Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

東京ことば

2024-05-29 11:48:01 | 読書
 田中章夫「東京ことば - その過去・現在・未来」武蔵野書院 (2017/5)

昨日の しあさって問題をもたらした本.アブストラクトがカバーに印刷されている.右画像の「東京っ子ことば」はエッセイとしておもしろかったが,こちらは専門書としておもしろい.著者は大阪外語大,学習院大などで教授をつとめられたとのこと.図版多数.たとえば画像・中は為永春水の「東詞戯談鈔」1836? の広告で「諸国の娘御方に江戸詞をお教え申す」とある.

目次の大項目は*****
「あづま言葉」の原風景 / 東西言語圏の成立 / 江戸言葉の諸相 / 東京語の芽生え / 東京語の文明開化 / 教科書言葉・小説言葉 / 山の手ことば・下町ことば / 東京語圏の拡張と変容*****

理工系の専門書と違って,適当に開いて読み始めて意味が通じるところが良い.


自分 = 16 トンの言葉のルーツを「山の手ことば・下町ことば」に拠って考えてみた.地図の旧市内 15 区が江戸で,戦前の定義では斜線部分が下町・その西が山の手らしい.本書によれば「理屈っぽい山の手言葉,歯切れのいい下町言葉」だそうだ.夏目漱石の小説における登場人物の会話は山の手言葉が主流.漱石本人も「江戸っ子といっても幅のきかない山の手うまれだ」と言っている.

16 トンの生地は旧市内らしいが,終戦直後からは母の実家である世田谷だった.省り見ると父は下町言葉,母は山の手言葉派だった.母は父側の親戚たちの言葉が「落語家みたい」で,内心はお気に召さなかったようだ.このことに思い当たったのは本書のおかげである.

以下は取り止めのないことども.
本郷3丁目に「かねやす洋品店」があったが 2015 年に閉店したそうだ.父曰く「本郷も かねやすまでは 江戸のうち」.この界隈が彼の遊び場だったらしい.東大構内で理髪店を営んでいた親戚が,漱石の頭を刈っていたのを自慢にしていたそうだ.
その漱石の「草枕」に本郷・藤村の羊羹が出てくる.原材料である小豆の味が濃くて美味しかったと記憶しているが,こちらもだいぶ前に閉店したそうだ.

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