Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

チップス先生,さようなら

2016-02-28 08:55:27 | 読書
ジェイムズ ヒルトン, 白石 朗 訳 (2016/1).

高校時代,授業で先生が何箇所か抜き出して紹介してくれた.ちっとも面白くなかったという記憶にもかかわらず,新潮文庫から新訳が出ていたのを見たら,手が出てしまった.
菊池重三郎訳「チップス先生さようなら」にはその昔あんちょことしてお世話になった.同じ新潮文庫なのに,この新訳の解説 (杉江松恋) で旧・菊池訳に深く言及しないのは,いかがなものであろうか.菊池訳の刊行は原作の約20年後で,同時代とは行かないまでも,当時の空気は伝えていたはずだ.

原題のコンマに忠実に,「先生」と「さようなら」の間に新訳では読点が入った.

Amazon の内容(「BOOK」データベースより)*****
霧深い夕暮れ、煖炉の前に座って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド校での六十余年の楽しい思い出が去来する―。腕白だが礼儀正しい学生たちとの愉快な毎日、美しく聡明だった亡き妻、大戦当時の緊迫した明け暮れ…。厳格な反面、ユーモアに満ちた英国人気質の愛すべき老教師と、イギリスの代表的なパブリック・スクールの生活を描いて絶賛された不朽の名作。*****

やり手の若い新任校長と喧嘩する場面がある.この校長の言うところは,現代日本の文科省の文系学科廃止論を思わせる.若くて聡明な妻のおかげで学校の人気ものになる.この妻と生まれたばかりの赤ん坊は死んでしまう.しかしこのあたりの記述はさらりとしていて,総じてチップス先生の楽しい回顧録である.
16 トンなどは,思い出すのは思い出したくないことばかりである.もっと齢を重ねれば悟りの境地に達し (ボケもまじって) 楽しい思い出ばかり...ということになるのだろうか.

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