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なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

チェンジリング

2010-01-23 | 休み
またゲオ様で4枚ほど。ただ自分の中の「DVDを一杯観るブームが」終わりそうな勢い。近所のゲオはかなり狭い店舗なので在庫も少なく、『ファイトクラブ』観たいけど置いてない…大型店舗に行ってみようか、遠いけれども。



『Changeling』(Official Site)
チェンジリング



クリント・イーストウッド監督の映画をDVDで観るブーム。本当にこれが映画なんだなぁと思わせてくれる映画。演出の切れが良すぎ。特に後半のコリンズ夫人のウォルターへの心象を描いた演出が印象深く。



犯人の裁判シーン。犯人が裁判で判決を言い渡される前、被害者遺族の中で唯一犯人に対して恨み言を言わず凛としていたコリンズ夫人に対して、「ウォルターは生きてる!」、「ウォルターは天使だった!」と言い放つとそれまで息子の死を受け入れて毅然としていた夫人が動揺の色を見せ、判決に際して打ち鳴らされる木槌の音がまるで楔を打ち込むよう。

2年後犯人の死刑執行前日に、犯人から真実を話すと言う手紙を受けて刑務所まで面会に行くシーン。犯人が「ウォルターは生きてる!」と法廷で告げたが嘘だったと。一気に激昂、詰問する夫人。看守は面会を中断しコリンズ夫人を面会室に残し犯人を連れ出す。面会室の鉄格子にもたれかかった夫人を外から録るとか。囚人じゃないのに夫人が事件に囚われている。

さらに5年後。遺族の一人から自分達の息子が戻ってきたと連絡が入り、警察署まで会いに行く夫人。誘拐された子供の一人が生きていた。どうやって生き延びたか、その話の過程でどうやって逃げ出したかという話の中で夫人の息子、ウォルターの勇気ある行動の話を聴かされる。ウォルターもその時逃げ出したことも。そこでの涙と署を出てからの希望に満ちた力強い表情。



起点から転換点、終点まで報われない悲惨な話でしかないのに、一種晴れやかな気持ちで見終えることが出来るって凄い。特にこの後半の3つのシーンが凄すぎる。単体で観ても凄いけれど、これが流れの中で描かれるのでコリンズ夫人の心理描写が丁寧で克明。息子の死を受け入れきれない→受け入れそうになる→息子の生存を確信する。それが分かり易い演出なのに臭くない。

刑務所のシーンは下手な人がやったら冗談ぽくなりそうだけど、全然そんなことも無く自然。あと監督のピアノも効果的で良いし、エンディング、エンドロールに流れるそれが余韻があって特に良い。

アンジェリーナ・ジョリーが良かったのは言うまでもないけど、何といってもジェフリー・ドノヴァンの下衆な警部の芝居。ろくでもない、いけ好かない権力者の役って正にはまり役。『名探偵モンク』の宇宙飛行士役でもそうだったけれど、観ていて犯人と同等、若しくはそれ以上にその非道さに腹が立ってくるって凄い。その警部や医者の言葉に「んなわけねーだろ」と突っ込めるし。


クリント・イーストウッド映画が面白すぎて面白すぎて凄すぎて、『インビクタス』観に行ってしまいそう。