Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

漂流巌流島

2016-02-08 08:22:10 | 読書
高井忍,創元推理文庫 (2010/8).

Amazon による内容(「BOOK」データベースより)*****
宮本武蔵は決闘に遅れなかった!?赤穂浪士は浅野内匠頭が殿中刃傷に及んだ理由を知らなかった!?近藤勇は池田屋事件を無理矢理起こしていた!?鍵屋ノ辻の仇討ちは上手くことが運び過ぎた!?人使いの荒い監督に強引に引きずり込まれ、チャンバラ映画のプロットだてを手伝う破目になった主人公。居酒屋で額を寄せ合い、あーでもない、こーでもないと集めた史料を検討すると、巌流島の決闘や忠臣蔵の討ち入りなどよく知られる歴史的事件の目から鱗の真相が明らかに…。第二回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む、挑戦的歴史ミステリ短編集。*****

ジョセフィン・テイの「時の娘」あたりが歴史ミステリの元祖らしいが,こちらは同じパターンを繰り返す短編集ということもあって,鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか?」を連想させる.

まず主人公というより語り手が映画のためにまとめた史実が,作中作として小説の形で示される.ネタは上にあるように,巌流島,忠臣蔵,新撰組,鍵屋の辻の4つ.次にこれをもとに映画監督が歴史に対してトンデモ解釈を繰り広げる.途中で生の資料らしきものがそのままでてくることがある.数多くの人物が登場し,記述も時間順ではない上に年号も西暦に統一されていない.最後は語り手に大急ぎで脚本を書くことを押し付けて一話完結.

悪く言えば読みにくく,よく言えば読み応えがある.前半は監督と脚本家,男同士の一対一だが,後半はアイドルも加わって少しやわらかい.
新撰組はやや例外的だが,共通する底流は,幕府あるいは藩という組織のことなかれ主義である.

図書館で借りた.


追記 自分のブログを読み返したら,5年前に同じ本を読んでいた.すっかり忘れていた!
コメント
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