Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

絵の教室

2006-01-14 11:29:16 | お絵かき
安野 光雅「カラー版 絵の教室 」中公新書 2006.

NHK人間講座のテキストがもとになっている.著者は小学校の先生の経験もあるとのことだが,緩急自在にして謙虚な語り口.腰巻き裏に「たとえば,天使がラッパを吹きながら空を舞う名画は,技術の蓄積だけでは描けなかった」とある.人間が空を舞うわけはないので,写生も写真も不可能だ.画家が人体デッサンと想像力を組み合わせた成果が空を舞う天使という趣旨だ.

しかし腰巻きで目につくのはごらんのように「理想の授業」の文字.これを受けたのか,まず「空想の宿題」の章.「問1 想像上の島のアウトラインを書いてください.」じつはぼくは一時期授業中に島の地図ばかり描いていたことがあった.宿題というのはぞっとしないが,読むだけなら楽しめる.

全七章のうち,「遠近法の実験」「自画像の実験」など,前半はどちらかといえば理科的なアプローチ.「ABCの本」「旅の絵本」などに見られる数々の著者の絵の種明かし的記述も楽しい.後の二章がちょっとニュアンスが異なる.この二章のうちでも「ゴッホの存在」は読み応えがあった.しかし新書版で絵が小さい.内容をしぼるとか,2冊に分けるとかして,図版を大きくしてもらいたかったところ.

あとがきでは本書の制作?に関わった人達が紹介し,最後に「この本にかわわる毀誉褒貶はすべて以上に記した方々の肩にかかっている」と結んでいた.毀も貶もヒトのせいにするところ,まねしようかな.

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