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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ねじとねじ回し

2010-08-11 08:52:19 | 読書
ヴィトルト・リプチンスキ,春日井 晶子 訳「ねじとねじ回し - この千年で最高の発明をめぐる物語」早川書房 (ハヤカワ文庫 2010/05)

2003年の単行本の文庫化.欧米のこの手の本はいたずらに重厚長大なものが多いが,これはちいさく瀟洒にまとまっている.
自分の工具箱から始め,時代を遡って行くと,ヘロンの発明になるねじ式圧搾機に行き着く.技術革新はローマ人の専売特許で,ギリシャ人の才能は哲学や芸術に向けられていた,というのは誤解だったのだ.
しかしねじとねじ回しという組み合わせが出来上がるのは,つぎのミレニアム.

「機会屋の性 (さが)」という章では,鉄と性 (しょう) が合うのは才能で,音楽家が絶対音感を持つようなものとされる.(このたとえはちょっと疑問だが) 芸術的工作屋は確かに存在する.広く考えればアルキメデスやダ・ヴィンチもその一員.
解説の小関智弘さんは作家にして元旋盤工とのこと.小説は読んだことがないが,この解説にも芸術的機械屋が登場する.

ぼくの学生時代には理工系学生実験の一環に機械工作があった.大学の工作室のおじさんは,今の大学でもそうかもしれないが,なかなか芸術家肌であった.
機械を分解したとき,2時4時6時...の位置の6個のねじで止まっていたら,組み立て直す時には,2時にあったねじは2時の位置へ戻せ,4時にあったねじは4時の位置へ戻せ...と教えられたのを覚えている.戦後のねじの精度が悪かった時代の名残りだったのだろうか.

別な加速器屋の先生は,機械ほど可愛いものはないとおっしゃっていた.人間も犬も猫も苦しければ泣きわめくが,機械は文句ひとついわず,ある日突然故障する...あるいは,死んでしまうからだそうだ.この言葉は「はやぶさ」ご担当の皆さんにもご賛同いただけると思う.
そして産業革命も,巨大加速器も,宇宙飛行も,ねじなしには達成できない.

図版は多いが,この著者には図を用いて説明するという親切心はない.
カバーイラストの「ね」という字に+と-がはめこんであるのが判別可能だろうか.

姫路城と姫路市立美術館

2010-08-09 08:19:49 | お絵かき
姫路で学会.

この機会に,美術館「フランダースの光,ベルギーの美しき村を描いて」へ.

前景は現代的な彫刻・中景はれんが造りの美術館・後景は修復中の姫路城と,なかなか良い写真と思うが,i-Phone のカメラではこの程度.姫路城の脇にはクレーンが見えたのだが,逆光では痕跡程度.
来年には姫路城はすっぽりと覆われてしまい,そうなると足場をエレベータで昇って,天守閣の屋根を上から見ることができるのだそうだ.

「フランダース→犬→ルーベンス」程度の認識しか無いのだが,この展覧会はもっと新しいところ.20世紀初頭,フランダースの古都ゲントの西にあるシント・マンテンス・ラーテムという村に芸術家が集まって,この地の風景その他をたくさん作品に残したのだそうだ.
ほとんど予備知識がなかったのだが,とても良かった.児島虎次郎 (大原美術館の展示を蒐集)・太田喜二郎というベルギーに学んだふたりの絵も展示されていて,同じ人物を描いたりしている.

有名でないフランス絵画のようなもの,と言ってしまえばそれまで.それは日本の絵画も同じことだろう.とくに印象派はどこでも同じに見える.
画家の個性の裏には,題材や構図にベルギー独自なものもそこはかとなく感じられた.頭でっかちな種蒔く人とか,豚におっぱいをあげる女性とか,変な絵もある.

美術館は閑散としていた.この後 Bunkamura に巡回とのことだが,渋谷では押し合いへし合いとなるのだろうか.

3D スクリーンで宇宙旅行

2010-08-07 08:33:04 | エトセト等
もう先月末のことになったが,東広島天文台見学会 (広島大学マスターズ第8回例会) に参加した.案内役は同天文台設置に尽力された初代センター長大杉節先 生(現広島大学特任教授).当日のメニューは

1 天体望遠鏡“かなた”による惑星観察
2 4 次元宇宙シアターの鑑賞(約 30 分)

1 では,計算機で星を指定すると,ドームのスリットと望遠鏡が動くのだが,ふたつの動きが非同期なのがおもしろかった.金星が月のように見えた.夕刻であったが,肉眼で見える星なら,明るくても見えるのだとのこと.

2 のタイトルの 4 次元は時間も次元に加えるためらしい.液晶プロジェクタが2台あって,観客は偏光眼鏡で鑑賞,地球から宇宙の果てまで旅行した.
部屋が小さくスクリーンの位置が低いため,前に座ったひとの頭が邪魔だった.

この正体は Mitaka という,国立天文台のプロジェクトで開発されたソフトウェアらしい.http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/ からダウンロード可能で,2 次元表示ならなら普通のパソコンで楽しめる.3 テレビがあれば 3 次元表示も可能と思う.
馬鹿げたことだが,Window でしか動かない.





尾道ガウディハウス

2010-08-05 08:57:03 | お絵かき
NHK 教育「グラン・ジュテ (今 輝いている女性たち)」に,豊田雅子さん(空き家再生NPO代表)が登場.他にも映画館をつくったNPO等に,尾道には元気な女性が多い.



この絵は空家再生プロジェクト第1号となった,尾道ガウディハウス
なるべく家を大きく入れようと,斜めに書いたのだが,見る時も斜めにしないと収まりが悪い.
写真を見て描いたのだが,CDケースに裏から描いて表から見ると,左右反対になるのを忘れていた.この家をご存知の方には違和感があることと思う.
黄昏・火灯し頃のつもり.

4 トロンボーンズ @ 中村屋

2010-08-03 08:53:39 | ジャズ
中村屋は広島の土橋電停前の自家焙煎珈琲店.写真のように 2Fまで吹き抜けの高い天井は教会みたい.グランドピアノもある.HP なし e メールなしというところも店内と同様にクラシカル.

この晩は 4 トロンボーンとリズムセクションのジャズライブ.このうち 4 人が大学ジャズ研の OB・OG であった.お客さんは 60 人超.見知った顔多数.詰め込まれて蒸し暑かった...しかし当方も駆け込みで補助椅子に座らせていただいたので,文句は言えない.

ジャズライブには珍しく曲目表が配られた.全10曲プラス前後に表にない曲が一曲ずつ.アメリカン・パトロールに始まり A 列車で終わるという,ビッグバンド的なハーモニー重視の演奏.J & K の J による Lamento と,K によるアンコール曲 (Michie だったかな? 自信なし) がモダンなところ.「月の砂漠」のジャズ版も.

OG のふたりがフロントでいいとこを聴かせた.

店主?とおぼしき方の MC があって,FM でえらい評論家の解説を聞く感じ.「(トロンボーンに) ミュートをつけると表現の幅が広がるんですけとねー」などといわれていた.

トロンボーン・アンサンブルなるものを ぼくに認識させてくれたのが,Four Freshmen and Five Trombones. この Angel Eyes は YouTube は音声は 1956 年のオリジナルだが,映像は 2009 年の,すなわち現在の編成のFour Freshmen のコンサートのもの.


太田朱美さん@さかやバー

2010-08-01 10:08:46 | ジャズ
赤坂の飲屋街には何十年ぶり.雨が降っていて,お店を探し当てるまでにちょっと消耗.8 時ちょっと前だが,雑居ビルは森閑としていた.田舎もの的夫婦を見たマスターは,ははーんという表情で「朱美ちゃんのファンクラブですか」.その,朱美ちゃんが現れ,やっとリラックスして,いろいろおしゃべり.

前に新橋にあったのが引っ越したのだそうだが,そちらにも行ったことを思いだした.見覚えあるスピネットピアノ.太田朱美さんの出発点のひとつ,らしい.ライブスケジュールには,稲葉国光・中牟礼貞則etc の懐かしい名前も.「誰にも内緒のおとなの隠れ家」というキャッチフレーズどおり.「や」の字を逆さにしてさかや,行き着くまで実は「さやかバー」と思い込んでいた.

「セピア色のビール」と書いてあったので,そういうビールが注文できるのかと思ったら,CD タイトルにしてタイトル曲だった.ここのママで,この夜もピアノを弾いて唄った小美濃眞弓さんの曲.「名刺代わり」とかのそのCDをいただいた.セピア色のビールは,吾妻橋のアサヒビールのこと.いまは「うんちビル」だが,かっては夏でも火鉢があるというへんなビヤホールだった...と記憶している.
この曲は,エノケンの「お月さま いくつ 十三七つ...」というのにちょっと似たメロディで,昭和の匂い.ただしフルートは平成20年代そのもの.
CD には他にこの曲のインスト版とスタンタードが 2 曲.

この夜は小美濃さん,朱美さん,木村パンダさん(b)で,有名曲を何曲か.途中 常連さんが,友人のお嬢さんと来店し,客は 4 人となった.このお嬢さんは Smile を聴いて涙を浮かべておられた.
こちらは,歳をとって感性が鈍化して,音楽を聴いてもめったに感激できなくなってしまった.悲しい.

こちらが,そのチャップリンの名曲のマイケルジャクソン・バージョン.



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