大久保賢「黄昏の調べ: 現代音楽の行方」春秋社 (2016/5).
図書館本 ☆☆☆☆
Amazon の内容紹介*****
現代音楽はなぜ嫌われるのか。作曲・演奏・聴取の視座から綿密に切り込む二〇世紀音楽の光芒。進化・変転する音楽創造の系譜と現代における新しい展開の意味とその行方を探る尖鋭な批評精神。
作曲家や評論家がどんなに理論武装しようとも、現代音楽のいかんともしがたい不人気・非大衆性は歴然とした事実のように見える。現代にあって、果たして新しい音楽創造は可能か? そもそもそうした新音楽が必要とされるのか? いわば新作無用論が跋扈するならほかにどんな道があるのか?…現代音楽の膨大な作品を渉猟してきた著者ならではの、大胆にして刺激的、かつ愛と憎しみの「二〇世紀音楽」論。*****
こんな字ばっかりの本 (ただし,ときどき楽譜あり) を読み通せるかと思ったが,面白かった !
目次は
第1章: 芸術の精神からの「現代音楽」の誕生 現代音楽とは何か / 第2章: 昨日から今日へ 現代音楽の興亡1 ‐第二次大戦まで / 第3章: ファウストゥス博士の仕事場 現代音楽の詩学 / 第4章: すばらしき新世界 現代音楽の興亡2 ‐戦後~60年代まで / 第5章: 聴けるものと聴けないもの 現代音楽の感性学 / 第6章: 宴のあと 現代音楽の興亡3 ‐70年代~世紀末まで / 第7章: 非人間的な、あまりに非人間的な 現代音楽演奏の現象学 / 第8章: 芸術の些か耐えられない重さ 現代音楽の行方 / 補遺:現代音楽の名曲を聴く CD50選
自分の現代音楽に対する認識は第2章 シェーンベルク,ドビュッシー,バルトーク,ストラヴインスキーあたりまでなのだが,その後特に最後の2章が面白い.
前衛ジャズも,嫌われる点では現代音楽と似たようなもの.ただし大雑把に言えば,ジャズの場合は作る人と演る人が同じ,現代音楽の場合は作る人と演る人が違う,と言えそうだ.だから,この本第7章の次の珍問答が成り立つ.
ある作曲家 (ブーレーズのピアノ曲のある箇所を指して)「これはちょっと弾けそうにないが...」
前衛ピアニストとして知られるその友人「その通り,弾けやしないさ」
作曲家「ではどうするのか」
ピアニスト「それらしく弾くのさ」
...
巻末にCDリストがあるが,譜例の曲は大部分がYoutubeで聴けそうだ.
著者の現代音楽への態度はどちらかといえば冷ややか.それがこの本を支持するかしないかを決めそう.
索引が必要.
2700円は高い.新書で出たら買うんだけど...
図書館本 ☆☆☆☆
Amazon の内容紹介*****
現代音楽はなぜ嫌われるのか。作曲・演奏・聴取の視座から綿密に切り込む二〇世紀音楽の光芒。進化・変転する音楽創造の系譜と現代における新しい展開の意味とその行方を探る尖鋭な批評精神。
作曲家や評論家がどんなに理論武装しようとも、現代音楽のいかんともしがたい不人気・非大衆性は歴然とした事実のように見える。現代にあって、果たして新しい音楽創造は可能か? そもそもそうした新音楽が必要とされるのか? いわば新作無用論が跋扈するならほかにどんな道があるのか?…現代音楽の膨大な作品を渉猟してきた著者ならではの、大胆にして刺激的、かつ愛と憎しみの「二〇世紀音楽」論。*****
こんな字ばっかりの本 (ただし,ときどき楽譜あり) を読み通せるかと思ったが,面白かった !
目次は
第1章: 芸術の精神からの「現代音楽」の誕生 現代音楽とは何か / 第2章: 昨日から今日へ 現代音楽の興亡1 ‐第二次大戦まで / 第3章: ファウストゥス博士の仕事場 現代音楽の詩学 / 第4章: すばらしき新世界 現代音楽の興亡2 ‐戦後~60年代まで / 第5章: 聴けるものと聴けないもの 現代音楽の感性学 / 第6章: 宴のあと 現代音楽の興亡3 ‐70年代~世紀末まで / 第7章: 非人間的な、あまりに非人間的な 現代音楽演奏の現象学 / 第8章: 芸術の些か耐えられない重さ 現代音楽の行方 / 補遺:現代音楽の名曲を聴く CD50選
自分の現代音楽に対する認識は第2章 シェーンベルク,ドビュッシー,バルトーク,ストラヴインスキーあたりまでなのだが,その後特に最後の2章が面白い.
前衛ジャズも,嫌われる点では現代音楽と似たようなもの.ただし大雑把に言えば,ジャズの場合は作る人と演る人が同じ,現代音楽の場合は作る人と演る人が違う,と言えそうだ.だから,この本第7章の次の珍問答が成り立つ.
ある作曲家 (ブーレーズのピアノ曲のある箇所を指して)「これはちょっと弾けそうにないが...」
前衛ピアニストとして知られるその友人「その通り,弾けやしないさ」
作曲家「ではどうするのか」
ピアニスト「それらしく弾くのさ」
...
巻末にCDリストがあるが,譜例の曲は大部分がYoutubeで聴けそうだ.
著者の現代音楽への態度はどちらかといえば冷ややか.それがこの本を支持するかしないかを決めそう.
索引が必要.
2700円は高い.新書で出たら買うんだけど...