。小説では篠原となっている彼の名は篠村巌。プロジェクトが発足した当時はトルコのイスタンブールの総領事で、アフリカの小国ガボンの大使を最後に退職したが、篠村は「パーレビ体制はまもなく崩壊する」と断言していた。

 1974年にまとめられた「事業概要」が「イランの現政権は極めて安定しており、国内・国外ともこれを覆す要因は見当たらず、中近東では最も安定した国と認められている」と書いていた頃である。

 しかし、篠村は、イスラム教のシーア派の僧侶の力は侮れないとし、底知れない資本力をもつバザール(市場)商人とモスク(イスラム)の接近から、パーレビ体制の崩れる日は近いと見通していたが、ノンキャリアの外交官だったため、何度、本国やイラン大使館にそれを意見具申しても取り上げられなかったのである。日本の総合商社のカントリーリスク研究に大きな欠陥があると言わざるをえない。(敬称略)
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《火事場ドロボー》1号、2号、3号…を支持し、投票する人々に、壊憲して戦争する国になる自覚はあるのか? 予想されるその結果は?

2022年03月30日 11時20分23秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220321[])
日刊ゲンダイのコラム【金子勝の「天下の逆襲」/チグハグの対ロ制裁 アベのツケで専制国家にエネルギー安保を委ねる意味不明】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/302245)。

 《岸田首相が会見で省エネを呼びかけたのもマヌケだった。エネルギー戦略を抜本的に見直さなければ、安倍政権時代の失策のシワ寄せで日本経済はますます傾く肩入れした原発輸出戦略はすべて失敗。主要なエネルギー源を再生可能エネルギーや蓄電池へ移行しなかったツケをいま払わされているアベノミクスによる金融緩和と財政赤字の垂れ流しで利上げできず、円安が輸入物価高を招き、庶民の暮らしを圧迫している混乱に乗じて核共有議論をブチ上げたのも許しがたい維新の連中が乗っかろうとしているが、大阪の新型コロナウイルス失策をごまかそうという算段なのだろう。核共有は抑止力になるどころか、戦争に巻き込まれるリスクを高めることになる》。

 《火事場ドロボー》らの暴走…キシダメ氏の無為無策。

 このような話を受けて、ニッポンは壊憲して「戦争できる国になりたい」「核を持ちたい」なんて正気なのだろうか?
 神保哲生さんのビデオニュースドットコムの記事【プーチンを無理筋の軍事侵攻に踏み切らせた背景とは】(https://www.videonews.com/news-commentary/220305)によると、《河東氏と伊勢崎氏のインタビューの重要なポイントを抜粋した上で、ジューナリストの神保哲生がロシアのウクライナ侵攻に対する両氏の独自の視座を解説する》。
 斎藤貴男さん《ロシア軍のウクライナ侵攻をダシにした、帝国主義への妄執と言うべきか。だが当然のことながら、核兵器を共有しても日本側に何事かを決定する権限は皆無。米中対立が深まる一途の折、日本の対米従属度が、いっそう高められるだろう》。さらに、《むしろ警戒すべきは、安倍氏よりも維新、というより彼らにへつらう在阪のテレビや新聞かもしれない彼らはもはやネトウヨ政治屋のしもべに堕しきったお笑いと同列に考えていたら、殺される》。《メディアコントロール》の極致、お維に《へつらう在阪のテレビや新聞》。
 《火事場ドロボー》1号=アベ様、《火事場ドロボー》2号=松井一郎元大阪「ト」知事、《火事場ドロボー》3号=橋下徹元・初代大阪「ト」知事、《火事場ドロボー》4号高市早苗氏、《火事場ドロボー》5号菅義偉元最低の官房長官…。ウクライナ侵略を利用・便乗して、壊憲して戦争できる国へ、敵基地攻撃へ、核保有へ。そういうのを《火事場ドロボー》と言います。
 《火事場ドロボー》1号、2号、3号、4号、5号…を支持し、彼/彼女らに投票する人々に、壊憲して戦争する国になる自覚はあるのか? その結果を予想できないのだろうか?
 【海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより…目取真俊/新型コロナウイルス対策とウクライナ情勢を利用した改憲のもくろみ】(https://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/5c6144fc68fe81c5fe02a40fb8c35e9a)によるつと、《憲法9条を変えたい、緊急事態条項を入れたい、と考えている勢力が参議院選挙に向けて、ウクライナ情勢を利用し世論工作を行っている。国防を強化しなければ大国の侵略を許す。分かりやすい単純化された論理だ。しかし、琉球・沖縄のように大国のはざまで生きてきた国・地域からは違う論理が見えるはずだ他国に軍事的脅威を与えず、政治・外交的には中立を基軸にし、経済・文化・人的交流の拠点化を目指す。これから沖縄が発展する道はどこにあるのか、を考えなければならない。戦争は外交の失敗の結果である。プーチンの独裁体制、ロシアの問題を論じると同時に、ウクライナは何を失敗したのか、も考える必要がある》。

 《急性被ばくで一万八千人が亡くなり、原発の約八十六キロ圏が居住不能になる》…《火事場ドロボー》1号、2号、3号…どもに騙され、乗せられればそうなります。
 日刊ゲンダイの記事【原発への武力攻撃で「急性死1.8万人」の衝撃試算! 3.11から11年、日本は再稼働へ前のめり】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302460)によると、《外務省から委託された日本国際問題研究所が1984年2月に「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」と題した報告書をまとめている。報告書にはこうある。〈主要電源施設を攻撃し破壊することは、その国の総合戦力を低下せしめる観点から十分予想される〉〈単に発電能力阻止が目的ではなく、炉内の大量の放射性物質の放散による効果を狙ったもの〉 被害の試算は衝撃的だ。原発への軍事攻撃により、シナリオⅠ「補助電源喪失」、Ⅱ「格納容器破壊」、Ⅲ「原子炉の直接破壊」を想定。最も大きな被害が生じるのはⅢだが、分析が困難なため、Ⅱの場合の被害を推定している。緊急避難しなければ、被曝後2カ月以内の急性死亡は最大18000人、急性障害は最大41000人に上る農作物などの土地利用や居住が長期間禁止されるのは最大54マイル(約87キロ)に及ぶ。元原子力プラント設計技術者の後藤政志氏(工学博士)はこう言う。「核兵器による攻撃よりも相手国の原発に対して通常兵器で攻撃する方が、ケタ違いのダメージを与えられます。恐ろしいことに、ロシア軍はそれを実践しているのです。また、原発事故と武力攻撃は質が違います。事故の場合は、内部からジワジワと壊れていきますが、武力攻撃では格納容器や原子炉をピンポイントで狙えるいきなり、放射性物質が拡散する危険があるのです」 報告書でも〈軍事攻撃の場合には攻撃する側に知識があれば、相当の確からしさで苛酷な事態を引き起こしうると警鐘を鳴らしている脱原発は自明の理だ》。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
         未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の
      到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》
   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●東電核発電人災…《あまりに切ない一枚です。…犬。…鎖につながれた
      まま…取り残されたわが家で、何を思いながら力尽きたことでしょう》
   『●《けれども、安易な対応は、己の社会をも彼らのそれへと限りなく近づ
     けていく。冷静に、冷静に……。自壊ほどの愚の骨頂はないのである》
   『●斎藤貴男さん《ロシア軍のウクライナ侵攻をダシにした、帝国主義への
     妄執と言うべきか…日本の対米従属度が、いっそう高められるだろう》

=====================================================
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/302245

金子勝 立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。


金子勝の「天下の逆襲」
チグハグの対ロ制裁 アベのツケで専制国家にエネルギー安保を委ねる意味不明
公開日:2022/03/09 06:00 更新日:2022/03/09 06:00

     (サハリン2を通じてロシアに戦争財源を与える
      ようなプロジェクト継続は無理(「サハリン2」から
      日本に到着したLNGタンカー=2009年)
      /(C)共同通信社)

 ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、国連総会は緊急特別会合で「即時無条件撤退」を求める決議を圧倒的多数で採択した。人権理事会でラブロフ外相がビデオ演説を始めると、各国の外交官が一斉退席した。

 日本にとって大きな問題は、欧米に足並みをそろえて対ロ経済制裁に踏み切ったものの、方向性が見えないことだ。ロシア極東の石油ガス開発事業「サハリン2」から英石油大手シェルが撤退を決めたが、三井物産や三菱商事は対応を決めあぐねている。岸田政権はエネルギー安全保障の観点から撤退を求めないとするからだ。経産省、伊藤忠や丸紅などが出資中の「サハリン1」からはエクソンモービルが撤退するが、政府の態度は曖昧だ。専制国家のロシアにエネルギー供給を依存し続けることのどこが安全保障なのか。おまけにサハリン2では液化天然ガスの採掘技術を提供するおバカぶりだ。

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事はサハリン2について「ロシアが国際法違反を繰り返しながら、何もなかったかのように取引をしていくことは多分考えられない」と指摘。国際ビジネス感覚からいって、サハリン2を通じてロシアに戦争財源を与えるようなプロジェクト継続は無理だ。遠からず撤退を迫られることになるだろう。当然だ。安倍元首相が北方領土返還を政権のレガシーにしようともくろみ、前のめりで3000億円規模の投融資をした一環でサハリン2は延命した。利益の大半を国営エネルギー会社ガスプロムに持っていかれるのを承知で安倍が推進したのだ。巡り巡って対ロ制裁がチグハグな結果となり、日本は国際社会でみっともない姿をさらけ出している

 岸田首相が会見で省エネを呼びかけたのもマヌケだった。エネルギー戦略を抜本的に見直さなければ、安倍政権時代の失策のシワ寄せで日本経済はますます傾く肩入れした原発輸出戦略はすべて失敗。主要なエネルギー源を再生可能エネルギーや蓄電池へ移行しなかったツケをいま払わされているアベノミクスによる金融緩和と財政赤字の垂れ流しで利上げできず、円安が輸入物価高を招き、庶民の暮らしを圧迫している混乱に乗じて核共有議論をブチ上げたのも許しがたい維新の連中が乗っかろうとしているが、大阪の新型コロナウイルス失策をごまかそうという算段なのだろう。核共有は抑止力になるどころか、戦争に巻き込まれるリスクを高めることになる

 何をさておいても「STOPプーチン」だ。
=====================================================

=====================================================
https://www.videonews.com/news-commentary/220305


https://youtu.be/AI2JuvQ15qo


プーチンを無理筋の軍事侵攻に踏み切らせた背景とは
ニュース・コメンタリー
2022年03月05日


概要

 世界を驚愕させたロシアによるウクライナへの武力侵攻が続いている。

 ウクライナ軍はアメリカの軍事援助などにより、2014年のクリミア併合時よりは大幅に強化されているとされるが、とはいえ軍事大国ロシアに太刀打ちするほどの力は持ち合わせていないと見られている。ロシア軍が首都キエフに迫るのは時間の問題との見方が有力だが、仮にロシアが一時的に力でウクライナを屈服させることができたとしても、世界中から厳しい制裁を受けるロシアにウクライナを占領支配し続けるだけの国力が残っているかどうかについては、多くの専門家が疑問視するところだ。

 だとすると、プーチン大統領にはどのような勝算があるのだろうか。

 ビデオニュース・ドットコムでは今回のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、独自の視座を持つ2人の国際政治専門家に現状認識と今後の見通しについて話を聞いた。

 ロシアの専門家でロシア公使やウズベキスタン大使などを務めた元外交官の河東哲夫氏は、今回の武力侵攻は国内的にも対外的にもプーチン大統領がウクライナへの軍事侵攻に踏み切らざるを得ない立場に追い込まれた結果だったとの見方を示す。プーチンにとっては大きく危険な賭けになるが、それでも「今やるしかないとプーチンは考えたのだろう」と河東氏は語る。

 また、ロシアのウクライナ侵攻の大きな副産物として河東氏は、ヨーロッパ諸国が覚醒したこと、とりわけドイツがこれまで控えてきた武器輸出を解禁するとともに、軍事支出の大幅増額の方針を明らかにするなど、大きな路線転換の動きを見せていることに注目する。第二次世界大戦以来、軍事的な関与を控えてきたドイツが、アメリカの影響力の低下と引き換えに、ヨーロッパにおける軍事的プレゼンスを大きく拡大するきっかけになる可能性があると河東氏は語る。

 一方、NGO・国連職員として世界各地の紛争処理や武装解除などに当たった経験を持つ平和学が専門の伊勢崎賢治・東京外語大学教授は、ロシアを軍事侵攻に踏み切らせた要因として、冷戦終結後の「NATOの自分探し」をあげる。ロシアのウクライナ侵攻の背景には、冷戦終結後のNATOの東方拡大があることは紛れもない事実だろう。ロシアを敵視するNATOの影響力が、旧ソ連の主要な構成員で自国と長い国境を接するウクライナにまで及ぶことに脅威を感じたロシアが、窮余の策として軍事侵攻に踏み切ったという見方だ。

 冷戦期にソ連に対抗するための軍事同盟として1949年に発足したNATO(北大西洋条約機構)は、ソ連の崩壊後、その存在意義が問われるようになった。実際、ベルリンの壁が崩壊した時、アメリカを中心とするNATO陣営は、当時のソ連のゴルバチョフ大統領のペレストロイカを側面支援する意味合いも込めて、NATOは東方に1インチたりとも拡大しないことを、密約のような形で約束していることが、ジョージワシントン大学のアーカイブに残されている公文書から明らかになっていると、伊勢崎氏は語る。

 仮想敵国を失った以上、軍事同盟としての色彩を無くし、いずれはロシアも加盟する大きな友好条約に変質させる案も一時は議論されたが、アメリカ、カナダはもとより英仏独伊からトルコまでが参加し、加盟国の方々に軍事基地を持ちNATO軍を駐留させている巨大な軍事同盟を解消することは容易ではなかった。

 そうこうしているうちに、2001年には同時多発テロに遭遇したアメリカが主導するテロとの戦いが始まり、NATOはあらためてその存在意義を見出すことに成功する。そこでアフガニスタンやイラクにまで軍事侵攻を行ったはいいが、イラク統治は大惨事に終わりアフガニスタンでも勝ち目がなくなったことが明らかになった2012年頃から、NATOは再びアイデンティティ・クライシスに陥る。しかし、2014年にロシアが武力でクリミアを併合してくれたおかげで、欧州諸国は「やっぱりNATOが必要」であることを再認識し、結果的にNATOは今、「ロシアの拡大主義に太刀打ちする軍事同盟」という位置づけが明確になっていると伊勢崎氏は語る。

 河東氏と伊勢崎氏のインタビューの重要なポイントを抜粋した上で、ジャーナリストの神保哲生がロシアのウクライナ侵攻に対する両氏の独自の視座を解説する。
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする