行くぞ!グラベル

オフロードバイク&釣り好きのイケイケブログ

やってきました。

2006-09-07 23:00:35 | Weblog
知り合いに前からお願いしていたDSがやってきた。
とりあえず、自分のまわりの人らで流行っている「どうぶつの森」を購入。
まぁ私、独り者なんで暇な時間に少しずつ世界を広げてみます。

脳みそ鍛えるやつも買お。
コメント (4)
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お蔵入りになった昔の仕事の話

2006-09-07 01:53:19 | Weblog
今回はお蔵入りになった昔の仕事の話。

今から10年以上前のお話。
取材で東北地方のとある場所へ茶道具を作る
一人のご老人を訪ねました。
この老人は、茶道具の「棗(なつめ)」を作ることを
生業とした人で、その世界ではそれなりに知られた人でした。
しかし、その人には後継者もなく、すでに高齢ということもあって
元気で働けるうちに匠の業を記録、映像に収めておくことが我々の目的でした。
確か、少し雪の残る寒い季節だったとおもいます。

初めて自宅に伺ったとき、老人は奥様と二人、
夫婦でスタッフらを暖かく迎えてくれました。
東北地方独特の野沢菜の漬物と、少しでも減ると間髪入れず継ぎ足されるお茶で
遠くから来た我々を労う老夫婦の姿が印象的でした。
挨拶をしながらも、その棗作りの老人は、子供のように落ち着かず
すぐにでも撮影を始めてほしそうなくらい嬉しそうでした。

次の日から我々は、朝に仕事場へお邪魔し、
仕事の様子を撮影、夕方には旅館へ引き上げるという
取材を何日間か行いました。


ひとつの木の塊から作り出される美しい工芸品。
蓋を合わせる瞬間、かすかにもれる空気の音。
硬くしわ枯れた匠の手からは、正反対のツルツルで
手に吸い付くような艶を持った棗が次々と生み出されました。

私はもともと絵を描いたり、モノを作ったりすることが好きなので
撮影をしながらも、匠の作業を見るのが本当に
楽しかったのを覚えています。
よく家屋の玄関前に観賞用として植えられる節のある植物が
「トクサ(砥草)」と呼ばれる植物で、その名の通り
ものを磨くのに使われる草、ということも
このときはじめて知りました。

見るもの全てが新鮮でした。


そんなある日、匠がスタッフ一人ひとりに
自ら作り上げた棗をくれました。
私は本当に嬉しくて、ピタリと合わさる木目や、
かすかにもれる空気の音を聞くために
頂いた棗の蓋を匠の前で何度も開けたり閉めたりしていました。
「棗には使わない時でも、茶の葉を入れておくんだよ」
そう教えてくれました。

取材は無事に終わり、3ヶ月後にまた来ることを
約束し、私たちは大阪へと引き上げました。
私はお茶をたてることなどできないから、この棗をどうやって保管しようかと
あれこれ考えながら、嬉しいお土産を大切に持って帰ったのです。


確か、私たちが大阪に戻って3日後ぐらいだったと
思います。
匠が亡くなったという訃報が届きました。

「頑張りすぎちゃったみたいでねぇ…」

奥様は我々を責めることなく話したそうです。


どうせなら、その姿全てを残してあげたかったのですが、
作業の全工程を追えなかった映像素材は、お蔵入りとなりました。











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