Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》

2019年03月11日 00時00分04秒 | Weblog


日刊ゲンダイの記事【私が見た「平成」/前双葉町長が語る 地震当日夜9時に東電社員とその家族は…】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/244158)。

 《井戸川克隆さん(72)は、当時の双葉町長。…実は、後で分かったことですが、11日の夜9時すぎには、東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残っていなかった。いち早く社宅を出て、役場にいた社員も黙って消え去りましたそういう会社ですよ、東電は。現在、どこかで何食わぬ顔をして生きているんでしょうけど、ひどい話ですッ…“町長、限界ですよ”と。官邸や東電からは断片的な情報しか入らず、唯一警察官からもたらされたひと言が命を守る情報でした》。

   『●言葉が見つかりません・・・
    「須賀川市の野菜農家の男性(64)は、福島産野菜の一部に国の
     出荷停止指示が出された翌日の二〇一一年三月二十四日に自殺した。
     遺族によると、男性は原発事故後福島の百姓は終わりだ」と話していたという」。

   『●哀しい遺書: 「原子力さえなければ」
   『●ドキュメンタリー映画『わすれない ふくしま』: 
         「震災さえ」ではなく 「原発さえなければ・・・」
   『●「「3.11」から2年② 原発という犯罪」
          『週刊金曜日』(2013年3月8日、934号)
   『●「原発さえなければ」「福島の百姓は終わりだ」: 
         東京電力原発人災と自殺には因果関係あり
   『●「原発さえなければ…」: それでも川内原発や伊方原発を再稼働したいの?
   『●福島県双葉町「原子力明るい未来のエネルギー」
                  ・・・・・・いま、その〝少年〟は?

   『●消えゆく「事故を思い出して原発を議論するきっかけになるもの」
              ~「原子力 破滅 未来のエネルギー」~

   『●「東京電力が、飛散した放射性物質について…
          「無主物」だと主張」…「その無責任さに衝撃」
   『●東京電力原発人災4年目のアベ様の酷い記者会見:
         情報公開、信頼関係、オンカロ、将来的、自立、除染

   『●原発PR看板撤去=「間違った過去と向き合わない行為」
                ・・・「人間の愚かさ」にさらなる恥の上塗り
   『●双葉町長「(原発PR看板)復興した時に 
      あらためて復元、展示したい」…それは『X年後』の何年後?
   『●「故郷の川に身を投げたい衝動に駆られた」
       「早く浪江に帰りたい」…「原状回復」することも無く…
   『●今頃ようやく福島第二原発の廃炉を決断、
      一方、「あとは野となれ山となれ」な玄海原発4号機の再稼働…
   『●《余ると分かっている電力を、なぜ原発で作り続けるのか?》
                 核発電「麻薬」中毒なアベ様に忖度する九電
    「リテラの鈴木耕さんのコラム【言葉の海へ/第48回:九電の
     太陽光発電遮断から見えたこと】」

   『●「これまで東電に、8兆4000億円を超える税金が投入…
             でもって今、東電は巨大な利益を上げている…」
   『●東京電力核発電人災下の福島でも荒稼ぎした
      ゲス・ヒトデナシな詐欺師・ジャパンライフの片棒を担ぐ議員達
   『●大沼「少年」の《事故を思い出して原発を議論する
      きっかけになるもの》を撤去し…いま、政治的と言われ…

 東京電力核発電人災から8年…。《11日の夜9時すぎには、東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残っていなかった。いち早く社宅を出て、役場にいた社員も黙って消え去りましたそういう会社ですよ、東電は》。でっ、いまや東京電力は…《これまで東電に、8兆4000億円を超える税金が投入…でもって今、東電は巨大な利益を上げている…》。
 東京電力の誰一人「責任」を取らない無責任ぶり。(絶対に不可能だからこそ、すぐさま核発電から脱するべきだというのに…)双葉町やその他の街を「原状回復」してみせよ!、出来るものなら…。
 東京電力核発電人災から8年、何の解決にも至らなかった8年。

   『●お見舞い申し上げます・・・
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年: 
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」… 
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/244158

私が見た「平成」
前双葉町長が語る 地震当日夜9時に東電社員とその家族は…
2018/12/21 06:00

     (前双葉町長の井戸川克隆さん、福島被曝訴訟で國と東電を
      相手に奮闘中(C)日刊ゲンダイ)

■平成23年3月11日 福島第一原発事故

 東日本大震災が発生した2011(平成23)年3月11日午後2時46分。震度6を超える大地震による津波は、福島県双葉町大熊町にある東京電力福島第1原子力発電所に襲い掛かった。その直後、おぞましい原発事故が発生した。井戸川克隆さん(72)は、当時の双葉町長。いま、静かにあの日を振り返る。

 地震発生時、井戸川さんは隣町の町村会館の駐車場に止めた車中にいた。

 「グラグラッ。地震だ!あまりの強い揺れに、私はハンドルにしがみつくしかなかった。体が浮き沈みするような、今まで経験がない揺れでした。これは、もうダメだ。原発は大丈夫か。短時間にさまざまなことが頭をよぎりました。なぜか、菅総理も頭に浮かんできて、不安になった。あとは、早く収まってくれ――。その一心でした」

 揺れが収まると、井戸川さんは双葉町役場に車を走らせた。国道6号が混み始めていたため、とっさに信号が少ない“浜街道”と呼ばれる裏道にハンドルを切る。

 「ラジオから、3メートルの大津波警報が流れてきました。ですが、道路はあちこち陥没してるし、下水道管は飛び出していてスピードが出せない。通常30分で帰れるところを1時間以上かかって、役場に着いたのは午後4時ごろ。実はこの道は間もなく津波で流されたんです。

 役場の中は書類やファイルがことごとくひっくり返って、職員たちは呆然とたたずんでました。4階建ての庁舎を1階から被害状況を確認しながら最上階の議会議場にたどり着いた。と、東側の窓の前で10人ほどの職員が、声にもならない声を上げていました。津波が迫ってたんです。庁舎と海の間にあったはずの松林が水没して消え、庁舎に近い集落2カ所も海の中に。ショックで言葉もありませんでした」

 11日の夜は避難所支援などに徹夜で対応する。そして翌早朝、政府からの避難指示が出る。井戸川さんが防災無線のマイクの前に立ったのは12日午前5時44分のことだ。

 「第一声は、“町民の皆さん、ただ今、福島第1原発で地震による事故が発生しました”でした。官邸から海岸から半径10キロ以内に避難指示が出されたので、町民に“急いで避難してください。避難先は川俣町です”と呼びかけた。ですが、絶望感と悔しさで涙が出てきて声が詰まってしまった。双葉町のほぼ全域が10キロ圏でしたから……。

 実は、後で分かったことですが、11日の夜9時すぎには、東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残っていなかったいち早く社宅を出て、役場にいた社員も黙って消え去りましたそういう会社ですよ、東電は現在、どこかで何食わぬ顔をして生きているんでしょうけど、ひどい話ですッ

 3月12日の昼。役場の南側の窓に設置していた線量計の針が振り切れたという。1号機のベント放出があった時刻だ。

 「役場に頭から足まで隠した真っ白のフル装備の警察官が近寄ってきて、私に耳打ちしました。“町長、限界ですよと。官邸や東電からは断片的な情報しか入らず、唯一警察官からもたらされたひと言が命を守る情報でした。私は6人の職員と一緒に、12日午後2時をもって最終退避命令を出したんです。そして、午後3時36分。私は双葉町福祉施設がある現場で、忌まわしい光景を目にしたんです。

 まず、ド~ンという地響きのような音1号機の爆発音でした。その4、5分後に空からぼたん雪のようなフワフワした断熱材が静かに駐車場に舞い降りた。警察官や自衛隊員、バスの運転手ら約300人が見たんですよ。あの時、“これで死ぬなって思いました

 この情報は政府も県も無視官邸は原発事故後、ただちに影響はないとも発表。井戸川さんたちの声はかき消された。

 19日、井戸川さんは双葉町民約1200人を引き連れ、川俣町からさいたまスーパーアリーナに避難。バス40台での移動は歴史的な避難行動だった。
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●放射能をあびてはいけない

2011年09月23日 00時02分33秒 | Weblog

本日も、videonews.comから2つの記事(http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/08/post_793.htmlhttp://www.videonews.com/press-club/0804/002020.php)。

 崎山さんや児玉教授、矢ヶ崎克馬さんがいくら国会その他で内部被爆や低線量被爆の危険性を訴えても馬耳東風。子供を持つ、せめて多くの父兄の耳にはこれらの危険性の情報が届き、何らかの適切な対処ができればよいのだけれども。本来、東電や国がやるべき仕事なのに、全く興味が無いようだ。10年後、20年後、成長した子供たちにどんな被害が起っているか、想像するだけで恐ろしい。東電や国は口をつぐみ、司法は人災と被害の因果関係は無いものとして結論づけるに決まっていて、これまでのこの国の来し方、処し方から容易に想像がつく。

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http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/08/post_793.html

 

マル激トーク・オン・ディマンド 第539回(20110813日)

人間は放射線を浴びてはいけない生き物なのです

ゲスト:崎山比早子氏(高木学校メンバー・医学博士)


 福島第一原発事故発生直後から、政府関係者や専門家たちの口からは「ただちに影響はない」の言葉が繰り返し発せられた。しかし、これほど不誠実かつ無責任な言葉はない。それを霞が関文学的かつ医学的に翻訳すると、現在の放射線のレベルでは、高い線量の放射線を浴びたことによる皮下出血や脱毛、下血、嘔吐といった急性障害は起きないかもしれないが、弱い放射線への被曝や放射性物質を体の中に取り込むことによる内部被曝によって、数十年後にガンや白血病などの晩発性障害が発症するリスクは十分にある、というものになる。その意味では、極めて不誠実な言い回しながら、彼らは本当のことを言っていた。現在進行形で原発事故を抱える今日の日本にとって、いまわれわれが抱える最大のリスクは、低線量被曝や内部被曝による晩発性障害のリスクといっても過言ではないだろう。
 放射線医学総合研究所に長年勤務し、現在は市民科学者の立場から生涯原発反対を唱えた高木仁三郎氏が創設した高木学校のメンバーでもある医師(医学博士)の崎山比早子氏は、事故発生当初から、こうした不誠実な情報発信のあり方に憤りを感じてきた。特に、科学者や医師たちのいい加減な発言によって、放射線の本当のリスクが見えにくくなり、誤った情報に基づく誤った判断で、多くの市民が命を危険にさらしている状況は看過できなかったと崎山氏は言う。
 確かに、被曝後、何十年も経ってからガンなどの病気が発症する晩発性障害は、因果関係の証明が難しい。がんの発症には、いろいろな原因が複雑に絡み合うからだ。しかし、だからといって、一部の専門家が強調するように、低線量放射能被曝の影響は無視してもよいということにはならない
 崎山氏は放射線被曝にはしきい値、つまりここまでなら浴びても大丈夫という量は存在しないと理解すべきだと言う。どんなに少量の放射線でも、人間がこれを浴びれば、放射線は人間の体の細胞の、とりわけ遺伝子を破壊する。そして、それによって将来それがガンになる危険性は僅かずつでも確実に増していく。がんの発症が放射線被曝の積算蓄積量に比例することは、国際的な放射線の防護基準を策定している国際放射線防護委員会(ICRP)も含め国際的に広く認められており、学問的にはもはや疑いの余地はほとんどないと崎山氏は言う。
 また、同じ理由から、大人と比べて子供は、細胞分裂が盛んな上に、大人より多くの放射線を吸収してしまう傾向がある。その後の長い人生の中で、他の様々な発がん因子の影響を受けることになる子供は、二重三重に大人よりも放射線に対する感受性が高い。その子供に年間20ミリシーベルトまでを許容量とした政府の決定は、言語道断だと崎山氏は言う。
 にもかかわらず、ある程度の放射線を浴びても「ただちに問題ない」といった発言が、十分な情報や専門的知識を持っているはずの政府関係者や科学者、そしてマスメディアの解説委員等から次々と発せられるのはなぜか。崎山氏は、自分が所属する組織に対する従属や忠誠心を優先するあまり、本来は正しくないことを重々知りながら、そのような発言をしてしまっているのではないかとの見方を示す。
 事故発生後、マスメディアで「ただちに」発言が横行し、政府や専門家に対する不信感が高まったことについて、崎山氏は日本で「市民科学者」が不在であることが問題だと言う。仮に、政府や電力会社から大きな助成金や寄付を受ける大学や研究機関に所属する科学者が政府よりの発言を繰り返したとしても、そのカウンターパートとなる市民科学者が科学的な根拠に基づいて、それに対抗できる情報を発信することができれば、市民は双方からの情報をもとに独自の判断を下すことが可能になる。
 また、そもそも日本は情報発信ができていないばかりか、情報の受信すら正しくできていないと崎山氏は言う。放射線被曝に関係する海外の文献や論文には、必ずといっていいほど広島・長崎の調査データが登場する。しかし、海外では放射線被曝研究の定番となっている広島・長崎のデータが、日本では必ずしも十分に活用されていないというのだ。
 医療の専門家として、国の専門機関である放医研(20014月から独法)から高木学校所属の市民科学者に転じた崎山氏と、いまだ政府によって十分に説明されていない放射線被曝の本当のリスクと、それがきちんと説明されない理由やその背後にある市民科学者不在の問題などを議論した。

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http://www.videonews.com/press-club/0804/002020.php

 

プレスクラブ (20110812日)

現行制度では子供や妊婦を被曝から守ることができない
注目の児玉龍彦東京大学教授が記者会見


 先月の衆議院厚生労働委員会で原発事故に対する政府の対応を厳しく批判したことで注目を集めていた東京大学の児玉龍彦教授が、812日、記者会見を行い、原発事故で放出された放射性物質の総量を明らかにしたうえで、子供や妊婦を守るための新たな検査・除染体制の構築が急務であると語った。
 児玉氏はまた、被曝検査や除染、補償などの体制を整備するために、透明性のある専門委員会を設置する必要があると語ったほか、子供と妊婦を守るために緊急避難の規定を含む新たな法律が必要との認識を示した。
 東京大学で先端科学技術研究センターの教授とアイソトープ総合センター長を兼務する児玉氏は、727日の衆議院厚生労働委員会で参考人として発言した際に、住民の被曝を防ぐことができていない政府の対応を厳しく批判していた。現在児玉氏は、福島県の南相馬市などで除染活動を指導している。

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●小出裕章さんの謝罪

2011年06月09日 01時04分50秒 | Weblog


小出裕章さんが福島みずほ福島瑞穂)さんと対談した映像(http://www.youtube.com/watch?v=vFvctxE8ye0)。

   『福島みずほ対談11 小出裕章さん「原発停止に全力を」
     【http://www.youtube.com/watch?v=vFvctxE8ye0

 4月末の時点での、ほとんどの福島第一原発メルトダウンや原子力発電所の問題点が網羅。
 まず、開始1.5分頃の映像。小出さんは謝罪の言葉を述べられ、頭を下げられました。こちらこそ頭が下がります。尊敬すべき真摯な研究者・科学者であることが分かります。「原発を廃止するために研究してきた」研究者である小出さんの謝罪に、福島さんも少し面喰われたようです。
 子供を守るべき文科省までが年間20ミリシーベルトを黙認・容認してしまったことへの怒り。
 東電の(無)計画停電は、電気詐欺・停電による脅し。「汚いやり方だ!」。九州電力の社長も、腹立たしいことに、同じ手口を使おうとしているように私には思える。九州の皆さん、騙されてはいけない。 
 送・発電の分離の必要性。

 小池さんの講演会での落合恵子さんの発言が思い出される。「いま、「脱原発」を口にすると仕事がなくなる(http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/05/13/7gei-may13/の6から7場番目の映像)」。そんな中で、最善を尽くしいてこられた小池さんをはじめ〝熊取6人組〟の皆さん、その他の原発反対を唱えてこられた方々に、本当に頭が下がる。自民党政治屋の皆さんをはじめとして原発を推進して甘い汁を吸ってこられた方に、この講演会の最後(8番目の映像の中盤、7分目頃)に流された姫野洋三氏「若狭の海」(http://www.youtube.com/watch?v=sEtjithaUIY&feature=player_embedded)を聞いてみて欲しい。

 福島瑞穂さんとの対談は、映像も含めて、WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)に要約が貼り付けられている。孫引きさせてもらいます。

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http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/04/30/mizuho-apr29/

429日 小出裕章氏と福島みずほ氏の対談

社民党の福島みずほ氏と小出裕章氏が2011年4月29日に対談された模様が、動画で公開されていることを、コメント欄でお知らせいただきました。ありがとうございます。福島氏が熱くなってしゃべりすぎの印象もありますが、ご紹介します。


【福島みずほ連続対談 「脱原子力」・自然エネルギーの促進へ 11】
(2011年4月29日)
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章さん
「原子力発電を止めることに全力を尽くす時」



福島みずほ対談11 小出裕章さん

要約

福島)東電原発事故についてどう思うか?

小出)日本が原子力を選択してここまで来たが、そういう選択をするとこういう事故がいつか起きると私は思っていた。事故が起きる前に原子力を廃絶したいと思い続け、40年そう言い続けてきたが、国家の圧倒的な力の前に敗北してきた。いまの事態を見ると言葉にならないほど悔しい。原子力に携わってきた人間の一人として、こんなことを招いた責任は私もある。お詫びしたい


福島原発を推進してきた学者16人が謝罪した。それは真剣だったと思うが、謝罪するならば推進を止めてほしいと思う。今回の事故は人災であり政治災害。自分もずっと脱原発、反原発を続けてきたし、代替エネルギーも進めてきた。が、事故は起きた。無念。政策転換をすべき。がんばりたい。

小出)福島さんが、政治という魑魅魍魎が跋扈するとんでもない世界で反原発の立場を貫いていることはありがたい。産官学が一体になって原子力が推進される中で、どんな抵抗も力を持ち得ないという状況が続いた。推進派が絶対起きないとしていた事故がいま現在進行している。推進の旗を降ってきた16人が謝罪をしたのは結構だが、言葉だけではだめで、行動してもらいたい。原子力を止めるために力を出すべき。


福島)真剣な謝罪は評価するが、変えることが大切。福島だけでなく、浜岡原発を止めるといったことも必要だし、そういうことに尽力してほしい。また、事故評価がレベル7になったが、3月11日の時点で冷却が止まったということを政府は認識していたのに、当時はレベル4と言い、「ただちに影響はない」としており、すごいギャップがあった。今回の事故と事故への対応についてどう思うか?

小出)推進派が「想定不適当事故」としていたような事故が実際に起きた。まず「想定不適当」と言ってきたことを取り消してもらう必要がある。これからもそういう事故を原発では想定してもらわないといけない。対応については、3月11日の時点で大変な事故ということは認識していたはずだが、関係者には事故を小さく見せたいという力学があり、私も他の専門家も最初からレベル6から7だろうと思っていたが、過小な評価となっていたことが問題。


福島)ベントや海水の排出をする前に通知するなど、出来ることがされていなかった。いのちに対する重大性を伝え、情報を正確に伝える必要はあったのに、「ただちに影響ない」で終わってきたことは検証が必要。学者が推進してきたことも大きい。保安院はお墨付きを与えてきたが無力だった。浜岡の耐震設計については保安院でさえゴーサインを出していない。これから防潮壁をつくる、ではなく、できていないなら止めるべき。保安院も経産省も方向を変えるべき。安全委員会は全員辞任してもいいくらい。

小出)私は正直言えば歴代の原子力委員会と原子力安全委員会の委員を全員刑務所に入れたいくらい。


福島)いまは基準が1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに上げられるという大変な事態。交通事故も大変なことだが、これはまた違うレベルの話。

小出)日本では法律で1ミリシーベルトとされているが、緊急だと言って行政は20ミリシーベルトまで許容範囲だと変えた。普通の人に被曝を強要する基準を作ることはあってはならない


福島)原子力安全委員会および文科省とは、20ミリシーベルトについて交渉しているが、平行線。作業員は100ミリから250ミリで2.5倍だが、一般の人は1から20で20倍。これは20ミリシーベルトにしなければ避難する事態になるから。いのちを守るためにどうしたらいいかという視点ではない。意味があって決まっている基準をいきなり20倍にすることに対しては、いのちを守る気があるのか!と思う。

小出)国には、作った法律に基づいて国民を守る責任がある。それが法であり、法の精神。なのに国は自分がしくじったために、法律で定められた基準を一気に20倍に緩めている。


福島)あれは正確には法律ではなくある種の基準値であるかもしれない。法律であれば国会で議論できるので逆にいいのだが。水道は乳児と大人は異なる基準になっているが、今回の20ミリは同じでいいと国は言う。

小出こどもは普通の大人より放射線の感受性が5倍高いこどもは20倍かける5倍で、100倍危険が大きくなったと同じ


福島)放射線量は地表に近いほど高い。文科省は50センチで測定したから大丈夫というが、変。地表を削るというが、これも粉塵が上がって危険。考慮が必要。福島に行ったが、こどもだけを避難させると家族が分離する。一時的にサマーキャンプをして、ストレスが少ないかたちで被曝量を減らすなどの工夫をしたい。

小出)それは素敵な発想。こどもたちには原子力を選択した責任はない。それに感受性が高い。ただしこどもだけ疎開をすると家族が崩壊する。私は正直言ってどうしたらいいか分からない。避難したほうがいいかどうかも分からない。こどもがまともに育とうとするなら泥にまみれて外で遊んでほしいと思う。そのためには汚染地で生活するのはよくない。


福島)土地に残る選択をする大人がいるかもしれない。正確な情報を知らされた上での選択である必要があるが。それに対し、こどもは選択の余地がない。こどもを守るというのは大切な要素。こどもにとっては今回の被害は甘受すべきものではない。本当の被害者。政治が正確な情報を伝えること、被害をできるだけ少なくするために他県で生活することを望む人たちを応援することが必要。避難は人間の生活基盤を奪うものであり大変なことだが、それでもこどもは守れと言いたい。その意味で文科省が決めた20ミリシーベルトは許しがたい。安全だと言い張ってきた政治、保安院、経産省は責任を取って政策の転換をすべき。文科省はこどもに対し原発は安全だという洗脳教育をしてきたが、今回はさらに20ミリシーベルトという基準を作っており、こどもに対する配慮がない。本来は文科省はこどもを守るべきもののはず。

小出文科省自体も原子力は安全だといって推進の旗をふってきた。今回反省して立ち上がるべきだ。が、政治にそういう期待ができるか?


福島)戦争のとき、敗戦時から文部省は豹変して平和教育、民主教育を始めた。その例は悪いが、そのくらい今回の事故で変わってもいい。それくらい私にはショックな事故。震災被害は復興を考えればいいが、原発事故は進行中。さらに福島より大きなものが起こるかもしれない。はっ!とショックを受けたドイツは原発を止めた。

小出この事故が進行中なのにいま現在も日本では26基の原発が運転中。なぜならば電気がほしい、豊かな生活がいい、停電はいやだ、とほとんどの日本人が思っているから


福島)でも世論調査では半分程度は原発NO。昔と比較すれば原発は危ないと思う人は増えており、希望は持てる。東電は無計画停電をしたが、実際は必要あったかどうか疑問。電気がナイナイ詐欺電気がないと困るだろうという詐欺

小出汚いやり方だと思った。


福島)この夏は工夫すれば乗り越えられるという試算が出ている。であれば、3月の停電は必要なかったはず電力会社の地域独占や発電送電一体は見直す必要がある。普通の人は利権がなく、いのちを重視すれば、変えられると思う。これから一緒にがんばりましょう。

小出)がんばりましょう。


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