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NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

THEE MOVIE

2010-03-19 | 休み
『THEE MOVIE』(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT SEASON LIMITED WEB SITE)
THEE MOVIE
後悔の多い人生だけれど、その一つにミッシェルのライブに永遠に行けなくなっちゃったことがある。FM山陰での抽選で当てた「WILD WILD SABRINA HEAVEN TOUR」米子公演のチケットを妹達に譲ってしまったことを今更ながら少しだけ後悔している。だからこそライブDVDはとっても嬉しい存在で、もちろん『BURNING MOTORS GO TO HEAVE』も買ったわけです。島根の大学生であったぼくにはチケットはもとより幕張メッセは遠かった。そしてこの映画を観たことも数多い後悔のその一つです。



近々の音楽ドキュメンタリーの佳作に『THIS IS IT』があります。マイケル・ジャクソンとミッシェル・ガン・エレファントを比べるのはもちろん無茶です。あっちはキング・オブ・ポップと評されるようなポップスの権化、エンターテイメントです。一方でミッシェルは純粋なロックンロール、ガレージロック一本のロックバンドです。大抵はライブハウスなどの小さな箱で音楽一本でやるだけです。大きな箱でやってもオーロラビジョンがある程度。比べること自体が間違っています。

けれども音楽ドキュメンタリー映画となった以上は比較の遡上にあげられるべきです。そして比較すると、この映画の駄目さ加減があらわになります。最低です。少なくとも映画館で上映するレベルの作品じゃないし、BDもDVDも買うべきじゃない。レンタルで済ますべき作品です。極上のライブパフォーマンスに90年代みたいなダサいカットやミッシェルの楽曲をBGMにあしらわれた大昔のインタビュー映像、意味不明なライブ映像などが挿入され台無しにされてます。


終始何がしたい映画なのか疑問に思わされます。ベースは「LAST HEAVEN」最終公演の幕張メッセの映像を使っています。それならばミッシェルの最後のライブに迫った映画なのかと思うと、突然デビュー直前のライブのMCが挟まれミシェルの時代を追うものかと感じさせます。と思おうとまた違うお台場でのライブ映像が挿入され、何故か観客が倒れるシーンが強調されます。そして今度はまた違う仙台での過去のライブが挿入されますが、ここでも照明が落下するトラブル映像。

監督は「ミッシェルのライブは凄すぎて、観客は倒れ、ライブハウスの照明は落ちてしまう!くらい凄いのだ!」と言いたいのかも知れない。多分そうなのだと思う。けれど可笑しいだろ、これ。メンバーの観客への声掛けはともかく、ライブ運営のスタッフ映像はどうにも微妙だろ。そして仙台会場は照明が落下してしまったことで結果中止になる。写真の合成には酷すぎて爆笑。

へっ?って感じだ。結局何を監督はこの映画で言いたかったんだろ。もしかすると言いたいことなど無いのかもしれない。古い映像をつなぎ合せてどうにか新作映画をでっちあげ、ファンの財布からお金を抜き取りたかっただけなのかもしれない。現にこんなクズ映画でもアマゾンのレビューは絶賛の嵐だ。良かったね♪ミッシェルのファンが盲目的な信者ばかりで。

最初と途中と最後に入る村上淳の「今、俺は」、「あの頃、俺は」、「まだ、俺は」というそれぞれのナレーションには寒気すら感じます。ダサすぎて身の毛がよだつ。「Girl Friend」かのエンドロールは良いなぁと一瞬思うもののラストシーンの合成に驚愕。どうかしてるし、はっきりいって気持ちが悪い。こんな映画をささげられても困るだろ、アベも。

ただのライブDVDなら当日の熱気も普通に収録してある前述の『BURNING MOTORS GO TO HEAVE』が既にあるわけです。当日の燃え尽きる様子を淡々と、しかし克明にライブだけを写しているこちらの方が観るべきものが多いし、アベフトシが無くなった今、こちらの方が『THEE MOVIE』よりも観る人の中のそれぞれの文脈で最後のミッシェルのライブを物語として補完し楽しむことが出来るんじゃないだろうか。くだらなくてダサい映像を挿入された『THEE MOVIE』を観るよりも。

ライブ映像としてみれば最高ですが、映画としてみれば最低です。ミッシェルの足跡を辿るわけでもなく、その後のメンバーを追ったわけでも、ラストライブである「LAST HEAVEN」最後の瞬間を捉えていたわけでもない映画。「LAST HEAVEN」の映像をベースに過去の映像を可能な限り格好悪く切り張りして出来た映画です。端的に言ってクズ映画です。アベの死も何もあったもんじゃない。ミッシェルの晩節(既に解散してるけど)を汚す最低の映画です。本当に腹立たしい。これを喜んで観ている人はどうかしてる。



こんなクズ映画を観るくらいなら『BURNING MOTORS GO TO HEAVE』を観るか、The Birthdayのライブを観に行くべき。


<関連>
「ミッシェルはまだ終わっていない!!『ミッシェル・ガン・エレファント "THEE MOVIE" 』初日舞台挨拶」(映画ニュース)
元ミッシェル・ガン・エレファントのメンバー3人(チバユウスケ・ウエノコウジ・クハラカズキ)と、この映画のお話はされましたか?
■番場監督:「実は、あの3人はこの映画をまだ観ていません。そして、3人は何も関わっていません。でも僕は、この映画を作ることを、真っ先に3人に伝えました。で、「全て任せる」と」
(上記リンクより一部引用)
やっぱりねぇというか、この一連の映画、ライブDVD集、ムービーコンサートツアー等のプロジェクトに一切メンバーの顔が見えないところに違和感と不安感しかなかったのがズバリだったのか。

MICHELLE WAS DEAD(過去ログ)

CBSドキュメント

2010-03-18 | 休み
「CBSドキュメント」(TBS)
CBSドキュメント
バラカンさんも吉川さんもお若い。


アメリカCBSの報道ドキュメンタリー番組、「60 minutes」を素材とした報道ドキュメント番組、「CBSドキュメント」が終わっちゃった。ぼくは必ずしも忠実な視聴者とは言えなかったけれど、レコーダーを購入してからはなるべく見るようにはしてた。今年に入ってから情報系番組との隔週交互放送になってしまったのでまさかとは思ってはいたがまさか終わってしまうとは。

番組の最後に皮肉の効いたエピローグ的放送後記を語っていたウォルター・クロンカイトも昨年なくなってしまったし、当然の流れといえば当然なのか。中国の環境汚染の現状に驚愕し、路上のチェリストに感嘆し、宗教団体の非道に憤怒し、オバマ特集には心躍らせた番組が終わってしまった。CBSの元の番組の質が高いのはもちろんだけど、やはりピーター・バラカンさん、吉川美代子さんの解説。


アメリカの文化的な部分など少しわかりにくいところをかゆいところに手が届く様にコメントでフォローされることで一段と理解が深まったり、お二人の率直なコメントにニュース番組では得られないエンターテイメント性も得られていた。夜中にはもったいないけれど、夜中だからこそのクオリティだった。凄く残念です。本当に。アナウンサー方の吹き替えも好きでした。他局の打ち切り番組を拾い捲ってるMXテレビとSMEの「E!TV」枠で復活しないかすら。

THIS IS IT

2010-03-17 | 休み
『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(DVD・BD公式)
THIS IS IT

MJといえば「マイケル・ジャクソン」ではなく「みうらじゅん」な人間からしてもとっても面白く観られた。映画というよりはライブDVDに限りなく近い。ライブDVDに限りなく近いんだけれども、マイケル・ジャクソンの急死という物語の文脈をふわっとまとっているので(その死は強調はされない)、素晴らしくゴージャスなステージや凄すぎるダンスがその死と対比されてライブDVD以上のものを与えてくれる。

まぁそもそもが楽曲のクオリティが高いってこともあるのだけれど。それにしても舞台装置やライブ用映像のクオリティまでもが高すぎる。手足のごとく扱われる炎の演出、映画に合成した新しい「Smooth Criminal」、3Dの「Thriller」などなど。誰もが思うだろうことはこれが実現されていたらどうなっていたのだろうということ。ジャケットを燃やすとか実現したら凄かったのだろう。ただ実現していたら観れなかっただろうな。


立川の映画館でオールスタンディングで大音量上映したらしいけれども、本当にすばらしい。一応別付けのスピーカーを用意して鑑賞したけれど、可能な限り大きなテレビと可能な限りの良い音響設備で観たい。ふと思ったのはミッシェルのラストライブを映画化した『THEE MOVIE』もこういう風に観ることが出来るのかということ。観れるんだろうか。

Follow me

2010-03-16 | 休み
『フォロー・ミー』(午前十時の映画祭、何度見てもすごい50本)
FOLLOW ME

出てくる登場人物はほぼ3人。上流階級の会計士の夫とアメリカ西海岸生まれのヒッピー奥さん、帽子からコート、カバンまで何から何まで白尽くめの格好悪いちょび髭探偵。夫が妻の浮気を疑って、妻の尾行をこの変な探偵に依頼するという設定はよくあるものだけど、その後が変わってる。奥さんを尾行しているうちに探偵が奥さんに惚れちゃった。ここまでもありそうな話。でもここからが大変に変わってる。

惚れちゃうんだけれど、そこからぐちゃぐちゃの愛憎劇になるでも無しに、探偵は奥さんに気づかれながらも尾行を続ける。奥さんは探偵の尾行に気づきながらもそれを楽しむそぶりを見せる。すると探偵も調子に乗ってどんどん自分の存在をアピールしだす。けれど一言の会話を交わすことなく、アイコンタクトとジェスチャーでコミュニケーションをとるばかり。しかも決して並んで歩いたりはせず、あくまでも尾行。

愛の告白をするでもなく、ましてやキスなんてものは無い。他愛も無いイチャツキと言ってしまえば身も蓋も無いことだけど、それだけ。それだけなんだけどともするとウザイ以外の何ものでもない状況が、奥さん役のミア・ファローの素朴さと探偵役のトポルの格好悪さでとっても愛らしいシークエンスの連続にしてしまってる。決して美男美女の取り合わせではない(ミア・ファローも個人的には美人とは思わない)のに、こその魅力というか。


身も蓋も無いくらいに小さな映画なのに、小さい映画だからこそすんごく可愛らしい映画になってる。ラストも含めてとても可愛らしい良い映画。本当になんでDVD化されてないんだろうか。この機会にDVD化、若しくはBD化されますように。

曲げられない女

2010-03-12 | 休み
「曲げられない女」(日本テレビ)

今期の地上波テレビドラマで一番面白く観てる。これまでは菅野さんの一貫して搾り出すように言葉を紡ぐようなお芝居は正直苦手だったけれど、今回はそんなことが気にならないくらいに見事な成りきり。少し増した体重とセルフレームと仏頂面で適度に可愛くなく、”っぽさ”がよく出てて面白い。正直コンセプト的にはオアシズの光浦さんでも良い様にも思うけれど、それではきっと駄目なんだろう。

困難な問題や自分自身の性質に起因する問題など実存的な悩みを持つものに対して、菅野さん演じるパラリーガルの荻原が曰く心のシャッターを開けて突然に絶叫しながら説教をするのが物語の見せ場。そしてマイケル・ジャクソンミュージックとダンス。もちろん各人物の魅力がこれらを底上げしてるのは言うまでも無く、他人を取り締まるよりも楽しませるほうが好きな警察官僚、虚言癖気味のお金持ちの奥様、そして無愛想で正義感で動いてばかりのパラリーガル。

もちろん脚本はあくまでテレビ的で臭い部分、リアリティにかける部分は多いけれど、そんなことが気にならないくらいに面白くて、元気が出て、たまに泣けてしまう。ぼくみたいな涙腺が馬鹿になってる人間は毎回泣かされてしまうほどのパワー。いや、台詞は非常に臭いんだけれど、この世界観の中で菅野さんの荻原が言い放つと不思議と気にせず素直に受け入れられてしまう。いや、大変に臭い台詞なんだけれども。冷静に見ると違和感あるけれども。


「私たちに生きる意味なんて必要ありません。私たちに必要なのは生きる意志です。」


という台詞があるけれど、確かに臭い。何言ってるの?というような気がしないでもないけれど、水曜10時のこの枠で菅野さんのお芝居込みでこの台詞を聞くと来ちゃうわけで。他にもこういう台詞を黄門様の印籠のごとくドラマの終盤で炸裂させるカタルシス。明日への活力がデトックスとともに得られてしまうというなんとも効率的なドラマ。3人の関係性は確かにファンタジーでしかないけれど、それでもやっぱり良いなぁっと観てしまう。



というか来週、最終回か。


(追記)
最終回。これまでこのドラマの魅力でもありながら、一番の疑問点であることを登場人物手ずから主人公の荻原に指摘する、突きつける。少し俯瞰してみれば曲げられないことは必ずしも良いこととは言えず、荻原は所謂”痛い”人でしかない。荻原のおせっかいや強情によって周りの人間の人生が狂ってしまったという指摘に荻原はひるむ。けれど荻原は印籠のごときシャッターを開いて反論をするのだ。

ある種居直りのような反論。けれどこれはこの荻原というキャラクター像の本質にかかわる、アイデンティティだからこそ反論する。それはつまりはドラマのテーマであるから。周りの人間が幸せになって欲しいということからの行動であり、現実に自分も回りもそのままの一見順風な人生では得られなかったものがあるはずと反論する。そして何よりこういう”痛い”人間で無ければ二人と親友になれなかったのだと明瞭に反証する。

この反論もそうだけれど本当に脚本の遊川和彦さんはあったまいいなぁ。確かに所々かなりご都合主義的な部位は見受けられる。蓮見が家を出る理由や荻原が司法試験を10回目を区切りとするという設定は明らかに最終回のための伏線のための伏線という色合いが強い。正直違和感。他にもそういった点は多いけれど、それを補って余りある質量と熱量。前述の反論もそうだけど、荻原の弁護士になりたい本心や蓮見の啖呵の本心をちゃんと描いたのは凄い。


ラストのシークエンス。荻原の子供、灯役の子役が菅野さんの子供に見えて驚いた。そして蓮見と藍田のカップルというありそうでなかった未来はありそうだったのに良かった。そしてそして何より驚いた、というか笑えたのは能世三姉妹の能世アンナの落ち。いやぁ、面白かった。人生は自分でどうにかできるから面白いだろ、これが一番言いたかったことのよう。まぁもちろん正論でありつつも綺麗事。綺麗事を通す人のドラマだから当然だけれど。