Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「予測学: 未来はどこまで読めるのか」

2022-06-28 09:17:28 | 読書
大平 徹,新潮社(新潮選書 2020/8).

Amazon の紹介*****
「予測」や「予想」なしには生きていけない私たち。ウイルスの感染率、天気予報、地震・噴火、エスカレーター乗降時の無意識な動き、文字変換、自動運転、株式市場、開票結果、世論調査、平均寿命、ガン患者の余命―社会は「予測」に満ちている。スパコンなど科学技術の進歩により、この傾向はどこまで進むのか。自然現象、社会現象などの「予測」を気鋭の数理学者が読み解く。*****

目次からの 16 トンによる項目抽出*****
第1章 自然現象に関する予測 : 地震の予測,火山噴火の予測,天気の予測
第2章 社会現象や生活に関する予測 : 衝突,自動運転に関する予測,「がん」と余命の予測,人口と感染症の予測,犯人の予測,企業に関する予測,相手の判断の予測,政治の予測と世論調査
第3章 科学や技術における予測 : 数学における予想(ゴールドバッハの予想,角谷の予想),物理学における予測(重力波,質量を生み出すメカニズム),予測と確率,暗号,暗証番号,機械学習,予測変換
第4章 予測に関するいくつかの考察 : 量子力学における関係性,バランスをとるのにものを振る,予測と遺伝,予測と感動,予測と知性,予測と意識 *****

最初に著者が断っているように,予測学と言う体系があるわけではなく,またそれを新しく提案しているわけでもない.目次のように,予測学というものがあるとすれば,その素材集と言った内容.著者の蘊蓄に強引にこじつけたような「素材」もあるが,そこがまた面白い.

天気予報のためにはナビエ・ストークス方程式を全(地)球モデルで解く.「京」あるいは「富岳」とかのスーパーコンピュータが必要らしい.
かって 16 トンはプラズマ屋で,PIC なるものを弄っていた.最初は計算センターの大型機を使っていたが,定年した頃には PC でもそこそこ実験結果と比較できるようになった.では将来 PC で天気予報は可能か ?   などという予測は書いてなかったが,スパコンから初期条件・境界条件をもらって,自宅周辺だけ計算するなんてのは,有りかな.

天気予報と違って,地震予知に関しては物理的なメカニズムに立ち入った記述がない.巨大地震はプレート間の数十年単位の自励振動だが,その見地からの予測は...書いてないところをみると,見込みがないのだろう.

コロナウィルスの感染予測は SIR モデルによる時系列解析が使われる.
16 トンはその昔プラズマの不安定性と制御のためにせっせと時系列解析を行った.カルマンフィルターに手をだしたが,不得要領に終わった.本書に期待したのだが,あとがきにカルマンフィルターを「本書のレベルに合わせて噛み砕くことができなかったし,予測の全体を俯瞰することも筆者の力量を超えている」と逃げられてしまった.

図書館で借用.



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